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とある王国の物語 プロローグ
盤上戦 5
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「俺たちに課せられた任務は、先の戦で別格と言われている将を討つ、だ。当初の予定では追撃中に討ち取る予定だが、敵将は後方で兵を指揮するのが得意のうえ、騎士のため取り逃すのを恐れてなるべく近くにいた方が良いと考えて先ほどの質問をしたんだろ?」
オーセンは肯く。
「それについてだが、指揮官を急襲する素振りを見せたら、のろまな重装歩兵ではどう足掻いても馬には追いつかない。となると、別格の将は慌てて救援に向かうと思わないか? こちらはそれを迎え撃つ振りをしながら、狙いすまして敵将を狩れば良い。俺達ならその場から取り逃す様なへまはしないが、奇跡が重なって運良く逃れられたとしても、山側を抑えたリュゼーの別働隊が奴を討つ手筈になっていた。俺はその辺については知らんから、気になったらチェロスにでも聞けばいい」
こいつに聞いても答えはしないだろうからな。と、ファトストをチラリと見たリュートの目が物語っている。
ファトストは何も言わずに杯をゆっくりと傾ける。
「レンゼスト様の性分は皆も分かっていると思うが、我が儘に戦を自分色に染め上げる。それを踏まえて、強欲なこいつが考えたのは、もう一人の将を討つことだ」
次はお前の番だと、リュートはファトストに向かって顎をしゃくる。
「リュートがそのまま話した方が良いんじゃないか?」
「お前は俺に、吟遊詩人になれと言っているのか? ここにいる者達は俺の隊員だ。何が起こったのかは一緒に戦ったから知っている。お前がどの様に考えて、俺に伝令を送ったのかだけでも話してやれよ」
レンゼスト隊が動き出す気配を感じたファトストは、先んじてリュートに伝令を向かわせた。新たな命を受けたリュートは、戦場において似つかわしくない笑みを口元に浮かべると、己の隊に向かって檄を飛ばす。
オーセンは、その後に巻き起こった戦を思い出し、杯を持つ手に自然と力が入る。
「あれはもう私の思い描いた戦ではない」
オーセンは肯く。
「それについてだが、指揮官を急襲する素振りを見せたら、のろまな重装歩兵ではどう足掻いても馬には追いつかない。となると、別格の将は慌てて救援に向かうと思わないか? こちらはそれを迎え撃つ振りをしながら、狙いすまして敵将を狩れば良い。俺達ならその場から取り逃す様なへまはしないが、奇跡が重なって運良く逃れられたとしても、山側を抑えたリュゼーの別働隊が奴を討つ手筈になっていた。俺はその辺については知らんから、気になったらチェロスにでも聞けばいい」
こいつに聞いても答えはしないだろうからな。と、ファトストをチラリと見たリュートの目が物語っている。
ファトストは何も言わずに杯をゆっくりと傾ける。
「レンゼスト様の性分は皆も分かっていると思うが、我が儘に戦を自分色に染め上げる。それを踏まえて、強欲なこいつが考えたのは、もう一人の将を討つことだ」
次はお前の番だと、リュートはファトストに向かって顎をしゃくる。
「リュートがそのまま話した方が良いんじゃないか?」
「お前は俺に、吟遊詩人になれと言っているのか? ここにいる者達は俺の隊員だ。何が起こったのかは一緒に戦ったから知っている。お前がどの様に考えて、俺に伝令を送ったのかだけでも話してやれよ」
レンゼスト隊が動き出す気配を感じたファトストは、先んじてリュートに伝令を向かわせた。新たな命を受けたリュートは、戦場において似つかわしくない笑みを口元に浮かべると、己の隊に向かって檄を飛ばす。
オーセンは、その後に巻き起こった戦を思い出し、杯を持つ手に自然と力が入る。
「あれはもう私の思い描いた戦ではない」
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