盲目エルフは異世界勇者と旅をする

茜色蒲公英

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ピリキド

アメジストとの死闘

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亜空間から突如現れたアメジスト。
一度隆に敗れているが姿が違うので隆は気づいていない。

「隆殿に執着しているようでござるが何かしたのでござるか?」

「知らねえっていうか初対面だ」

「この姿じゃ初対面だけどこの名前言えば分かるでしょ。『ラーヴァナ』」

「ラーヴァナ…あの盗賊か。それがどうかしたのか」

「あれが私だ!あの時は油断してたから負けたけど今回は本気でいくぞ!」

アメジストが両手を空にかざすとアメジストの背丈はあるチャクラムが空から回転しながら落下し、それを見事にキャッチする。

「勢い余って全員殺すかもしれないけど恨まないでよ!」

隆に向かって早速チャクラムを投げるアメジスト。
地面を転がりながら隆の方へと一直線に向かっていた。

「こんなもん弾き返してやるよ!」

真っすぐに向かってくるチャクラムに怖気づくことなく拳を叩き込む隆。
しかし回転は止まることなく火花を散らす。

「ほぉらもう一個プレゼントしてあげる!『地獄咲き』!」

もう一つのチャクラムを空中に投げ、チャクラムは回転をしながら隆の頭上へと落下していく。

「危ないでござる!」

ライナが手裏剣やクナイを投げて軌道を少しでも変えようとするが簡単に弾かれる。

(あれだけ大きな刃物だ。ちょっとやそっとじゃ軌道は止められないだろう。ぼくにとっても相性は最悪だ。けどただ立ってるだけにもいかないな)

地面から木を生やしてチャクラムまで伸ばし、時間稼ぎではあるものの降りてくる速度を下げるラルア。

「ナイスだラルア!こっちも勢いが弱くなってるからこのままいけば止められる!」

「そうなるといいねぇ!『サイクル』!」

いつの間にか書式魔法を展開していたアメジスト。
呪文を唱えると二つのチャクラムの回転速度は刃がいくつも見えるように増していた。

「ちっ…イチかバチかだがやるしかねぇ!ラルア!俺の後ろにいるとぶった切られるからどけ!」

(だがそれじゃあ隆が真っ二つに)

「いいからどけ!」

言われたとおりラルアは地面空手を離し、隆が受け止めているチャクラムの軌道外へと走る。

「これで当らねえな…くおら!」

咄嗟に隆は右に転がり左足を切断してしまったが上から降ってくるチャクラムを回避することに成功した。
足を切断したチャクラムは岩を半分程切り砕いてから止まり、上から降ってきたチャクラムは持ち主であるアメジストのの元へと回転していき、アメジストはそれを片足で簡単に止めてみせる。

「何故お前達が魔王様の命を狙っているのか、何故魔王様は今になって世界を征服しようと考えているのかは分からない。私は馬鹿だから難しいことは分からないけどお前達が魔王様の命を狙っているというのなら全力で殺す!」

蹴り上げたチャクラムを手に取って隆へと駆け出すアメジスト。

「結局は真正面からかよ!そんなでかい物振り回してちゃ周りが見えなくなるぞ!」

隆の言うとおり正面しか見ていなかったアメジストはラルアが作った蔦の罠に気づかず盛大にすっ転んだ。
転んだ拍子に持っていたチャクラムを空中に放り投げてしまい、隆の方へと飛んでいくが力が入っていないため簡単に受け取られてしまう。

「おっと…持つところはあるが狙って掴むには技術が要るなこりゃ」

「ぐっ…姑息なマネを…う、動けない…!?」

(転んだ時に腕と足を縛らせてもらったからね)

「な…ん…のぉぉぉ!!」

ぶちぶちと音を立てて立ち上がるアメジスト。
すると自分の腕を鋭い刃に変えて隆へと襲いかかる。

(ならもう一度…)

「邪魔くさい!」

アメジストが地面を強く踏むと辺り一面の草が炎に包まれ、裸足、素手のラルアにとっては最悪の状況になった。

(熱っ!背中を借りるよ!)

「うん、おいで!」

急いでライナの背中に飛び乗り避難したラルア。

「私じゃないんだ…」

(あまり筋肉質ではないリトスが転ぶと危ないからね…)

「そんなことより隆殿でござるよ!アメジストの攻撃が激しいせいか防いでいるだけで反撃に出れていないでござる!」

ライナの言うとおり、がむしゃらに刃を振るってくるアメジストに対し、隆は頭を防ぐようガードをするしかなかった。

(こうなりゃ傷つくの覚悟で殴ってみるか…?いや何を迷っていやがる!その為の身体だろうが!)

「くたばれ鬼野郎!」

体を刻まれながらも拳を顔面に叩き込む隆。
しかしその拳は顔面で止まり、アメジストの腕は隆の腹を貫いていた。

「まずは一勝だな」

隆の首を切り飛ばすと体をどこかへ放り投げてライナの方へと視線を向ける。

「次は拙者でござるか…暗殺と諜報以外は苦手なのでござるが」

「私もできたら援護するから頑張って」

「まるで他人ごとでござるな…ラルア殿。火が收まったようなので降りてもらってもいいでござるか?」

(ああ、ありがとう)

ラルアが背中を降りるとライナは小刀を構える。

「死ねぇぇ!」

「そう簡単には死ねないでござるよっ!『熱雷』!」

ライナは空高く跳ぶと身を翻して手裏剣やクナイを雨のように降らせる。

「『雷』!」

続いて防御していたアメジストの体に毒が仕込んである尻尾を突き刺す。

「『稲妻』!」

空中で体を一回転させて貫いた体を地面に叩きつけた。

「止めでござる!『幕電』!」

尻尾を抜いて小刀を取り出し、うつぶせに倒れているアメジストの首を狙って小刀を振り下ろす。
しかしアメジストは身を返して大男のような屈強な腕でライナの脇腹を殴り飛ばした。
殴りとばされたライナは岩に背中を強打し、殴られた痛みと背中を強打した痛みで吐血する。

「ガボッ…ごれは…まずいでござるな…」

内蔵が潰れたような感覚、視界はぼやけてほとんど何も見えなくなっていた。

(これいじょうやらせるか!)

立ち上がろうとするアメジストに鋭く尖った木を刺そうとするが力が足りないせいでぶつかる程度になる。

「なら…これでどうだ!」

リトスの投げたカットラスはアメジストの足に深々と刺さり、リトスはアメジストに駆け寄って首元にもう一本のカットラスを力強く刺そうとすると刃になっている腕で頬を切られたがカットラスは首を貫いてアメジストは動かなくなり、生えていた角は消えた。
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