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『第1章 転落、紅き龍との契約』
強襲、冒険者たち-3
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蒲生 悠の鼻先に浮かぶ1本の火の矢。
悠はバンザイをしてヴィスラへと助けを求める。
「た、助けて……」
「へっ、へっ。おい、てめぇ! コイツの命が惜しかったらグルダン兄貴を、離しやがれっ」
ヴィスラはグルダンへと伸ばした手を引っ込めると、ひらひらとつまらなそうに動かす。
「あァあァ。こんなヤツどうでもよいさね。さっさと失せなァ」
「うぅ……」
グルダンは右手を押さえながらふらふらと立ち上がると、ゆっくりと部屋の入り口まで歩き出す。
タケシィは杖を悠へと突き出しながらも、兄のグルダンを心配そうに見つめる。
「グルダン兄貴ぃ……」
「ああ、タケシィ、いくぞ……」
のそのそと歩くグルダンとタケシィ。
ヴィスラは落ちていたグルダンの右手を拾うと、グルダンに向かって投げつける。
「あァ、でっかいの。忘れ物さね」
「てめぇ、覚えておけよ。必ず殺してやる」
グルダンの背中にその右手が転がり、金貨の上へと転がる。
タケシィは急いでそれを拾うと、この部屋から消えるのであった。
「さっきの人たちって何っ!? それにさっき、俺にした血魂の契約って、いったい何なんだ!」
「まァ、あいつらは冒険者ってヤツじゃないさね。契約は、アンタがさっき読んでた通りのことさね。とりあえず、アタシは先に外に出ているよ」
「えっ、ちょっ」
さきほどの2人が出て行った入り口に向かって、ヴィスラはすたすたと歩き始める。いつの間にか人の手に戻った右手をひらひらとさせながら、手招きをする。
悠は契約書を広げながら、ヴィスラの後を追う。
「えぇっと、ヴィスラ、さん?」
「ヴィスラで構わないさね。で?」
「この契約なんだけど要約すると俺の知識と姿の一部をだす代わりに、相手の知識を貸してもらえるんだよな。しかもそれがお互いのどちらかが死ぬまで続く……」
「あァ、そうさね。まさに”死が2人を分かつまで”さ。結婚の誓いみたいだろ? まァ、”こっちの世界”にはそんな言い回しはないけどさ」
「へっ?」
カラカラとヴィスラは入り口のへこんだ壁の辺りを探りながら答える。そして壁についた小さなへこみを見つけると、指先を噛んで血を滴らせる。
壁の小さなへこみに指を入れ、中にある紋章へと血を注ぐ。
土壁に亀裂が入り、よどんだ空気が部屋へと入ってくる。
亀裂から漏れる、そのつんとした臭いに悠は鼻をしかめる。
「なァ、ところで悠。アンタ、この部屋を出たらどうするつもりさね」
「……家に帰りたい」
「なら、さ。アンタがここ、いやこの世界から帰るのを手伝ってやろうか」
「えっ?」
「何、金なら腐るほどあるし、アタシも外に出るのはしばらくぶりさね。この姿で1人旅も寂しいし、それにアンタを元の世界に送り届けるなんて、なかなか”体験”できることじゃないし」
(まァ、この部屋を出たら悠は用済みになるから死んでもらうつもりだったんだけどね。コイツの元いたところ、とっても面白そうさね。見ただけじゃあ、物足りない)
蒲生 悠と赤髪の元龍の女性、ヴィスラはかび臭くよどんだ煉瓦張りの大道へと出る。小さな、粗末な家がいくつも並び、天井は霞んでみえない。
天井や壁も煉瓦張りされており、そこが人工的に手を加えられた場所であることは悠の眼でも理解出来た。
「ここは……?」
ヴィスラは楽しそうに手を広げて、辺りをはしゃぎながら答える。
「ここがかの有名な”欲深なドラン=ヴィスラの砦”さね。あァ、ここら辺りも全部黄金に装飾したのに、全部持って行かれて……」
悠はヴィスラの講釈を聞き流しながら、”欲深なドラン=ヴィスラの砦”、まるでダンジョンのように広がる場所へ一歩踏み出したのであった。
悠はバンザイをしてヴィスラへと助けを求める。
「た、助けて……」
「へっ、へっ。おい、てめぇ! コイツの命が惜しかったらグルダン兄貴を、離しやがれっ」
ヴィスラはグルダンへと伸ばした手を引っ込めると、ひらひらとつまらなそうに動かす。
「あァあァ。こんなヤツどうでもよいさね。さっさと失せなァ」
「うぅ……」
グルダンは右手を押さえながらふらふらと立ち上がると、ゆっくりと部屋の入り口まで歩き出す。
タケシィは杖を悠へと突き出しながらも、兄のグルダンを心配そうに見つめる。
「グルダン兄貴ぃ……」
「ああ、タケシィ、いくぞ……」
のそのそと歩くグルダンとタケシィ。
ヴィスラは落ちていたグルダンの右手を拾うと、グルダンに向かって投げつける。
「あァ、でっかいの。忘れ物さね」
「てめぇ、覚えておけよ。必ず殺してやる」
グルダンの背中にその右手が転がり、金貨の上へと転がる。
タケシィは急いでそれを拾うと、この部屋から消えるのであった。
「さっきの人たちって何っ!? それにさっき、俺にした血魂の契約って、いったい何なんだ!」
「まァ、あいつらは冒険者ってヤツじゃないさね。契約は、アンタがさっき読んでた通りのことさね。とりあえず、アタシは先に外に出ているよ」
「えっ、ちょっ」
さきほどの2人が出て行った入り口に向かって、ヴィスラはすたすたと歩き始める。いつの間にか人の手に戻った右手をひらひらとさせながら、手招きをする。
悠は契約書を広げながら、ヴィスラの後を追う。
「えぇっと、ヴィスラ、さん?」
「ヴィスラで構わないさね。で?」
「この契約なんだけど要約すると俺の知識と姿の一部をだす代わりに、相手の知識を貸してもらえるんだよな。しかもそれがお互いのどちらかが死ぬまで続く……」
「あァ、そうさね。まさに”死が2人を分かつまで”さ。結婚の誓いみたいだろ? まァ、”こっちの世界”にはそんな言い回しはないけどさ」
「へっ?」
カラカラとヴィスラは入り口のへこんだ壁の辺りを探りながら答える。そして壁についた小さなへこみを見つけると、指先を噛んで血を滴らせる。
壁の小さなへこみに指を入れ、中にある紋章へと血を注ぐ。
土壁に亀裂が入り、よどんだ空気が部屋へと入ってくる。
亀裂から漏れる、そのつんとした臭いに悠は鼻をしかめる。
「なァ、ところで悠。アンタ、この部屋を出たらどうするつもりさね」
「……家に帰りたい」
「なら、さ。アンタがここ、いやこの世界から帰るのを手伝ってやろうか」
「えっ?」
「何、金なら腐るほどあるし、アタシも外に出るのはしばらくぶりさね。この姿で1人旅も寂しいし、それにアンタを元の世界に送り届けるなんて、なかなか”体験”できることじゃないし」
(まァ、この部屋を出たら悠は用済みになるから死んでもらうつもりだったんだけどね。コイツの元いたところ、とっても面白そうさね。見ただけじゃあ、物足りない)
蒲生 悠と赤髪の元龍の女性、ヴィスラはかび臭くよどんだ煉瓦張りの大道へと出る。小さな、粗末な家がいくつも並び、天井は霞んでみえない。
天井や壁も煉瓦張りされており、そこが人工的に手を加えられた場所であることは悠の眼でも理解出来た。
「ここは……?」
ヴィスラは楽しそうに手を広げて、辺りをはしゃぎながら答える。
「ここがかの有名な”欲深なドラン=ヴィスラの砦”さね。あァ、ここら辺りも全部黄金に装飾したのに、全部持って行かれて……」
悠はヴィスラの講釈を聞き流しながら、”欲深なドラン=ヴィスラの砦”、まるでダンジョンのように広がる場所へ一歩踏み出したのであった。
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