禁忌の刻印に選ばれた法学生 ~差別が支配する異世界で、闇の力と『法』を武器に成り上がる~

蒼炎

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第2話:森の囁き……そしてアホの祭典!

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あの忌まわしい湖から離れ、ようやく歩き始めた。

胃の中が水でタプタプ音を立てていて、まるで「水袋」を腹に抱えて歩いているような不快感だ。だが、自分がどこにいるのかすら分からないこの世界で、渇きで死ぬよりはマシだろう。

(あぁ……もう! 暖かいベッドに帰りたい! 退屈な『民法』の講義を受けたい! この緑の魔境を歩くくらいなら、なんだって我慢するのに!)

ここの木々はただの植物じゃない。まるで空まで届く巨大な牢屋の鉄格子のようで、俺の神経をすり減らし、自分のちっぽけさを痛感させる。俺は小さな声で自分を励まそうとした。叫べばモンスターが逃げてくれる(あるいは俺の恐怖が紛れる)かもしれないからな。

「よし、スレイマン、深呼吸だ……。お前はまだ死んでない。ホラー映画なら、これだけで多くのキャラが成し遂げられなかった偉業だぞ!」

突然……耳からではない音が静寂を切り裂いた。

それは頭蓋骨の裏側に直接響く、ガラスを釘で引っ掻くような冷たい囁きだった。

『火を……灯せ……』

俺の体は、干からびた木のように硬直した。

見えないハエを追い払うかのように、バカみたいに飛び跳ねながら左右を見回す。何もない。

森は墓場のように静かだ。

(なんだ今のは? 湖の水に幻覚剤でも混ざってたのか? 俺の脳細胞が一つずつ辞表を出し始めたのか?)

再び、今度はより鋭くはっきりとした声が響いた。

『火を……灯せ……この愚か者!』

俺は虚空に向かって、震える声で叫んだ。

「誰だ!? 出てこい、危害は加えないから! 俺をここに放り込んだのはお前か!? このクソみたいな世界の『運営』か!?」

返事はない。山よりも深い沈黙が続いた。

一時的な「脳のバグ」だと思い込もうとして歩き続けたが、突然……右の手首が脈打ち始めた!

ただの脈動じゃない。皮膚の下を「溶けた金属の巨大なミミズ」が這い出ようとしているような感覚! 黒いタトゥーが不気味な紫色の光を放ち、激しくなる心音と同調して明滅する。

「なんだ……俺の手はどうなってるんだ!? 今度こそゾンビになるのか!?」

冷酷で突き放すような声が再び響く。

『火を灯せ……今すぐ!』

何かを言い返す前に、突然の熱が血管に集まるのを感じた。

血の代わりに、煮えたぎる油が血管に注ぎ込まれているようだ。皮膚が引き伸ばされ、手のひらにとてつもない圧力を感じる。

「いや……やめろ! 皮膚の下から出てくるな! 痛い痛い痛い!」

ボワァァァァッ!

毛穴から炎が噴き出した! 文字通り、俺の手が人間トーチになったのだ!

「ぎゃあああ! 手が燃えてる! マジで燃えてる! 助けてくれえええ!」

一秒ほど呆然と立ち尽くした後、「世界的アホの祭典」が開幕した。

ハチを追い払うかのように空中で手を激しく振り回し、狂ったように息を吹きかける……そう、天才法学部生のスレイマン様が、「未知の魔法」を自分の息で吹き消そうとしているのだ!

(マジかよスレイマン? 大学で何年学んでこれか? 魔法の炎に息を吹きかけるだって?)

燃える手を太ももに叩きつけ、この世界を呪いながら叫ぶが、骨がオーブンで溶けていくような激痛が増すだけだった。俺は湖に向かって全力で走るしかなかった。石に躓き、顔面から転び、悲鳴を上げながら立ち上がり、ついに冷たい水の中へ手を突っ込んだ。

ジュゥゥゥゥゥッ!

濃い水蒸気が立ち昇り……すべてが静まった。

炎は嘘のように消え去った。

ギロチンから逃れた死刑囚のように喘ぎながら、ゆっくりと手を引き抜く。見開いた目で確認すると……驚いたことに、火傷の跡一つない! 俺の手は完全に無傷で、むしろ不気味なほど冷たかった!

「いや……これで公式に決定したな。夢じゃない。俺は完全に魔法的な神経衰弱に陥ってる!」

【人間ライターの訓練】

俺は岩に座り、ぼんやりと手のひらを見つめていた。静寂が戻ったが、またしてもあのウザい声が、今度は腹立たしい「チュートリアル」口調で遮ってきた。

『炎をイメージしろ……恐怖からではなく、お前の意志から生み出される炎を』

(炎をイメージしろ? そんなに簡単なことだと思ってるのか、脳内ラジオ野郎?)

だが、ここにはWi-Fiもないし、フードデリバリーもないし、帰る方法もない。俺は絶望混じりに言った。

「分かったよ……やってやる。俺に残されてるのは、ぶっ壊れかけの理性くらいだからな」

目をきつく閉じた。血管を流れる熱を想像し、今度はそれを「コントロール」しようと試みる。

時間が過ぎた……1時間……2時間……。

しゃがみ込み、目をギュッとつぶって手を前に突き出している姿は、完全にヤバい奴だ。

「おいおい……神経をすり減らすほどの集中を3時間だぞ! この世界は本当に俺が嫌いらしい。元の世界の『100円ライター』のほうが、こんなクソ魔法よりよっぽど優秀だ!」

夜が近づくにつれ、風は冷たく強くなってきた。体は震え、歯が古いミシンのようにガチガチと音を立てる。

(成功するか、夜明け前に氷の彫像になるかの二択だな)

震える両手を持ち上げ、大学への怒り、借金、そしてこの屈辱的な落下への怒りをすべて呼び起こし、脳の限界まで絞り出した。

突然……血管に熱い液体が流れるのを感じた。
ゆっくりと目を開ける。

そこには、根元が青く、先端がオレンジ色の小さな炎が、俺の手のひらの上で穏やかに浮かんでいた!

「よっしゃ! よっしゃあ! ついにやったぞ! 見たか、クソッタレな世界め!」

俺はアホみたいに飛び跳ね、小さな炎を手に空中でエセ忍者ポーズを決めた。

(俺を責めないでくれ。孤独に死と直面してみろ、なんでこんなガキみたいな振る舞いをしているか分かるから!)

うねる幹を持つ巨大な木の下に、急いで薪を集めた。木を置き、燃える手を近づける……。

ボワッ! 薪が燃え上がり、暖かさが広がった。

安堵のため息をついたが……手の中の炎が消えない!

「素晴らしい……さて、ウザい声の主よ。そもそもこの火、どうやって消すんだ!? 森が燃えちゃうだろ!」

土にこすりつけ、息を吹きかけ、狂ったように手を振ったが……効果なし! 炎は俺の臓器の一部であるかのように手に張り付いている。

冷たい声が再び響く。

『イメージしろ……炎が源へと帰っていくのを』

俺は動きを止め、狂ったような笑顔で虚空に叫んだ。

「舐めてんのか!? 俺はお前の分割払いのヒントを待つおもちゃか!? クソが!」

ついに諦め、何度か失敗した後、極度の疲労で体の力が抜けた瞬間に炎はスッと消えた。俺は本物の焚き火のそばで、泥のように深い眠りに落ちた。

【呪われた朝】

翌朝……。

鋭い朝日がまぶたを突き刺した。

光から逃れようと無意識に体を動かし、まだ自分の部屋のベッドにいると勘違いしながら、怠惰に寝返りを打った……。

ジュゥゥゥゥゥッ!

俺は、下でまだくすぶっていた焚き火の残り火の上に、全力でダイブしたのだ!

火山の火口から発射されたかのように、光の速さで飛び起きた。

「ぎゃあああああ! 背中! 体が燃えてる! ああ神様、火なんて大嫌いになりそうです!」

服から煙が上がり始め、俺は発狂した樽のように地面を左右にゴロゴロと転げ回った。ようやく起き上がり、ボロ雑巾のようになった服の灰を払いながら、泣きそうに呟いた。

「最高だ……最悪の1日が終わり、もっと最悪の朝が来た。俺は、歩く呪いかなにかか?」

腹が恐ろしい音で鳴った。飢えが内臓を食い破りそうだ。

辺りを見回すが、キノコもベリーも何もない。

死んだように陰鬱な森があるだけだ。俺は重い足を引きずりながら再び歩き出し、リンゴの木……いや、玉ねぎでもいいから見つかってくれと祈った。

しかし、数歩歩いたところで……
パキッ!

背後で枝が折れる音がした。

心臓が喉から飛び出そうになりながら、勢いよく振り返る。(頼む……あの恐ろしい牙のイノシシが戻ってきたなんて言わないでくれ!)
だが、目にした光景はそれより数段最悪だった。

ゴブリンの群れ。

醜い緑色の顔、病的な黄色の目、吐き気のするようなイボだらけの皮膚。奴らは殺意に鈍く光る錆びたナイフを握りしめていた。

奴らは薄汚い笑みを浮かべていた……まるで、新鮮な人肉の「食べ放題ビュッフェ」を見つけたかのように。

木の陰から次々と姿を現す……1匹……5匹……10匹……。

合計13匹のゴブリンが、俺を完全に包囲している! そしてその匂い……神よ、腐乱死体と古い下水道を混ぜたような強烈な悪臭だ。

(ワオ……なんて清々しい朝だ! 残り火の上で目覚め、ゴブリンの朝食になれるなんて!)

俺は震える拳を奴らに向け、絶望感たっぷりに叫んだ。

「このクソみたいなプレゼントをありがとう、世界! お前ら、メニュー表はあるのか? それともいきなり食べ始めるタイプか!?」
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