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プロローグ:鱗肌の少年 編
ビウィッチ・イントゥ・モンスター
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(間違いない、こいつは……魔法使いだ!しかも全身を変化させることができる、今までに見たこともない新しいタイプだ!)
アギハは確信してそう思った。ゲツは全身の肌の隅々まで一瞬で鱗になってしまった自分に、改めて驚きを隠せていなかった。
「うわあああああ!! まただ!! これだああ!! こ、こんな一瞬でえええ!! 昨日はジワジワとだったのにいいい!!!」
アギハは頭を抱え喚いている180cmくらいの男子の手を取った。明らかに体がデカくなっている、と彼女は感じた。
「おい落ち着け! これがお前の”魔法“だよ!」
「おおおおおう、そうそうそうだった!!! これが魔法ね! そうか! 魔法かぁ!」
「そうだよ魔法だ! そしてこれでお前の魔法発動のトリガーがわかった!」
「トリガー!?? なにそれ??!」
「キッカケって事だよ!」
文字通り目の色が変わったゲツは、顔を上げた。鱗だらけのその顔は、さっきまでの冴えない顔ではなくなっていた。
「俺なんかしたっけ!? 昨日今日と、そんなキッカケになる事したっけ!?」
その顔に、アギハは少し面食らってしまった。
「そっ……それは、お前がモンスターを飲む事だよ! お前昨日も飲んだんだろ!? 魔法が発動したのは、そのあとのことだっただろ!違うか!?」
「モンスター……? はっ!! あああそうか! それだ! それが原因か!」
ゲツの目が見開いた。
「そうだよ、その後のことだよ! なかなか寝付けないんで漫画読もうとしたら、体がおかしなことになってたんだよ! はぁーすっきり!」
「はぁぁぁ、疲れた……」
アギハは巻いてあるマフラーで口を隠そうとしたが、巻いてなかったのでできなかった。そのままストンと座った。
「と、ともかく、これでお前の魔法はわかった。『全身の肌を鱗にする』能力だな……多分」
ゲツは落ち着きを取り戻した。少しだけ残っていたエナジードリンクを飲み干してから言った。
「それ全然使えないんじゃ……」
「うん。でもそんなもんだ。この魔法ってのは……まあ私個人の考えになるが」
アギハは一呼吸置いて続けた。
「本人が頭のどこかで『欲しい』と思っているようなものになるんだ」
「欲しいと思っている? うーん、俺、鱗なんて欲しくないよ」
「……なら、無意識下で『鱗が欲しい』って思っていたのかもしれないな……」
アギハは腕を組んだ。
「それか『鱗が欲しい』ではなく、それは表面上の変化で、まだ他に変化がある……の、どっちかかな」
「あ、このコップ使ってないしなおすか」
「聞けよ」
ゲツは自分用に持ってきて結局使ってないコップを持って、立ち上がった。
「ほんとーに不便だなーこれ、もうあれ飲めないのかな……」
ゲツが腕を見ながら言った。
「飲まないってことは健康にいいと思うぞ」
「うーん……まあそうかも、死にたくないし……」
ゲツは「はあーっ」とため息をついて、ドアの方に向かった。
しかし不注意だったゲツは、
「おあっ」
と声を出して、机の脚に躓いてしまった。
そのまま倒れこんでいく。
顔から床にぶつかるわけにはいかないので、手をつこうとコップを持ってない左腕を伸ばした。
(あれ?)
この時、ゲツはこう思った。
(なんか、倒れる速度遅くね?)
余裕で左手をつくことができた。それどころか、右手の中にあるコップを机にゆっくりと置くヒマさえもあったのだ。
ゲツはコップを机に置いた。
(あ、これ起き上がれるな)
そう思ったゲツは、曲げた左腕を思いっきり伸ばし、
「よいしょっとぉ!!」
その勢いで元の立っていた体制に戻した。
「ふぅー、危ない。コップが割れそうだった……」
ゲツは机に置いたコップを見た。傷一つ付いてなかったので、彼は「あーよかった~」とこぼした。
「なっ……お前そんなこと出来たのか!?」
アギハが驚いている。
「いいや? 普段は無理だけど、さっきはなんか、力が湧いてきたっつーか、スローに見えたっつーか? そんな感じだったんだよ、なぜか」
アギハが自分のバックから、おもむろにノートを取り出した。
「……破いてみてくれ。もう使ったやつだから」
「え?そんな無理だよこんなの、こんな厚みのやつを……」
ゲツはそう言いながら手に取って、
「ほら無理でしょ……え?」
軽々と破いてしまった。
「……!!!」
アギハは絶句している。そしてこう思った。
(この能力は——危険だ!とんでもなく!)
アギハは自分のこれまでの経験を思い出していた。
(この魔法は……人をも殺せるだけの力がある!)
「……す、すごい……こんな簡単に破けるなんて、思ってなかった……」
ゲツはゆっくりとアギハの方を向いた。
「こ、これ、これってさ……アギハ……」
「……うん。これがお前の魔法だ」
「すごい、すごいぞ! これは! とんでもない力じゃないか! やったぜ!」
アギハは複雑な顔をしていた。
それに気がついたゲツは、心配して、
「……?どうしたの?」
と聞いた。
「……人を超えるような、殺せるような力だろ? それは……その魔法は」
アギハは少し間をおいて話し始めた。
「そう……か、そうかも……」
「その力を使うという事——その力をお前以外が持っていない中で、それを使うっていうのは……」
アギハは自分のポケットから、何か黒いものを取り出した。
「それだけの責任が伴う事だ」
「な……何を……?」
そしてアギハは、それをこちらに向けてきた。
それは——小さな自動拳銃だった。
「お前がその責任を背負っていくに足る人間なのか……見させてもらおう」
続く
アギハは確信してそう思った。ゲツは全身の肌の隅々まで一瞬で鱗になってしまった自分に、改めて驚きを隠せていなかった。
「うわあああああ!! まただ!! これだああ!! こ、こんな一瞬でえええ!! 昨日はジワジワとだったのにいいい!!!」
アギハは頭を抱え喚いている180cmくらいの男子の手を取った。明らかに体がデカくなっている、と彼女は感じた。
「おい落ち着け! これがお前の”魔法“だよ!」
「おおおおおう、そうそうそうだった!!! これが魔法ね! そうか! 魔法かぁ!」
「そうだよ魔法だ! そしてこれでお前の魔法発動のトリガーがわかった!」
「トリガー!?? なにそれ??!」
「キッカケって事だよ!」
文字通り目の色が変わったゲツは、顔を上げた。鱗だらけのその顔は、さっきまでの冴えない顔ではなくなっていた。
「俺なんかしたっけ!? 昨日今日と、そんなキッカケになる事したっけ!?」
その顔に、アギハは少し面食らってしまった。
「そっ……それは、お前がモンスターを飲む事だよ! お前昨日も飲んだんだろ!? 魔法が発動したのは、そのあとのことだっただろ!違うか!?」
「モンスター……? はっ!! あああそうか! それだ! それが原因か!」
ゲツの目が見開いた。
「そうだよ、その後のことだよ! なかなか寝付けないんで漫画読もうとしたら、体がおかしなことになってたんだよ! はぁーすっきり!」
「はぁぁぁ、疲れた……」
アギハは巻いてあるマフラーで口を隠そうとしたが、巻いてなかったのでできなかった。そのままストンと座った。
「と、ともかく、これでお前の魔法はわかった。『全身の肌を鱗にする』能力だな……多分」
ゲツは落ち着きを取り戻した。少しだけ残っていたエナジードリンクを飲み干してから言った。
「それ全然使えないんじゃ……」
「うん。でもそんなもんだ。この魔法ってのは……まあ私個人の考えになるが」
アギハは一呼吸置いて続けた。
「本人が頭のどこかで『欲しい』と思っているようなものになるんだ」
「欲しいと思っている? うーん、俺、鱗なんて欲しくないよ」
「……なら、無意識下で『鱗が欲しい』って思っていたのかもしれないな……」
アギハは腕を組んだ。
「それか『鱗が欲しい』ではなく、それは表面上の変化で、まだ他に変化がある……の、どっちかかな」
「あ、このコップ使ってないしなおすか」
「聞けよ」
ゲツは自分用に持ってきて結局使ってないコップを持って、立ち上がった。
「ほんとーに不便だなーこれ、もうあれ飲めないのかな……」
ゲツが腕を見ながら言った。
「飲まないってことは健康にいいと思うぞ」
「うーん……まあそうかも、死にたくないし……」
ゲツは「はあーっ」とため息をついて、ドアの方に向かった。
しかし不注意だったゲツは、
「おあっ」
と声を出して、机の脚に躓いてしまった。
そのまま倒れこんでいく。
顔から床にぶつかるわけにはいかないので、手をつこうとコップを持ってない左腕を伸ばした。
(あれ?)
この時、ゲツはこう思った。
(なんか、倒れる速度遅くね?)
余裕で左手をつくことができた。それどころか、右手の中にあるコップを机にゆっくりと置くヒマさえもあったのだ。
ゲツはコップを机に置いた。
(あ、これ起き上がれるな)
そう思ったゲツは、曲げた左腕を思いっきり伸ばし、
「よいしょっとぉ!!」
その勢いで元の立っていた体制に戻した。
「ふぅー、危ない。コップが割れそうだった……」
ゲツは机に置いたコップを見た。傷一つ付いてなかったので、彼は「あーよかった~」とこぼした。
「なっ……お前そんなこと出来たのか!?」
アギハが驚いている。
「いいや? 普段は無理だけど、さっきはなんか、力が湧いてきたっつーか、スローに見えたっつーか? そんな感じだったんだよ、なぜか」
アギハが自分のバックから、おもむろにノートを取り出した。
「……破いてみてくれ。もう使ったやつだから」
「え?そんな無理だよこんなの、こんな厚みのやつを……」
ゲツはそう言いながら手に取って、
「ほら無理でしょ……え?」
軽々と破いてしまった。
「……!!!」
アギハは絶句している。そしてこう思った。
(この能力は——危険だ!とんでもなく!)
アギハは自分のこれまでの経験を思い出していた。
(この魔法は……人をも殺せるだけの力がある!)
「……す、すごい……こんな簡単に破けるなんて、思ってなかった……」
ゲツはゆっくりとアギハの方を向いた。
「こ、これ、これってさ……アギハ……」
「……うん。これがお前の魔法だ」
「すごい、すごいぞ! これは! とんでもない力じゃないか! やったぜ!」
アギハは複雑な顔をしていた。
それに気がついたゲツは、心配して、
「……?どうしたの?」
と聞いた。
「……人を超えるような、殺せるような力だろ? それは……その魔法は」
アギハは少し間をおいて話し始めた。
「そう……か、そうかも……」
「その力を使うという事——その力をお前以外が持っていない中で、それを使うっていうのは……」
アギハは自分のポケットから、何か黒いものを取り出した。
「それだけの責任が伴う事だ」
「な……何を……?」
そしてアギハは、それをこちらに向けてきた。
それは——小さな自動拳銃だった。
「お前がその責任を背負っていくに足る人間なのか……見させてもらおう」
続く
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