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校内1の不良生徒
2本
しおりを挟む「あ、いたいた。おぉい飯田。」
放課後、そそくさと帰ろうとすると園芸部の顧問である坂本に声をかけられた。
「お前、部活行ってないだろ?」
ちっ、芹沢のやつチクリやがったな。心の中で大きく舌打ちを打っていたが、
「別に芹沢とか佐藤に言われた訳じゃないぞ。」
「は?」
思わず声が出てしまった。
少なくともどちらかがチクったと思っていた。
すると坂本は少し笑い、
「芹沢は見て分かると思うが、佐藤も部員が増えてほんとに喜んでるんだよ。だから、部活に行ってやってくれないか?」
「なんでだよ、俺は名前入れられればどこでも良かったんだよ。」
「じゃあお前の名前を園芸部から消す。」
「なっ!?」
「当たり前だろ?活動しない部員は部活には必要ないし、第一部活に参加する条件で退学免除になってるところもあるだろ?」
いつもは気だるげな坂本の目が、しっかりとこちらをまっすぐ見つめてくる。
「俺園芸に興味ねえし。」
「じゃあ退部するか?退部したところで入れてくれる部活があるのか?」
ぐっ…胸にナイフを突き立てられたような気分になった。
確かに、退部したところで門前払いされ続けたあの日を思い出した。
「うちぐらいしか、人手がない部活はないんだよ。だから園芸部に名前を入れておきたければきちんと活動しろ。」
「っせぇ。」
勝ち目がなかった。
分が悪くなり、思わず自分の足元を見つめ坂本と目をそらす。
「分かったらきちんと活動することだな。言っとくけど園芸部の活動って職員室から丸見えだから来てなかったらすぐ分かるからな。」
そう言い残すと坂本はひらひらと左手を振って立ち去って行った。
くそ。
今日は月曜日。
芹沢に来いと言われていた月曜日だった。
昼休みのこともあり、少々気まずいと思ってしまう部分もあるが坂本にああ言われた以上は部活に行くしかなかった。
帰ろうと思っていた廊下を引き返し、教室にジャージを取りに行く。
本当にめんどくさい。
せっせと着替えながら大きくため息をつき窓から外を眺めた。
憎らしいほどの快晴だった。
外に出て、体育館裏の花壇に行くとそこには如雨露で水をやる芹沢の姿があった。
水をやっている芹沢の表情はとても柔らかかった。
「…おい。」
なんとなく気まずくてジャージのチャックを最大までしめ、そこに顔半分を埋めながら声をかける。
振り返った芹沢は一瞬如雨露を落としかけた。
「飯田、くん?」
「部活、しにきた。」
芹沢のことを直視できず、芹沢の手に握られている緑いろの如雨露を見つめた。
しばらく無言が続いたので、気になって顔を上げるとぽかんと口を開けてこちらを見る芹沢が立っていた。
「え、本当に…?」
「…帰る。」
「いや、うそうそありがとう!」
慌てて俺の方に駆け寄り、如雨露を「はい」っと言い手渡された。
「来てくれて、ありがとう。」
優しい声音に気づき芹沢の顔を見ると、
さっき花たちに向けてた表情と同じ顔をしていた。
「藍羽先輩すみません、掃除当番で遅れまし…た…え?」
後ろから慌てて走ってきた佐藤も俺の姿を見て失速し、ついには止まった。
「飯田くん、部活来てくれたよ。」
芹沢がそう言うと、佐藤は少しだけ口角を上げて
「良かったですね。」
とだけ言った。
「じゃあ、改めて園芸部の仕事を教えるね。」
そう言われ、俺は手にずっしりと重みを感じる如雨露を両手に素直に芹沢に着いて行った。
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