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ヌミディア
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ラエリウスはまず、このような場を持つことを承諾してくれたことに礼を述べた。カルタゴに雇われている身のマシニッサとしては、ローマ軍との密会がカルタゴに知られれば、いらぬ疑いをかけられる恐れがある。その危険を承知でスキピオの申し出を受け入れたことは、やはり甥っ子のことがあるからだろう。
「この度の戦いにおいて、ヌミディア騎兵の勇猛さとその価値はさらに上がっています。スキピオは味方になってくれれば、ヌミディアでの支援を約束すると申しております」
「つまり、我々にカルタゴを裏切り、ローマにつけと」
「そうです。無論、この場ですぐ返事を頂こうということではありません。スキピオは考えて欲しいとのことです」
この思わぬスキピオの申し出に、マシニッサは返事を保留した。スキピオも、
「まず間違いなく返答は得られないだろう。でも、これが布石になる」
と、今回の交渉の結果を予想した。ラエリウスは付き添った部下と共にカディスを出発した。途中で敵の伏兵がいるのではと勘繰ったが、それも杞憂に終わった。彼はイリッパに到着して、そこで初めて安堵した。死を恐れてはいなかった。任務を無事にやり遂げたことに、彼はほっと肩の力を抜いた。
北アフリカで最大の騎兵の産地となっているヌミディアは、西をマサエシュリ族の王シファチェが、東をマッシュリ族の王ガイアがそれぞれ治めていた。この二部族は仲がよいとは言えず、ヌミディアの覇権を争っていた。ヌミディアの東にはカルタゴがあり、東のガイア王は隣国のカルタゴと友好関係を築き、対ローマ戦線に王子であるマシニッサと多くの騎兵を送り込む一方で、カルタゴの後ろ盾を背景に覇権争いを有利に進めようとしていた。一方の西を治めるシファチェ王はカルタゴと距離を置き、ローマとカルタゴとの戦争を静観しながら、虎視眈々と東のマッシュリ族の併合を目論んでいた。
スキピオは東のマッシュリ族の王子マシニッサに同盟を持ち掛けただけで終わらず、今度は西のマサエシュリ族の王シファチェにも接近しようとした。アフリカに渡ってカルタゴ本国を攻めるには、騎兵戦力の増強と補給の確保は考えなければならない。その二つを担えるヌミディアとの同盟は、是が非でも実現したかった。スキピオもヌミディアが東と西に分裂していること、その両者の仲が余りよくないことは知っていた。実際に戦い、その実力を評価しているマシニッサ率いる東ヌミディア騎兵は確かに欲しいが、ラエリウスが言うように、兵士らの感情的には西ヌミディアとの同盟が現実的だとも考えていた。特に西ヌミディアはカディスから海を隔ててすぐの距離にある。スキピオはマシニッサとの交渉から帰ってきたラエリウスに、今度はシファチェ王との交渉を頼んだ。
西ヌミディアは今回の戦いには参加しておらず、危険は少ないと踏んでいた。中海を挟んでいるとはいえ、ローマが強国なのはシファチェ王も承知しているはずで、交渉に派遣されたローマ使節団には相応の態度でのぞむはずである。
西ヌミディアとの交渉から帰ってきたラエリウスは、
「シファチェ王は直接プブリウス様との会談を希望しています。友好的な態度で感触は悪くありませんでしたので、プブリウス様が赴けばおそらく同盟は叶うと思います」
と、渡航の成果を主人に伝えたが、声と表情はどこか暗かった。スキピオが何か懸念があるのか聞くと、
「あくまでも私見ですが、シファチェ王はどちらかと言えば信用できない印象を受けました。誰にでもよい顔をすると言いますか、本音と口上とは違うように感じました。マシニッサ王子と比べると、頼りないと申しますか、何と表現したらよいのかわかりませんが」
「マシニッサ王子は信用できると」
「あの男は嘘をつかないと思います。そう思わせる何かがあるのですが、うまく言えません」
物事はうまくいかないことが多い。シファチェ王が信用できる男なのかどうか、直接会ってみないとわからない。スキピオはシファチェ王の要求を受け入れ、ラエリウスを従えた僅かなお供を連れてアフリカに渡った。
西ヌミディアでのシファチェ王との会談は、ローマにとって成功と言えるものになった。シファチェ王はローマと同盟を結び、ローマ軍がアフリカ大陸に上陸した際には、物資と騎兵の援助を約束した。カルタゴ共々与している東ヌミディアをローマ軍と共同して攻めようと言うのだ。シファチェ王としても大国ローマとの同盟は悪い話ではなかったようだ。
ただ、ラエリウスが受けた印象と同じように、スキピオもまたこの王のことを信用できるとは思えなかった。それでもこの同盟はカルタゴに圧力をかけ、同時にローマ軍がカルタゴに攻め入る足掛かりとなるのは間違いなかった。
その後、スキピオはヒスパニアの平定を急いだ。衝突している諸部族の仲裁に軍を送り出したり、自ら兵を率いて争いを止めさせたりと奔走した。カルタゴ派とローマ派、それに日和見派に分かれていたヒスパニアの諸部族はまとまりはしないものの、とりあえずは争いを止め、スキピオが言う平和を享受し始めた。ローマとカルタゴとの戦争に参加させられ、彼らも疲弊していた。殺し合いに嫌気がさしていた者も多かったに違いない。
ヒスパニアの諸部族はローマに、いやスキピオに好意的に接した。中にはスキピオに自分たちの土地を治めて欲しいと願い出る部族もあったが、スキピオは丁重に断り、ローマとの友好を示すいろいろなものを贈り、言わばローマのお墨付きを与えた。
マシニッサもカディスから母国へと既に撤退している。ヒスパニアを完全に掌握したスキピオはこの年の冬、ヒスパニアの守備に二個軍団を残して、四年振りにローマに帰国することになった。
イリッパでの勝利を報告するためにローマに一時帰還していた兄のルキウスは、ローマの様子について、市民はヒスパニアでの勝利に熱狂しており、スキピオを英雄と崇める者も出るほど盛り上がっていると言う。しかし、元老院の一部にはそうした空気はなく、第一人者であるファビウスを筆頭にスキピオへの批判の声の方が大きいと感じたとのことだった。
スキピオの仕事はヒスパニアからのハンニバルへの補給を遮断することにあったにもかかわらず、それを許したのは非難されるべきだと言うのであった。結果的に、ヒスパニアからアルプスを越えたハスドルバルが兄と再開することは阻止できたとは言え、だからと言ってスキピオの戦略が不味かったことに変わりはないと言う。ニーケーが補足するには、指揮権を持つために必要な年齢資格を特例で免除されたスキピオの活躍は、これまでローマを支えてきた古参の元老院議員にとっては目障りな存在となりつつあるとのことだった。成功と栄誉を地道に積み上げてきた者たちにとって、若者の輝かしい栄光は妬みの対象になると言う。
そんなものだろうか。スキピオにはよくわからなかった。皆が国のためにと思っているのに、大きな成果を出した者を称えない者がいるとは信じられなかった。スキピオは自分の名誉や栄達のために戦っているわけではない。彼はこの戦争を終わらせるために戦っていた。だから今回のヒスパニアでの戦果を称えて欲しいわけではなかったが、正当に評価してほしいとは思った。争いによって多くの死者を出していたヒスパニアに平和をもたらしたのは自分であり、ヒスパニアからカルタゴ勢力を一掃したのも事実である。ヒスパニアの住民には感謝された。ローマでは感謝ではなく評価されるべきだと彼は考えていた。曲がったことが嫌いで、純粋な彼らしい思考だった。
評価されなければ、アフリカ遠征を実現させられないかもしれない。スキピオは一抹の不安を感じずにはいられない。ヒスパニア遠征は父と叔父の威光により、特別に認められただけだということは彼にもよくわかっている。来年には元老院議員の資格年齢に達するものの、執政官の資格年齢である四十歳以上には全く足りていない。今回のヒスパニアでの成果を評価してもらい、来年の執政官への立候補を元老院に特別に認めてもらう必要があった。
この戦争を終わらせる唯一の道は、ローマ軍がカルタゴ本国を攻撃して降伏させることだ。ハンニバルをローマ領から追い払うには、これしかない。スキピオは帰国の道中、ニーケーや兄のルキウスと意見を交換し合った。二人はスキピオが考えているよりも事態は悪いと言う。
次の戦場は議会になるのか。スキピオは憂鬱になった。
「この度の戦いにおいて、ヌミディア騎兵の勇猛さとその価値はさらに上がっています。スキピオは味方になってくれれば、ヌミディアでの支援を約束すると申しております」
「つまり、我々にカルタゴを裏切り、ローマにつけと」
「そうです。無論、この場ですぐ返事を頂こうということではありません。スキピオは考えて欲しいとのことです」
この思わぬスキピオの申し出に、マシニッサは返事を保留した。スキピオも、
「まず間違いなく返答は得られないだろう。でも、これが布石になる」
と、今回の交渉の結果を予想した。ラエリウスは付き添った部下と共にカディスを出発した。途中で敵の伏兵がいるのではと勘繰ったが、それも杞憂に終わった。彼はイリッパに到着して、そこで初めて安堵した。死を恐れてはいなかった。任務を無事にやり遂げたことに、彼はほっと肩の力を抜いた。
北アフリカで最大の騎兵の産地となっているヌミディアは、西をマサエシュリ族の王シファチェが、東をマッシュリ族の王ガイアがそれぞれ治めていた。この二部族は仲がよいとは言えず、ヌミディアの覇権を争っていた。ヌミディアの東にはカルタゴがあり、東のガイア王は隣国のカルタゴと友好関係を築き、対ローマ戦線に王子であるマシニッサと多くの騎兵を送り込む一方で、カルタゴの後ろ盾を背景に覇権争いを有利に進めようとしていた。一方の西を治めるシファチェ王はカルタゴと距離を置き、ローマとカルタゴとの戦争を静観しながら、虎視眈々と東のマッシュリ族の併合を目論んでいた。
スキピオは東のマッシュリ族の王子マシニッサに同盟を持ち掛けただけで終わらず、今度は西のマサエシュリ族の王シファチェにも接近しようとした。アフリカに渡ってカルタゴ本国を攻めるには、騎兵戦力の増強と補給の確保は考えなければならない。その二つを担えるヌミディアとの同盟は、是が非でも実現したかった。スキピオもヌミディアが東と西に分裂していること、その両者の仲が余りよくないことは知っていた。実際に戦い、その実力を評価しているマシニッサ率いる東ヌミディア騎兵は確かに欲しいが、ラエリウスが言うように、兵士らの感情的には西ヌミディアとの同盟が現実的だとも考えていた。特に西ヌミディアはカディスから海を隔ててすぐの距離にある。スキピオはマシニッサとの交渉から帰ってきたラエリウスに、今度はシファチェ王との交渉を頼んだ。
西ヌミディアは今回の戦いには参加しておらず、危険は少ないと踏んでいた。中海を挟んでいるとはいえ、ローマが強国なのはシファチェ王も承知しているはずで、交渉に派遣されたローマ使節団には相応の態度でのぞむはずである。
西ヌミディアとの交渉から帰ってきたラエリウスは、
「シファチェ王は直接プブリウス様との会談を希望しています。友好的な態度で感触は悪くありませんでしたので、プブリウス様が赴けばおそらく同盟は叶うと思います」
と、渡航の成果を主人に伝えたが、声と表情はどこか暗かった。スキピオが何か懸念があるのか聞くと、
「あくまでも私見ですが、シファチェ王はどちらかと言えば信用できない印象を受けました。誰にでもよい顔をすると言いますか、本音と口上とは違うように感じました。マシニッサ王子と比べると、頼りないと申しますか、何と表現したらよいのかわかりませんが」
「マシニッサ王子は信用できると」
「あの男は嘘をつかないと思います。そう思わせる何かがあるのですが、うまく言えません」
物事はうまくいかないことが多い。シファチェ王が信用できる男なのかどうか、直接会ってみないとわからない。スキピオはシファチェ王の要求を受け入れ、ラエリウスを従えた僅かなお供を連れてアフリカに渡った。
西ヌミディアでのシファチェ王との会談は、ローマにとって成功と言えるものになった。シファチェ王はローマと同盟を結び、ローマ軍がアフリカ大陸に上陸した際には、物資と騎兵の援助を約束した。カルタゴ共々与している東ヌミディアをローマ軍と共同して攻めようと言うのだ。シファチェ王としても大国ローマとの同盟は悪い話ではなかったようだ。
ただ、ラエリウスが受けた印象と同じように、スキピオもまたこの王のことを信用できるとは思えなかった。それでもこの同盟はカルタゴに圧力をかけ、同時にローマ軍がカルタゴに攻め入る足掛かりとなるのは間違いなかった。
その後、スキピオはヒスパニアの平定を急いだ。衝突している諸部族の仲裁に軍を送り出したり、自ら兵を率いて争いを止めさせたりと奔走した。カルタゴ派とローマ派、それに日和見派に分かれていたヒスパニアの諸部族はまとまりはしないものの、とりあえずは争いを止め、スキピオが言う平和を享受し始めた。ローマとカルタゴとの戦争に参加させられ、彼らも疲弊していた。殺し合いに嫌気がさしていた者も多かったに違いない。
ヒスパニアの諸部族はローマに、いやスキピオに好意的に接した。中にはスキピオに自分たちの土地を治めて欲しいと願い出る部族もあったが、スキピオは丁重に断り、ローマとの友好を示すいろいろなものを贈り、言わばローマのお墨付きを与えた。
マシニッサもカディスから母国へと既に撤退している。ヒスパニアを完全に掌握したスキピオはこの年の冬、ヒスパニアの守備に二個軍団を残して、四年振りにローマに帰国することになった。
イリッパでの勝利を報告するためにローマに一時帰還していた兄のルキウスは、ローマの様子について、市民はヒスパニアでの勝利に熱狂しており、スキピオを英雄と崇める者も出るほど盛り上がっていると言う。しかし、元老院の一部にはそうした空気はなく、第一人者であるファビウスを筆頭にスキピオへの批判の声の方が大きいと感じたとのことだった。
スキピオの仕事はヒスパニアからのハンニバルへの補給を遮断することにあったにもかかわらず、それを許したのは非難されるべきだと言うのであった。結果的に、ヒスパニアからアルプスを越えたハスドルバルが兄と再開することは阻止できたとは言え、だからと言ってスキピオの戦略が不味かったことに変わりはないと言う。ニーケーが補足するには、指揮権を持つために必要な年齢資格を特例で免除されたスキピオの活躍は、これまでローマを支えてきた古参の元老院議員にとっては目障りな存在となりつつあるとのことだった。成功と栄誉を地道に積み上げてきた者たちにとって、若者の輝かしい栄光は妬みの対象になると言う。
そんなものだろうか。スキピオにはよくわからなかった。皆が国のためにと思っているのに、大きな成果を出した者を称えない者がいるとは信じられなかった。スキピオは自分の名誉や栄達のために戦っているわけではない。彼はこの戦争を終わらせるために戦っていた。だから今回のヒスパニアでの戦果を称えて欲しいわけではなかったが、正当に評価してほしいとは思った。争いによって多くの死者を出していたヒスパニアに平和をもたらしたのは自分であり、ヒスパニアからカルタゴ勢力を一掃したのも事実である。ヒスパニアの住民には感謝された。ローマでは感謝ではなく評価されるべきだと彼は考えていた。曲がったことが嫌いで、純粋な彼らしい思考だった。
評価されなければ、アフリカ遠征を実現させられないかもしれない。スキピオは一抹の不安を感じずにはいられない。ヒスパニア遠征は父と叔父の威光により、特別に認められただけだということは彼にもよくわかっている。来年には元老院議員の資格年齢に達するものの、執政官の資格年齢である四十歳以上には全く足りていない。今回のヒスパニアでの成果を評価してもらい、来年の執政官への立候補を元老院に特別に認めてもらう必要があった。
この戦争を終わらせる唯一の道は、ローマ軍がカルタゴ本国を攻撃して降伏させることだ。ハンニバルをローマ領から追い払うには、これしかない。スキピオは帰国の道中、ニーケーや兄のルキウスと意見を交換し合った。二人はスキピオが考えているよりも事態は悪いと言う。
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