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覚醒編
東京の者
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王城に入って30分。
ルインさんに着いて行き王城の中を歩いてからの30分。
未だに王城の中を歩いていた。
「ル、ルインさん何処まで行くんですか」
少し疲れてきた僕はルインさんに尋ねる。
さっきから階段上って、また廊下を歩き、階段を上って、しばらく歩いたら今度は下ってと道に迷っているかのように右往左往している。
それを30分だ、流石に疲れる。
「すまないな、この王城は基本的には迷宮的構造なんだ」
迷宮的構造、聞いたことない言葉だが、まあ文字通りの意味だろう。
「それに君たちトウキョウの者は王のお気に入りだ、王の近い部屋、つまり奥に集まっている」
なるほど王は奥にいるのか。
まあ迷路みたいな城なら当然っちゃ当然か。
「それにしても、なぜ王はその東京の者に興味を持っているんですか?」
「それは、正直私にも分からない」
ルインさんは続ける。
「私はあくまで騎士だからな、地位ゆえ多少の事は教えてもらえるが、まあ本当に必要な情報だけだ」
「なるほど、では何か聞いたことあることは」
「そうだな、えっと」
ルインさんが少し悩んでいる。
その時だった。
突如頭にキーンとかん高い音が鳴り響く。
「っ…!?なんだこれ!?」
僕は頭を抱える。
この音、例えるなら拡声器のノイズのような。
僕にとって本当に不快な音だった。
「これは、王の御言葉だ」
ルインさんは聞きなれているかのようにケロッとしている。
「王の?」
どういうことか聞こうとした。
『知りたいなら、我と直接話せばよかろう』
だがその前にそんな声が聞こえた。
『ルインよ、その東京の者を我の部屋へ』
「はっ!」
ルインさんは拳を左胸にあてる。
なるほど、王の御言葉ね。
どうやら王は遠くからでも声をかけられるらしい。
さらに言えば僕らの話も遠くから聞けるみたいだ。
僕の質問に対するアンサーのようなものも来たからな。
それにしても、僕も少しずつこの異様な光景に順応してきたな。
「さて、では君を王の元へお連れしよう」
「ありがとうございます」
元々王には僕も興味があった。
こちらからも望むところだ。
それにしても、さっき一つ気になった事があった。
東京の者、王はそう言っていた。
ここの人たちは聞いたことない言葉だからか片言風にトウキョウと言う。
だが確かに王は東京と言っていた。
つまり王は東京を知っている?
ということはこの事象についても何か知っているのでは?
そう考えたらより王と話す価値が増えた。
「さて着いたぞ」
「ん?あぁ」
思いを巡っている間に僕はいつの間にかたどり着いた。
目の前にある大きく、宝石で飾った豪華な扉。
一目でこれが王の部屋だと分かった。
「王、トウキョウの者をお連れしました」
ルインが跪き、拳を左胸に置きいった。
すると扉はゴゴゴと言う音と共に開く。
「おぉ…」
中は金一色の部屋で、正直趣味悪いなと思うそんな部屋だった。
扉から真っすぐレッドカーペットが敷かれており、その先に王座があった。
その王座には、肩まで伸びた長い白髪、胸まで届くほどの長い白いひげ。
神話に出てきそうな白いローブのようなものを着飾った老人が座っていた。
「あの人が王…それと」
その周りには二人の男子と五人の女子。
合計七人。
その人達にはネットで見覚えがあった。
「やっぱりか…連続殺人の被害者…」
先程の僕の予測はどうやら正しかったようだ。
思わずにやけてしまう。
やはり予測が当たるのは気持ちいいものだ。
「ご苦労だったな、ルインよ」
王がルインさんに声をかけた。
「さて、青年よ、名は?」
そして次は僕の方を見ながら訪ねた。
「僕は未来、高橋未来です」
「未来…良き名だ」
「ありがとうございます」
僕は頭を下げる。
日本人の特性で僕は三拍数えてから上げる。
「うおっ!?」
すると目と鼻の先に茶髪パーマで白いパーカーの男子がいた。
あまりにもビックリした僕は倒れて尻もちをついてしまう。
「へへっビックリしたか?」
そいつはへへっと楽しそうに笑っていた。
それにしても視線をずらしていたとはいえ、こんなに接近したら気づきそうなものだが。
「もしかして、それが君の能力…?」
「ん?おう!」
眼をキラキラ輝かせながら答えた。
「すげーなお前!!後から来た奴全員にやったが、一発で気づいたのはお前が初めてだ!!」
そしてなぜかそいつは僕の頭をポンと叩き
「よし、その有望さに免じ俺の助手にしてやる!」
何故か上から言ってきた。
「…は?」
思わず威圧のような言葉が出てしまう。
普段外面はよくするのだが思わず出てしまった。
その時、表情にも出てしまったのか目を見たそいつはヒッと声を上げた。
「おいこいつこえーよ!!なあ助けて親友!」
涙目になり、もう一人の男子に話しかけた。
そっちはこの明るそうなのとは対照的に少し暗そうな、眼鏡をかけ、黒の帽子、セーター、パンツと全身黒ファッションの男だった。
「…面倒くさい」
「そんなぁ!!」
黒の男子が面倒くさそうにしているのに対し、肩を組んでダルがらみをする茶髪。
「え?」
てかいつの間にあそこまで。
ほんの一瞬の出来事だった。
さっきまで目の前にいたのにいつの間にか王座の周り、ここから五メートルは離れているところまで。
そんな遠くは無いとはいえ一瞬で動くには不可能な。
「全く、相変わらずだな龍太は」
「ふふっでもそういうところ可愛いよねー」
「楽しそう!うちも混ざるっす!」
「はぁはぁ…絡み合い…」
「おっと別の意味で相変わらずなのがここに」
見た感じ誰もそのことを不思議に思っていない。
なるほど、あのワープのようなものはご存じなのか。
「ふむ、お前たち、そろそろ未来に自己紹介すべきでは」
王は彼らにそう言った。
「そういやそうだったな」
茶髪が一番最初に反応した。
「俺は神条 龍太!東青天大学のランナーだ!」
神条 龍太。
確か箱根駅伝の四区でぶっちぎりの区間賞を出したというランナーだったはずだ。
オリンピック候補選手だったがあの殺人事件に巻き込まれた伝説の俊足。
「っつても今は殺されてグランドヘヴンで生活中!!よろしく!!」
満天の笑顔で軽く言った。
にしても駅伝のインタビューぐらいしか見たことなかったが、こんなに明るいやつだったんだな。
「んでこいつは親友の獅童 継!」
龍太は隣の男の肩をつかみ勝手に紹介した。
「…ん、ども」
「あ、ども」
何というかとらえどころの無いやつだ。
獅童 継、確か唯一自宅で殺されたというやつだったな。
他の人は外で殺されている状況だったから、こいつだけは別事件説もあったんだよな。
だがここにいるってことはあの連続殺人で間違いないようだ。
「男性陣は以上だ!!いやー新しく入ってきて嬉しいぜ助手よ!!」
だからその助手は止めてほしい。
「おい、そんな露骨に嫌そうな顔すんなよ…悪かったって」
「あらら、リュウリュウ嫌われたっすね!」
赤、青、緑、黄、白と五色ぐらいあるカラフルな髪の女子が笑う。
服装もセーラー服を腹だしに改造してて、ドクロや十字架みたいな厳ついアクセサリーをつけて、なんというか派手な子だ。
「あ、うち鳳凰嶺 華凜!かりんちゃんって呼んでぇ!」
その子もその子でアホっぽいというか、まあ龍太と同じタイプだ。
「って、鳳凰嶺!!??」
僕は思わず叫んでしまった。
鳳凰嶺といえば誰でも一度は耳にする名家だ。
大企業には必ず鳳凰嶺グループが絡んでいるらしく、政治家も頭が上がらないほどの地位の存在。
そこのお嬢様は確か跡継ぎになることを約束されていて、帝王学、経済学、行政、マナーなどあらゆる知識を叩きこまれている完璧お嬢様と聞いていた。
そのお嬢様も事件に巻き込まれたという話は聞いたことあったが…。
だが…。
「えーその厳つい苗字じゃなくて、かりんちゃんって呼んでよー」
「え、あの」
「リピートアフターミー!かりんちゃん!」
「あ、かりんちゃん…」
「いや~ん、名前で呼ばれちゃった~」
…こいつが?
その完璧お嬢様…?
……どうやら僕はデマに騙されていたらしい。
うん、絶対そうだ。
予測するまでもない。
「まあこの子が鳳凰嶺のお嬢様なんて信じられんよね」
ボブカットのおとなしめな子が笑う。
白のロングTシャツにチェックのパンツと恐らく大学生であろう子だ。
「え~どの辺が~?」
「まあ全体的に?」
「え、ひどっ」
フワフワとかりんと会話している。
「あ、私白峰 澪、よろしくー」
白峰 澪。
確か友達と一緒にいたところ殺された子だったはずだ。
どうやら死ぬギリギリまで友達を逃がそうとしていたらしい。
ちなみにその友達は心身症になってしまい、犯人の特徴など言えなくなってしまったと聞いている。
まあそんな話を聞いていたものだからもっと男勝りなのかと思ったが。
「あ、よろしくです」
「まあここは、クセ強集団だから疲れると思うが、普通の私で癒されろー」
ピースをしながら何かを言っている。
何というか、思ったより変な人だった。
「あんたも十分普通じゃないでしょ…」
丸眼鏡の、ロングスカートで清楚そうな子が突っ込む。
「あ、私は宮垣 雛、よろしく」
「よろしくです」
良かった、やっと普通っぽい人が来た。
「……ふむ」
「?」
その人は何故か僕をジロジロと見ていた。
「えっと、何か」
「やせ型のところと丁寧そうなところを見ると受けよりといったところか、否先ほどのにらみから恐らく腹黒攻めタイプが一番似合うとみていいかもしれない、そう私は見た目だけで判断する素人ではなくその人の内面やオーラまで見て総合判断するのだから」
ぶつぶつと呪文のように言っている。
だめだ多分この人も普通じゃない。
それと思い出せた。
宮垣 雛。
ニュースでは本屋に立ち寄った帰りに殺されたと報道されていたが、どうやらBL本を買い漁っていたところを殺されたという。
更に目撃者の証言では腹から血を流して倒れており、大丈夫ですかと声をかけたら目をかっぴらき『カナ×タカを読むまで死んでたまるかぁ!!』と言いながらBL本を開き、その後満足そうに鼻血を出しながら死んでいったという。
確かシリアスな事件の唯一のコメディ枠とまで言われていたな。
まあ実際人が死んでいるから不謹慎だと言う意見のほうが多いがな。
「ふっふっふそれにしてもやっと男子が増えたわね、ずっと女子ばっかだったから供給に困っていたところだったわ、もちろんカミ×シドも最高だがね」
よだれを垂らしながらまだ語っていた。
うん、やっぱこの人も普通ではない。
そんな宮垣を一人の女子がひっぱたく。
「ドン引きされてるわよ止めなさい」
「はっ!?私は何を!?」
「ったく」
ショートカットで、白Tで大きい、とにかく大きい胸が協調されていて、赤のチェックシャツを腰巻している子。
そんな子がため息をついていた。
「あ、私佐奈田 理恵、よろしく」
「よろしくです」
佐奈田 理恵。
確か最初の被害者だった子だ。
若い女子大生が刺された狂事件。
全ての始まりとも言われているのでその名前は憶えている。
「一応、この世界に一番最初に来た先輩だから」
「あ、存じてます」
「そう、だったらいいわ」
何というか、冷たそうな人だな。
第一印象はそんな感じだった。
「まあ私が一番慣れてるから、だから何かあったら私に言いなさい」
「え?」
「寂しいとか分からないとか何でもいいわ、解決はできないかもだけど話は聞いてあげれるから」
あ、分かった、この人多分いい人だ。
今の言葉で何となく予測できた。
「よく言うぜ、俺が来た頃は弱音吐いてたクセに」
龍太が茶々入れてくる。
「なっ、あれは」
「確か『ねぇ何よここ、私どうすればいいの、怖いよ龍太ぁ』って」
「やめなさい」
理恵は顔を真っ赤にして龍太をはたく。
「おっと」
だが恐らくワープしたのか理恵の後ろに回る。
「っっっ!!」
理恵の顔はタコのように真っ赤になる。
「もう!あんたのそういうとこ本当大嫌い!!」
「へぇー」
後ろにいた最後の一人がにやにやする。
「何!?」
「いやぁねぇ、大嫌いねぇ…」
黒の猫耳パーカーを着たちょいロングめの髪型の子。
その子はへぇ、へぇぇぇと言いながら理恵の周りをうろうろする。
「あんたねぇ!!」
「ふふっ本当理恵ちゃん可愛いな」
からかうように笑う。
まあ恐らくそういう事なのだろう。
こういうのにも目ざといのが予測者だ。
「なあ、理恵の奴俺にだけ当たり強いんだよなんでだろう」
こういうことを言うのが凡人だ。
というか本当に僕に馴れ馴れしいなこいつ。
「喧嘩するほどなんちゃら、ってやつだよ龍太君」
猫耳の子が僕たちに近づく。
その子と目が合う。
「よろしくね、私は喜多島 ゆうき」
「よろしくです」
喜多島 ゆうき。
確か14歳と被害者最年少だったはずだ。
彼女の父親が被害者家族の会を結成し、よくワイドショーに出ていたのを覚えている。
その父親いわく、ボランティアにもよく参加する、本当にいい子だったらしい。
「いやー本当変なのに巻き込まれたよね私達」
「え?あぁそうだね」
「お互い大変だけど、頑張っていこうね!」
「あ、うん」
何だろう。
とてつもなく、普通だ。
いや猫耳パーカー自体はちょっと変わってはいる。
けどずっと濃い味を食べた後に薄味を食べたかのような。
「ってなんで、濃いキャラを期待してるんだ僕は…」
気が付いたら毒されていた気分でいやになる。
「…何と言うか面白い人ばっかなんだなトウキョウの者は」
ルインがボソッと僕に言う。
「会ったことなかったんですか」
「まあ、本当に名前だけ知らされていた」
なるほど、そういえば僕の名前聞いて東京っぽいって所からこの話になってたんだよな。
「…さて」
王が言葉を発する。
そういえばいたなこの人。
ずっと黙ってくれていたのか。
「これで東京の者が八人そろった」
ん?
僕は何か引っかかる。
だが一旦話を聞くことにした。
「さて未来よ」
「はい」
「そなたにも話そう、お前たちがここに集められた意味を」
「!」
やはり王は何か知っている。
何故僕らが、この世界に来たのかを。
ルインさんに着いて行き王城の中を歩いてからの30分。
未だに王城の中を歩いていた。
「ル、ルインさん何処まで行くんですか」
少し疲れてきた僕はルインさんに尋ねる。
さっきから階段上って、また廊下を歩き、階段を上って、しばらく歩いたら今度は下ってと道に迷っているかのように右往左往している。
それを30分だ、流石に疲れる。
「すまないな、この王城は基本的には迷宮的構造なんだ」
迷宮的構造、聞いたことない言葉だが、まあ文字通りの意味だろう。
「それに君たちトウキョウの者は王のお気に入りだ、王の近い部屋、つまり奥に集まっている」
なるほど王は奥にいるのか。
まあ迷路みたいな城なら当然っちゃ当然か。
「それにしても、なぜ王はその東京の者に興味を持っているんですか?」
「それは、正直私にも分からない」
ルインさんは続ける。
「私はあくまで騎士だからな、地位ゆえ多少の事は教えてもらえるが、まあ本当に必要な情報だけだ」
「なるほど、では何か聞いたことあることは」
「そうだな、えっと」
ルインさんが少し悩んでいる。
その時だった。
突如頭にキーンとかん高い音が鳴り響く。
「っ…!?なんだこれ!?」
僕は頭を抱える。
この音、例えるなら拡声器のノイズのような。
僕にとって本当に不快な音だった。
「これは、王の御言葉だ」
ルインさんは聞きなれているかのようにケロッとしている。
「王の?」
どういうことか聞こうとした。
『知りたいなら、我と直接話せばよかろう』
だがその前にそんな声が聞こえた。
『ルインよ、その東京の者を我の部屋へ』
「はっ!」
ルインさんは拳を左胸にあてる。
なるほど、王の御言葉ね。
どうやら王は遠くからでも声をかけられるらしい。
さらに言えば僕らの話も遠くから聞けるみたいだ。
僕の質問に対するアンサーのようなものも来たからな。
それにしても、僕も少しずつこの異様な光景に順応してきたな。
「さて、では君を王の元へお連れしよう」
「ありがとうございます」
元々王には僕も興味があった。
こちらからも望むところだ。
それにしても、さっき一つ気になった事があった。
東京の者、王はそう言っていた。
ここの人たちは聞いたことない言葉だからか片言風にトウキョウと言う。
だが確かに王は東京と言っていた。
つまり王は東京を知っている?
ということはこの事象についても何か知っているのでは?
そう考えたらより王と話す価値が増えた。
「さて着いたぞ」
「ん?あぁ」
思いを巡っている間に僕はいつの間にかたどり着いた。
目の前にある大きく、宝石で飾った豪華な扉。
一目でこれが王の部屋だと分かった。
「王、トウキョウの者をお連れしました」
ルインが跪き、拳を左胸に置きいった。
すると扉はゴゴゴと言う音と共に開く。
「おぉ…」
中は金一色の部屋で、正直趣味悪いなと思うそんな部屋だった。
扉から真っすぐレッドカーペットが敷かれており、その先に王座があった。
その王座には、肩まで伸びた長い白髪、胸まで届くほどの長い白いひげ。
神話に出てきそうな白いローブのようなものを着飾った老人が座っていた。
「あの人が王…それと」
その周りには二人の男子と五人の女子。
合計七人。
その人達にはネットで見覚えがあった。
「やっぱりか…連続殺人の被害者…」
先程の僕の予測はどうやら正しかったようだ。
思わずにやけてしまう。
やはり予測が当たるのは気持ちいいものだ。
「ご苦労だったな、ルインよ」
王がルインさんに声をかけた。
「さて、青年よ、名は?」
そして次は僕の方を見ながら訪ねた。
「僕は未来、高橋未来です」
「未来…良き名だ」
「ありがとうございます」
僕は頭を下げる。
日本人の特性で僕は三拍数えてから上げる。
「うおっ!?」
すると目と鼻の先に茶髪パーマで白いパーカーの男子がいた。
あまりにもビックリした僕は倒れて尻もちをついてしまう。
「へへっビックリしたか?」
そいつはへへっと楽しそうに笑っていた。
それにしても視線をずらしていたとはいえ、こんなに接近したら気づきそうなものだが。
「もしかして、それが君の能力…?」
「ん?おう!」
眼をキラキラ輝かせながら答えた。
「すげーなお前!!後から来た奴全員にやったが、一発で気づいたのはお前が初めてだ!!」
そしてなぜかそいつは僕の頭をポンと叩き
「よし、その有望さに免じ俺の助手にしてやる!」
何故か上から言ってきた。
「…は?」
思わず威圧のような言葉が出てしまう。
普段外面はよくするのだが思わず出てしまった。
その時、表情にも出てしまったのか目を見たそいつはヒッと声を上げた。
「おいこいつこえーよ!!なあ助けて親友!」
涙目になり、もう一人の男子に話しかけた。
そっちはこの明るそうなのとは対照的に少し暗そうな、眼鏡をかけ、黒の帽子、セーター、パンツと全身黒ファッションの男だった。
「…面倒くさい」
「そんなぁ!!」
黒の男子が面倒くさそうにしているのに対し、肩を組んでダルがらみをする茶髪。
「え?」
てかいつの間にあそこまで。
ほんの一瞬の出来事だった。
さっきまで目の前にいたのにいつの間にか王座の周り、ここから五メートルは離れているところまで。
そんな遠くは無いとはいえ一瞬で動くには不可能な。
「全く、相変わらずだな龍太は」
「ふふっでもそういうところ可愛いよねー」
「楽しそう!うちも混ざるっす!」
「はぁはぁ…絡み合い…」
「おっと別の意味で相変わらずなのがここに」
見た感じ誰もそのことを不思議に思っていない。
なるほど、あのワープのようなものはご存じなのか。
「ふむ、お前たち、そろそろ未来に自己紹介すべきでは」
王は彼らにそう言った。
「そういやそうだったな」
茶髪が一番最初に反応した。
「俺は神条 龍太!東青天大学のランナーだ!」
神条 龍太。
確か箱根駅伝の四区でぶっちぎりの区間賞を出したというランナーだったはずだ。
オリンピック候補選手だったがあの殺人事件に巻き込まれた伝説の俊足。
「っつても今は殺されてグランドヘヴンで生活中!!よろしく!!」
満天の笑顔で軽く言った。
にしても駅伝のインタビューぐらいしか見たことなかったが、こんなに明るいやつだったんだな。
「んでこいつは親友の獅童 継!」
龍太は隣の男の肩をつかみ勝手に紹介した。
「…ん、ども」
「あ、ども」
何というかとらえどころの無いやつだ。
獅童 継、確か唯一自宅で殺されたというやつだったな。
他の人は外で殺されている状況だったから、こいつだけは別事件説もあったんだよな。
だがここにいるってことはあの連続殺人で間違いないようだ。
「男性陣は以上だ!!いやー新しく入ってきて嬉しいぜ助手よ!!」
だからその助手は止めてほしい。
「おい、そんな露骨に嫌そうな顔すんなよ…悪かったって」
「あらら、リュウリュウ嫌われたっすね!」
赤、青、緑、黄、白と五色ぐらいあるカラフルな髪の女子が笑う。
服装もセーラー服を腹だしに改造してて、ドクロや十字架みたいな厳ついアクセサリーをつけて、なんというか派手な子だ。
「あ、うち鳳凰嶺 華凜!かりんちゃんって呼んでぇ!」
その子もその子でアホっぽいというか、まあ龍太と同じタイプだ。
「って、鳳凰嶺!!??」
僕は思わず叫んでしまった。
鳳凰嶺といえば誰でも一度は耳にする名家だ。
大企業には必ず鳳凰嶺グループが絡んでいるらしく、政治家も頭が上がらないほどの地位の存在。
そこのお嬢様は確か跡継ぎになることを約束されていて、帝王学、経済学、行政、マナーなどあらゆる知識を叩きこまれている完璧お嬢様と聞いていた。
そのお嬢様も事件に巻き込まれたという話は聞いたことあったが…。
だが…。
「えーその厳つい苗字じゃなくて、かりんちゃんって呼んでよー」
「え、あの」
「リピートアフターミー!かりんちゃん!」
「あ、かりんちゃん…」
「いや~ん、名前で呼ばれちゃった~」
…こいつが?
その完璧お嬢様…?
……どうやら僕はデマに騙されていたらしい。
うん、絶対そうだ。
予測するまでもない。
「まあこの子が鳳凰嶺のお嬢様なんて信じられんよね」
ボブカットのおとなしめな子が笑う。
白のロングTシャツにチェックのパンツと恐らく大学生であろう子だ。
「え~どの辺が~?」
「まあ全体的に?」
「え、ひどっ」
フワフワとかりんと会話している。
「あ、私白峰 澪、よろしくー」
白峰 澪。
確か友達と一緒にいたところ殺された子だったはずだ。
どうやら死ぬギリギリまで友達を逃がそうとしていたらしい。
ちなみにその友達は心身症になってしまい、犯人の特徴など言えなくなってしまったと聞いている。
まあそんな話を聞いていたものだからもっと男勝りなのかと思ったが。
「あ、よろしくです」
「まあここは、クセ強集団だから疲れると思うが、普通の私で癒されろー」
ピースをしながら何かを言っている。
何というか、思ったより変な人だった。
「あんたも十分普通じゃないでしょ…」
丸眼鏡の、ロングスカートで清楚そうな子が突っ込む。
「あ、私は宮垣 雛、よろしく」
「よろしくです」
良かった、やっと普通っぽい人が来た。
「……ふむ」
「?」
その人は何故か僕をジロジロと見ていた。
「えっと、何か」
「やせ型のところと丁寧そうなところを見ると受けよりといったところか、否先ほどのにらみから恐らく腹黒攻めタイプが一番似合うとみていいかもしれない、そう私は見た目だけで判断する素人ではなくその人の内面やオーラまで見て総合判断するのだから」
ぶつぶつと呪文のように言っている。
だめだ多分この人も普通じゃない。
それと思い出せた。
宮垣 雛。
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更に目撃者の証言では腹から血を流して倒れており、大丈夫ですかと声をかけたら目をかっぴらき『カナ×タカを読むまで死んでたまるかぁ!!』と言いながらBL本を開き、その後満足そうに鼻血を出しながら死んでいったという。
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まあ実際人が死んでいるから不謹慎だと言う意見のほうが多いがな。
「ふっふっふそれにしてもやっと男子が増えたわね、ずっと女子ばっかだったから供給に困っていたところだったわ、もちろんカミ×シドも最高だがね」
よだれを垂らしながらまだ語っていた。
うん、やっぱこの人も普通ではない。
そんな宮垣を一人の女子がひっぱたく。
「ドン引きされてるわよ止めなさい」
「はっ!?私は何を!?」
「ったく」
ショートカットで、白Tで大きい、とにかく大きい胸が協調されていて、赤のチェックシャツを腰巻している子。
そんな子がため息をついていた。
「あ、私佐奈田 理恵、よろしく」
「よろしくです」
佐奈田 理恵。
確か最初の被害者だった子だ。
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「一応、この世界に一番最初に来た先輩だから」
「あ、存じてます」
「そう、だったらいいわ」
何というか、冷たそうな人だな。
第一印象はそんな感じだった。
「まあ私が一番慣れてるから、だから何かあったら私に言いなさい」
「え?」
「寂しいとか分からないとか何でもいいわ、解決はできないかもだけど話は聞いてあげれるから」
あ、分かった、この人多分いい人だ。
今の言葉で何となく予測できた。
「よく言うぜ、俺が来た頃は弱音吐いてたクセに」
龍太が茶々入れてくる。
「なっ、あれは」
「確か『ねぇ何よここ、私どうすればいいの、怖いよ龍太ぁ』って」
「やめなさい」
理恵は顔を真っ赤にして龍太をはたく。
「おっと」
だが恐らくワープしたのか理恵の後ろに回る。
「っっっ!!」
理恵の顔はタコのように真っ赤になる。
「もう!あんたのそういうとこ本当大嫌い!!」
「へぇー」
後ろにいた最後の一人がにやにやする。
「何!?」
「いやぁねぇ、大嫌いねぇ…」
黒の猫耳パーカーを着たちょいロングめの髪型の子。
その子はへぇ、へぇぇぇと言いながら理恵の周りをうろうろする。
「あんたねぇ!!」
「ふふっ本当理恵ちゃん可愛いな」
からかうように笑う。
まあ恐らくそういう事なのだろう。
こういうのにも目ざといのが予測者だ。
「なあ、理恵の奴俺にだけ当たり強いんだよなんでだろう」
こういうことを言うのが凡人だ。
というか本当に僕に馴れ馴れしいなこいつ。
「喧嘩するほどなんちゃら、ってやつだよ龍太君」
猫耳の子が僕たちに近づく。
その子と目が合う。
「よろしくね、私は喜多島 ゆうき」
「よろしくです」
喜多島 ゆうき。
確か14歳と被害者最年少だったはずだ。
彼女の父親が被害者家族の会を結成し、よくワイドショーに出ていたのを覚えている。
その父親いわく、ボランティアにもよく参加する、本当にいい子だったらしい。
「いやー本当変なのに巻き込まれたよね私達」
「え?あぁそうだね」
「お互い大変だけど、頑張っていこうね!」
「あ、うん」
何だろう。
とてつもなく、普通だ。
いや猫耳パーカー自体はちょっと変わってはいる。
けどずっと濃い味を食べた後に薄味を食べたかのような。
「ってなんで、濃いキャラを期待してるんだ僕は…」
気が付いたら毒されていた気分でいやになる。
「…何と言うか面白い人ばっかなんだなトウキョウの者は」
ルインがボソッと僕に言う。
「会ったことなかったんですか」
「まあ、本当に名前だけ知らされていた」
なるほど、そういえば僕の名前聞いて東京っぽいって所からこの話になってたんだよな。
「…さて」
王が言葉を発する。
そういえばいたなこの人。
ずっと黙ってくれていたのか。
「これで東京の者が八人そろった」
ん?
僕は何か引っかかる。
だが一旦話を聞くことにした。
「さて未来よ」
「はい」
「そなたにも話そう、お前たちがここに集められた意味を」
「!」
やはり王は何か知っている。
何故僕らが、この世界に来たのかを。
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※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
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