幻影の讃美歌

ごさまる

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第四章

〜駆け引き⑦〜

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意を決したオオネズミの姿・・・その貫禄に満ちた姿は、確かにダミアンの目に写った。

パシンッッッッ!!!!

突如、勢い良く乾いた音が、まるで空間を切り裂くように当たり一面に響き渡った。
それは、ダミアンが自身の胸の前で両手を合わせ、己にのみ許されたであろう秘術を、今まさにオオネズミにかける印であった。

ダミアンのその姿を目視したオオネズミは、再び静かに瞳を閉じ、己にしがみつきブルブルと怯えているネズミの兵に触れていた両手をギュッと握りしめた。

・・・スゥー~・・・・

深く静かに力強く息を吸い込み、ダミアンの目が見開いた。
それと同時に、ダミアンが今まさに術を行使するべく口を開きかけたその時、

ボワァンッッッ!!!!!!!!!!

「やりすぎにゃ。」

突如爆発的な爆音と共に、瞬く間に立ち込める白い煙。

「!?ッ!!!!!!!!」

ダミアンを始め、みなが一瞬その目を閉じ、とっさに両腕で顔を覆った。

チリ~ン・・・・。

皆は、鈴の音がする白い煙の中に視線を移した。

「・・・フンッ・・・このタイミングでか?・・。」

まるで恨み節の様に呟くルシファー。

チリ~ン・・・・チリ~ン・・。

鈴の音がルシファーの足元で止まった。

少し斜め上を見上げたベリアルが、ルシファーにニヤリと笑って見せた。

「やりすぎと言っているにゃ。
にゃに?・・・この我に意見するつもりにゃ?いつからそんなに偉くなったにゃ?
答えるにゃ。」

ペロペロと前足で顔を毛繕いしながら、べリアルは話を続ける。

「たとえ、お前達が我輩にマタタビを献上したとしても譲れないにゃ。
オオネズミと兵達は、今まで通りにゃ。
全てにおいて・・・《はっきり》白黒つけるのは大嫌いにゃ。
ダミアン?お前は、《何》を《奴》から学んだにゃ?
これだから、簡単に9つの魂者を具現化したくにゃいのだ。」

「しかし・・・ベリアル・・」

「様を、つけて呼ぶのにゃ。」

ベリアルは、そういうと肉球に埋もれていた鋭い爪をほんの少し立てて見せた。

「お前達の魔素も戻った。
《湿気》を司る魂者・・・そして《大地》を司る魂者・・・9つの魂者の内2体を拝めたにゃ。
感謝して欲しいにゃ。
それにしても、あの女?戻りが遅いにゃ。
まぁ、そんなもんにゃ。」
















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