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獣人族戦編
崩壊拳エレファン③
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「何故裏切ったんだ…タイガぁぁぁぁぁぁ!!!!」
エレファンが激高する。
「あんたのやり方が間違っているからだ!!エレファン!!」
タイガーが再び一撃与える。
「俺は!!あんたを!!止める!!」
何度も何度も、重い一撃を与える。
一回一回はそこまで早くない。
だからこそ、丁寧に強大な正拳突きを食らわしている。
「ぐあ!どあ!だぁ!!」
突然の裏切りによる困惑、更にタイガーのパンチだ。
エレファンも思わず手も足も出ない状況だ。
それにしても。
「こいつ、こんな強かったのか…」
馬鹿力と呼ばれているだけある。
「てか、あれ普通に死ぬんじゃないか!?」
殺すの苦手なんじゃないのか?
このまま撲殺しそうな勢いだぞ。
「どらぁぁぁぁ!!」
「がぁぁぁぁぁ!!」
止めと言わんばかりにアッパーを繰り出す。
エレファンは宙に浮かび、5メートルぐらい後方に吹っ飛んだ。
「お、お、まじか…」
え、これ勝った…?
正直状況を変えてくれれば程度に考えていた。
タイガーの力を借りれば新たな事象が起こり、そこに突破口があるのではぐらいに。
だがその必要なくやってしまったかもしれない。
勝利を確信するため様子を見に近づこうとすると。
「まだ近づかん方がいい!」
タイガーに止められる。
「こんなのでやられるようなやわな男じゃないよなエレファン!!」
「…ヴァアアアア」
その叫びに呼応するかのようにエレファンが立ち上がる。
「当然だ!!俺が!!この力を手に入れた俺が終わるわけ無かろう!?」
エレファンは怒りに身を任せ怒号を飛ばす。
とんでもない、まだこんな力を残していたのか…。
「タイガぁぁ…よく裏切ってくれたなぁ!!」
エレファンがタイガーに向かって走り出す。
「貴様への鉄槌は、極刑だぜ!!」
「まずい…逃げるぞタイガー!!」
僕は嫌な予感に忠告する。
奴の攻撃を食らったら一たまりも無い。
だが…。
「無理だ!!間に合わない!!」
そうだったこいつ鈍足だった!
「でぁりゃぁぁぁぁ!!」
「ぶおっ!!??」
腹に大きな一撃を食らったようで後方に吹っ飛ぶタイガー。
「え、ちょ」
そのまま後ろにいた僕の方へ飛んでくる。
「ぶわっ!!」
直撃してしまい、尻もちをついてしまう。
その衝撃で軽い脳震盪も起きたようでふらついてしまう。
「まあ、そんなに甘くはないか…」
さっきまで勝ったかなと思っていた自分の甘さをぶん殴りたい。
もっと冷静に予測をしなければ。
でなければ勝てないって、さっきあれほど覚悟したはずだ…。
「ありがとう、手を貸してくれて」
僕は下水道を一緒に歩いているタイガーにお礼を言う。
「俺は、あんたの目を信じることにした」
「え?」
「あんたの目は、必ず実行するという意思を感じ取れた」
タイガーは顔を近づけ、僕の目をしっかり見ていた。
「エレファンを止めるってな」
「勿論だ」
成し遂げなければ殺されるからな。
僕は迷いなく返事した。
「うむ、怯えながらも強い目だ!それの目は信用できる!」
タイガーは再び前を向き、ガハハッと笑う。
「それよりちゃんと指示してくれよ」
タイガーは冗談交じりに言う。
「じゃなきゃエレファンには勝てねーぞ」
「勿論だ、僕の予測に任せろ」
「頼もしいな」
「それで予測のために教えてほしいんだが、あんたの能力は何だ?」
「ん?ああ」
僕はその後の言葉が、今でも嘘で合ってほしいと思ってる。
「食べ物を甘くする、甘味増量だ」
「……へ?」
「俺が目に見える食べ物、そいつに強く念じれば甘くておいしい食べ物になるって能力だ」
「……えっと戦闘に使えるやつは?」
「無い、この馬鹿力と呼ばれた筋肉だけだ!!」
ガハハッと笑うタイガー。
…どうやら思った以上に僕の予測にかかっているらしい。
だが現実問題どうすればいい?
まず奴の能力…恐らく破壊か?
それの弱点は何となく予測できた。
どんなに硬いものも壊せるはずの能力。
現に街の壁は破壊していた。
だが目の前のタイガーは崩壊せずまだ生きている。
何故か、それは着ている鎧が壊れているというところに答えがある。
ということは。
①触った物、それ単体しか破壊できない
②生き物は対象外
このどっちか、またはどっちもだ。
②の方は正直実験するにはリスクが大きすぎるが…。
「なあタイガー」
「何だぁ?」
「奴の能力は、触れたものを破壊する能力か?」
「んー多分」
「た、多分?」
曖昧な返事が返ってきた。
こいつら同じ種族じゃないのか?
「俺はその辺よく知らんからな、まあ見た感じそうなんだろう!!」
くっそこいつアホの部類か。
なら答えを聞くことは無理と思っていい。
能力すらよく分かってないやつにその仕組みを答えるのは無理だ。
と、そんな会話していると。
「おいおいぃぃぃお話とは余裕だねぇぇぇ!!」
エレファンが目の前で見下ろしている。
「ははっなんかテンション高いっすね…」
僕は頑張って平静を保とうと軽く話す。
だが、実のところ結構テンパっている。
タイガーさんも膝をついていて、僕も上手く立ち上がれない。
能力の条件もまだよく分かっていない。
お、終わりなのか…。
「死にやがれぇぇぇぇぇ!!!」
奴が拳を構え、こちらに攻撃してくる。
「ちくしょおおおおおお!!!」
こうなったらヤケだ!
何とか反撃を!!
そんな時だ。
「うおおおおおお!!」
「は?」
「な!?」
「え?」
突然起きたことに僕らは皆驚いた。
殴られたのは僕らではなく、突然現れたイタチの獣人族。
あいつは確か…さっき下水道にいた…。
「ぐわあああああああ!!」
「うおっ!?」
イタチが僕のところへ吹っ飛ぶ。
さっきと同じ状況だがタイガーより大分軽く、痛みはそこまで無かった。
だが。
「がぁ…」
ぴくぴくと痙攣し、泡を吹いている状態。
大分危ない。
下手したら死んでしまう。
僕がそれに困惑していると。
びしっ
「んん?」
エレファンに小石が飛んできた。
「俺達もタイガーさんを救うんだ!!」
「おう!!」
彼らも下水道にいた獣人族だった。
恐らく、タイガーを追って助っ人に来たのだろう。
小石は何個も、何個も投げられる。
「あぁ…鬱陶しい…貴様ら雑魚も討伐対象か?」
エレファンが彼らを睨む。
彼らの方へ踏み出そうとすると。
「ヌワァァァァァァ!!」
「ぶぉぉぉぉぉ!!??」
タイガーが思い切りエレファンを殴った。
しっかりボディに入り、膝をついていた。
「うおりゃぁぁぁぁ!!」
「ぶはぁぁっ!!」
そのチャンスを逃さず、上からしっかりと一撃を与える。
エレファンは頭から思い切り地面に叩きつけられる。
「伝わったぜ!!てめえらの魂がぁぁぁ!!」
そこで止まらず、もう一撃叩きつける。
「ふん!!ふん!!!」
何度も何度もぶん殴る。
「お、おい!!しっかりしろ!!」
僕はイタチに何度も声をかける。
見れば分かる。
こいつは身を挺して僕らを守ってくれた。
そんな奴が目の前で死ぬのは流石に目覚めが悪いぞ。
「だから死ぬな!!」
そうだ!!
薬草だ!
この世界の薬草の効力を使えば。
そんなことを思っている時だ。
「調子に乗るなぁぁぁぁ!!」
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
エレファンは地面に向かって思い切りパンチする。
能力を使ったのだろう。
破片のようにコンクリートの地面が飛び散る。
それによってタイガーの猛攻は止まる。
そしてその破片は僕らの方にも飛んできて。
目の前に落ちた。
「な!?」
そこにいたのは、死にかけのイタチだ。
僕は急いで瓦礫をどかす。
「…っ!!」
僕は彼に思い入れがあったわけではない。
さっき下水道で初めて会って、喋ったことは一度も無い。
僕らを守ってくれたという事しか知らない。
だが、こんなにも虚しくなるものなのか?
彼は恐らく若い命だ。
しかもあそこにいたということは自ら望んで戦場に来たわけじゃない。
そんな奴の死は…こんなにも…。
「…ありがとう、助けてくれて」
多分、僕じゃなくタイガーを助けたんだろう。
それでも、おかげで僕は生きている。
それに、おかげさまで奴の能力。
その条件の最後のピースがハマった。
見えたぜ…突破口。
「さて、分かったところで後は作戦だけだ」
そのためにも。
「皆、手伝ってほしい」
僕は助けに来てくれた獣人族に声をかける。
「タイガーを助けるために」
これは方便だ。
本当のところ、作戦を立てやすくするための人手がほしいだけだ。
だが、それが何だ。
成功のためなら僕はいくらでも泥をかぶってやる。
「…その目を、タイガーさんは信じたんですね」
犬の獣人が僕の目を見て言った。
「分かりました、何を手伝えばいいですか?」
「俺ら、力は弱いですがそれでもよければ」
「頑張ってみます」
皆が賛同してくれた。
何というか、拍子抜けするぐらい信用してくれた。
「えと、僕が言うのもなんだけどそんなに簡単に信用するの?」
「え?」
「だって僕人間族だし」
「だってタイガーさんが信用したから」
当たり前のように言って、みんながうんとうなずく。
本当に慕われているんだな…あの人。
「えと、おほん」
そういうことならと僕は切り替えることにする。
「そしたら僕はある弱点に気づいた、それを今から共有する」
僕は皆に、イタチのおかげで気づいたことを伝えた。
その内容を達成するために必要なことも。
「そのためには、何が必要か、僕は今考えている」
それが、作戦の要になる。
一体、何か…。
「あ、あの」
サルの獣人が手を挙げる。
「どうした?」
「僕らが着ている服、これとか使えませんか?」
…あぁ確かに。
「なるほど、その手があったか」
思ったより簡単な事だった。
それが最後のピースとなり、全ての道筋が繋がって作戦が完成した。
「よし、それじゃあ作戦を伝える」
僕は皆にそれぞれ役割を与えた。
「なるほど、そしたら僕がこれを」
「今すぐ取り掛かります!」
「みんな頑張るぞ!」
それに賛同してくれたようで各々が行動を始めた。
さあ、こっからが本番だ。
ありがたいことに今、タイガーさんが戦ってくれている。
獣人族の皆が協力してくれている。
シンキングタイムも十分与えられた。
一人が、命を這って助けてくれた。
これで失敗したは、許されない。
誰かが許しても、僕は自分が許せない。
「エレファン、これで終わらすぞ、この戦いを!!」
覚悟を決めて拳をぎゅっと握った。
エレファンが激高する。
「あんたのやり方が間違っているからだ!!エレファン!!」
タイガーが再び一撃与える。
「俺は!!あんたを!!止める!!」
何度も何度も、重い一撃を与える。
一回一回はそこまで早くない。
だからこそ、丁寧に強大な正拳突きを食らわしている。
「ぐあ!どあ!だぁ!!」
突然の裏切りによる困惑、更にタイガーのパンチだ。
エレファンも思わず手も足も出ない状況だ。
それにしても。
「こいつ、こんな強かったのか…」
馬鹿力と呼ばれているだけある。
「てか、あれ普通に死ぬんじゃないか!?」
殺すの苦手なんじゃないのか?
このまま撲殺しそうな勢いだぞ。
「どらぁぁぁぁ!!」
「がぁぁぁぁぁ!!」
止めと言わんばかりにアッパーを繰り出す。
エレファンは宙に浮かび、5メートルぐらい後方に吹っ飛んだ。
「お、お、まじか…」
え、これ勝った…?
正直状況を変えてくれれば程度に考えていた。
タイガーの力を借りれば新たな事象が起こり、そこに突破口があるのではぐらいに。
だがその必要なくやってしまったかもしれない。
勝利を確信するため様子を見に近づこうとすると。
「まだ近づかん方がいい!」
タイガーに止められる。
「こんなのでやられるようなやわな男じゃないよなエレファン!!」
「…ヴァアアアア」
その叫びに呼応するかのようにエレファンが立ち上がる。
「当然だ!!俺が!!この力を手に入れた俺が終わるわけ無かろう!?」
エレファンは怒りに身を任せ怒号を飛ばす。
とんでもない、まだこんな力を残していたのか…。
「タイガぁぁ…よく裏切ってくれたなぁ!!」
エレファンがタイガーに向かって走り出す。
「貴様への鉄槌は、極刑だぜ!!」
「まずい…逃げるぞタイガー!!」
僕は嫌な予感に忠告する。
奴の攻撃を食らったら一たまりも無い。
だが…。
「無理だ!!間に合わない!!」
そうだったこいつ鈍足だった!
「でぁりゃぁぁぁぁ!!」
「ぶおっ!!??」
腹に大きな一撃を食らったようで後方に吹っ飛ぶタイガー。
「え、ちょ」
そのまま後ろにいた僕の方へ飛んでくる。
「ぶわっ!!」
直撃してしまい、尻もちをついてしまう。
その衝撃で軽い脳震盪も起きたようでふらついてしまう。
「まあ、そんなに甘くはないか…」
さっきまで勝ったかなと思っていた自分の甘さをぶん殴りたい。
もっと冷静に予測をしなければ。
でなければ勝てないって、さっきあれほど覚悟したはずだ…。
「ありがとう、手を貸してくれて」
僕は下水道を一緒に歩いているタイガーにお礼を言う。
「俺は、あんたの目を信じることにした」
「え?」
「あんたの目は、必ず実行するという意思を感じ取れた」
タイガーは顔を近づけ、僕の目をしっかり見ていた。
「エレファンを止めるってな」
「勿論だ」
成し遂げなければ殺されるからな。
僕は迷いなく返事した。
「うむ、怯えながらも強い目だ!それの目は信用できる!」
タイガーは再び前を向き、ガハハッと笑う。
「それよりちゃんと指示してくれよ」
タイガーは冗談交じりに言う。
「じゃなきゃエレファンには勝てねーぞ」
「勿論だ、僕の予測に任せろ」
「頼もしいな」
「それで予測のために教えてほしいんだが、あんたの能力は何だ?」
「ん?ああ」
僕はその後の言葉が、今でも嘘で合ってほしいと思ってる。
「食べ物を甘くする、甘味増量だ」
「……へ?」
「俺が目に見える食べ物、そいつに強く念じれば甘くておいしい食べ物になるって能力だ」
「……えっと戦闘に使えるやつは?」
「無い、この馬鹿力と呼ばれた筋肉だけだ!!」
ガハハッと笑うタイガー。
…どうやら思った以上に僕の予測にかかっているらしい。
だが現実問題どうすればいい?
まず奴の能力…恐らく破壊か?
それの弱点は何となく予測できた。
どんなに硬いものも壊せるはずの能力。
現に街の壁は破壊していた。
だが目の前のタイガーは崩壊せずまだ生きている。
何故か、それは着ている鎧が壊れているというところに答えがある。
ということは。
①触った物、それ単体しか破壊できない
②生き物は対象外
このどっちか、またはどっちもだ。
②の方は正直実験するにはリスクが大きすぎるが…。
「なあタイガー」
「何だぁ?」
「奴の能力は、触れたものを破壊する能力か?」
「んー多分」
「た、多分?」
曖昧な返事が返ってきた。
こいつら同じ種族じゃないのか?
「俺はその辺よく知らんからな、まあ見た感じそうなんだろう!!」
くっそこいつアホの部類か。
なら答えを聞くことは無理と思っていい。
能力すらよく分かってないやつにその仕組みを答えるのは無理だ。
と、そんな会話していると。
「おいおいぃぃぃお話とは余裕だねぇぇぇ!!」
エレファンが目の前で見下ろしている。
「ははっなんかテンション高いっすね…」
僕は頑張って平静を保とうと軽く話す。
だが、実のところ結構テンパっている。
タイガーさんも膝をついていて、僕も上手く立ち上がれない。
能力の条件もまだよく分かっていない。
お、終わりなのか…。
「死にやがれぇぇぇぇぇ!!!」
奴が拳を構え、こちらに攻撃してくる。
「ちくしょおおおおおお!!!」
こうなったらヤケだ!
何とか反撃を!!
そんな時だ。
「うおおおおおお!!」
「は?」
「な!?」
「え?」
突然起きたことに僕らは皆驚いた。
殴られたのは僕らではなく、突然現れたイタチの獣人族。
あいつは確か…さっき下水道にいた…。
「ぐわあああああああ!!」
「うおっ!?」
イタチが僕のところへ吹っ飛ぶ。
さっきと同じ状況だがタイガーより大分軽く、痛みはそこまで無かった。
だが。
「がぁ…」
ぴくぴくと痙攣し、泡を吹いている状態。
大分危ない。
下手したら死んでしまう。
僕がそれに困惑していると。
びしっ
「んん?」
エレファンに小石が飛んできた。
「俺達もタイガーさんを救うんだ!!」
「おう!!」
彼らも下水道にいた獣人族だった。
恐らく、タイガーを追って助っ人に来たのだろう。
小石は何個も、何個も投げられる。
「あぁ…鬱陶しい…貴様ら雑魚も討伐対象か?」
エレファンが彼らを睨む。
彼らの方へ踏み出そうとすると。
「ヌワァァァァァァ!!」
「ぶぉぉぉぉぉ!!??」
タイガーが思い切りエレファンを殴った。
しっかりボディに入り、膝をついていた。
「うおりゃぁぁぁぁ!!」
「ぶはぁぁっ!!」
そのチャンスを逃さず、上からしっかりと一撃を与える。
エレファンは頭から思い切り地面に叩きつけられる。
「伝わったぜ!!てめえらの魂がぁぁぁ!!」
そこで止まらず、もう一撃叩きつける。
「ふん!!ふん!!!」
何度も何度もぶん殴る。
「お、おい!!しっかりしろ!!」
僕はイタチに何度も声をかける。
見れば分かる。
こいつは身を挺して僕らを守ってくれた。
そんな奴が目の前で死ぬのは流石に目覚めが悪いぞ。
「だから死ぬな!!」
そうだ!!
薬草だ!
この世界の薬草の効力を使えば。
そんなことを思っている時だ。
「調子に乗るなぁぁぁぁ!!」
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
エレファンは地面に向かって思い切りパンチする。
能力を使ったのだろう。
破片のようにコンクリートの地面が飛び散る。
それによってタイガーの猛攻は止まる。
そしてその破片は僕らの方にも飛んできて。
目の前に落ちた。
「な!?」
そこにいたのは、死にかけのイタチだ。
僕は急いで瓦礫をどかす。
「…っ!!」
僕は彼に思い入れがあったわけではない。
さっき下水道で初めて会って、喋ったことは一度も無い。
僕らを守ってくれたという事しか知らない。
だが、こんなにも虚しくなるものなのか?
彼は恐らく若い命だ。
しかもあそこにいたということは自ら望んで戦場に来たわけじゃない。
そんな奴の死は…こんなにも…。
「…ありがとう、助けてくれて」
多分、僕じゃなくタイガーを助けたんだろう。
それでも、おかげで僕は生きている。
それに、おかげさまで奴の能力。
その条件の最後のピースがハマった。
見えたぜ…突破口。
「さて、分かったところで後は作戦だけだ」
そのためにも。
「皆、手伝ってほしい」
僕は助けに来てくれた獣人族に声をかける。
「タイガーを助けるために」
これは方便だ。
本当のところ、作戦を立てやすくするための人手がほしいだけだ。
だが、それが何だ。
成功のためなら僕はいくらでも泥をかぶってやる。
「…その目を、タイガーさんは信じたんですね」
犬の獣人が僕の目を見て言った。
「分かりました、何を手伝えばいいですか?」
「俺ら、力は弱いですがそれでもよければ」
「頑張ってみます」
皆が賛同してくれた。
何というか、拍子抜けするぐらい信用してくれた。
「えと、僕が言うのもなんだけどそんなに簡単に信用するの?」
「え?」
「だって僕人間族だし」
「だってタイガーさんが信用したから」
当たり前のように言って、みんながうんとうなずく。
本当に慕われているんだな…あの人。
「えと、おほん」
そういうことならと僕は切り替えることにする。
「そしたら僕はある弱点に気づいた、それを今から共有する」
僕は皆に、イタチのおかげで気づいたことを伝えた。
その内容を達成するために必要なことも。
「そのためには、何が必要か、僕は今考えている」
それが、作戦の要になる。
一体、何か…。
「あ、あの」
サルの獣人が手を挙げる。
「どうした?」
「僕らが着ている服、これとか使えませんか?」
…あぁ確かに。
「なるほど、その手があったか」
思ったより簡単な事だった。
それが最後のピースとなり、全ての道筋が繋がって作戦が完成した。
「よし、それじゃあ作戦を伝える」
僕は皆にそれぞれ役割を与えた。
「なるほど、そしたら僕がこれを」
「今すぐ取り掛かります!」
「みんな頑張るぞ!」
それに賛同してくれたようで各々が行動を始めた。
さあ、こっからが本番だ。
ありがたいことに今、タイガーさんが戦ってくれている。
獣人族の皆が協力してくれている。
シンキングタイムも十分与えられた。
一人が、命を這って助けてくれた。
これで失敗したは、許されない。
誰かが許しても、僕は自分が許せない。
「エレファン、これで終わらすぞ、この戦いを!!」
覚悟を決めて拳をぎゅっと握った。
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