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第2章 魔王軍四天王 リベルタ
第二十一話
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俺は、彼が寝ているベッドの横で椅子に座って見ていた。
あの後、彼を抱えて孤児院まで帰った。先生はとても驚いていたが、魔王軍にやられたものだと思ったらしく、傷薬や包帯等を持ってきてくれた。
そうして処置を施して、彼が目覚めて何か事を起こすと困るからと俺が見張りをして、朝を迎えた。
軽い仮眠は取ったが、やはりちゃんと熟睡しないと少し眠い。
「ふわぁぁ…。」
コンコン
「入っていいよ。」
「失礼いたします。」
扉を開けて、1人分の朝食を持ったシエルが入ってきた。
「おはようございます、アルバ様。朝食をお持ちしました。」
「おはよう。ありがとうな、シエル。」
受け取って、側にある机に置く。
昨日の晩もそうだったが、俺達がここに滞在している間、先生が食事を用意している。本当にありがたい。
少し質素だが、とても美味しく、なにより、安心感のある味だ。今度、レシピを聞いてみよう。
シエルが彼の方に視線を動かして、聞いてくる。
「まだ、目を覚ましていないのですね。」
「……ああ。」
「アルバ様、交代しますか? 少しお休みになられた方がよいかと。」
「ありがとう。でも、大丈夫だよ。一応、少しは仮眠を取ったから。」
「そうですか。」
シエルは、俺の事を少し心配しているようだった。
このままだと、ずっと俺と一緒にいると言いかねない。
「それより、シエル、孤児院の子供達と遊んでおいで。」
「えっ、しかし…」
「だーかーら、大丈夫だって。せっかくだし、たくさん交流してきた方が、シエルにとって良い経験になる。…それに、こいつが目覚めたとき、2人きりで話をしたい。」
「……そういうことなら、承知しました。しかし、何かあれば、必ず呼んでください。」
「ああ、わかった。」
俺は手を振ってシエルを見送った。
「失礼します。」
パタンと優しく扉が閉まる。
その後、俺は改めて、ベッドで眠っている彼のことを見る。
冷めてしまう前に、朝食を食べてしまいたいが……コイツ、
「起きてるだろ。」
そう言うと同時に彼は起き上がり、魔法の矢を俺の喉元に当てる。
咄嗟に俺も隠し持っていた短刀を彼の首に当てる。
「…バレた?」
「まあな。何年一緒にいると思ってる?」
「あはは、確かに。でも、避けなくていいの? 弓が無くても、さすがにこの距離は当たるけど?」
「そうなる前に、お前の命も持ってくさ。」
互いに動けず、しばらくの間沈黙が流れる。
しかし、先に静寂を破ったのは彼の方で、矢を消して両手を挙げた。
「なんてね。君の反応速度に勝てると思ってないよ。」
抵抗する様子も、逃げる様子も無いようなので、俺も短刀を下げる。
「……いつから起きてたんだ?」
「ちょうど、シエルくんが来たときかな。」
ぐぅぅぅぅ……
「……いい匂いで、つい。」
「はあぁぁぁ……全く、お前は…。」
彼はおどけたようにそう言った。
「食べるか?」
「わーい!」
俺が聞いたとたんに、遠慮なく机の朝食をかっさらって、食べ始めるのはどうかと思う。
しかし俺は、俺のよく知る彼の態度であることに、ひどく安堵していた。
ああ、あとでもう一回朝食もらわなきゃなぁ。
俺だって、お腹は空いているのだ。
彼が食べ終わる前に、ここ数日気になっていたことを尋ねる。
「なあ、なんでお前は魔王軍に所属していたんだ?」
「ほへはー」
「…飲み込んでから喋ってくれ。」
彼は口をもごもご動かして、ゴクリと飲み込んでから言う。
「それは、あそこでも言ったけど、ただの成り行きだよ。強制されたわけでも、強い意思があったわけでもない。ただ、流れに身を任せて、自分で決断して入ったよ。」
「そうか…。」
では、あのとき聞こえた諦めの入った悲しい望みは何だったのだろう。
しかし、彼から一切それに関係するものを感じない。それに、尋ねてはいけない気がする。
俺は、別の質問をした。
「なあ、お前は魔族なのか?」
「……そうだけど、ちょっと違うかな。」
どういうことだ?
「僕はね……半分魔族で半分人間。人間と魔族の混血だよ。」
あの後、彼を抱えて孤児院まで帰った。先生はとても驚いていたが、魔王軍にやられたものだと思ったらしく、傷薬や包帯等を持ってきてくれた。
そうして処置を施して、彼が目覚めて何か事を起こすと困るからと俺が見張りをして、朝を迎えた。
軽い仮眠は取ったが、やはりちゃんと熟睡しないと少し眠い。
「ふわぁぁ…。」
コンコン
「入っていいよ。」
「失礼いたします。」
扉を開けて、1人分の朝食を持ったシエルが入ってきた。
「おはようございます、アルバ様。朝食をお持ちしました。」
「おはよう。ありがとうな、シエル。」
受け取って、側にある机に置く。
昨日の晩もそうだったが、俺達がここに滞在している間、先生が食事を用意している。本当にありがたい。
少し質素だが、とても美味しく、なにより、安心感のある味だ。今度、レシピを聞いてみよう。
シエルが彼の方に視線を動かして、聞いてくる。
「まだ、目を覚ましていないのですね。」
「……ああ。」
「アルバ様、交代しますか? 少しお休みになられた方がよいかと。」
「ありがとう。でも、大丈夫だよ。一応、少しは仮眠を取ったから。」
「そうですか。」
シエルは、俺の事を少し心配しているようだった。
このままだと、ずっと俺と一緒にいると言いかねない。
「それより、シエル、孤児院の子供達と遊んでおいで。」
「えっ、しかし…」
「だーかーら、大丈夫だって。せっかくだし、たくさん交流してきた方が、シエルにとって良い経験になる。…それに、こいつが目覚めたとき、2人きりで話をしたい。」
「……そういうことなら、承知しました。しかし、何かあれば、必ず呼んでください。」
「ああ、わかった。」
俺は手を振ってシエルを見送った。
「失礼します。」
パタンと優しく扉が閉まる。
その後、俺は改めて、ベッドで眠っている彼のことを見る。
冷めてしまう前に、朝食を食べてしまいたいが……コイツ、
「起きてるだろ。」
そう言うと同時に彼は起き上がり、魔法の矢を俺の喉元に当てる。
咄嗟に俺も隠し持っていた短刀を彼の首に当てる。
「…バレた?」
「まあな。何年一緒にいると思ってる?」
「あはは、確かに。でも、避けなくていいの? 弓が無くても、さすがにこの距離は当たるけど?」
「そうなる前に、お前の命も持ってくさ。」
互いに動けず、しばらくの間沈黙が流れる。
しかし、先に静寂を破ったのは彼の方で、矢を消して両手を挙げた。
「なんてね。君の反応速度に勝てると思ってないよ。」
抵抗する様子も、逃げる様子も無いようなので、俺も短刀を下げる。
「……いつから起きてたんだ?」
「ちょうど、シエルくんが来たときかな。」
ぐぅぅぅぅ……
「……いい匂いで、つい。」
「はあぁぁぁ……全く、お前は…。」
彼はおどけたようにそう言った。
「食べるか?」
「わーい!」
俺が聞いたとたんに、遠慮なく机の朝食をかっさらって、食べ始めるのはどうかと思う。
しかし俺は、俺のよく知る彼の態度であることに、ひどく安堵していた。
ああ、あとでもう一回朝食もらわなきゃなぁ。
俺だって、お腹は空いているのだ。
彼が食べ終わる前に、ここ数日気になっていたことを尋ねる。
「なあ、なんでお前は魔王軍に所属していたんだ?」
「ほへはー」
「…飲み込んでから喋ってくれ。」
彼は口をもごもご動かして、ゴクリと飲み込んでから言う。
「それは、あそこでも言ったけど、ただの成り行きだよ。強制されたわけでも、強い意思があったわけでもない。ただ、流れに身を任せて、自分で決断して入ったよ。」
「そうか…。」
では、あのとき聞こえた諦めの入った悲しい望みは何だったのだろう。
しかし、彼から一切それに関係するものを感じない。それに、尋ねてはいけない気がする。
俺は、別の質問をした。
「なあ、お前は魔族なのか?」
「……そうだけど、ちょっと違うかな。」
どういうことだ?
「僕はね……半分魔族で半分人間。人間と魔族の混血だよ。」
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