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妖怪花むしり
1輪
しおりを挟む俺、飯田 一輝は2年間の高校生活の中で今、最も危機を迎えている。
それは、校長に『部活に入れ』と言われたことである。
中学3年間は帰宅部。
高校入ってからも帰宅部を貫き通すつもりだったし、むしろ学校に縛られるのが嫌いな飯田は
髪染め禁止、ピアス禁止をも破り、現在見事な茶髪、ロブ3連。
犯罪こそしていないが喧嘩や暴力沙汰も度々噂されていて身長も185cmと大柄で目つきも悪く
退学にならないのが不思議すぎると校内で騒がれていた。
授業態度も悪く、席に着いてはいるものの意識はない。
勉強も赤点ギリギリをキープ。
行事にもあまり参加しておらず、いつも校内のどこかでさぼっている。
それなのになぜ退学にならないか。
親のコネである、汚い世の中だ。
だが、教師たちも段々目を瞑るのにも限界になってきた。
そして提案されたのが『部活に入る』ということだった。
校長曰く、「部活に入れば、帰宅が夕方になり夜は勉強という生活習慣がつくだろう。」との事だ。
よく分からない理屈だが何故か職員会議を通ってしまったのだろう。
これによって飯田は入る部活を探さなければいけなくなった。
ただし大きな問題があった。
どこの部活がそんな不良と恐れられている飯田を迎え入れてくれるだろうか。
活動が楽そうな部活には全て断られ、
活動が毎日ある部(主に運動部)には門前払いされた。
日頃の行いを少し恨みながらふと、校内掲示板を見た時だった。
『園芸部 部員2人 顧問:坂本
活動:月~日(但し水やり当番制)
主な活動:花の世話
部長からひとこと:廃部になったら困るので誰でもいいから入ってください。入部の希望は2-C組芹沢まで。』
なにこれ、最高じゃん。と飯田は心の中でガッツポーズをした。
部員2人なら過疎部活だからガチガチはしてないだろうし、当番制なら月~日毎日来る訳では無い。
しかも『誰でもいい』。もうこの部活に入るしかないじゃないか。
残り10分となった昼休みのうちに済ませてしまおうと5階の2-C組へと足を急いだ。
そう、これが校内1の不良と妖怪花むしりとの出会いへの序章だった。
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