6人目の魔女

Yakijyake

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*** 分かりきっていた運命

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朝、大きな物音を聞いて私は目を覚ました。何か硬いものと硬いものがぶつかってできるあの鈍い音。私は部屋を出てリビングを見渡す。中には人の気配がない。でも私は気づいた。外に何かがいる。玄関のドアのステンドガラスの向こうに何かが揺らめいた。私はゆっくりドアに近づき、そっとドアを開けた。するとそこには三人の男。ドアを開けるや否や
「エリーナ!貴様を魔女の疑いで身柄を拘束する!」
………。とうとう来てしまった。まあいつか来るとはわかっていたけど。でもこの状況でのこのこついていくバカはいないだろう。
「もし、私がついていかない。と言ったら?」
正直この男三人程度ならなんとかなると思った。起きるときに濃硫酸をポケットに忍ばせていたし、ここは私のテリトリー。しかし、すでに私にはついていく選択肢しか無かった。
「ついてこなければ。我々はこの娘をこの場で射殺する。」
後ろにはもう一人男がいた。そして奴はベレッタのこめかみに銃口を突き刺している。私はベレッタを凝視した。完全に目を閉じて気を失っている彼女。今下手に動けば…問答無用で引き金を引くに決まっている。
そして私はなす術なく捕まった。でもいずれはこうなることはわかっていた。私は多分殺されるだろう。それは構わない。けれど私はベレッタを巻き込んでしまったことをひどく悔やんだ。私はベレッタと一緒に馬車に押し込まれた。ベレッタはちゃんと呼吸はしているが意識はない。私はベレッタの頭を撫でながら
「大丈夫、大丈夫よ。あなたはそのを絶対に死なせないわ」
確証はない。一緒に殺されるかもしれない。でも打てる手はすでに打ってある。今は人事を尽くして天命を待っている状態。不安で押しつぶされそうななか、私は今ベレッタを救うことができる最善手を考え続けていた。
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