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第2話 夜空に生まれた月の種
1.お姉ちゃんのホットケーキ
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ナツキは、小学1年生になったばかりの女の子。
この頃のナツキは、とても 大人しくて、話し相手といえば、10歳も年のはなれた、お姉ちゃんくらいでした。
ある夜、ナツキはぼんやりと窓の外をながめていました。その日は、お月さまがとても大きく、明るい夜でした。
しばらくして、お姉ちゃんが、できたてのホットケーキを運んできました。
「ナッちゃん、今夜はお母さんも仕事で遅いし、特別におやつ。ナッちゃんが、大好きなホットケーキよ」
「わぁ! おいしそうっ。いただきまーす」
ナツキはそういって、ホットケーキにとびつきました。カラメルの蜜がとろりと甘く広がって、こおばしい美味しさが、口の中に広がってゆきます。
「おいしいでしょ。お母さんより上手に焼いたでしょ」
お姉ちゃんは得意顔です。
ナツキはホットケーキを食べながら、窓の外のお月さまに目をやりました。ホットケーキと同じ、まん丸のお月さまでした。
「ね、お姉ちゃん、あの満月も焼ける? あれも焼いたら、おいしいかも」
「え、満月? ナッちゃん、お月さまを焼いて食べたいっていうの?」
お姉ちゃんは、ナツキがあんまり、おかしなことをいうものですから、ちょっと、おどろいてしまいました。でも、すぐに、にっこり笑って、自信ありげにいいました。
「え~え、焼けるわよ。焼けますとも、私は魔法の力をもってるから、そんなことくらい、どうってことないわ」
お姉ちゃんが魔法の力をもっていたなんて、ナツキには初耳です。
そんなことは、おかまいなしに、お姉ちゃんは、流し台のすみっこから、とてつもなく大きくて、ボロボロなフライパンを引っ張り出し、庭へ飛び出してゆきました。
外は月明かりで、白く輝き、お姉ちゃんに丸い月のスポットライトが、ぴったりと、あたっているように思えました。
お姉ちゃんは庭の池のそばに立ち止まると、ナツキの方をふりかえって、大声でいいました。
「ナッちゃん、見てる? これから、このフライパンで、お月さまを捕まえるわよ!」
お姉ちゃんは、大きなフライパンをつかって、池に映ったお月さまをすくいあげました。
すると、あれほど明るかった空の月が、灰色の雲に幕をかけられたみたいに、ふっと消えてしまったのです。
夜空は、星一つ見えない、真っ暗闇になってしまいました。
「お姉ちゃん、お月さまがとれたの? 本当に?」
ナツキは庭に出ると、おそるおそる、お姉ちゃんに近づいてゆきました。
「とれた、とれた、しっかりとれたよ。今、お月さまはこのフライパンの中にいるわよ」
「見せてっ、見せてってばァ!」
ナツキはお月さまが見たくてたまりません。それなのに、お姉ちゃんは、フライパンにぴったりフタをして、意地悪く笑うばかりです。
「ダーメ、このフタを開けたら、せっかく捕まえたお月さまが、逃げちゃうでしょ」
「お姉ちゃんのケチっ、ね、ちょっとでいいから」
「ダーメ」
そんな話をしながら、二人は台所へ入ってゆきました。外はあいかわらずの真っ暗闇です。それもそのはず、さっきまで、夜空にいたお月さまは、今は、お姉ちゃんのフライパンの中で、囚われの身になっているのですから。
「さぁ、いよいよ、お月さまを焼くわよ!」
そういって、お姉ちゃんは、ガスレンジにフライパンをのせて、レンジに火をつけるのでした。
~2.逃げたお月さま に続く~
この頃のナツキは、とても 大人しくて、話し相手といえば、10歳も年のはなれた、お姉ちゃんくらいでした。
ある夜、ナツキはぼんやりと窓の外をながめていました。その日は、お月さまがとても大きく、明るい夜でした。
しばらくして、お姉ちゃんが、できたてのホットケーキを運んできました。
「ナッちゃん、今夜はお母さんも仕事で遅いし、特別におやつ。ナッちゃんが、大好きなホットケーキよ」
「わぁ! おいしそうっ。いただきまーす」
ナツキはそういって、ホットケーキにとびつきました。カラメルの蜜がとろりと甘く広がって、こおばしい美味しさが、口の中に広がってゆきます。
「おいしいでしょ。お母さんより上手に焼いたでしょ」
お姉ちゃんは得意顔です。
ナツキはホットケーキを食べながら、窓の外のお月さまに目をやりました。ホットケーキと同じ、まん丸のお月さまでした。
「ね、お姉ちゃん、あの満月も焼ける? あれも焼いたら、おいしいかも」
「え、満月? ナッちゃん、お月さまを焼いて食べたいっていうの?」
お姉ちゃんは、ナツキがあんまり、おかしなことをいうものですから、ちょっと、おどろいてしまいました。でも、すぐに、にっこり笑って、自信ありげにいいました。
「え~え、焼けるわよ。焼けますとも、私は魔法の力をもってるから、そんなことくらい、どうってことないわ」
お姉ちゃんが魔法の力をもっていたなんて、ナツキには初耳です。
そんなことは、おかまいなしに、お姉ちゃんは、流し台のすみっこから、とてつもなく大きくて、ボロボロなフライパンを引っ張り出し、庭へ飛び出してゆきました。
外は月明かりで、白く輝き、お姉ちゃんに丸い月のスポットライトが、ぴったりと、あたっているように思えました。
お姉ちゃんは庭の池のそばに立ち止まると、ナツキの方をふりかえって、大声でいいました。
「ナッちゃん、見てる? これから、このフライパンで、お月さまを捕まえるわよ!」
お姉ちゃんは、大きなフライパンをつかって、池に映ったお月さまをすくいあげました。
すると、あれほど明るかった空の月が、灰色の雲に幕をかけられたみたいに、ふっと消えてしまったのです。
夜空は、星一つ見えない、真っ暗闇になってしまいました。
「お姉ちゃん、お月さまがとれたの? 本当に?」
ナツキは庭に出ると、おそるおそる、お姉ちゃんに近づいてゆきました。
「とれた、とれた、しっかりとれたよ。今、お月さまはこのフライパンの中にいるわよ」
「見せてっ、見せてってばァ!」
ナツキはお月さまが見たくてたまりません。それなのに、お姉ちゃんは、フライパンにぴったりフタをして、意地悪く笑うばかりです。
「ダーメ、このフタを開けたら、せっかく捕まえたお月さまが、逃げちゃうでしょ」
「お姉ちゃんのケチっ、ね、ちょっとでいいから」
「ダーメ」
そんな話をしながら、二人は台所へ入ってゆきました。外はあいかわらずの真っ暗闇です。それもそのはず、さっきまで、夜空にいたお月さまは、今は、お姉ちゃんのフライパンの中で、囚われの身になっているのですから。
「さぁ、いよいよ、お月さまを焼くわよ!」
そういって、お姉ちゃんは、ガスレンジにフライパンをのせて、レンジに火をつけるのでした。
~2.逃げたお月さま に続く~
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