悪の組織によって改造された俺は失敗作として廃棄され、魔法少女に寄生する

重弘 茉莉

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25話目:ミノタウ狩り

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「なあ、クソ牛。お前こそ、なんなんだ? 一体何が目的でこんな場所で暴れてるんだ?」
  

「…あァ? なんのことダ」


 奏矢そうや牛型怪人ミノタウの胸の毛を掴むと、無理やり膝まづかせる。そして顔をミノタウの鼻先へと近づけると、そのまま頭突きをする。ミノタウの鼻先が潰れ、両の穴からダラダラと真っ黒な体液が滴り落ちる。


「お前ら、今まではこそこそ拉致してたじゃねぇか。堂々と出来るなら早くやれよ、そしたら10年居たクソみたいな工場なんてすぐに辞めて、人がいない山奥にでも隠れたわ。そうすりゃあこんな身体にならずに済んだんだけどなぁ?」


 奏矢の背から数本の銀の触手が伸びる。
不定形に伸び縮みする触手、それが辺りを探るように蠢いていた。さらに触手は奏矢のイライラとした感情に呼応するように時折り細かく脈動していた。そしてペタペタとミノタウの体の表面を這い回っていく。


「…まあ、元の人生が良かったか、と言われたら微妙だけどな。お前らのお陰で、ある意味楽しい第二の人生は送れてるよ。だからさぁ、俺の新しい人生のために全部吐け。仲間の人数は? アジトは? お前ら陰謀団カバルの目的は?  ほら、すぐに。考えずに全部言え」


「…わかっタ。全部、話ス。だから、この気持ち悪いノヲどけてくレ」


「話がわかるクソ牛だな、で何が目的でこんな人目がつく場所で暴れたんだ? まるでみたいじゃねぇか」


「あア、まずはそれなんダガ」


 スッとミノタウは両膝をついた状態から、自然な流れで右脚を立てた。そしてそれとなく息を肺いっぱいに溜めると、ダラダラと鼻先から流れ落ちている真っ黒な体液を奏矢の顔面へと吹きかける。体液は奏矢の顔面を真っ黒に染め、目が開かずに視界はゼロになる。
 

「っ! てめぇ、クソ牛!!」


(ぐふっ、ぐふっ。離れたらこっちのものダ。触れられてたら"瞬歩"が使えないしナ)

 奏矢の目の前で蹄の音が響く。同時にミノタウの姿は消え去る。奏矢が目の体液を拭い、なんとか目を開けたその時、背中に衝撃が走る。


「ぐふっ、ぐふっ。馬鹿ガ」

 ミノタウのその鋭い角が、脇腹辺りへと突き立てられていた。その場所は先程、リリの脇腹を貫通した場所と寸分違わぬ位置。ミノタウの勢いを付けた死角からの一撃。だが。


「あァ!?」


「…クソ牛、同じことは2度も通用しないって俺が喋るのは2だぞ」


 角先は奏矢の脇腹を貫通などしなかった。奏矢の着ているピンクのワンピースにすら穴を開けられず、角先で凹ませているだけの格好となっていた。驚きで固まるミノタウ。人間の身体などいとも簡単に突き抜ける自慢の角先が、まるで分厚い鋼鉄の板にぶつかったかのような衝撃が走っていた。


「な、なんデ」


「ああ? クソ牛、テメェの爪楊枝みたいなひ弱な攻撃が俺に通るわけねぇだろ。あともう情報を吐かないなら良いわ、リリの身体に傷をつけたことを後悔させてやる」


 奏矢は振り向かずに腕を回してミノタウの角先を掴む。ミノタウは咄嗟に逃げようと頭を振るがびくともしない。そのうちに奏矢に掴まれた角がビキビキと不快な音を立て始める。そしてそのまま叩き折る。割れた角先から真っ黒な体液が溢れ出し、痛みでミノタウは左手で割れた角先を抑えて仰け反る。ミノタウは仰け反った拍子に、奏矢から視線を外してしまう。次の瞬間には再度胸の毛を掴まれ、膝へ奏矢の踵が落ちてくる。


「がぁあアッ!!??」


「うるせぇ。臭い口を閉じてろ」

 奏矢はミノタウの膝を何度も、何度もかかとで踏みつける。もう二度とふざけた真似が出来ないように、そしてリリの身体奏矢の寄生先を傷つけた罰としてなぶるように何度も踏みつけていく。皮膚が裂け、真っ黒な体液が溢れ、骨が砕けて外に出るまで奏矢の動きは止まることがなかった。最後についでと言わんばかりにミノタウの胸の毛から手を離して折れた肘の方にも回し蹴りをかますと、奏矢は大きくため息を吐いた。


「あー、すっきりした。 …じゃあ、余計な邪魔がくる前に死のうか」


 奏矢の右手が肘のあたりまで銀の皮膜が拡がっていく。そして陽の光を受けて鈍く光るその手をミノタウの胸へと突っ込むのだった。
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