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世界樹の子 前編
魔王ティアマト
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一行の前に現れた魔王ティアマト。
自身が魔王であることを証明するかのように斧を振るうと一行の周りに雷が降り注ぐ。
「ほれ!ボケっとしておると炭になるぞ!」
楽しそうに邪悪な笑みを浮かべる魔王。
当たるまで見えなければ音もしない雷をリトスが避けられるはずもなく、雷はリトスに向けては一つも落ちない。
その代わり隆には一分の間に数十発もの雷が戦闘準備をする暇もなく肉体は炭と化していた。
「これでは魔法陣を書く暇もありませんね。不死身である隆殿が肉体再生に時間を使っている間あの雷を止められるのは近接戦闘が得意であるライナさんしかいませんな」
雷が落ちるタイミングが分かっているのか避けるのが精一杯な隆達とは違い悠々と避けるアラン。
しかし魔法陣を書こうとしても雷で消されてしまっていた。
「ほう、中々面白い男を仲間にしておるようだの。しかし避ける方法を伝えなければ他の者が倒れるぞ?」
(その必要は…ない!)
地面から出てきた枝は斧に当たりその衝撃で魔王は斧を手放した。
その隙にライナは距離を詰め魔王が構えるとジャンプをして後ろへ回り込む。
「む。これはマズいな」
「『春雨』!」
ライナが無数のクナイを一度に飛ばしそれを魔王が避けようとするがいつの間にか足に枝が巻きつき動けなくなっていた。
「敵を動けなくして一網打尽。そして外れた場合に備えて魔法の準備か。良くも悪くも常套手段じゃな」
持っていた剣を地面に突き刺すと魔王自身を包み込んだ炎の竜巻が巻き上がり投げたナイフは吹き飛んでしまった。
巻きついていた枝も灰となって消えてしまい離れた場所で魔法陣を書いていたアランも警戒して一度手を止める。
「おいおい…勝てるのかよ」
肉体が再生した隆は剣を回して遊んでいる魔王を見て戦意を失いかけていた。
リトスのほうを向いても全く動かずに佇んでおり、何かを考えているというよりは迷っているようだった。
「なぁリトス、魔王と戦うことは考えてたんだろ?何かいい案はないのか?」
「あれば言ってる。けど何も思いつかないの」
「はぁ!?じゃあ絶対勝てないってか?」
「最初の雷をあえて外したでしょ。魔王はその気になればいつだって私を殺せるし今だって余裕そうだし」
「だからってこのまま殺されてもいいっていうのかよ!」
隆はそう言うが事実リトスは何も思いついていない。
斧を手放しても詠唱魔法があるので距離をとっても攻撃され近づいても炎を纏う剣がある。
近距離で戦えるのはライナと隆、遠距離はリトス、ラルア、アラン。
しかし剣をどうにかしないとラルアがまともに戦えない。
なら隆を突っ込ませて無理にでも剣を手放せなれるかは怪しいしライナは犬死にしてしまう。
「ほぉ。リトスよ、さっきまで妾と戦いたくないからとただ棒立ちしておったのについに妾と戦う顔になったか?」
「なっただけで何も思いついてはいないけどね。手も足も出そうにないし正直降参したいくらい」
「したいということは少しは勝機があるんじゃろ?」
「さぁね…」
リトスとの会話に気を取られているうちにアランが二つの魔法陣を完成させ、いつでもいけるとサインを出す。
「さて続きをしようかの!先ほどの攻撃で終わりではつまらんぞ!」
「言われるまでもありませんよ!」
アランの魔法陣から黒い手がいくつも現れ魔王へと向かっていく。
これも簡単にかき消されるかと思っていたリトスだったが魔王は表情を変えて黒い手を避け、避けきれないものは剣で切り払った。
ならばともう一つの魔法陣から黒い槍を飛ばすと魔王がそっちに意識がいっていなかったのか剣を持っていた腕に突き刺さった。
「アラン殿凄いでござるなぁ」
黒い槍が消えると魔王の腕には穴が空き、魔王は自分の腕が動くのを確認するとアランの方を睨む。
「どこで習った?」
「それは言えませんな」
「忌々しい魔法を使いおって。あの一族は心中したであろうに」
地面に落ちた斧と剣を引き寄せて持ちアランの方へと向ける。
隙ができたと後ろから突撃した隆は落ちた雷によってその場に倒れてしまった。
「あの魔術師とは関係ありませんよ。独学ですので」
「独学で聖清魔法を発見できるようには見えんぞ」
「せいせい魔法って何でござるか?」
「ヒューマンが天使から授かったといわれてる魔法のこと。あんなに禍々しいものだとは思えなかったけど」
「じゃあリトス殿もあの魔法を使えばいいでござるよ!」
「無茶言わないでよ。あれば純粋なヒューマンにしか使えないの。私が使えば魔法に殺されるし」
「なら…アラン!俺が時間を稼ぐからその間に超強力なのを頼む!」
這いつくばっていつの間にか魔王のすぐそばまで来て足をつかんだ隆。
「アホじゃの。妾の手にあるものが見えぬのか?」
剣を振り下ろすと炎が隆を包み、アランに魔法陣を書く隙を与えないように雷を落とす。
炎が消えると今度は地面から枝が飛び出して魔王の頬をかすめる。
(悪いけど僕も時間稼ぎさせてもらうよ)
「『熱雷』!」
更に上空から降り注ぐクナイ。
また炎の竜巻を起こそうとしたがアランへ視線を向けると魔法陣を一つ書ききり二つ目を書き始めようとしていた。
魔王は竜巻を起こさず『サイクル』と唱えると鉄上の円盤が頭上に現れクナイをはじき返していく。
しかしライナの尻尾で円盤は破壊され、竜巻を出さなかった魔王の足へラルアが枝を巻き付けた。
「くらうでござる!『稲妻』!」
体重をかけた尻尾は体に刺さりこそしなかったが斧を割ることができた。
「もう一つ!」
着地して横へ一回転して頭上から尻尾で防御した剣へと叩きつける。
「ライナさん離れてください!」
アランが叫ぶとライナは魔王と一気に距離をとり、魔王がアランへ剣を向けたが再生した隆が足を引っ張りその場に顔面から倒れる。
「申し訳ありません隆さん!」
魔王が急いで隆を燃やすがアランが放った槍は避けられず魔王の体を貫いた。
自身が魔王であることを証明するかのように斧を振るうと一行の周りに雷が降り注ぐ。
「ほれ!ボケっとしておると炭になるぞ!」
楽しそうに邪悪な笑みを浮かべる魔王。
当たるまで見えなければ音もしない雷をリトスが避けられるはずもなく、雷はリトスに向けては一つも落ちない。
その代わり隆には一分の間に数十発もの雷が戦闘準備をする暇もなく肉体は炭と化していた。
「これでは魔法陣を書く暇もありませんね。不死身である隆殿が肉体再生に時間を使っている間あの雷を止められるのは近接戦闘が得意であるライナさんしかいませんな」
雷が落ちるタイミングが分かっているのか避けるのが精一杯な隆達とは違い悠々と避けるアラン。
しかし魔法陣を書こうとしても雷で消されてしまっていた。
「ほう、中々面白い男を仲間にしておるようだの。しかし避ける方法を伝えなければ他の者が倒れるぞ?」
(その必要は…ない!)
地面から出てきた枝は斧に当たりその衝撃で魔王は斧を手放した。
その隙にライナは距離を詰め魔王が構えるとジャンプをして後ろへ回り込む。
「む。これはマズいな」
「『春雨』!」
ライナが無数のクナイを一度に飛ばしそれを魔王が避けようとするがいつの間にか足に枝が巻きつき動けなくなっていた。
「敵を動けなくして一網打尽。そして外れた場合に備えて魔法の準備か。良くも悪くも常套手段じゃな」
持っていた剣を地面に突き刺すと魔王自身を包み込んだ炎の竜巻が巻き上がり投げたナイフは吹き飛んでしまった。
巻きついていた枝も灰となって消えてしまい離れた場所で魔法陣を書いていたアランも警戒して一度手を止める。
「おいおい…勝てるのかよ」
肉体が再生した隆は剣を回して遊んでいる魔王を見て戦意を失いかけていた。
リトスのほうを向いても全く動かずに佇んでおり、何かを考えているというよりは迷っているようだった。
「なぁリトス、魔王と戦うことは考えてたんだろ?何かいい案はないのか?」
「あれば言ってる。けど何も思いつかないの」
「はぁ!?じゃあ絶対勝てないってか?」
「最初の雷をあえて外したでしょ。魔王はその気になればいつだって私を殺せるし今だって余裕そうだし」
「だからってこのまま殺されてもいいっていうのかよ!」
隆はそう言うが事実リトスは何も思いついていない。
斧を手放しても詠唱魔法があるので距離をとっても攻撃され近づいても炎を纏う剣がある。
近距離で戦えるのはライナと隆、遠距離はリトス、ラルア、アラン。
しかし剣をどうにかしないとラルアがまともに戦えない。
なら隆を突っ込ませて無理にでも剣を手放せなれるかは怪しいしライナは犬死にしてしまう。
「ほぉ。リトスよ、さっきまで妾と戦いたくないからとただ棒立ちしておったのについに妾と戦う顔になったか?」
「なっただけで何も思いついてはいないけどね。手も足も出そうにないし正直降参したいくらい」
「したいということは少しは勝機があるんじゃろ?」
「さぁね…」
リトスとの会話に気を取られているうちにアランが二つの魔法陣を完成させ、いつでもいけるとサインを出す。
「さて続きをしようかの!先ほどの攻撃で終わりではつまらんぞ!」
「言われるまでもありませんよ!」
アランの魔法陣から黒い手がいくつも現れ魔王へと向かっていく。
これも簡単にかき消されるかと思っていたリトスだったが魔王は表情を変えて黒い手を避け、避けきれないものは剣で切り払った。
ならばともう一つの魔法陣から黒い槍を飛ばすと魔王がそっちに意識がいっていなかったのか剣を持っていた腕に突き刺さった。
「アラン殿凄いでござるなぁ」
黒い槍が消えると魔王の腕には穴が空き、魔王は自分の腕が動くのを確認するとアランの方を睨む。
「どこで習った?」
「それは言えませんな」
「忌々しい魔法を使いおって。あの一族は心中したであろうに」
地面に落ちた斧と剣を引き寄せて持ちアランの方へと向ける。
隙ができたと後ろから突撃した隆は落ちた雷によってその場に倒れてしまった。
「あの魔術師とは関係ありませんよ。独学ですので」
「独学で聖清魔法を発見できるようには見えんぞ」
「せいせい魔法って何でござるか?」
「ヒューマンが天使から授かったといわれてる魔法のこと。あんなに禍々しいものだとは思えなかったけど」
「じゃあリトス殿もあの魔法を使えばいいでござるよ!」
「無茶言わないでよ。あれば純粋なヒューマンにしか使えないの。私が使えば魔法に殺されるし」
「なら…アラン!俺が時間を稼ぐからその間に超強力なのを頼む!」
這いつくばっていつの間にか魔王のすぐそばまで来て足をつかんだ隆。
「アホじゃの。妾の手にあるものが見えぬのか?」
剣を振り下ろすと炎が隆を包み、アランに魔法陣を書く隙を与えないように雷を落とす。
炎が消えると今度は地面から枝が飛び出して魔王の頬をかすめる。
(悪いけど僕も時間稼ぎさせてもらうよ)
「『熱雷』!」
更に上空から降り注ぐクナイ。
また炎の竜巻を起こそうとしたがアランへ視線を向けると魔法陣を一つ書ききり二つ目を書き始めようとしていた。
魔王は竜巻を起こさず『サイクル』と唱えると鉄上の円盤が頭上に現れクナイをはじき返していく。
しかしライナの尻尾で円盤は破壊され、竜巻を出さなかった魔王の足へラルアが枝を巻き付けた。
「くらうでござる!『稲妻』!」
体重をかけた尻尾は体に刺さりこそしなかったが斧を割ることができた。
「もう一つ!」
着地して横へ一回転して頭上から尻尾で防御した剣へと叩きつける。
「ライナさん離れてください!」
アランが叫ぶとライナは魔王と一気に距離をとり、魔王がアランへ剣を向けたが再生した隆が足を引っ張りその場に顔面から倒れる。
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