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第三章〜サードフィル〜
第八十二話「ミラちゃんと酒庫 Part2」
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素敵な響き……か。まさか、こんな少女に天使の分け前のニュアンスを理解されてしまうなんてね。理解してもらうには、もう少し手こずると思ったんだけどこの大人びたというか、子供っぽくない所がミラちゃんの長所な気もするんだよな。
早熟……この世界はあまりに子供の成長が早すぎる。だからといって、ミラちゃんはやっぱりまだ子供で周りの大人達から天才と持て囃されたせいか、早くも自分の世界をしっかり抱いていて、あらゆる可能性を拒否して完璧を求めた結果、失敗に怯えて作品作りが止まっている。
そんな彼女の凝り固まった完璧主義を、どうにかしてほぐしてあげたい所だ。だって、この先何百年というドワーフ生を生きる彼女が、目先の完成度にばかりいちいち目を取られていては気が狂ってしまうだろうよ。
それに完璧主義っていうのは悪いことじゃない。己のこだわりを貫き通せてこそ、一人前の職人なんだと思う。というのも、これは受け売りだがブレンダーの先輩が言っていた事で「翔吾、お前はまだ若いから理想の為に馬鹿をやれ。あまりにも間違えていたら俺がなんとかしてやるから」そう言われた時は、なんとなくそんな迷惑はかけれないと思っていた。
でも今なら、全て自分の責任で酒造を経営している今ならわかる気がする。あの言葉の前後には、完璧を求めすぎて慎重になるな。何も恐れや勤勉だけが完璧に辿り着く事ではなくて、思い切った挑戦や、根拠のない自信が成功への鍵だったりする。そんな意味で、鋭い味覚と嗅覚を評価された結果、実質鳴り物入りでブレンダー室に入って来た、若い新人の俺に向けて言ってくれた言葉だったんだと思う。
あの頃は、周りが大先輩ばかりだったから彼らのように舐められない為にも、ミスをしないようにって、そればかり気にして緊張していた。でも今考えれば、俺に求められた本当の役割って若者が持っている突拍子もない発想だったり、若さ故の無謀みたいな革新だったりしたのかもしれない。
だから、ミラちゃんにもまずは完璧なんて物はない事を理解してもらいたい。その上で、自分の抱いている世界観を一度傍において、柔軟な思考を身につけて失敗を恐れないで欲しいな。そう言うのって、どうしても若い時の方が踏み切れる事だから。それを伝えるにはやっぱり、ウイスキーの無限の可能性を大きく左右させる熟成について伝えたい。
きっとそこにミラちゃんの為になるヒントがある筈だ。
「それじゃぁ、次はそれぞれの樽に詰められたウイスキーを見てみようか」
「良いんですか!」
これまた彼女の瞳がまん丸に見開かれ、紫色の宝石が輝いているようだった。
本当に、十一歳だよな……この子。どこの世界にウイスキーの話に、ここまではしゃげる十一歳がいるのだろうか。流石天才義肢職人。物作りは全て通じているんだなぁと思う。
「あっ、はははっ、はは、もちろんだよ。気が済むまで熟成の世界を案内してあげるから安心して」
「やった! これで何か職人として掴めそうな気がします!」
そんな力強く握り拳を作って、喜ばれるとなんだかプレッシャーだなぁ。もちろん嬉しさが勝つんだけどね。
俺はそんなことを思いながら、熟成によってウイスキーに変化が現れている物を用意した。ウイスキー樽からレードルを使って汲み取ったものを、それぞれティスティンググラスへと注いでいく。そしてそれらをアイテムボックスから取り出した、木組の折り畳みしきテーブルの上に並べて見せた。
「それじゃぁ完成されたウイスキーとは何か説明するよ」
「はい! ショウゴさん!」
ミラちゃんはいつの間にかドワーフが作り出したという、重複記録石板を取り出して、一言も聞き漏らさない! そんな意思を感じさせる真剣な眼差しでこちらを見てきた。ははっ、新入社員みたいだな。懐かしい。
「まず、結論から言うと完成されたウイスキーなんて物は存在しないんだよ」
「えっ? ショウゴさんのウイスキーは完成したウイスキーですよね? 売り物にできる物は、完成品だからで……?」
言ってしまった。
俺の言葉を聞いてミラちゃんは混乱してしまったようだが、熟成のあいうえおを聞いてから勘違いを正されるよりは良い筈だと思ったんだがな……。いや、大丈夫、少しずつ誤解を解いていこう。
「確かに、侯爵様やアントンさん達に飲んでもらったウイスキーも、ユリアが大好きなシナモンウイスキーも喜ばれるお酒だから、ある意味完成品だ。だけどね、ウイスキー造りに終わりなんてないし、もっと言えば終わりや完璧なんてものが無いからこそウイスキーは魅力的なんだ。俺はこれを未完の美って思ってるんだよ」
「未完の美……」
ミラちゃんは俺の話を聞けば聞くほど、首が九十度に折れ曲がっていった。混乱は深まるばかりのようだ。
「さて、今は俺の言っていることが分からないだろうけど、これからそれを説明するからね」
「はい……よろしく、お願いします」
おっと、すでにオーバーヒートしそうな面持ちだぞ? 頼むからもう少しぐらいもってくれよ! 俺はそんな期待を抱きつつミラちゃんを前に説明を始めた。
「まず、ミラちゃんから見て左端の無色透明の液体。これはなんでしょうか?」
俺がまず指し示したのは、無色透明の液体が入ったグラスだった。ミラちゃんは石板を胸に抱きつつ、そろりと一歩前に踏み出してグラスをよぉく観察した。その他に机上には四年、八年、十二年と熟成された事になっているウイスキーを並べていた。
ミラちゃんは俺が指し示したグラスをよおく眺めた後に、グラスを手に取り俺の方をちらちらと伺いながら、大人がやっていたようにグラスをぎこちなく揺らして匂いを嗅ぎ取っていた。その匂いを嗅いだミラちゃんは、眉間と鼻頭に皺を寄せて明らかな嫌悪感を示していた。
「うぅっ、すごいお酒くさいです! 二日酔いのドワーフの匂いがしますぅ」
「はははっ、酒臭いおっさん臭みたいな匂いがするでしょ? ミラちゃんの言う通りで出来立てのウイスキーはただの酒精を含んだ液体なんだ。荒々しくて、どうしようもない暴れ馬、躾のなっていない手のかかる子供、すぐに怒り出すティナ……」
やばい、俺はニューポットの事を分かりやすく説明したかっただけなのに、ティナが勝手に思い浮かび上がってしまった。今のは失言だったな……。
「あはははっ、ティナさんが暴れ馬ですか? ティナさんには悪いと思うけど、なんかしっくり来ちゃいました」
「ほっ……まぁその今のは、忘れて?」
俺はひとまず受けたことに安堵して、バツが悪そうにお願いした。彼女はにこやかな笑顔を浮かべて承諾してくれた。
「ふふっはい。ティナさんに悪いですもんね」
「おっほん、話を元に戻すと。このグラスに入っているのは、ニューポットと言って麦芽を原料にして蒸留した生まれたてのモルトウイスキーなんだ」
「えっ? これもモルトウイスキーなんですか? 無色透明で、匂いだってすごい刺々しいのに……」
ミラちゃんが疑問に思うのも無理はないことだ。
彼女がいつも見ていたのは、綺麗な琥珀色をしたウイスキーであって、香味ともに長い熟成を経て荒らしさが取れたものばかり。それを俺たちがうまそうに飲んできたものだから、この無色透明で荒々しさしか無い液体をウイスキーだとは思えないのも無理はないことだよな。
====ニューポット====
単式蒸溜機《ポットスチル》から溜出したばかりの若いモルト・ウイスキーのことをいう。アルコール濃度約60~70%で、この段階ではまだ無色透明。若くて火のように激しく、鋭い香気にあふれている。
これがホワイト・オーク(木製)の樽に詰められ、長い間の貯蔵熟成を重ねると、あの琥珀色が生まれ、モルト・ウイスキー独特のコクのあるまろやかな風味を醸し出すのである。
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早熟……この世界はあまりに子供の成長が早すぎる。だからといって、ミラちゃんはやっぱりまだ子供で周りの大人達から天才と持て囃されたせいか、早くも自分の世界をしっかり抱いていて、あらゆる可能性を拒否して完璧を求めた結果、失敗に怯えて作品作りが止まっている。
そんな彼女の凝り固まった完璧主義を、どうにかしてほぐしてあげたい所だ。だって、この先何百年というドワーフ生を生きる彼女が、目先の完成度にばかりいちいち目を取られていては気が狂ってしまうだろうよ。
それに完璧主義っていうのは悪いことじゃない。己のこだわりを貫き通せてこそ、一人前の職人なんだと思う。というのも、これは受け売りだがブレンダーの先輩が言っていた事で「翔吾、お前はまだ若いから理想の為に馬鹿をやれ。あまりにも間違えていたら俺がなんとかしてやるから」そう言われた時は、なんとなくそんな迷惑はかけれないと思っていた。
でも今なら、全て自分の責任で酒造を経営している今ならわかる気がする。あの言葉の前後には、完璧を求めすぎて慎重になるな。何も恐れや勤勉だけが完璧に辿り着く事ではなくて、思い切った挑戦や、根拠のない自信が成功への鍵だったりする。そんな意味で、鋭い味覚と嗅覚を評価された結果、実質鳴り物入りでブレンダー室に入って来た、若い新人の俺に向けて言ってくれた言葉だったんだと思う。
あの頃は、周りが大先輩ばかりだったから彼らのように舐められない為にも、ミスをしないようにって、そればかり気にして緊張していた。でも今考えれば、俺に求められた本当の役割って若者が持っている突拍子もない発想だったり、若さ故の無謀みたいな革新だったりしたのかもしれない。
だから、ミラちゃんにもまずは完璧なんて物はない事を理解してもらいたい。その上で、自分の抱いている世界観を一度傍において、柔軟な思考を身につけて失敗を恐れないで欲しいな。そう言うのって、どうしても若い時の方が踏み切れる事だから。それを伝えるにはやっぱり、ウイスキーの無限の可能性を大きく左右させる熟成について伝えたい。
きっとそこにミラちゃんの為になるヒントがある筈だ。
「それじゃぁ、次はそれぞれの樽に詰められたウイスキーを見てみようか」
「良いんですか!」
これまた彼女の瞳がまん丸に見開かれ、紫色の宝石が輝いているようだった。
本当に、十一歳だよな……この子。どこの世界にウイスキーの話に、ここまではしゃげる十一歳がいるのだろうか。流石天才義肢職人。物作りは全て通じているんだなぁと思う。
「あっ、はははっ、はは、もちろんだよ。気が済むまで熟成の世界を案内してあげるから安心して」
「やった! これで何か職人として掴めそうな気がします!」
そんな力強く握り拳を作って、喜ばれるとなんだかプレッシャーだなぁ。もちろん嬉しさが勝つんだけどね。
俺はそんなことを思いながら、熟成によってウイスキーに変化が現れている物を用意した。ウイスキー樽からレードルを使って汲み取ったものを、それぞれティスティンググラスへと注いでいく。そしてそれらをアイテムボックスから取り出した、木組の折り畳みしきテーブルの上に並べて見せた。
「それじゃぁ完成されたウイスキーとは何か説明するよ」
「はい! ショウゴさん!」
ミラちゃんはいつの間にかドワーフが作り出したという、重複記録石板を取り出して、一言も聞き漏らさない! そんな意思を感じさせる真剣な眼差しでこちらを見てきた。ははっ、新入社員みたいだな。懐かしい。
「まず、結論から言うと完成されたウイスキーなんて物は存在しないんだよ」
「えっ? ショウゴさんのウイスキーは完成したウイスキーですよね? 売り物にできる物は、完成品だからで……?」
言ってしまった。
俺の言葉を聞いてミラちゃんは混乱してしまったようだが、熟成のあいうえおを聞いてから勘違いを正されるよりは良い筈だと思ったんだがな……。いや、大丈夫、少しずつ誤解を解いていこう。
「確かに、侯爵様やアントンさん達に飲んでもらったウイスキーも、ユリアが大好きなシナモンウイスキーも喜ばれるお酒だから、ある意味完成品だ。だけどね、ウイスキー造りに終わりなんてないし、もっと言えば終わりや完璧なんてものが無いからこそウイスキーは魅力的なんだ。俺はこれを未完の美って思ってるんだよ」
「未完の美……」
ミラちゃんは俺の話を聞けば聞くほど、首が九十度に折れ曲がっていった。混乱は深まるばかりのようだ。
「さて、今は俺の言っていることが分からないだろうけど、これからそれを説明するからね」
「はい……よろしく、お願いします」
おっと、すでにオーバーヒートしそうな面持ちだぞ? 頼むからもう少しぐらいもってくれよ! 俺はそんな期待を抱きつつミラちゃんを前に説明を始めた。
「まず、ミラちゃんから見て左端の無色透明の液体。これはなんでしょうか?」
俺がまず指し示したのは、無色透明の液体が入ったグラスだった。ミラちゃんは石板を胸に抱きつつ、そろりと一歩前に踏み出してグラスをよぉく観察した。その他に机上には四年、八年、十二年と熟成された事になっているウイスキーを並べていた。
ミラちゃんは俺が指し示したグラスをよおく眺めた後に、グラスを手に取り俺の方をちらちらと伺いながら、大人がやっていたようにグラスをぎこちなく揺らして匂いを嗅ぎ取っていた。その匂いを嗅いだミラちゃんは、眉間と鼻頭に皺を寄せて明らかな嫌悪感を示していた。
「うぅっ、すごいお酒くさいです! 二日酔いのドワーフの匂いがしますぅ」
「はははっ、酒臭いおっさん臭みたいな匂いがするでしょ? ミラちゃんの言う通りで出来立てのウイスキーはただの酒精を含んだ液体なんだ。荒々しくて、どうしようもない暴れ馬、躾のなっていない手のかかる子供、すぐに怒り出すティナ……」
やばい、俺はニューポットの事を分かりやすく説明したかっただけなのに、ティナが勝手に思い浮かび上がってしまった。今のは失言だったな……。
「あはははっ、ティナさんが暴れ馬ですか? ティナさんには悪いと思うけど、なんかしっくり来ちゃいました」
「ほっ……まぁその今のは、忘れて?」
俺はひとまず受けたことに安堵して、バツが悪そうにお願いした。彼女はにこやかな笑顔を浮かべて承諾してくれた。
「ふふっはい。ティナさんに悪いですもんね」
「おっほん、話を元に戻すと。このグラスに入っているのは、ニューポットと言って麦芽を原料にして蒸留した生まれたてのモルトウイスキーなんだ」
「えっ? これもモルトウイスキーなんですか? 無色透明で、匂いだってすごい刺々しいのに……」
ミラちゃんが疑問に思うのも無理はないことだ。
彼女がいつも見ていたのは、綺麗な琥珀色をしたウイスキーであって、香味ともに長い熟成を経て荒らしさが取れたものばかり。それを俺たちがうまそうに飲んできたものだから、この無色透明で荒々しさしか無い液体をウイスキーだとは思えないのも無理はないことだよな。
====ニューポット====
単式蒸溜機《ポットスチル》から溜出したばかりの若いモルト・ウイスキーのことをいう。アルコール濃度約60~70%で、この段階ではまだ無色透明。若くて火のように激しく、鋭い香気にあふれている。
これがホワイト・オーク(木製)の樽に詰められ、長い間の貯蔵熟成を重ねると、あの琥珀色が生まれ、モルト・ウイスキー独特のコクのあるまろやかな風味を醸し出すのである。
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