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プロローグ:鱗肌の少年 編
マフラーの少女
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「うーん、終わったぁー」
今日は午前中で放課である。少年はうんとのびをしながら言った。
「おい、ゲツ! 今日の午後カラオケ行こうぜ」
「おっ、いいね。……でも今日は予定があるんだよねー」
「そーなの? じゃーまたこんどなー」
「おーう」
ゲツと呼ばれたこの少年は、つい1時間前の出来事を思い出していた。
「とはいえ、一体何を言われるんだろう……女の子に『屋上いこう』って言われるなんて……」
ゲツは肘をついてまた考え込んだ。
「今日は変な日だな……楽しくていいけど」
----一時間前----
「おい」
授業が終わり、次の授業の準備をしていたゲツは、唐突に話しかけられた。
「えっ!? な、なに?」
「お前、今日黒髪ロングの3年生と合わなかったか?」
そう聞いてきたのは、同じクラスメイトの変な少女だった。藍色に近い髪をポニーテールにしてまとめており、夏の半袖制服と相まってとても爽やかな印象を受ける。
……首に巻いているマフラーを除いて。
「あー……そういえば会ったなぁ」
そう言って、ゲツは目の前のこの少女の名前を思い出した。
「えっと、君の名前って、アギハ……であってるよね?」
「そうだけど」
「……なんでマフラー巻いてるの? 暑くない?」
この少女はゲツが初めて見た時からずっと、マフラーを巻いていた。その理由を知っている者は、この学校にはいなかった。
「……そんなのは個人の勝手だろ」
ゲツは、それもそうだな、と思って聞くのをやめた。
「それで、その3年生がどうしたの?」
ゲツはそのマフラー少女、アギハに質問した。
「ここでは話せない、人が多い。だから——」
「放課後、屋上に来い」
「!?」
「わかったな? それじゃ」
「ちょまって! マジで!?」
ゲツは席に戻ろうとするマフラー少女の肩を掴んで言った。
「どんな話するかだけ教えてよ!」
横目でこちらを見ながら、アギハは少しイラッとした顔をして、
「……そんなのわかるだろ」
と言った。
「わかんないんだよなぁ……」
屋上についたゲツは、そわそわしていた。
「何を言われるのかな」
なぜゲツがそわそわしているのかというと、あの女の子はそのヤバい自己紹介のせいでクラスで浮いてしまっていたので気付かなかったが、さっき間近で見たところ、かなりかわいいと気付いたからだ。……夏の制服に、そして少し地黒の肌には似合わない青マフラーを巻いていること以外は。
「うーん、アギハさんとはあんまり接点ないしなー」
ゲツは考えこんだ。
「……告白、ってわけでもないよな」
と言いながらも、ゲツは少し期待しているようだ。
「……あっ、もしかして……朝のことか?」
と考えていたところ、階段のドアがガチャリと開いた。
「!」
出てきたのはあのマフラー少女だ。やっぱ暑くないのだろうか、とゲツは思った。
アギハはつかつかと歩み寄ってきた。
「それで、話って何?」
アギハは何も答えずに、さらに近づいてきた。彼女の身長はゲツと比べると15cmくらい小さいので、少し見上げる感じになった。
「なっ……ちょ、近くない?」
少しどぎまぎしながら言った。
すると、アギハは口を開いた。
「お前の話はリランから聞いた。全身鱗だらけの人間がいるってね」
「ゔふぇ!?」
ゲツの中に衝撃が走った。あれは夢じゃなかった!
「私はそれを調べにきた。今その状態にできるか?」
「で、できないよ……どうやってああなったか、よくわからないし……てか、あのときバレてたんだな……」
「そう」
彼女はゆっくりと背中を向けた。藍色のポニーテールが少しだけ揺れた。
「それじゃ、もう少し付き合ってもらう」
「えっ?」
そして振り向いた。
「お前の家まで私を連れて行け」
(今親がいないからよかったけど、これフツーにヤバいよなー……)
自分の部屋に女の子を連れてきてしまった。……といっても、その子は「お前の肌が変わるという、その能力が知りたいだけだ。間違ってもそんな気はない」と言っていたわけだが。
両親は現在旅行中だったので良かったけど、もし今いたならば、間違いなく質問責めに合うだろう、とゲツは思った。
「それにしても……“魔法“だっけ?そんな力が俺にあるっていうの?」
「おそらくそうだ。全身っていうのはちょっと信じられないけど……まぁ見ないとわからない」
「……あと、何で俺の魔法を知りたがるの?」
「安全のためだ」
「あんぜん……」
ゲツが自宅に案内している時に質問したところ、この力の名は“魔法”というらしい。最近になって、この街に同様の力を持つ“魔法使い”達が現れ始めた、というのだ。
彼女達(仲間が数人いるらしい)は色々調べてはみたが、大した情報は得られなかったらしい。この魔法は私達にもわからないことが多い、とアギハは言っていた。
「言っとくが魔法は仮称なんだ。どんなに調べても、名前すら出てこないんで、私達が名付けたんだ」
「そーなんだ……あ、なんか飲み物持ってくるね」
「あ……ありがと」
ゲツは立ち上がって、廊下につながるドアを開けた。
「そういえばさー」
「どうした?」
「アギハも魔法使えるんでしょ? どんなのが使えるの?」
「それは……」
アギハの目が少し大きくなった。
「別に気にするほどでもないようなもんだ」
しかしその目は小さくなって、少しうつむいた。
「……うーん、まあいいや。とりあえず飲み物持ってくるね。あとマフラー脱いだら?」
そう言ってゲツは階段を降りて行った。
(そういえば、私、男子の部屋に上がるなんてのは初めてだな)
アギハはマフラーを脱ぎながら部屋を見渡した。あまり気になるものはなかった。
(最近になって、このような魔法を使える者……“魔法使い”が爆発的に増えてきている)
マフラーをバッグの中に入れると、立ち上がって窓の方へ向かった。
まだ昼下がりだった外は日がカンカンと照っていて、いかにも夏、と言った感じだった。
(どうしてなのか——こいつからわかるかもしれない)
ゲツが部屋に戻ってきた。
「おまたせ」
「ああ、ありが——ゲェッ!?」
「ん? ああこれ? いやー最近はまっててさ、君もどう?」
この男が持ってきたのはエナジードリンクだった。それもあの爪痕が緑色のヤツである。
「お前、そんなもの4本も……まさか全部飲む気でいるのか?」
「全部じゃないけど、どうして?」
「どうしても何もあるか! 死ぬかもしんねーんだぞ!」
「ええええええ!? マジ!? もう毎日のむ気でいたから50本くらい買いだめしちゃったよ」
「アホ!エナドリが体に悪いことさえも知らんのか!」
アギハはため息をついた。
「一本だけにしときなよ」
「ちぇー、最近始めたて飲んですっごくうまかったから、夏休み中飲み続けてやろうと思ったのに」
そう言いながら机にコップを置いた。そしてプシュと小気味良い音を立てて、缶のふたを開けた。
「……あ、私も飲む」
「ん、じゃあそれ開けて飲んでいいよ」
アギハはゲツが持ってきた4本のうち一本を手に取った。
「お前、コップに注がないの?」
「……ぷはー、えー? だってメンドーだし」
「はぁ……そう」
じゃあ何で持ってきたの、という疑問が頭に浮かんだが、聞くのが面倒になってやめた。アギハはプルタブに指をかけた。
「そういえば、昨日はあんまり眠れなくてさー、今日の授業寝ちまうところだったよ」
「それさ、昨日もそれ、飲んだんじゃないの?もしかして」
「そうだよ。これが原因なの?」
「はぁぁ、お前そんなことも知らずに——」
プシュと缶を開け、ゲツの方を見たとき、アギハは目を見張った。
「お前——それ! その肌は!」
「え?——えええええ!!!?」
突然現れたその変化に、二人は口を揃えて言った。
「「は、肌が鱗になっているっ!!!」」
続く
今日は午前中で放課である。少年はうんとのびをしながら言った。
「おい、ゲツ! 今日の午後カラオケ行こうぜ」
「おっ、いいね。……でも今日は予定があるんだよねー」
「そーなの? じゃーまたこんどなー」
「おーう」
ゲツと呼ばれたこの少年は、つい1時間前の出来事を思い出していた。
「とはいえ、一体何を言われるんだろう……女の子に『屋上いこう』って言われるなんて……」
ゲツは肘をついてまた考え込んだ。
「今日は変な日だな……楽しくていいけど」
----一時間前----
「おい」
授業が終わり、次の授業の準備をしていたゲツは、唐突に話しかけられた。
「えっ!? な、なに?」
「お前、今日黒髪ロングの3年生と合わなかったか?」
そう聞いてきたのは、同じクラスメイトの変な少女だった。藍色に近い髪をポニーテールにしてまとめており、夏の半袖制服と相まってとても爽やかな印象を受ける。
……首に巻いているマフラーを除いて。
「あー……そういえば会ったなぁ」
そう言って、ゲツは目の前のこの少女の名前を思い出した。
「えっと、君の名前って、アギハ……であってるよね?」
「そうだけど」
「……なんでマフラー巻いてるの? 暑くない?」
この少女はゲツが初めて見た時からずっと、マフラーを巻いていた。その理由を知っている者は、この学校にはいなかった。
「……そんなのは個人の勝手だろ」
ゲツは、それもそうだな、と思って聞くのをやめた。
「それで、その3年生がどうしたの?」
ゲツはそのマフラー少女、アギハに質問した。
「ここでは話せない、人が多い。だから——」
「放課後、屋上に来い」
「!?」
「わかったな? それじゃ」
「ちょまって! マジで!?」
ゲツは席に戻ろうとするマフラー少女の肩を掴んで言った。
「どんな話するかだけ教えてよ!」
横目でこちらを見ながら、アギハは少しイラッとした顔をして、
「……そんなのわかるだろ」
と言った。
「わかんないんだよなぁ……」
屋上についたゲツは、そわそわしていた。
「何を言われるのかな」
なぜゲツがそわそわしているのかというと、あの女の子はそのヤバい自己紹介のせいでクラスで浮いてしまっていたので気付かなかったが、さっき間近で見たところ、かなりかわいいと気付いたからだ。……夏の制服に、そして少し地黒の肌には似合わない青マフラーを巻いていること以外は。
「うーん、アギハさんとはあんまり接点ないしなー」
ゲツは考えこんだ。
「……告白、ってわけでもないよな」
と言いながらも、ゲツは少し期待しているようだ。
「……あっ、もしかして……朝のことか?」
と考えていたところ、階段のドアがガチャリと開いた。
「!」
出てきたのはあのマフラー少女だ。やっぱ暑くないのだろうか、とゲツは思った。
アギハはつかつかと歩み寄ってきた。
「それで、話って何?」
アギハは何も答えずに、さらに近づいてきた。彼女の身長はゲツと比べると15cmくらい小さいので、少し見上げる感じになった。
「なっ……ちょ、近くない?」
少しどぎまぎしながら言った。
すると、アギハは口を開いた。
「お前の話はリランから聞いた。全身鱗だらけの人間がいるってね」
「ゔふぇ!?」
ゲツの中に衝撃が走った。あれは夢じゃなかった!
「私はそれを調べにきた。今その状態にできるか?」
「で、できないよ……どうやってああなったか、よくわからないし……てか、あのときバレてたんだな……」
「そう」
彼女はゆっくりと背中を向けた。藍色のポニーテールが少しだけ揺れた。
「それじゃ、もう少し付き合ってもらう」
「えっ?」
そして振り向いた。
「お前の家まで私を連れて行け」
(今親がいないからよかったけど、これフツーにヤバいよなー……)
自分の部屋に女の子を連れてきてしまった。……といっても、その子は「お前の肌が変わるという、その能力が知りたいだけだ。間違ってもそんな気はない」と言っていたわけだが。
両親は現在旅行中だったので良かったけど、もし今いたならば、間違いなく質問責めに合うだろう、とゲツは思った。
「それにしても……“魔法“だっけ?そんな力が俺にあるっていうの?」
「おそらくそうだ。全身っていうのはちょっと信じられないけど……まぁ見ないとわからない」
「……あと、何で俺の魔法を知りたがるの?」
「安全のためだ」
「あんぜん……」
ゲツが自宅に案内している時に質問したところ、この力の名は“魔法”というらしい。最近になって、この街に同様の力を持つ“魔法使い”達が現れ始めた、というのだ。
彼女達(仲間が数人いるらしい)は色々調べてはみたが、大した情報は得られなかったらしい。この魔法は私達にもわからないことが多い、とアギハは言っていた。
「言っとくが魔法は仮称なんだ。どんなに調べても、名前すら出てこないんで、私達が名付けたんだ」
「そーなんだ……あ、なんか飲み物持ってくるね」
「あ……ありがと」
ゲツは立ち上がって、廊下につながるドアを開けた。
「そういえばさー」
「どうした?」
「アギハも魔法使えるんでしょ? どんなのが使えるの?」
「それは……」
アギハの目が少し大きくなった。
「別に気にするほどでもないようなもんだ」
しかしその目は小さくなって、少しうつむいた。
「……うーん、まあいいや。とりあえず飲み物持ってくるね。あとマフラー脱いだら?」
そう言ってゲツは階段を降りて行った。
(そういえば、私、男子の部屋に上がるなんてのは初めてだな)
アギハはマフラーを脱ぎながら部屋を見渡した。あまり気になるものはなかった。
(最近になって、このような魔法を使える者……“魔法使い”が爆発的に増えてきている)
マフラーをバッグの中に入れると、立ち上がって窓の方へ向かった。
まだ昼下がりだった外は日がカンカンと照っていて、いかにも夏、と言った感じだった。
(どうしてなのか——こいつからわかるかもしれない)
ゲツが部屋に戻ってきた。
「おまたせ」
「ああ、ありが——ゲェッ!?」
「ん? ああこれ? いやー最近はまっててさ、君もどう?」
この男が持ってきたのはエナジードリンクだった。それもあの爪痕が緑色のヤツである。
「お前、そんなもの4本も……まさか全部飲む気でいるのか?」
「全部じゃないけど、どうして?」
「どうしても何もあるか! 死ぬかもしんねーんだぞ!」
「ええええええ!? マジ!? もう毎日のむ気でいたから50本くらい買いだめしちゃったよ」
「アホ!エナドリが体に悪いことさえも知らんのか!」
アギハはため息をついた。
「一本だけにしときなよ」
「ちぇー、最近始めたて飲んですっごくうまかったから、夏休み中飲み続けてやろうと思ったのに」
そう言いながら机にコップを置いた。そしてプシュと小気味良い音を立てて、缶のふたを開けた。
「……あ、私も飲む」
「ん、じゃあそれ開けて飲んでいいよ」
アギハはゲツが持ってきた4本のうち一本を手に取った。
「お前、コップに注がないの?」
「……ぷはー、えー? だってメンドーだし」
「はぁ……そう」
じゃあ何で持ってきたの、という疑問が頭に浮かんだが、聞くのが面倒になってやめた。アギハはプルタブに指をかけた。
「そういえば、昨日はあんまり眠れなくてさー、今日の授業寝ちまうところだったよ」
「それさ、昨日もそれ、飲んだんじゃないの?もしかして」
「そうだよ。これが原因なの?」
「はぁぁ、お前そんなことも知らずに——」
プシュと缶を開け、ゲツの方を見たとき、アギハは目を見張った。
「お前——それ! その肌は!」
「え?——えええええ!!!?」
突然現れたその変化に、二人は口を揃えて言った。
「「は、肌が鱗になっているっ!!!」」
続く
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