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本編 18.12 - 19.03
夢/771/ファンタジー?
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昨日はベッドで寝たはずだ。なのに何故、外に、それも航空機を優に超える高さの上空にいるのか。落ちもせずただ浮いている。唐突にこんな状況になったなら、普通は冷静さを欠くだろう。現にそうなっているのだが、十数分もあれば落ち着いてしまう。傍から見ても何かのトリックとしか思わないだろう。こんな上空でも呼吸に困らず動けているのだ。
下方に小さく、光るモノが動いている。その向こうには人工物と自然の境界と忙しく動く人々が見えるような、見えないような。そもそも、どうにかして降りなければならない。電車通学のため07:00には家を出なければならないし、日は既に登り始めている。
下に、引っ張られるような力を感じた。気づけばゆっくりと、そして徐々に速度を増して落ちている。加速度的に近くなる街を前に、足掻く他には何も出来ない。太陽は逆再生するように東の縁に戻り始め、そして夜に入った。赤く輝く高層ビルの縁が頬を掠め、さらに下に落ちていく。車が一斉に停止した歩車分離の交差点を動く歩行者はゼロ。数台の車がいる交差点の中央が近づき──
ベッドの上にいた。時刻は05:32。1時間半ほどあるが、油断すればすぐに去ってしまう。ベッドから身を起こし部屋を出る。トースターに食パンを入れ、タイマーを設定する。冷蔵庫からハムと生卵を取り出し、少しは熱くなったフライパンにサラダ油を垂らす。
最近見る夢は、やけに現実味がある。起きていたかのような感覚に惑わされるからか、目覚めが悪い。寝ても取れないどころか、倍にして返される疲れに、ため息を吐いた。寝ぼけたままガステーブルに触れ、温覚が反応する。
目が覚めた。枕元のデジタル時計は05:32を示している。布団の代わりに夢の中の安心感を纏い、食パンをセットしてから冷蔵庫からハムと生卵を取り出す。眠いままの頭は、テーブルの脚の角へと向かう小指に気が付かなかった。
激痛が襲う。
いつからだろう。疲れが取れなくなったのは。
下方に小さく、光るモノが動いている。その向こうには人工物と自然の境界と忙しく動く人々が見えるような、見えないような。そもそも、どうにかして降りなければならない。電車通学のため07:00には家を出なければならないし、日は既に登り始めている。
下に、引っ張られるような力を感じた。気づけばゆっくりと、そして徐々に速度を増して落ちている。加速度的に近くなる街を前に、足掻く他には何も出来ない。太陽は逆再生するように東の縁に戻り始め、そして夜に入った。赤く輝く高層ビルの縁が頬を掠め、さらに下に落ちていく。車が一斉に停止した歩車分離の交差点を動く歩行者はゼロ。数台の車がいる交差点の中央が近づき──
ベッドの上にいた。時刻は05:32。1時間半ほどあるが、油断すればすぐに去ってしまう。ベッドから身を起こし部屋を出る。トースターに食パンを入れ、タイマーを設定する。冷蔵庫からハムと生卵を取り出し、少しは熱くなったフライパンにサラダ油を垂らす。
最近見る夢は、やけに現実味がある。起きていたかのような感覚に惑わされるからか、目覚めが悪い。寝ても取れないどころか、倍にして返される疲れに、ため息を吐いた。寝ぼけたままガステーブルに触れ、温覚が反応する。
目が覚めた。枕元のデジタル時計は05:32を示している。布団の代わりに夢の中の安心感を纏い、食パンをセットしてから冷蔵庫からハムと生卵を取り出す。眠いままの頭は、テーブルの脚の角へと向かう小指に気が付かなかった。
激痛が襲う。
いつからだろう。疲れが取れなくなったのは。
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