私のための小説

桜月猫

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85話

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 トラックにぶっ飛ばされた庵は歩道に戻ってきてゴロゴロと転がって止まった。
 その回りに小学生達が集まった。

「生きてるか?庵」「死んでるんじゃね?」「あれで生きてたら化け物だろ」「おーい。庵」「返事がない」「ただの屍だ」
「生きてるわ!」

 叫びながら庵が立ち上がると小学生達は庵から距離をとった。

『化け物だー!』
「違うわ!」

 庵は小学生達を睨み付けた。

「ってか!そもそも、テメーらのせいでトラックにひかれたんだからまず謝るのが普通だろが!」
「ケガしたのか?」

 小学生の問いに体を調べ出す庵。しかし、痛むところやケガは見当たらない。

「いや、ないな」
「あれだけハデにぶっ飛ばされてケガがないなんて」「やっぱり化け物だな」「さすがギャグ主人公ね」
「だーかーらー!まずは謝罪が先だって言ってるだろが!」

 庵が叫ぶが、小学生達は謝罪する気はなく、「やっぱり化け物だ」なんてひそひそと話ていた。

「テメーらなー」

 怒った庵が拳を握りしめた。

「おい。なんか庵が怒ってるぞ」「誰よ。庵を怒らせたのは」「怒らせたヤツ。早く名乗りでろ」「さっさと謝れよ」「早くしないと庵がキレるぞ」
「もうキレてるわ!」
『わー!』

 怒鳴る庵からさらに距離をとる小学生達。

「それに、怒らせたのはお前ら全員だろが!だから全員で謝りやがれ!」
「俺達なにか庵にしたか?」「してないぞ」「そうよね」「だから怒られる理由がわからないな」「だから謝る必要ないんじゃない」「だな」

 小学生達は頷きあうと、庵を見た。

『だから謝らない!』
「テメーら!」
『わー!』

 完全にキレて追いかけてきた庵から逃げるために小学生達は青に変わった横断歩道を駆け抜け始めた。

「待ちやがれ!」

 当然庵もあとを追って横断歩道を渡り始めたのだが、

「あっぶな~い」

 マスターの声に反応して庵は横を向きました。
 次の瞬間、庵はマスターの運転するバイクにはね飛ばされました。

「いっけね~。人ひいちまった~。でも、庵だからまぁいいか~」

 マスターはそのままバイクで走り去っていきました。

『じゃあね~。庵~』

 小学生達は倒れている庵に手を振りながら小学校へ向かっていった。

「イテテ」

 小学生達が去ってから少ししてようやく起き上がった庵は腰をさすった。

「作者!」

 なに?

「なにじゃねーよ!邪魔したうえにおもいっきりひき逃げしやがって!」

 左右の確認もせずに飛び出してきた庵が悪いんだぞ。

「なにもない空間からいきなりバイクで飛び出してきたくせにこっちが悪いみたいに言うんじゃねーよ!」

 え~。俺は悪くないだろ~。

「お前が1番悪いわ!」

 まぁ、俺が悪かったとしても、俺を捕まえることは出来ないからな。

「くそっ!」

 庵は悔しそうに地面を蹴っていた。

 それより、早く中学校に向かわないと遅刻するぞ。

「ハッ!そうだった!」

    しかし、小学校と中学校は真逆の方向にあるので、小学生達に担がれて移動した分中学校から遠のいてしまっていた。

「あいつら今度会ったらマジで説教しないといけないな」

 小学生相手にそんなにキレるなんて大人げないな~。

「大人げないなって、俺はまだ中学生だからな!それに、テメーにもキレてるんだからな!」

 えっ?なんで?

「なんで?じゃねーよ!バイクでひき逃げしたじゃねーか!」

 あ~。あれは「おはよう」の挨拶変わりだから怒るなって。

「あんな挨拶があってたまるかー!」

 なぁ庵。

「なんだよ」

 口を動かす暇があったら足を動かしたほうがいいと思うけど?

「わかってるよ!こんちくしょう!」

 叫びながら走り出した庵だが、1歩踏み出した瞬間に目の前で工事が始まった。

「えっ?」
「すいません。工事中なので迂回してください」

 警備員の言葉に庵は少しの間固まったかと思うと、叫んだ。

「作者ー!」

 はいはい?

「またお前かー!」

 違うよ。お前が小学生達と話している間に工事の人達がやって来て工事を始めただけで、俺はなにもしていない。

「というわけで、工事中なので迂回してください」

 警備員の言葉に庵は疑いの眼差しを向けたが、時間がないことを思い出して走り出した。

「ここから迂回するなら」

 庵は頭の中に地図を浮かべて最短ルートを考える。

「よし」

 ルートが決まった庵は通りから車通りの少ない住宅街へと入っていき、スピードを上げた。

「このままいければ十分間に合うな」

 そう言いながら庵が角を曲がろうとした瞬間、飛び出してきた三輪車とぶつかりぶっ飛ばされて壁にぶち当たった。

「がはっ!」

 地面に倒れ付した庵はプルプル震えながら起き上がった。

「三輪車相手にぶっ飛ばされただと………」

 その事実に庵が落ち込んでいると、庵をぶっ飛ばした三輪車が近づいてきた。

「誰かと思ったら庵じゃない」

 三輪車に乗る少女、三輪娘はため息を吐いた。

「いくら車通りが少ないからって飛び出してきたら危ないわよ」

 全くその通りだな。

「でも、三輪車の私にぶっ飛ばされるなんて、どんだけひ弱なのよ」

 三輪娘の言葉に庵はさらに落ち込んだ。
 しかし、どうにか弱々しい反論を口にした。

「だったら、三輪車のお前が飛び出すのも危ないだろが。相手が車だったらお前死んでた可能性だってあるんだぞ」
「それなら大丈夫よ」
「なぜ言い切れる」

 すると、三輪娘はカーブミラーを指差した。

「あれで庵が来てるのを確認したからよ」

 カーブミラーを見ていなかった庵は、自分の不注意で今回の事故が起きてしまったことに落ち込んだ。

「ってか、分かっていたなら避けてくれてもよかったんじゃねーか?」
「あら、普通3歳が乗る三輪車と中学生なら、中学生のほうが避けるべきじゃないかしら?」
「ごもっともです」

 庵は正座した。

「ってか、ホントに3歳なのか?」
「えぇ3歳よ。なんでそんなことを聞くの」
「いや、喋り方が3歳児とは思えないからな」

 庵は頬を掻きながら三輪娘を見た。

「あぁ。庵相手だから高圧的な喋り方でいいと思ってね」
「なに。その理由」

 庵は額に手をあてて呆れていた。

「別にいいでしょ。どうせここだけしか出てこないキャラなんだし」
「自分でそれを言うのか?」
「言うのよ」

 達観した表情の三輪娘は「はぁ~」と息を吐いた。

「しかし、ぶつかった時のパワーは3歳の三輪車のパワーじゃなかったぞ」
「その言い方だと私が馬鹿力みたいじゃない」
「いや、十分馬鹿力だろ」

 頬を膨らませた三輪娘は庵に三輪車をぶつけた。

「いたっ!なにしやがる!」
「そんなことを普通に言うから庵は女の子にモテないの」
「ぐふっ!」
「じゃあね」

 精神的なダメージを受けてうずくまってる庵の横を三輪娘は走り抜けていった。
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