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ピリキド
ダークジェム
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リトスはアメジストの首に刺さったカットラスを引き抜きアメジストが死んだことを確認すると重傷を負ったライナの元に駆け寄る。
先にラルアが来ていたが内部からやられてしまっているので治療魔法を使わないとどうにもならず、誰も知らない。
(このままじゃ間違いなくライナは死ぬだろうね…隆、起きてるかい?)
ラルアが隆の方を見ると顔は復活していたが意識が戻っていない。
「こんな時に…ラルア、二人でピリキドまで運ぶよ」
(でも距離はあるし間に合うかどうか…)
「やれることはやるの!待ってて誰かが来るような状況じゃないし行くよ!」
ライナの肩を持ち上げてピリキドへ向かう二人。
アメジストと隆の倒れている位置から離れるとアメジストの横に魔王が現れた。
アメジストの頭を撫でて貫かれた首を指でなぞるとたちまち傷は治っていく。
「悪いことをしたの。お前にだけ事情を教えずに戦わせて…まぁお前は芝居が下手じゃから言ったらあやつが可哀想だしの…」
アメジストを抱えてその場を去ろうとする魔王。
しかし「やっと来たか」と隆が立ち上がった。
「おい…何者だお前…」
「教えても仕方あるまい。ほれ、これを凌げたら教えてやらんでもないぞ」
魔王が指を鳴らすと隆は風の刃に囲まれた。
「上等だ…俺を殺せるもんならやってみろ!」
そう言って構える隆だが足は裂かれて立てなくなり腕は吹き飛ばされガードができなくなりダルマ状態になった。
「口ほどにもないの。どれ、再生するまで時間がかかるじゃろうしこれで楽しんでおるがよい。『サイクル』」
魔王が呪文を唱えると鋭い刃がついた鉄の円盤が凄まじい回転をしながら隆に向かってゆっくりと降りていく。
「ゆっくりと見ていたいがこやつが起きると色々と面倒なのでの。頭から、顔から切れるように体を固定してあるが運がよければよけられるかもしれんの」
「てめえ…最初から教える気がなかっただろ!それにその言動と魔法の使い方から俺はお前の正体が分かった」
「ほう。申してみよ」
帰ろうとする足を止める魔王。
「お前…魔王の幹部の中でも強い方なんだろ」
「ぷっ…ははは!面白い!理由を聞かせてみよ」
抱えていたアメジストを亜空間に置いてその場に座り、話を聞こうとする魔王。
「まずはその口調だ。子供の見た目でその言葉遣いっていうのは魔力が高かったり年を食ってるやつが多いんだよ。二つ目はその強さだ。俺が弱いっていうのもあるがそこまで魔法連発できるやつはそうそういねえだろ」
「なるほどなるほど。ハズレじゃ」
魔王が指で丸を描くと円盤がさらに回転速度を増し、魔王はどこかへと消えていってしまった。
なかなか再生しない両腕と両足、更に体がまともに動かせない隆は精一杯踏ん張るもののその努力は虚しく辺りに血の海が出来上がってしまった。
一方意識が回復しないライナを支えて移動する二人は城下町前までたどり着き入口にいる兵士に「敵にやられた」と説明すると兵士は二人に変わってライナを背負い、傷を癒すため病院の治療室まで運び、リトスとラルアも兵士についていくことにした。
病院内は治療を専門とした魔法使いが多くおり、いつでも重症の患者があ子バレてきていいように待機していた。
そして運ばれてきたライナを見るとすぐさま五人程の魔法使いが既に完成済みの魔法陣の上にライナを置いて順門を唱え始めた。
(これで一安心だね。ここまで生きていたというのは彼女の生命力のおかげかな)
「そうだね。隆はあとで拾ってくるか自力でこっちに来るだろうから待てばいいし…あ」
突然ラルアの手を引いて病院から出るリトス。
(どうしたんだいきなり?)
「どうもこうも私達今ここの反逆者じゃない!何も考えずにここまで来ちゃった…」
(バレなければ問題はないだろう?何も知らないフリをすればいいじゃないか。そのために僕が彼らを吸収したんだしあの二人が口に出さなければ大丈夫だよ)
「あの二人がね…」
治療室に戻った二人は治療をしていた魔法使いの一人に「もう大丈夫ですよ」と言われライナを見ると静かに寝息をたてていた。
「ありがとう、私達お金はあんまり持ってないんだけどどのくらい払えばいいの?」
「お礼なんていいんですよ。あの人の体から興味深いものが出てきましたから」
「興味深いもの?」
魔法使いが差し出したのは黒い何かの欠片。
(これは?)
「これはダークジェムと言いましてアスモディアンの住んでいる所でしか採れない珍しい宝石なんです。これを固めて杖などに組み込むとあまり威力のない詠唱魔法でも書式魔法以上の威力が出るのでこれが昔魔王に対抗するための切り札だったのですが…どうしたんですか?暗い表情をされていますが」
「え?…ううん、なんでもない。そうなんだ、じゃあそれが治療のお金側りってことでいいの?」
「もちろんです。では私はこれで」
部屋に残された三人。
厳しい戦いだったとリトスが傷ついた頬をなでると謎の違和感を感じた。
「ねぇ、私の頬に何かついてる?傷ついてるところなんだけど」
(頬?あぁ確かに傷の下あたりが少し膨らんでいるね)
「取りたいけどこれ皮膚の下だなぁ…えっとナイフは確か…」
(まさか自分で取り出すのかい!?)
「うん。だって毒とかだったら困るでしょ」
(そうだけど…じゃあ僕がやるよ。折角綺麗な顔なのに簡単に傷つけるなんて勿体無いことするね)
「いいの。もう他人の顔どころか自分の顔すら見れないんだし傷の一つや二つ同じようなものだよ」
ラルアは念のため治療役の魔法使いを一人の男性をそばにつけてナイフを頬に入れ始めた。
「いっ…」
痛みをこらえて肉ごと剥ぎ取り魔法使いが治療を始める。
そしてラルアが調整をしながら肉だけを吸収していくとライナの体から出たダークジェムが出てきたのだった。
先にラルアが来ていたが内部からやられてしまっているので治療魔法を使わないとどうにもならず、誰も知らない。
(このままじゃ間違いなくライナは死ぬだろうね…隆、起きてるかい?)
ラルアが隆の方を見ると顔は復活していたが意識が戻っていない。
「こんな時に…ラルア、二人でピリキドまで運ぶよ」
(でも距離はあるし間に合うかどうか…)
「やれることはやるの!待ってて誰かが来るような状況じゃないし行くよ!」
ライナの肩を持ち上げてピリキドへ向かう二人。
アメジストと隆の倒れている位置から離れるとアメジストの横に魔王が現れた。
アメジストの頭を撫でて貫かれた首を指でなぞるとたちまち傷は治っていく。
「悪いことをしたの。お前にだけ事情を教えずに戦わせて…まぁお前は芝居が下手じゃから言ったらあやつが可哀想だしの…」
アメジストを抱えてその場を去ろうとする魔王。
しかし「やっと来たか」と隆が立ち上がった。
「おい…何者だお前…」
「教えても仕方あるまい。ほれ、これを凌げたら教えてやらんでもないぞ」
魔王が指を鳴らすと隆は風の刃に囲まれた。
「上等だ…俺を殺せるもんならやってみろ!」
そう言って構える隆だが足は裂かれて立てなくなり腕は吹き飛ばされガードができなくなりダルマ状態になった。
「口ほどにもないの。どれ、再生するまで時間がかかるじゃろうしこれで楽しんでおるがよい。『サイクル』」
魔王が呪文を唱えると鋭い刃がついた鉄の円盤が凄まじい回転をしながら隆に向かってゆっくりと降りていく。
「ゆっくりと見ていたいがこやつが起きると色々と面倒なのでの。頭から、顔から切れるように体を固定してあるが運がよければよけられるかもしれんの」
「てめえ…最初から教える気がなかっただろ!それにその言動と魔法の使い方から俺はお前の正体が分かった」
「ほう。申してみよ」
帰ろうとする足を止める魔王。
「お前…魔王の幹部の中でも強い方なんだろ」
「ぷっ…ははは!面白い!理由を聞かせてみよ」
抱えていたアメジストを亜空間に置いてその場に座り、話を聞こうとする魔王。
「まずはその口調だ。子供の見た目でその言葉遣いっていうのは魔力が高かったり年を食ってるやつが多いんだよ。二つ目はその強さだ。俺が弱いっていうのもあるがそこまで魔法連発できるやつはそうそういねえだろ」
「なるほどなるほど。ハズレじゃ」
魔王が指で丸を描くと円盤がさらに回転速度を増し、魔王はどこかへと消えていってしまった。
なかなか再生しない両腕と両足、更に体がまともに動かせない隆は精一杯踏ん張るもののその努力は虚しく辺りに血の海が出来上がってしまった。
一方意識が回復しないライナを支えて移動する二人は城下町前までたどり着き入口にいる兵士に「敵にやられた」と説明すると兵士は二人に変わってライナを背負い、傷を癒すため病院の治療室まで運び、リトスとラルアも兵士についていくことにした。
病院内は治療を専門とした魔法使いが多くおり、いつでも重症の患者があ子バレてきていいように待機していた。
そして運ばれてきたライナを見るとすぐさま五人程の魔法使いが既に完成済みの魔法陣の上にライナを置いて順門を唱え始めた。
(これで一安心だね。ここまで生きていたというのは彼女の生命力のおかげかな)
「そうだね。隆はあとで拾ってくるか自力でこっちに来るだろうから待てばいいし…あ」
突然ラルアの手を引いて病院から出るリトス。
(どうしたんだいきなり?)
「どうもこうも私達今ここの反逆者じゃない!何も考えずにここまで来ちゃった…」
(バレなければ問題はないだろう?何も知らないフリをすればいいじゃないか。そのために僕が彼らを吸収したんだしあの二人が口に出さなければ大丈夫だよ)
「あの二人がね…」
治療室に戻った二人は治療をしていた魔法使いの一人に「もう大丈夫ですよ」と言われライナを見ると静かに寝息をたてていた。
「ありがとう、私達お金はあんまり持ってないんだけどどのくらい払えばいいの?」
「お礼なんていいんですよ。あの人の体から興味深いものが出てきましたから」
「興味深いもの?」
魔法使いが差し出したのは黒い何かの欠片。
(これは?)
「これはダークジェムと言いましてアスモディアンの住んでいる所でしか採れない珍しい宝石なんです。これを固めて杖などに組み込むとあまり威力のない詠唱魔法でも書式魔法以上の威力が出るのでこれが昔魔王に対抗するための切り札だったのですが…どうしたんですか?暗い表情をされていますが」
「え?…ううん、なんでもない。そうなんだ、じゃあそれが治療のお金側りってことでいいの?」
「もちろんです。では私はこれで」
部屋に残された三人。
厳しい戦いだったとリトスが傷ついた頬をなでると謎の違和感を感じた。
「ねぇ、私の頬に何かついてる?傷ついてるところなんだけど」
(頬?あぁ確かに傷の下あたりが少し膨らんでいるね)
「取りたいけどこれ皮膚の下だなぁ…えっとナイフは確か…」
(まさか自分で取り出すのかい!?)
「うん。だって毒とかだったら困るでしょ」
(そうだけど…じゃあ僕がやるよ。折角綺麗な顔なのに簡単に傷つけるなんて勿体無いことするね)
「いいの。もう他人の顔どころか自分の顔すら見れないんだし傷の一つや二つ同じようなものだよ」
ラルアは念のため治療役の魔法使いを一人の男性をそばにつけてナイフを頬に入れ始めた。
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