紡ぐ者

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【第21章 紡ぐ者】

第14節 開廷の時

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「"天上の地?"」
「私にも意味が分からない。文字通りに捉えるなら、空の上に大地があることになる。私は何百年も生きているが、そんなものを見たことも聞いたこともない。」
「その人って一体……。その人も紡ぎ人なの?」
セレストは美桜の前に座る。
「そうだ。しかも、ただの紡ぎ人じゃない。」

「世界で最初の紡ぎ人だ。」


「うーん……」
「あいつが心配か?」
部屋の中をウロウロしている春蘭に対して、疾風は本を読みながら問いかける。
「そりゃね。僕にとって1人だけの妹だ。」
「大丈夫だろ。あいつには龍神が2体ついてるんだろ?」
「それはそうだけど……」
春蘭は刀に手をかける。
「先に言わせてもらうが、手合わせは勘弁してくれよ。」
疾風が本を整理していると、電話が鳴り出す。
「はい、日本支部の疾風だ。……ふんふん。ああ、目の前にいる。……わかった、そう伝えておく。」
疾風は受話器を置いて春蘭のほうを見る。
「神宮寺 椿に関する密告があった。」
「それはいつのことだ?」
「数日前だ。今裁判を行うか審議しているらしい。お前は本部まで来てくれとのことだ。」
「わかった、すぐに向かう。君はどうするんだ?」
「ついて行くに決まってるだろ。支部の仕事は一通り終わっている。新しいのが来ても、轍が対応してくれるだろう。他の2人にも連絡するか?」
「ありがとう。僕は先に向かっておく。」
「わかった。こちらが到着したらすぐに連絡する。」
春蘭は支部を離れて本部に向かう。疾風は座布団に腰を下ろす。
「さっきからなにをコソコソしてやがる。」
疾風は何もない場所に刀を向ける。何もない場合から、男の姿がゆっくりと現れる。
「ふん、バレていたか。本来、僕が表に立って動くことはないのだがな……」
「てめぇ、俺の縄張り(テリトリー)に侵入したことを後悔しろよ。」
「後悔?それはどちらのことだ?僕か?それともお前か?」
「てめぇに決まってんだろ。」
「ふんっ。気づかなければどれだけ幸せだったものか……」
男は疾風を掴むと、外に放り投げる。
(俺を軽々と……なんだこの馬鹿力は……)
疾風は男から視線をずらさない。
「見逃せばいいものを…」
男は疾風の背後から背中に手を触れる。疾風は男が放った魔力に吹き飛ばされる。
「このっ………やろうっ!」
疾風は男に向かって刀を投げる。男は刀を弾き返す。
「この辺りにしておきましょう。あまり騒ぐつもりはない。」
男は一瞬にして姿を消す。
(あいつ……只者じゃねえ……。)
疾風は刀を拾って鞘にしまう。



「ふんっ…」
男は黒いローブを身にまとう。
「お前が自ら赴くとは……。そんなに重要なことか?」
物陰から女性の声が聞こえてくる。
「全ては僕の思惑通りに進んでいる。神宮寺 椿は、もうじき裁判にかけられるだろう。」
「お前の密告は認められたというわけか。ちなみに内容はなんだ?こっそり読んだが、全く意味が分からない。」
「結論から言うと、神宮寺 椿は非道な人体実験を行っていた。」
「人体実験……」
女性は胃が痛くなるような感覚に襲われる。
「それはどうやって知ったんだ?」
「僕の力を使っただけだ。これで満足か?」
「抽象的すぎるだろ…」
女性は聞いても無駄だと悟る。
「お前の力は公表していいようなものじゃないからな。」
男は女性が何かを隠しているのに気づく。
「その手に持っているのはなんだ?」
女性は腰から銃を取り出し、男に向ける。
「手合わせできるか?」
「まったく……好戦的な性格は変わってないな。」
男は女性の銃を手でおさえる。
「今はやめておけ。ここではバレる可能性がある。」
「ふぅん、怖いんじゃないのか?」
「怖くないさ。僕の実力を忘れたか?幹部の君でさえ苦戦するほどの僕の力を。」
「お前こそ、私の力が怖いんじゃないのか?」
「神呪の律令か?嫌というほど見てきたら何も思わない。」
「それはそれでどうかと思うんだが…」
女性は銃をしまう。
「わかった。お前の言う通り、戻ってからするよ。」
「戻ってからでもやめてもらいたいんだが…」
男は顔に仮面をつける。
「素顔はもうバレてるんじゃないのか?」
「なぁに、あいつの記憶は少し改ざんさせてもらった。僕の顔は憶えていない。」
男は仮面の隙間から目を覗かせる。
「相変わらず、気味が悪いやつだ。」
「ミステリアスと言ってほしいな。」
2人は暗闇へと姿を消す。


「おやおや、ようやく戻ってきたか。」
2人を最初に見つけたのはカーネリアだ。カーネリアはソファに座りながら優雅にティータイムをとっている。
「君も一杯どうだ?同じ幹部の好(よしみ)としてね。」
「私は必要ない。お前はどうだ?」
「一杯もらおう。」
カーネリアは男にティーカップを渡す。
「君がここから出るとは……明日は大雨でも降るのかい?」
「そんなに珍しいことか?」
「そりゃそうさ。僕は君が外に出ていることを見たことがない。」
男は紅茶を飲んでため息をつく。
「確かにな。部屋でずっと作戦を考えているだけだからな。」
カーネリアは女性のほうを見る。
「君は帰っていていいよ。」
「ふんっ、丁度そうしようとしたところだ。」
女性はカツカツと靴を鳴らしながらその場から足早に立ち去る。
「はぁ、ユニウェルはいっつもピリピリしてるな。」
「そうか?」
「そういえば、君は彼女と最も距離が近い人間だったね。」
「当然だ。」
男はティーカップを机に置く。
「もう行くのか?」
「あぁ。作戦を練り直す必要がある。」
「まさか、君の作戦に欠陥が生じたのか?」
「いや、作戦は順調だ。だが、このままのプランで行くと面倒なことになりそうな気がしただけだ。」
「状況に応じてプランを変更する…、流石は参謀と言ったところか。」
男は表情を変えずに席を立つ。
「君たち兄妹は、表情を変えることが本当に少ないね。」
「表情の変化で作戦がバレるかもしれないだろ?」
「へぇ。つまり、変えようと思えばいつでも変えれる、ということかい?」
「それは、あいつにだけ言えることだ。」
男は立ち上がると、足音を立てることなくどこかへ向かう。



「神宮寺 春蘭様ですね。只今あなたをお呼びした者をお連れします。」
春蘭は近くの椅子に腰掛ける。
(この状況で僕を呼ぶなんて……間違いなく、神宮寺 椿に関することだろう。)
春蘭は平静を保つが、内心、かなり困惑している。
(密告……。一体何をしたんだ………。それにしても、疾風は遅いな。2人に連絡をつけるとは言っていたけど、こんなにかかるものなのか?)
「お待ちしておりました。」
「君はインザードさんか?」
「えぇ、その通りです。」
インザードの体には、所々に傷跡がある。春蘭はあえて触れないことにした。
「僕を呼んだのは、神宮寺 椿に関することかい?」
「大方その通りです。ここは人目が多いですね。場所を変えましょう。」
(場所を変える必要があるのか。それに、大方と来たか。どうやら、警戒しておいたほうが良さそうだ。)
春蘭はインザードの行動一つ一つに注意しながら後に続く。
「ここなら問題ないでしょう。」
2人は人気のない場所に辿り着く。
「質問はなんだい?できれば、手短にお願いするよ。」
「そうですか。では、単刀直入に聞かせてもらいます。神宮寺 椿及び、鶴城 玖羽に関する情報を全て離してください。」
春蘭は一瞬戸惑って息が詰まる。
(なぜ彼の名前が出てくるんだ?まさか、密告の内容に何か関係が……。しかし、彼からは何も聞かされていない。)
「質問を質問で返すようで悪いが、まずは密告の内容を教えてもらいたい。そうしなければ、答えるべき要点が分からない。」
「その通りですね。私のミスです。」
インザードは素直に自身の非を認める。
「簡単に言えば、神宮寺 椿は人の道から外れた行為を行った。以上です。」
春蘭はまたもや戸惑いを見せる。
(人の道から外れた行為……)
「その件と玖羽になんの関係があるんだ?」
「密告があった直前、神宮寺 椿と行動を共にしていたのが彼だけだからだ。それに、彼はかなり前から彼女に同行していた記録もある。」
「それで、玖羽には聞いたのか?」
「当然だ。……しかし残念ながら、彼の口からは何も聞けなかった。」
「それで僕を呼んだと……。でも生憎、僕は2人から何も聞いていない。椿が何をしたかなんて、僕は全く知る由もない。」
「口ではなんとでも言える。しかしここ最近、あなたには任務に出た記録はない。裏で2人と会っていたんじゃないか?」
「そんなに疑うなら、僕の携帯を見てもいいよ。」
春蘭はインザードにスマホを渡す。インザードは春蘭のスマホを調べる。2人と連絡した形跡は見当たらない。
「どうやら、私の考えすぎだったよう……」
インザードが見上げた時には、春蘭の姿は消えていた。
「……逃げたか。」
インザードは地面に視線を落とす。
「魔力痕が残っているな。罠か?」
インザードは警戒しながら魔力痕をたどる。
「ふんっ、そのつもりなら、逃げも隠れもせずに、真っ向から来ればよかったものを。」
春蘭はインザードに斬りかかる。インザードは剣で刀を防ぐ。
「私が誰かを忘れていないだろう?」
「あぁ、忘れるわけないさ。それをわかっての上での攻撃だ。」
「私に牙を向けることは、反逆と同義だ。」
「君は、いや……ギルガラントは何を企んでいる?」
「ギルガラント様のお考えを公表することはできない。」
春蘭ははあっとため息をつく。
「なら、容赦はしない。」
春蘭の刀と体に魔力が集まりだす。
「あなたは魔纏の使い手だったな。……複数部位への魔纏。現在では、あなたを除いて他にいない。」
春蘭はインザードに向かって斬撃を放つ。インザードは斬撃の下をくぐって春蘭に向かって剣を突き出す。春蘭はインザードの剣をゆっくりと躱す。インザードは春蘭を転倒させようと、足払いを仕掛ける。春蘭は淡々と攻撃を躱す。
「このっ…」
インザードは春蘭の目の前で炎を爆発させる。煙幕を利用して、インザードは春蘭に向かって剣を振る。
「くっ……」
インザードの手を、金属を叩いたような感覚が襲う。煙幕が晴れ、春蘭の刀はインザードの剣を的確に防いでいた。
「目に魔纏をしたか…」
「目に魔纏をすれば、煙幕の中だろうと物質を見破ることができる。」
インザードはすぐに春蘭から離れる。
「それがどうした?私がその程度で屈すると思うか?」
インザードの剣に魔力が集まりだす。
「斬撃では、僕の魔纏を撃ち破ることはできない。」
「ただの斬撃ならな。」
インザードは春蘭に向かって斬りかかる。剣を躱すが、剣から魔力が溢れて斬撃となって飛んでくる。
「どの魔道士にも言えることだが、物量による力技が最も有効だ。この数の斬撃を捌き切ることはできるか?」
春蘭は飛んでくる斬撃を1つずつ剣で弾く。斬撃は春蘭の攻撃を躱すように刀を避けながら飛んでくる。
「この斬撃は、君の意志で動いてるのかい?」
「違うと言ったら?」
「答えは、変わらない!」
春蘭はインザードに向かって跳び出す。斬撃は春蘭を追って高速で飛行する。
(流石に数が多いな…。)
春蘭は刀を目一杯振り、近づいてきた斬撃を一掃する。
「これで全部だと思ったか?」
インザードの後ろから、大量の斬撃が春蘭に向かって飛んでくる。
「今度はてめぇが相手か?」
何者かによって斬撃が斬り捨てられる。
「悪いな、遅くなって。」
「やっと来たか、疾風。」
疾風は刀を鞘にしまう。
「てめぇがこいつを呼んだのは、尋問をするたてか?」
疾風はインザードに強気に問いかける。
「私はギルガラント様の指示に従っただけだ。もし私の邪魔をするのであれば、お前を公務執行妨害で告発することもできる。」
「やってみろよ。だが、てめぇにそんな勇気があるならな。」
「お前…いつまで私を臆病者だと思っている?」
「君は彼女のことを知っているのかい?」
「ちょっとした縁があるだけだ。」
インザードは目を瞑ると剣をしまう。
「他に2人か。こちらに向かっている途中だな。流石に天級を4人相手にするのは無謀もいいところだ。」
インザードが指を鳴らすと、辺りに煙が充満する。
「……逃げたか。」
煙が晴れた頃に、純連と樫茂が合流する。
「春蘭、大丈夫かい?」
「あぁ、疾風が来てくれたからな。」
疾風は窓枠に座って外を眺めている。
「何があったのか教えてくれる?」
春蘭は先程の件を2人に話す。
「ギルガラントの指示か……。かなり面倒なことになりそうだ。」
「私も同意見よ。先手を打っておかないとこちらが不利になるのは確実ね。」
「しかし、何をすればいいのやら……。」
「やることは1つだろ。」
疾風は窓枠から降りて3人の視線を向けさせる。
「神宮寺 椿を探す。あいつから直接聞くしかねぇ。」
「とは言っても、彼女がどこにいるかはわかっているのかい?」
「さあな。だが、1つ言えることがある。」
疾風は本部の地図を広げる。
「おそらく、神宮寺 椿はこの建物にいる。」
疾風は本部の中で、孤立した建物を指差す。
「確かそこには、団長などの上層部の人間だけが出入りできる場所のはず。彼女を監視するのには丁度いい。」
「でもどうやって入るの?ここは厳重に管理されている。警備の目をかいくぐって入るのは不可能に近い。」
「いるだろ1人。潜入が得意そうな奴が。」
春蘭はその人物がすぐに頭に浮かんでくる。



「もうこんな時間か。」
セレストは空を見上げる。空は橙色に染まっている。
「もう一度言うが、天上の地へ行きたいと思うのなら、行き方は自分で探してくれ。私は何も知らない。」
「うん、そうする。」
(まぁ、こちらでも少し探してみるが…。)
2人が遺跡を歩いていると、空からソールが降りてくる。
「すまない。突然で悪いが、私についてきてくれないか?」
「ちょっと待った。私との約束を忘れたのか?」
「いかなる理由があっても、私がこの遺跡に足を踏み入れることは許さない。忘れるはずがない。だが、今は一刻を争う状況だ。約束を守っている状態ではない。」
「君がそんなに焦っているなんて……一体何があったの?」
ソールはすぐに美桜のほうに視線を向ける。
「もうじき、神宮寺 椿が裁判にかけられる。」
美桜は目を丸くする。
「いくらなんでも早すぎない?!」
「君には裁判場まで同行してもらいたいのだ。」
「わかった、連れて行って。」
「裁判?なんでそんなものが始まるのさ?」
セレストはソールをつつきながら問う。
「それは、自分の目で確かめるといい。」
(ふぅん。この様子、相当焦っているようだねぇ。)
「いや、私はここに残る。ここを管理する人がいないとね。」
美桜は青に乗り、ソールのあとを追う。



「ったく……。なんでこんなことをしなきゃならねぇんだ。」
玖羽は孤立した建物の通気口を蹴破る。
「ここからなら警備員にバレねえだろう。」
「ありがとう、助かった。」
「別に、俺の気分だ。そんじゃ、バレねえことを祈るぜ。」
そう言って、玖羽は建物の中に戻る。
「行こう。」
春蘭に続き、3人は通気口の中に入る。



「………。」
椿はテラスの椅子で目を覚ます。
(……寝てた?)
椿は辺りを見渡す。机の上に刀が置いてあるだけだ。
「まもなく裁判が始まります。法廷までご同行をお願いします。」
1人の従者が椿を呼びに来る。椿は刀を持って従者のもとに向かう。


「椿!」
椿は後ろを見る。そこには春蘭たちの姿があった。
「一体、何をしたんだ?なぜ、君が裁判にかけられるんだ?」
椿は少ししてから言葉を発する。
「これが、運命だからだ。」
そう言って椿は再び歩き始める。



「全員揃ったようだな。」
ギルガラントは裁判場内の人を確認する。
「これより、神宮寺 椿の密告に対しての裁判を行う。裁判中、不必要な発言は控えてもらう。」
椿は刀に視線を移す。
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