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第1章
1-2 入社式
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入社式。
超大手・株式会社大帝の内定を奇跡的にもらった私は、この日が来るまで不安でたまらなかった。
いつ取り消されてもおかしくない、と、半ば覚悟を決めてアルバイト情報なんかもチェックしていた私。
……でもやっと、この不安からも解放される。
「みなさん、我が社にようこそ」
取締役会長はじめお偉い様方の話を聞いているうちに、だんだん実感が湧いてきた。
そして、肝心のカレ、レオンハルト・葉士さんは……
(……いない……)
あわよくばまたお目にかかれるのでは、と淡い期待を抱いていたが、現実はそこまで甘くなかった。
無事同じ会社に入社できただけでもありがたいと思おう。
(……そうだよね、みたところ30代そこそこって感じだったし、あの若さで役員ってことはないでしょ)
心の中で自分にツッコみ、がっかり感を宥める。
入社式に新入社員とは直接関係のない平社員が出席するはずもない。
それじゃあ、カレはどこの部署なのか、ってことなんだけど……
企業説明会に来るぐらいだから、人事部なのだろうか。それとも、広報部?
いや、だったら入社式にもなにかと携わるはず。
これだけの大企業だと、地方の営業所含めてかなりの支社があるから、本社以外の所属だとすると調べるのにかなりの労力を費やすだろう。
(なんのあてもないからなぁ……
結構目立つ人だから、すぐ見つかると思ってたのに)
誰か先輩社員に訊ねようにも、そんな話ができるような仲の人なんていないし……
手詰まり。
なんだか、幻のナントカを探しているような気分になってきた。
などと考えているうちに、式は滞りなく終わっていた。
<続>
超大手・株式会社大帝の内定を奇跡的にもらった私は、この日が来るまで不安でたまらなかった。
いつ取り消されてもおかしくない、と、半ば覚悟を決めてアルバイト情報なんかもチェックしていた私。
……でもやっと、この不安からも解放される。
「みなさん、我が社にようこそ」
取締役会長はじめお偉い様方の話を聞いているうちに、だんだん実感が湧いてきた。
そして、肝心のカレ、レオンハルト・葉士さんは……
(……いない……)
あわよくばまたお目にかかれるのでは、と淡い期待を抱いていたが、現実はそこまで甘くなかった。
無事同じ会社に入社できただけでもありがたいと思おう。
(……そうだよね、みたところ30代そこそこって感じだったし、あの若さで役員ってことはないでしょ)
心の中で自分にツッコみ、がっかり感を宥める。
入社式に新入社員とは直接関係のない平社員が出席するはずもない。
それじゃあ、カレはどこの部署なのか、ってことなんだけど……
企業説明会に来るぐらいだから、人事部なのだろうか。それとも、広報部?
いや、だったら入社式にもなにかと携わるはず。
これだけの大企業だと、地方の営業所含めてかなりの支社があるから、本社以外の所属だとすると調べるのにかなりの労力を費やすだろう。
(なんのあてもないからなぁ……
結構目立つ人だから、すぐ見つかると思ってたのに)
誰か先輩社員に訊ねようにも、そんな話ができるような仲の人なんていないし……
手詰まり。
なんだか、幻のナントカを探しているような気分になってきた。
などと考えているうちに、式は滞りなく終わっていた。
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