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第1章(序章)絶望の果て

第16話 深まる愛情

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 翌日の夕方、俺は、魔法の門の前にいた。
 ムートに来た初日、中に入って出られなくなった事を思い出し、恐怖に怯えていた。
 ある程度、陽気を操れるようになった今なら、魔法で引き込まれる事はないが、それでも怖かった。

 だが、ビクトリアとの約束だから、入らない訳にいかない。
 俺は、意を決し、門の中に足を踏み入れた。

 中に入ると、やはり、細い一本道があった。振り返ると予想通り、あるはずの門が消え、細い一本道があるのみだ。
 俺は、恐怖のあまり、その場にうずくまってしまった。

 しばらくして、背後から声がした。


「イース、お待たせ!」

 振り返ると、そこには着飾った、今まで以上に綺麗なビクトリアがいた。

 不安と嬉しさが複雑に入り混じり、俺は、無我夢中でビクトリアに抱きついてしまった。
 俺の頭を撫でてくれるビクトリアに、母の姿が重なった。


「さあ、行くわよ!」

 ビクトリアに手を引かれ、しばらく歩くと、いつの間にか細い道が2本に別れていた。
 彼女は、当然のように右の道に入った。

 しばらく歩くと、道が無くなり平原に出た。
 そして、斜め右前方を見ると、小高い丘があり、白い一軒家が見えた。


「2人の家よ」


「えっ、ビクトリアが建てたのか? 大工もできるのか?」


「さすがに、大工はできないわ。 あれは、魔法で作ったのよ。 ここは、私達がいる次元とは別の世界だけど、実際に存在しているのよ。 幻想じゃないわ」


「よく分からないけど …。 じゃあ、本当に住めるのか?」


「そうよ。 木の実を取ったり、狩をして獲物を捕まえれば、食糧だって確保できるから、ずっと住めるわ」

 ビクトリアは、嬉しそうに笑った。


「ムートに戻らずに、このまま2人で暮らしたい」


「そうね。 でも、帰らないと、王国から追ってを差し向けられるわ。 イースが追い払ってくれるなら、2人で住みたいな!」

 ビクトリアは、悪戯っぽい笑顔を向けた。


「ごめん。 さすがに、無理だよ」


「ムートを卒業して結婚したら、この家に住もうね!」

 ビクトリアは俺の肩を叩くと、手を引いて家に向かった。


「家に入ると、中には調理場とリビング、浴場及び寝室があり、2人が住めるようになっていた。 
 窓から外の景色を眺めると、どんよりと曇が広がっており、どこまでも続く平原が見える。

 そんな俺のところに、ビクトリアがそっと近づき、後ろから抱きしめてきた。
 そして、寝室に導かれると、2人でベッドの上に並んで座った。


「イース、私もどうしたら良いか分からないけど、取り敢えず服を脱ごうよ。 脱がせて」

 俺は、ビクトリアの言葉に驚いた。

 彼女の息遣いは荒く、しかし俺の息遣いは、もっと荒かった。
 震える手で、一枚一枚、彼女の服を脱がせていく度に、ビクトリアの美しい体の線が見えて来る。
 そして、肌着を脱がせると、そこには見たこともない白く美しい素肌が現れた。
 ビクトリアは、最後の一枚を脱がせやすいように、立ち上がって協力した。そうすると、ヒラリと最後の一枚が滑り落ちた。

 大人っぽいとは言え、ビクトリアはまだ15歳の少女である。決してふくよかでは無いが、その女性らしく美しい姿に見入ってしまった。
 俺は、たまらずにビクトリアの胸に顔をうずめる。すると彼女は優しく抱きしめてくれた。


「イース、好きよ」

 彼女は、甘く切なく小さな声で囁いた。

 俺は我慢ができなくなり、乱暴に服を脱ぎ捨て裸になり、ビクトリアの身体に自分の身体を絡めた。

 しかし、悲しいかな、やたら激しく動くだけで、それ以上の事ができない。
 そんな俺を見て、彼女は優しく導いてくれた。

 その後は、まるで野生動物のように本能に従い、自然に激しく腰が動いた。ビクトリアは苦痛の表情を浮かべたが、俺は、それでも止める事ができなかった。
 やがて、彼女の上で果てると、2人はしばらく重なったまま、動けなくなっていた。

 やっと自分を取り戻し、ビクトリアから離れると、彼女のシーツの上の、鮮血の跡に気がつく。
 俺は、彼女を傷つけた事に慌てた。


「ゴメン、怪我をさせちゃった」 
 
 ビクトリアの女性の部分を見せてもらい、酷く心配した。でも、初めて見る複雑な形に、我を忘れ見入ってしまった。


「もう、おしまい」

 ビクトリアは、恥ずかしそうに手で隠した。そして、聞き分けのない子どもをあやす様に、優しく説明した。


「この鮮血は怪我じゃないのよ。 これは、私が初めてだった証なの。 覚えておいてね。 私の中でイースが果てた時、あなたの子種が入ったの。 もしかして、子どもができたかも!」


「えっ。 それで子どもができるのか? もし、できていると重罪で裁かれる。 それでも、平気だから」

 俺は、覚悟を決めた。


「ありがとう。 でも、本当に何も知らないのね。 おバカさん」

 ビクトリアは、俺の頭を優しく撫でた。

 後で聞いた話だが、ビクトリアの両親は魔法医で、ムートに入る前に、母親から性について教わったそうだ。
 その時に、魔法による避妊の方法も伝授されたとの事で、子どもができる心配はないという。
 ビクトリアとの子どもが欲しかったが、重罪になると思うと不安もあった。
 だから、彼女の話を聞いて少し安心した。


 その後の事であるが、魔法の門から2人の家に行く方法や帰る方法を教わり、頻繁に出向くようになった。
 そして、その度に身体を重ねた。

 もちろん、これは2人だけの秘密である。
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