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堕ちた英雄
賊を連れた元仲間
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魔王のティアマトの城へと招かれた三人。
中に入るとまず柱に死の街でアスモディアンを唆して逃げた者が逆さに吊るされアメジストに殴られていた。
「もう…許してください…」
「ですって魔王様。どうします?」
殴り続けながら返事を待つアメジストに「お前が満足したら解放してやれ」と答え三人を連れて行くティアマト。
途中でひときわ大きな悲鳴が聞こえたが三人が気にすることは無かった。
「ここが妾の部屋じゃ。入るがよい」
鉄の扉の音が廊下に響き、リトスとラルアが入って行くがヒメが中々入ろうとしない。
「どうした?リトスの友人なのであろう?」
「それはそうだけどさ…あんた魔王でしょ?」
「そうじゃ。妾こそアスモディアンのトップにして城主である魔王のティアマトじゃ。おぬしのことは少し前から見ていたぞ。具体的には隆と戦っておった時ぐらいじゃが」
「そこまで前じゃないね。でも見てて私を殺そうだとか思わないの?」
「リトスに手を出そうものなら妾も手を貸そうと思っておったのだがの。そうはならなかったから放っておいたのじゃ。ほれ、話さなくてはならん事もあるから早う入れ」
安心したのかヒメがティアマトの部屋に入り、扉を閉めた。
ティアマトの部屋は四隅にある明かりと暖炉、ベッドだけの部屋。
ティアマトはベッドに腰掛け、三人は高価そうな椅子に座ってくつろいでいた。
「さて、とりあえず世界樹が無くなったことをお礼せねばならんな。父上と母上の仇をとってくれたこと感謝する」
深く頭を下げるティアマト。
「魔王が頭下げちゃダメでしょうが。あとウチはあんな樹が魔王の両親の仇なんて知らなかったよ。あっちはアスモディアン全滅させる気満々だったけど」
「それなら尚更じゃ。それで次の話じゃがリトス、おぬしが捨てた隆じゃが今仲間を集めておるぞ」
「はぁ?何のために」
「知らん。じゃが適当な町に寄ってははぐれ者を仲間にして金のある家や女を襲っておる」
何を目指しているのか、目指す者が無くなったのか非行に走っている隆の報告を聞いた三人は「ふーん」と声が重なる。
リトスとラルアはもう隆に興味がなく、ヒメは「あいつならやりそうだな」と考えていた。
「正直放っておいてもおぬしらに害はないじゃろうし自力で追い払えるから問題ないのじゃが…仮にも妾を倒したやつじゃし説得の一つでもどうかと思うんじゃが」
「パス」
(同じく)
「ウチも」
「薄情じゃな…妾ですら部下に手助けするぞ」
隆が今はどうしているのか、ふと気になったティアマトは呪文を唱えると床に映像を映し出した。
そこには十人以上の男を連れ、鎧で身を固めた隆が戦闘を歩いてどこかへ向かっていた。
「ぶっ!はっはははは!」
我慢する暇もなく噴き出すヒメ。
音が聞こえないためリトスには何が映っているのか分かっていない。
なのでヒメが笑うのを我慢しながら伝えると「えぇ…」と声を漏らした。
(拳につけている者を見ると武器は変わっていないみたいだね。重くないのかな)
「あやつなりに鍛えたんじゃろうな。この短期間で」
ティアマトは映像を消してベッドから降り、リトスの膝へと座った。
リトスも特に抵抗することなく逆に座りやすいよう体勢を変える。
「リトス、話し合わなくてもよいから一度あやつと話してみてはくれんか?」
「いいよ」とも「嫌だ」とも言わず黙るリトス。
映像では落ちぶれているが前に好きになってしまったこともありすぐに断れなかった。
「ダメか。仕方ない、妾が灸でも据えてやるとでもするかな」
膝から降りようとしたティアマトを掴まえてそのまま自分の膝に降ろすリトス。
「待って。話くらいならするよ。向こうがするかは別だけど」
「いいのか?ウチいないぞ?」
「いや、ヒメにはついてきてもらう」
「はぁ!?ウチには関係のない話でしょ!」
「だって隆がいなくなったのそもそもヒメのせいだから!私たちじゃヒメに勝てないからライナは家に帰るってことになってあいつがティアマトに頼めばいいって…」
「それであやつを叩いたのか。あやつもあやつじゃがおぬしも阿呆じゃの…」
「ともかく!隆が落ちぶれた原因の一つはヒメにあるから!絶対ついてきてよ!」
「仕方ないな、その代わりライナに出かけてくるって言わなくちゃいけないから一度帰るぞ?」
「大丈夫!」
やっと動いたか。
ひざを降りて城を出るのを案内しようと思ったがリトスの手は力が弱まっていない。
「だって、ティアマトがいるでしょ」
「おぬし…妾を移動に使うつもりか」
ティアマトは思い出した。
リトスが行く先々で手段を択ばず宿に泊まっていたり、使えるものは使おうとしていたことを。
「ごめんね、でもそうしたほうが早いでしょ?」
「おぬし、隆とやろうとしていることが変わらんぞ…」
こう言われればさすがに離すだろうと離れようとしたが移動するための呪文を唱えてもリトスの抱く力が弱まることは無かった。
中に入るとまず柱に死の街でアスモディアンを唆して逃げた者が逆さに吊るされアメジストに殴られていた。
「もう…許してください…」
「ですって魔王様。どうします?」
殴り続けながら返事を待つアメジストに「お前が満足したら解放してやれ」と答え三人を連れて行くティアマト。
途中でひときわ大きな悲鳴が聞こえたが三人が気にすることは無かった。
「ここが妾の部屋じゃ。入るがよい」
鉄の扉の音が廊下に響き、リトスとラルアが入って行くがヒメが中々入ろうとしない。
「どうした?リトスの友人なのであろう?」
「それはそうだけどさ…あんた魔王でしょ?」
「そうじゃ。妾こそアスモディアンのトップにして城主である魔王のティアマトじゃ。おぬしのことは少し前から見ていたぞ。具体的には隆と戦っておった時ぐらいじゃが」
「そこまで前じゃないね。でも見てて私を殺そうだとか思わないの?」
「リトスに手を出そうものなら妾も手を貸そうと思っておったのだがの。そうはならなかったから放っておいたのじゃ。ほれ、話さなくてはならん事もあるから早う入れ」
安心したのかヒメがティアマトの部屋に入り、扉を閉めた。
ティアマトの部屋は四隅にある明かりと暖炉、ベッドだけの部屋。
ティアマトはベッドに腰掛け、三人は高価そうな椅子に座ってくつろいでいた。
「さて、とりあえず世界樹が無くなったことをお礼せねばならんな。父上と母上の仇をとってくれたこと感謝する」
深く頭を下げるティアマト。
「魔王が頭下げちゃダメでしょうが。あとウチはあんな樹が魔王の両親の仇なんて知らなかったよ。あっちはアスモディアン全滅させる気満々だったけど」
「それなら尚更じゃ。それで次の話じゃがリトス、おぬしが捨てた隆じゃが今仲間を集めておるぞ」
「はぁ?何のために」
「知らん。じゃが適当な町に寄ってははぐれ者を仲間にして金のある家や女を襲っておる」
何を目指しているのか、目指す者が無くなったのか非行に走っている隆の報告を聞いた三人は「ふーん」と声が重なる。
リトスとラルアはもう隆に興味がなく、ヒメは「あいつならやりそうだな」と考えていた。
「正直放っておいてもおぬしらに害はないじゃろうし自力で追い払えるから問題ないのじゃが…仮にも妾を倒したやつじゃし説得の一つでもどうかと思うんじゃが」
「パス」
(同じく)
「ウチも」
「薄情じゃな…妾ですら部下に手助けするぞ」
隆が今はどうしているのか、ふと気になったティアマトは呪文を唱えると床に映像を映し出した。
そこには十人以上の男を連れ、鎧で身を固めた隆が戦闘を歩いてどこかへ向かっていた。
「ぶっ!はっはははは!」
我慢する暇もなく噴き出すヒメ。
音が聞こえないためリトスには何が映っているのか分かっていない。
なのでヒメが笑うのを我慢しながら伝えると「えぇ…」と声を漏らした。
(拳につけている者を見ると武器は変わっていないみたいだね。重くないのかな)
「あやつなりに鍛えたんじゃろうな。この短期間で」
ティアマトは映像を消してベッドから降り、リトスの膝へと座った。
リトスも特に抵抗することなく逆に座りやすいよう体勢を変える。
「リトス、話し合わなくてもよいから一度あやつと話してみてはくれんか?」
「いいよ」とも「嫌だ」とも言わず黙るリトス。
映像では落ちぶれているが前に好きになってしまったこともありすぐに断れなかった。
「ダメか。仕方ない、妾が灸でも据えてやるとでもするかな」
膝から降りようとしたティアマトを掴まえてそのまま自分の膝に降ろすリトス。
「待って。話くらいならするよ。向こうがするかは別だけど」
「いいのか?ウチいないぞ?」
「いや、ヒメにはついてきてもらう」
「はぁ!?ウチには関係のない話でしょ!」
「だって隆がいなくなったのそもそもヒメのせいだから!私たちじゃヒメに勝てないからライナは家に帰るってことになってあいつがティアマトに頼めばいいって…」
「それであやつを叩いたのか。あやつもあやつじゃがおぬしも阿呆じゃの…」
「ともかく!隆が落ちぶれた原因の一つはヒメにあるから!絶対ついてきてよ!」
「仕方ないな、その代わりライナに出かけてくるって言わなくちゃいけないから一度帰るぞ?」
「大丈夫!」
やっと動いたか。
ひざを降りて城を出るのを案内しようと思ったがリトスの手は力が弱まっていない。
「だって、ティアマトがいるでしょ」
「おぬし…妾を移動に使うつもりか」
ティアマトは思い出した。
リトスが行く先々で手段を択ばず宿に泊まっていたり、使えるものは使おうとしていたことを。
「ごめんね、でもそうしたほうが早いでしょ?」
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