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面倒だけど、だから
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ゲームを始めて二時間ほどすると下校しなければいけない時間になってしまっていた。
時間が気にならなくなるほど夢中になってしまったことがなんとなく腹が立つ。
セーブをし終えた後部室を出て鍵を戻しに行き、だっこと別れ歩いて帰っていた。
満足そうな顔をした静音と二人で。
「明日もあのゲームやるの…?」
「エンディングがあるみたいだからそこまではとりあえずやるみたいだ。今日でどこまで進んだかは教えてくれなかったけどな…」
自分の家に入ろうとすると襟を引っ張られた。
そうだった、俺が帰られければいけないのは静音の家の方なのだった。
鍵がかかっていないドアを開いてリビングに行くと紫水さんが料理を作っており、静音が近づいて「ただいま」と言った。
「おかえり。進君もおかえりなさい」
「た、ただいま帰りました…」
「そう硬くならなくていいのよ、宗栄さんじゃないんだし。二人がお風呂から上がったら温めるからお風呂入ってきて」
俺は一度自分の部屋に行き、風呂に入る準備をしていると母さんが入ってきた。
「いちいちここで着替えて行くの面倒じゃない?」
「言い方が悪いが向こうで着替えられる部屋がないんだよ。静音の部屋で着替えるわけにいかないし静音が着替えている間俺が着替えられないだろ」
朝なら静音が寝ているから俺だけ着替えることはできるだろうが帰ってきたときはそうもいかない。
風呂も静音は一緒に入りたがっているが宗栄さんに知られたら殴られるような未来が見える。
風呂から出た俺は静音の家のリビングへ向かい、紫水さんと静音が風呂から上がるのを待つことにした。
俺はスマホをいじり、紫水さんは電卓を使って家計簿をつけている。
テレビをつけていないので素早く電卓を叩く音が聞こえる。
「宗栄さんへの振り込みが五十万だから…それで取材もあったから…」
そういえば宗栄さんは小説家だった。
五十万も振り込まれて取材もあるなら有名な人なのだろう。
「ただいま帰った」
厳寒から聞こえる宗栄さんの声。
紫水さんの言っていた取材から帰ってきたのだろう。
紫水さんは家計簿等をしまってリビングを出ていき、代わりにワイシャツ姿の宗助さんが入ってきた。
「おや、静音は一緒じゃないのか」
「風呂に入ってます。もうすぐ出てくると思うんですが」
宗栄さんは「そうか」とリビングを出て自分の部屋に向かっていった。
そしてすれ違いで静音がリビングに入ってきた。
急いで出てきたのかまだ髪を乾かしていない。
「あれ…?お母さんは?」
「宗栄さんが帰ってきてリビングを出てからは見てないな」
静音が風呂から出たのに気付いたのか紫水さんがリビングに入ってきて料理を温め始めた。
机に並べ終わるころに着替えた宗栄さんが机に座り、夕食を食べ始めた。
今日はこれといった会話もなく食べ終わってすぐに片づけて静音の部屋へと行く。
「まだ髪乾いてないな、風邪ひくぞ」
「じゃあ乾かして…」
乾かしてほしいのか。
俺は洗面所までドライヤーを取りに行って静音の髪を乾かした。
「まさか毎日俺が乾かすんじゃないだろうな」
「そのつもりだけど…ダメ?」
「ダメってわけじゃないが…一人でもできるだろ?」
「進にやってもらいたいの。それだけ」
少し怒っているようだった。
俺はもう少し乙女心を勉強しなければいけないらしい。
明日薫にでも…と思ったが聞いたところで期待している答えが返ってきそうにない。
寧ろだっこに聞いたほうがよさそうでもある。
眠そうに眼をこすり始めた静音に「寝るか?」と聞くとゆっくりと頷き、一緒に布団の中へと入った。
今日はいたずらをされることなく寝てしまい、俺もさっさと寝ることにした。
翌日、静音を起こして着替えさせている間に自分の部屋まで戻って着替えて顔を洗う。
紫水さんに挨拶をしてからまた静音の部屋に行きノックをするが返事はない。
また本を読んでいるのだろうとドアを開けると上は制服なのだがスカートを履いていない静音がいて一瞬でドアを閉じた。
静音には見られていない。
いやしかしそういう問題ではない。
ドアを開けてすぐに閉じたのだから気づかれているはず。
もう一度ノックして「着替えたか?」と確認をすると「うん」と聞こえた。
ドアを開けるとベッドの上で体育座りをしていた。
「見たでしょ…?」
ここはとぼけるに限る。
「何をだ?」
「私のパンツ…」
否定したところで意味はないだろう。
「すまん、見た」
こんなラブコメのテンプレ展開になるとは思ってもいなかった。
俺の方から「とりあえず学校に行くぞ」というわけにいかないこの状況、どうしたらいいものか。
悩んでいると別の寝室から宗栄さんが出てきた。
この状況を見られたら非常にまずい。
どうしたらいいか分からずフリーズしていると静音がベッドを離れ部屋を飛び出して下に降りて行った。
「朝から元気なのは初めてだな。おはよう進君、娘と一線超えたのか?」
「それは無いです!」
朝からなんてことを言うんだこの人は。
それにしても何故急に慌てて下に行ったのだろうか…
時間が気にならなくなるほど夢中になってしまったことがなんとなく腹が立つ。
セーブをし終えた後部室を出て鍵を戻しに行き、だっこと別れ歩いて帰っていた。
満足そうな顔をした静音と二人で。
「明日もあのゲームやるの…?」
「エンディングがあるみたいだからそこまではとりあえずやるみたいだ。今日でどこまで進んだかは教えてくれなかったけどな…」
自分の家に入ろうとすると襟を引っ張られた。
そうだった、俺が帰られければいけないのは静音の家の方なのだった。
鍵がかかっていないドアを開いてリビングに行くと紫水さんが料理を作っており、静音が近づいて「ただいま」と言った。
「おかえり。進君もおかえりなさい」
「た、ただいま帰りました…」
「そう硬くならなくていいのよ、宗栄さんじゃないんだし。二人がお風呂から上がったら温めるからお風呂入ってきて」
俺は一度自分の部屋に行き、風呂に入る準備をしていると母さんが入ってきた。
「いちいちここで着替えて行くの面倒じゃない?」
「言い方が悪いが向こうで着替えられる部屋がないんだよ。静音の部屋で着替えるわけにいかないし静音が着替えている間俺が着替えられないだろ」
朝なら静音が寝ているから俺だけ着替えることはできるだろうが帰ってきたときはそうもいかない。
風呂も静音は一緒に入りたがっているが宗栄さんに知られたら殴られるような未来が見える。
風呂から出た俺は静音の家のリビングへ向かい、紫水さんと静音が風呂から上がるのを待つことにした。
俺はスマホをいじり、紫水さんは電卓を使って家計簿をつけている。
テレビをつけていないので素早く電卓を叩く音が聞こえる。
「宗栄さんへの振り込みが五十万だから…それで取材もあったから…」
そういえば宗栄さんは小説家だった。
五十万も振り込まれて取材もあるなら有名な人なのだろう。
「ただいま帰った」
厳寒から聞こえる宗栄さんの声。
紫水さんの言っていた取材から帰ってきたのだろう。
紫水さんは家計簿等をしまってリビングを出ていき、代わりにワイシャツ姿の宗助さんが入ってきた。
「おや、静音は一緒じゃないのか」
「風呂に入ってます。もうすぐ出てくると思うんですが」
宗栄さんは「そうか」とリビングを出て自分の部屋に向かっていった。
そしてすれ違いで静音がリビングに入ってきた。
急いで出てきたのかまだ髪を乾かしていない。
「あれ…?お母さんは?」
「宗栄さんが帰ってきてリビングを出てからは見てないな」
静音が風呂から出たのに気付いたのか紫水さんがリビングに入ってきて料理を温め始めた。
机に並べ終わるころに着替えた宗栄さんが机に座り、夕食を食べ始めた。
今日はこれといった会話もなく食べ終わってすぐに片づけて静音の部屋へと行く。
「まだ髪乾いてないな、風邪ひくぞ」
「じゃあ乾かして…」
乾かしてほしいのか。
俺は洗面所までドライヤーを取りに行って静音の髪を乾かした。
「まさか毎日俺が乾かすんじゃないだろうな」
「そのつもりだけど…ダメ?」
「ダメってわけじゃないが…一人でもできるだろ?」
「進にやってもらいたいの。それだけ」
少し怒っているようだった。
俺はもう少し乙女心を勉強しなければいけないらしい。
明日薫にでも…と思ったが聞いたところで期待している答えが返ってきそうにない。
寧ろだっこに聞いたほうがよさそうでもある。
眠そうに眼をこすり始めた静音に「寝るか?」と聞くとゆっくりと頷き、一緒に布団の中へと入った。
今日はいたずらをされることなく寝てしまい、俺もさっさと寝ることにした。
翌日、静音を起こして着替えさせている間に自分の部屋まで戻って着替えて顔を洗う。
紫水さんに挨拶をしてからまた静音の部屋に行きノックをするが返事はない。
また本を読んでいるのだろうとドアを開けると上は制服なのだがスカートを履いていない静音がいて一瞬でドアを閉じた。
静音には見られていない。
いやしかしそういう問題ではない。
ドアを開けてすぐに閉じたのだから気づかれているはず。
もう一度ノックして「着替えたか?」と確認をすると「うん」と聞こえた。
ドアを開けるとベッドの上で体育座りをしていた。
「見たでしょ…?」
ここはとぼけるに限る。
「何をだ?」
「私のパンツ…」
否定したところで意味はないだろう。
「すまん、見た」
こんなラブコメのテンプレ展開になるとは思ってもいなかった。
俺の方から「とりあえず学校に行くぞ」というわけにいかないこの状況、どうしたらいいものか。
悩んでいると別の寝室から宗栄さんが出てきた。
この状況を見られたら非常にまずい。
どうしたらいいか分からずフリーズしていると静音がベッドを離れ部屋を飛び出して下に降りて行った。
「朝から元気なのは初めてだな。おはよう進君、娘と一線超えたのか?」
「それは無いです!」
朝からなんてことを言うんだこの人は。
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