幼なじみ彼女と俺の距離

茜色蒲公英

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特異な写真

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だっこの持ってくるゲームは時折どこか方向性が明後日に向かっているものがある。
顧問が部室を訪れることはあるので美少女ゲームはできないがいわゆるバカゲーと言われるものやクソゲーと言われるものをプレミアがついて高くなっているのにわざわざ買ってくる。
そこまでは別にいい。
買って自分でプレイしてくれるのであれば何の問題もない。
しかしだっこはタイトル名を教えてくれず「とりあえずやって」という。
片方が実況をやって片方がプレイするというのも最初にやったクソゲーがあまりにも酷く実況がないとやってられない状況になってしまったためそういうやり方になってしまった。
プレイしても、実況をしても地獄なので結局は「どちらかの方がマシ」くらいでしかないのだが。

「おい見ろ。この主人公サッカー選手みたいなスライディングするぞ」

「女の子のパンツ撮るために助走もなしにこんなスライディングを取得したと思うと涙が出るね」

「廊下なのに砂埃あげてる…」

この主人公、走れば砂埃、ローリングをすれば砂埃とアクションをすると必ず砂埃をあげる。
更に立った状態で写真を撮ろうとすると一人称視点になり、ボタンを押すと写真が撮れるのだが、しゃがんだ状態や寝転んだ状態だと周りの動きがスローになる。
更にしゃがんだ状態で移動をすると主人公は何故か普通の速さで動ける。
これでは撮りたい放題だろう。

「進氏凄いね。このゲームの問題点をさっそく見つけるとは」

「ここまで褒められても嬉しくないことそうそうないぞ」

操作に慣れるため適当に操作をしているとゲーム内のチャイムが鳴った。
どうやらゲーム内で時が進んでいるようで画面右上には見づらい時計があった。
時計は九時を指しているが廊下にいる生徒は一人として教室に入ることなく歩いている。

「この時計行動時間の制限がありますよっていうお知らせみたいなものだけで特に授業があるわけじゃないんだよね。でも時間帯によって部室で何かあるみたいだよ」

「部室?こいつ部活やってるのか」

「うん。写真部に入ってるんだって」

女子生徒のパンツばっかり撮ってるやつが入っていいのか。
一部の人気はありそうだが女子生徒からの評判は最悪だろう。

「ちなみになんだけど取れた写真を売ることができるみたいでそのお金で新しいカメラ買えるんだって」

「変なやりこみ要素だな…」

「まぁまぁ、さっそく撮ってみようよ。ほらいかにも撮ってくださいと言わんばかりのミニスカの人来たよ」

一人で歩いてくる女子に向かって歩き、近くで寝転ぶとサイレンのような音が鳴った。

「なんだ!?」

「そりゃあパンツガン見したらそうなるでしょ。一度離れなよ」

ゲームでも女子が「何こいつ…?」と通り過ぎ、画面に看板が現れて「危険度が高まると通報されます。注意しましょう」と警告された。

「それでスライディングやらスローがあるのか」

「そういうこと。もう一回近づいてスライディングやればいけるかもよ」

さっきの女子生徒に後ろから近づきカメラを構えた状態でスライディングをすると自動的に視点が動くのかパンツに視点が向いた。

「おっ、チャンス!」

すかさずシャッターを切ると画面が光り、撮った写真が左上に表示された。
その後主人公は何事もなかったかのように仁王立ちをして女子生徒も歩いて行った。

「ツッコミどころが多すぎて何も言えなくなるな…」

ゲーム画面にメニューを開くよう案内され、アルバムという場所を開くと撮った写真と女子生徒の名前が表示される。
一覧の一番上には「水玉」と書かれ、その下は全て「???」で埋め尽くされている。

「種類を集めていくと女の子の名前とか情報が分かっていくんだよね。それでコンプすると女の子に話しかけられるようになる」

「警察の人に話しかけられるの間違いだろ」

続いて部室に行くと四人ほど女子生徒がテーブルを囲うように座り、ホワイトボードには桜や花火などの写真が磁石で貼り付けてある。
唯一立っている女子生徒がのが部長なのだろうか、話しかけてみるとイベントが始まった。

「いらっしゃい変態さん。今日はマシな写真が撮れたのかしら?」

主人公は何も話さないタイプなのだろう、頷くだけで台詞はない。

「いや待てこいつ今日撮った写真パンツだけだろ」

「一日目の強制イベントだし仕方ない」

「変態さんって言われてるし有名なのかな…」

主人公が一枚の写真を渡すと「お金は後で渡すわ」と呟いてから「全然ダメね!」と一蹴する。

「なぁ、まさかだが」

「そう。撮ったパンツの写真は女の子大好きおっさん趣味のこの部長が買い取ってくれるの。季節だったり天気によって撮れるものが変わって高額になるからじゃんじゃん売っていくっていうのがこのゲーム」

「作ったやつの気が知れないな…」

部長と話した後は廊下に戻され、部室に入ろうとすると「売れる写真がありません!下着姿を撮りまくりましょう!」と表示される。

「ただ天気と廊下を通る人物に関しては完全に運だからコンプリートするのに気が遠くなる時間がかかるし模様が被って水増し感が否めないからクソゲーって言われてる」

「スタッフもそこまでパンツ事情には詳しくないだろ…女性が作ってたらまだしもこんなゲーム野郎しか作らないだろうしな」

「でもどれくらい種類があるのか気にならなくは…ない」

「おっ、静音氏、製作者はそれが狙いなんだよ。一応キャラによって被らないものは五種類ある」

「へぇ…それで女の子はどれくらいいるの?」

「部員含めて二十人」

「無駄に多いな…」

ゲーム内の時計が十二時になると廊下に人が増え、中にはスカートがくるぶしまである女子まで出てきた。

「こういうところは学校らしいんだな」

「一応舞台が学校だからね。ちなみに先生も全員女性で全員スカート。攻略対象にはならないけど写真は高く売れるよ」

要らないような要るような情報を聞いてしまい、主人公を先生のスカートの下へとスライディングさせた。
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