学校一のイケメンと付き合っています。

まりも

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1話

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「俺と付き合って欲しい」


学校でも一二を争う程のモテ男と称される男が、真剣な顔付きで告げた言葉は驚き以外の感情は起きなかった。
「はいぃ?」
私が古○任○郎のような聞き返しをしてしまったのは悪くない。それ程、ありえない事態が目の前で起きている。
男の名前は西島真澄だったと思う。
記憶が曖昧なのは高校3年間で彼と同じクラスになったことが無く、人伝でしか聞いたことがないから。つまり、この人と私に接点が無い。
そもそも彼は私の名前を知っているかすら怪しい状態だ。
「えーと、西島くん、だっけ?私の名前知ってる?人違いじゃない?」
「知ってるよ。B組の浦田月乃さん。」
ニコッと笑顔付きで名前を呼ばれる破壊力。なるほど、これがモテ男の力か。
「人違いじゃないなら、何かの罰ゲーム?」
「違うよ。でも、純粋な好意でもないかな。」
純粋な好意ではない。その言葉に納得してしまった。何かの思惑があるのは明らかだ。罰ゲームじゃないだけありがたい。そもそも彼は初めから好きとは一言も言っていないのだ。
「お金は無いよ?」
「金銭的な話じゃなくて、ただ単に俺の彼女になってほしいんだ。」
あぁ、なるほど、そういう系か・・・・。

はぁ?

「なんで?」
「他の女の子の告白を断るため。」
彼の話を要約すると、最近告白される頻度が上がり、付き合うことは出来ないと断り続けているが、中には納得出来ずにストーカー化する人も出てきていて、生活に響いてきているとのこと。
明確な理由もなく振られて納得が出来ない女性陣を納得させる理由。それが彼女の存在。彼女がいれば、あっさりと引き下がるだろうと考えたと話す。
「そこで、浦田さんに彼女になってもらいたい。」
「なんで私なの?別に友達でもないのに。」
「君が俺に1ミリも興味が無いからだよ。クラスの男子にそういう子はいないかなって聞いたら、君の名前が出てきたんだ。」
なるほど。確かに周りの女子は少なからず彼に好意を抱いているだろう。その点私は、イケメンだとは思うけれど、付き合いたいとは思わない。そもそも私自身は男子と付き合うとか考えたこともないような人間だ。理にかなっていなくも無い。
「高校卒業するまででいい。その後に振ってもらっても構わない。もし浦田さんに好きな人が出来たら俺は身を引くし、迷惑になりそうなら、言ってもらったら別れる。」
あまりにも真剣な眼差しに、本当に困っているんだろうな、と少し同情的になってしまった。気づけば私は彼の申し出を了承し、付き合うことになったのだった。

高校3年生の春。
まさかのイケメン彼氏が出来ました。






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