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堕ちた英雄
唯一の方法
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卵から孵ったドラゴンの相手を一時的にヒメに任せたラルアはティアマトを抱えその場を離れることにした。
ティアマトはまだ生きていた。しかし体は動かず息をすることすら辛い状況に陥っていた。
(傷口を塞ぐにもこれじゃ傷というより穴だ。…ん?これは…)
一方、ドラゴンを相手にしているヒメは苦戦を強いられていた。
卵になる前はブレスや踏みつけ等行動に限りがあったが今度は魔法を使えるようになっていた。
手から雷を出したりブレスが地面から出てくるなどどこから攻撃してくるのか判断しづらくなっている。
幸いにもヒメの戦闘経験が生きすんでの所で避けてはいるがヒメから攻撃をすることはない。
「魔王の力吸って強化したっぽいな。近くに行って別の魔法出されても防ぐ手段ないしここは様子を見たいけど」
距離をとってもヒメの攻撃は届くわけがなく、ドラゴンはブレスと魔法をうまく使いヒメを寄せ付けないでいた。
「やっぱり一人じゃ厳しいか」
弾き返せそうな魔法を見極めてうまくドラゴンに当てられないか試すヒメだが当てても泡がはじけるほどの手ごたえしか感じられない。
「どうやらお困りのようだね」
どこからか声がするとヒメに向けていたドラゴンの腕は吊り上げられ、火を纏った剣が顔に叩きつけられた。
「だ、誰?」
「お初にお目にかかる。小生は魔王様の部下が一人、トパーズ」
「同じくアメジスト」
「ご丁寧にどうも。ウチはヒメ」
トパーズはドラゴンの四肢を容易く切り裂くとヒメの元へと歩いてきた。
ヒメは警戒しつつも握手をしてティアマトの状況を伝えると二人は意外にも平然としていた。
しかし魔王がやられて内心穏やかではなかった二人はティアマトの魔力が急激に減少していることを察知してきたのだという。
「それで、何故このドラゴンから魔王様の魔力を感じるんだ?」
「ティアマトがドラゴンを倒した時、何かあってティアマトの体に潜り込んだんだろう。それで魔力を吸収して体から卵になって出てきたんだ」
「なるほど…?それであの不死身野郎は?」
「そこで再生してるドラゴンが大馬鹿不死身野郎だよ」
トパーズが切断した振り返るとドラゴンは八割ほど再生しきっていた。
「…ほぅ」
「いやほぅじゃないだろ。あのドラゴン魔王様の魔法使ってくるってことだろ?毒撒かれたら何もできないっての」
「毒か、まだ見てないけど」
ヒメはティアマトと戦っていないためティアマトが使っていた魔法をあまり知らない。
更にドラゴンが使っている魔法はティアマトのものとは全く違っていた。
もちろんヒメはそんなことを知るはずもないので二人に「ドラゴンが使う魔法はティアマトが使う魔法とは全然違う」とは言えなかった。
「しかしどうする。小生らでも不死身を倒すことはできないぞ」
再生したドラゴンが咆哮を上げるのを見ている三人。
いい案も浮かばず今は攻撃を封じることだけしかできなかった。
数分もするとドラゴンの肉体が強化されたのかトパーズの糸で縛っても力ずくで解かれてしまい、アメジストによる攻撃も怯まなくなっていた。
唯一ヒメの刀では肉体を切断することはできるがヒメも段々と切りづらくなっていることを感じていた。
だがその一方でトパーズとアメジストがドラゴンが使ってくる魔法のパターンに気づき、苦戦は強いられていなかった。
戦闘経験の多い二人だからこそ仲はそこまでよくないが息はぴったりであった。
「一人で戦ってきたウチとは違うな。…そういえばラルアはあのバカをこの世界に連れてきた世界樹を吸収したな。だったらその逆もできるんじゃないのか?」
ヒメは二人にいったん離れると叫ぶと走ってラルアがいる場所へと走った。
ラルアの姿が見えると同時に立っているティアマトの姿も見えた。
トパーズ達が平然としていたのはこういうことかと納得するヒメは急いで駆け寄った。
「腹に風穴開けといて平気だったんだ」
「ヒメおぬしが何故ここに!?まさか倒したのか?」
「いや無理無理。あんたの部下の二人が押さえてくれてるんだよ。それよりラルアにしかできないことがある」
(僕にしか?植物を生やすことくらいならできるけど)
「今ボケなくていいから。ほら世界樹吸収したんでしょ!それであのバカをこの世界に送ってきたのも世界樹。だからどこかの世界に飛ばしちゃえば万事解決!」
「何!?隆をこの世界に送っていたのは世界樹だったのか!だとするとヒメ、おぬしもそうじゃったのか」
「そういうのは終わったらやるから!ほら早くいくよ」
(う、うん…)
ラルアはあからさまに不安そうな顔をしていた。
それもそのはずどうやって他の世界に送ればいいのかなどやったことも無いので分かるわけがない。
手を引いてヒメが走ろうとしたその時、何か壁のようなものにぶつかってヒメは倒れてしまった。
「いったぁ~…」
何にぶつかったのか分からないヒメは立ち上がって前に進もうとするが見えない壁に塞がれて進めない。
「何を遊んでおる」
「遊んでないわ!ふっ」
刀で壁を切ろうとするが空を切る。
(見えない壁…まさか)
「そのまさかさ」
声と共に一枚の人型の紙がラルアの背中から剥がれ、地面に落ちるとラルアが以前町で会ったシショーが現れた。
「久しぶりだね、アルラウネ」
ティアマトはまだ生きていた。しかし体は動かず息をすることすら辛い状況に陥っていた。
(傷口を塞ぐにもこれじゃ傷というより穴だ。…ん?これは…)
一方、ドラゴンを相手にしているヒメは苦戦を強いられていた。
卵になる前はブレスや踏みつけ等行動に限りがあったが今度は魔法を使えるようになっていた。
手から雷を出したりブレスが地面から出てくるなどどこから攻撃してくるのか判断しづらくなっている。
幸いにもヒメの戦闘経験が生きすんでの所で避けてはいるがヒメから攻撃をすることはない。
「魔王の力吸って強化したっぽいな。近くに行って別の魔法出されても防ぐ手段ないしここは様子を見たいけど」
距離をとってもヒメの攻撃は届くわけがなく、ドラゴンはブレスと魔法をうまく使いヒメを寄せ付けないでいた。
「やっぱり一人じゃ厳しいか」
弾き返せそうな魔法を見極めてうまくドラゴンに当てられないか試すヒメだが当てても泡がはじけるほどの手ごたえしか感じられない。
「どうやらお困りのようだね」
どこからか声がするとヒメに向けていたドラゴンの腕は吊り上げられ、火を纏った剣が顔に叩きつけられた。
「だ、誰?」
「お初にお目にかかる。小生は魔王様の部下が一人、トパーズ」
「同じくアメジスト」
「ご丁寧にどうも。ウチはヒメ」
トパーズはドラゴンの四肢を容易く切り裂くとヒメの元へと歩いてきた。
ヒメは警戒しつつも握手をしてティアマトの状況を伝えると二人は意外にも平然としていた。
しかし魔王がやられて内心穏やかではなかった二人はティアマトの魔力が急激に減少していることを察知してきたのだという。
「それで、何故このドラゴンから魔王様の魔力を感じるんだ?」
「ティアマトがドラゴンを倒した時、何かあってティアマトの体に潜り込んだんだろう。それで魔力を吸収して体から卵になって出てきたんだ」
「なるほど…?それであの不死身野郎は?」
「そこで再生してるドラゴンが大馬鹿不死身野郎だよ」
トパーズが切断した振り返るとドラゴンは八割ほど再生しきっていた。
「…ほぅ」
「いやほぅじゃないだろ。あのドラゴン魔王様の魔法使ってくるってことだろ?毒撒かれたら何もできないっての」
「毒か、まだ見てないけど」
ヒメはティアマトと戦っていないためティアマトが使っていた魔法をあまり知らない。
更にドラゴンが使っている魔法はティアマトのものとは全く違っていた。
もちろんヒメはそんなことを知るはずもないので二人に「ドラゴンが使う魔法はティアマトが使う魔法とは全然違う」とは言えなかった。
「しかしどうする。小生らでも不死身を倒すことはできないぞ」
再生したドラゴンが咆哮を上げるのを見ている三人。
いい案も浮かばず今は攻撃を封じることだけしかできなかった。
数分もするとドラゴンの肉体が強化されたのかトパーズの糸で縛っても力ずくで解かれてしまい、アメジストによる攻撃も怯まなくなっていた。
唯一ヒメの刀では肉体を切断することはできるがヒメも段々と切りづらくなっていることを感じていた。
だがその一方でトパーズとアメジストがドラゴンが使ってくる魔法のパターンに気づき、苦戦は強いられていなかった。
戦闘経験の多い二人だからこそ仲はそこまでよくないが息はぴったりであった。
「一人で戦ってきたウチとは違うな。…そういえばラルアはあのバカをこの世界に連れてきた世界樹を吸収したな。だったらその逆もできるんじゃないのか?」
ヒメは二人にいったん離れると叫ぶと走ってラルアがいる場所へと走った。
ラルアの姿が見えると同時に立っているティアマトの姿も見えた。
トパーズ達が平然としていたのはこういうことかと納得するヒメは急いで駆け寄った。
「腹に風穴開けといて平気だったんだ」
「ヒメおぬしが何故ここに!?まさか倒したのか?」
「いや無理無理。あんたの部下の二人が押さえてくれてるんだよ。それよりラルアにしかできないことがある」
(僕にしか?植物を生やすことくらいならできるけど)
「今ボケなくていいから。ほら世界樹吸収したんでしょ!それであのバカをこの世界に送ってきたのも世界樹。だからどこかの世界に飛ばしちゃえば万事解決!」
「何!?隆をこの世界に送っていたのは世界樹だったのか!だとするとヒメ、おぬしもそうじゃったのか」
「そういうのは終わったらやるから!ほら早くいくよ」
(う、うん…)
ラルアはあからさまに不安そうな顔をしていた。
それもそのはずどうやって他の世界に送ればいいのかなどやったことも無いので分かるわけがない。
手を引いてヒメが走ろうとしたその時、何か壁のようなものにぶつかってヒメは倒れてしまった。
「いったぁ~…」
何にぶつかったのか分からないヒメは立ち上がって前に進もうとするが見えない壁に塞がれて進めない。
「何を遊んでおる」
「遊んでないわ!ふっ」
刀で壁を切ろうとするが空を切る。
(見えない壁…まさか)
「そのまさかさ」
声と共に一枚の人型の紙がラルアの背中から剥がれ、地面に落ちるとラルアが以前町で会ったシショーが現れた。
「久しぶりだね、アルラウネ」
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