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第3章 孤独の先に
第98話 伝説の魔獣
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マサンは、伝説の魔獣ホロブレスを目撃した後、もと来た道を引き返していた。
魔石鉱山にはベルナ王国の警備兵が居るが、出口はここしかないのだ。
極大魔法により、岩盤を吹き飛ばして地上に脱出する方法もあるが、万が一、ホロブレスが目覚めて暴れたりしたら、人類に危機的な状況を招いてしまう。
だから、危ない橋は渡れなかった。
「ホロブレスに遭遇した者はいない。 この大きな鱗は高く売れるぞ! いや、待てよ …。 この鱗は、剣や魔法を弾くから、鎧や盾に加工する事ができれば、伝説級の防具になるかも!」
マサンは、孤独になると独り言が多くなる。
声を発した後、口元が緩んで笑顔になっていた。
ホロブレスから離れたくて、早いスピードで洞窟を駆けて行った。
かなり進んだところで、マサンは、異変を感じて立ち止まった。
「エッ、この波動は?」
剣や魔法及び強い生命力等によって発する波動には、個々の違いがある。
マサンほどの達人になると、それを、繊細に感じ取れるのだ。
「これは、イースの剣による波動だ。 そう遠くないところに居るようだが …。 まさか、ビクトリアの暗殺のために来たのか? だとすると、アモーンによって転送されたんだな …」
マサンは、波動を感じる方向を見つめていた。
そして、彼女は、ますます急いだ。まるで、洞窟内を流れる風のように、駆け抜けて行く。
久しく会っていない、イースの顔が見たい一心で先を急いだ。
それから、少ししてからの事である。
今度は、今まで感じたことが無い、心を突き動かすような波動を感じた。
魔力のようだが、それは、人の発するものと雰囲気が違う。しかし、魔族とも違った。
神々しいとでも言おうか、どこか威厳があり、畏怖の念を抱かせるような神秘的なものであった。
また、遠くからなのに、ビリビリとした、地響きのような振動が伝わってくる。
威圧感が半端ないのだ。
「イースのものと違う。 ましてや、ビクトリアのものでもない …」
マサンは、首を傾げた。
そうしている内に、今度は背後から、桁違いに強大な波動を感じた。
その正体は、直ぐに分かった。
忌まわしい魔獣、ホロブレスのものであった。
先ほどの、神々しい波動の影響を受けて、ホロブレスが目覚めたのか?
もしかして、魔王が顕現するのかも知れないとも思えた。
「このままだと、ホロブレスは岩盤を吹き飛ばして地上に現れてしまう。 伝説の魔獣に人類は対処できるだろうか? それに …。 地上に潜んでいる魔族が動き出す可能性もある」
そう言うと、マサンは、一旦、立ち止まった。
イースの方へ行くべきか、ホロブレスの方に戻るべきか、迷っていたのだ。
「あの忌まわしい魔獣が地上に移動する前に、ここで、食い止めるべきだな! 移動魔法でリルートできそうだ …」
マサンは、地面に素早く魔法陣を書くと、その上に立った。
そして素早く呪文を唱えた。
次の瞬間、ホロブレスが眠っていた地下の大空間に移動していた。
◇◇◇
奴は、相変わらずここにいた。
全長が200メートルを超えるホロブレスから見ると、マサンは蟻のようなものだろう。
それなのに、ランランと輝く巨大な目を、マサンの方に向けていた。
しかし、目覚めたばかりのせいか、少し寝ぼけているようで、あまり反応がない。
マサンは、また眠ってくれる事を期待したが、それは甘かった。
ホロブレスは、いきなり立ち上がると、長い首を持ち上げた。
この地下空間は、かなり大きいのだが、立ち上がった拍子に、巨大な頭を天井の岩盤に強打してしまった。
今ので、完全に目が覚めたようだ。
ホロブレスは、あまりにも大きいため、動作が緩慢に見える。
マサンは、魔獣に手をかざし呪文を唱えると、幾重もの結界の輪を、足元に向かって投げつけた。
結界の輪は、足に絡んで締め上げる。
ドザッーンンン!!!
ホロブレスは、物凄い轟音と共に、激しく転倒した。
しかし、マサンは、手を休めない。
今度は、幾重もの結界を風船のように膨らませると、巨大な頭に被せた。
「多重結界で、締め付けてやる!」
膨大な魔力を消費するため、 呪文を唱えるマサンの顔が歪む。
グフォーンン!!!!!
ホロブレスの大きな口が開き雄叫びをあげると、強力な衝撃波が発生した。
結界の中で吸収しきれない力が漏れ出して、その振動が伝わってくる。
「このままじゃ、結界が持たない。 次の手に移るか …」
マサンは、おもむろに、ポーチから魔杖を取り出した。
ホロブレスの衝撃波で、結界が破れた直後、彼女は、魔杖を地面に突き刺して呪文を唱えた。
すると、杖の先から黄金の強い光が放たれると同時に、金色の5メートルはあろうかという大きな矢が3本、ホロブレス目掛けて放たれた。
ドッガーン!!!
強い閃光と同時に、大爆発が起こった。
マサンは、結界で自分を守って身を隠すと、次の攻撃を考えていた。
魔石鉱山にはベルナ王国の警備兵が居るが、出口はここしかないのだ。
極大魔法により、岩盤を吹き飛ばして地上に脱出する方法もあるが、万が一、ホロブレスが目覚めて暴れたりしたら、人類に危機的な状況を招いてしまう。
だから、危ない橋は渡れなかった。
「ホロブレスに遭遇した者はいない。 この大きな鱗は高く売れるぞ! いや、待てよ …。 この鱗は、剣や魔法を弾くから、鎧や盾に加工する事ができれば、伝説級の防具になるかも!」
マサンは、孤独になると独り言が多くなる。
声を発した後、口元が緩んで笑顔になっていた。
ホロブレスから離れたくて、早いスピードで洞窟を駆けて行った。
かなり進んだところで、マサンは、異変を感じて立ち止まった。
「エッ、この波動は?」
剣や魔法及び強い生命力等によって発する波動には、個々の違いがある。
マサンほどの達人になると、それを、繊細に感じ取れるのだ。
「これは、イースの剣による波動だ。 そう遠くないところに居るようだが …。 まさか、ビクトリアの暗殺のために来たのか? だとすると、アモーンによって転送されたんだな …」
マサンは、波動を感じる方向を見つめていた。
そして、彼女は、ますます急いだ。まるで、洞窟内を流れる風のように、駆け抜けて行く。
久しく会っていない、イースの顔が見たい一心で先を急いだ。
それから、少ししてからの事である。
今度は、今まで感じたことが無い、心を突き動かすような波動を感じた。
魔力のようだが、それは、人の発するものと雰囲気が違う。しかし、魔族とも違った。
神々しいとでも言おうか、どこか威厳があり、畏怖の念を抱かせるような神秘的なものであった。
また、遠くからなのに、ビリビリとした、地響きのような振動が伝わってくる。
威圧感が半端ないのだ。
「イースのものと違う。 ましてや、ビクトリアのものでもない …」
マサンは、首を傾げた。
そうしている内に、今度は背後から、桁違いに強大な波動を感じた。
その正体は、直ぐに分かった。
忌まわしい魔獣、ホロブレスのものであった。
先ほどの、神々しい波動の影響を受けて、ホロブレスが目覚めたのか?
もしかして、魔王が顕現するのかも知れないとも思えた。
「このままだと、ホロブレスは岩盤を吹き飛ばして地上に現れてしまう。 伝説の魔獣に人類は対処できるだろうか? それに …。 地上に潜んでいる魔族が動き出す可能性もある」
そう言うと、マサンは、一旦、立ち止まった。
イースの方へ行くべきか、ホロブレスの方に戻るべきか、迷っていたのだ。
「あの忌まわしい魔獣が地上に移動する前に、ここで、食い止めるべきだな! 移動魔法でリルートできそうだ …」
マサンは、地面に素早く魔法陣を書くと、その上に立った。
そして素早く呪文を唱えた。
次の瞬間、ホロブレスが眠っていた地下の大空間に移動していた。
◇◇◇
奴は、相変わらずここにいた。
全長が200メートルを超えるホロブレスから見ると、マサンは蟻のようなものだろう。
それなのに、ランランと輝く巨大な目を、マサンの方に向けていた。
しかし、目覚めたばかりのせいか、少し寝ぼけているようで、あまり反応がない。
マサンは、また眠ってくれる事を期待したが、それは甘かった。
ホロブレスは、いきなり立ち上がると、長い首を持ち上げた。
この地下空間は、かなり大きいのだが、立ち上がった拍子に、巨大な頭を天井の岩盤に強打してしまった。
今ので、完全に目が覚めたようだ。
ホロブレスは、あまりにも大きいため、動作が緩慢に見える。
マサンは、魔獣に手をかざし呪文を唱えると、幾重もの結界の輪を、足元に向かって投げつけた。
結界の輪は、足に絡んで締め上げる。
ドザッーンンン!!!
ホロブレスは、物凄い轟音と共に、激しく転倒した。
しかし、マサンは、手を休めない。
今度は、幾重もの結界を風船のように膨らませると、巨大な頭に被せた。
「多重結界で、締め付けてやる!」
膨大な魔力を消費するため、 呪文を唱えるマサンの顔が歪む。
グフォーンン!!!!!
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結界の中で吸収しきれない力が漏れ出して、その振動が伝わってくる。
「このままじゃ、結界が持たない。 次の手に移るか …」
マサンは、おもむろに、ポーチから魔杖を取り出した。
ホロブレスの衝撃波で、結界が破れた直後、彼女は、魔杖を地面に突き刺して呪文を唱えた。
すると、杖の先から黄金の強い光が放たれると同時に、金色の5メートルはあろうかという大きな矢が3本、ホロブレス目掛けて放たれた。
ドッガーン!!!
強い閃光と同時に、大爆発が起こった。
マサンは、結界で自分を守って身を隠すと、次の攻撃を考えていた。
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