予測者~Prophet~

高ちゃん

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獣人族戦編

ミッション

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「未来が頼んだって、どういうことだ?」
噴水を浴びている澪に聞く。
あいつは確かエレファンを倒しに皆を連れて行ったはずだが。
「えっとね、行こうとしたきね、何かに気づいたように言ったの」
「言った?」
「ホークの狙いが分かったって」
狙いが分かった…この状況をか?
確かにあいつは予測者っていう能力で色々分かるとは言ってたが。
「あいつは分身してそれぞれが火を落としてくるって言ってた」
そこまではっきりと分かんのか。
それはもう予知の域なのでは?
まーそれは分かったが、気になるのは、
「それで、何で噴水浴びてんだ?」
こいつが今、びっちゃびちゃな状況だ。
確かに先に濡れとけば助かるかもしれんが。
あいつの考えがそれだけなのか?
何かその先がある気がする。
「あーこれね、未来がね、私の能力の使い方を考えてくれたの」
「使い方?」
「うん、私の硬軟変化のね」
こいつの能力は触れてるものの硬さ柔らかさを変えれる能力を持っている。
だけどそれで一体何かできるのか?
まあいいや。
俺には分からないなと諦める。
「ってそんなことより、この状況どうすんだよ!」
こんなのんびり話してる場合じゃなかった。
今、上空には火の大群。
それが今にも落ちてきそうだ。
「俺も出来る限りやってみるが、このままじゃ」
「あーそれは大丈夫だよー」
「大丈夫?」
何でこいつはこんなに落ち着いて。
未来が何かやったのか?
「そろそろかな?」
澪が通話アイテムを取り出す。
「…うん、こっちはいつでもいいよー…うん頼んだー」
誰かと話している。
向こうの声は…理恵か?
澪が通話アイテムを切ると俺に手招きをする。
「ちょっとこっち来た方がいいよー」
「え?」
何で?分かんないけどとりあえず澪に近づく。
そんな時だ。
がちん
「…え?」
今、真後ろで何か音が。
「は!!??」
そこには巨大な氷の柱のようなものがあった。
更には目の前には大きな影が出来上がっていた。
影の正体を確かめるために上を見ると街を覆うほどの巨大な何かができていた。
「なんだこれ!!??」
それも氷でできていた。
それは氷の膜のようなもの。
柱は、その氷の膜を支えるためのものだった。
「氷って事は…理恵が?」
「そだよー」
「マジか!?」
それはおかしいだろ。
あいつの能力は触れた物を凍らせる能力。
言ってしまえばそこにあるものを凍らせるだけで、無から自由に氷を作り出すのは無理だ。
それはで嫌と言うほど分かっている。
だが、こんな巨大なものを、どうやって。




未来が言っていた。
「エレファンは僕と宮垣、ルインさんでやる」
「私たちは、火の方を対策すればいいのね」
「ああ、そうだ」
そうだと軽く言われた。
その時は未来が急いでいたのもあり、すぐに分かれたが。
とんでもないものを押し付けられたものだ。
このミッション、内容は大分アバウトかつ困難なものだ。
というのも色んな難解要素がある。
まず、火で攻めるかどうかは確定ではない。
他の方法で来るかどうかも一応調べとくこと。
次に私たちの能力で何とかすること。
澪の方は未来がとある方法を思いついたので大丈夫みたいだ。
だが私の方は違う。
何か街全てを覆うほどの大きいものを用意できないか。
それに触れて守れないかと。
そんなことを言い出してきた。
そんなの簡単に出るわけがない。
そしてそんなアバウトな任務を期限だ。
その火の大群がいつ来るか。
それは分からないらしい。
正直いつ来てもおかしくはないんだとか。
だから出来る限り早くしなければならないとか。
ふざけるな。
一応無理な侵攻のせいで準備に手間取っているため遅く来る可能性はあるとは言っていた。
だがそもそもこの戦いだってもう少し時間あると思ったら急に始まったものだ。
あんまりあてにならない。
そんなミッションだ、急いで取り掛からないといけない。
一応案はもらっていて、王の能力で王城中の水道を全てつなげ中から大噴出する。
まあ可能性があるかな、そう思い王に通話アイテムで連絡を取った。
結果は、街の半分は何とかなるだろうがもう半分は無理だという。
というのも王は王城内の全ては操れるが、逆に王城に無いものは操れない。
街を全て覆うほどの水を用意しなければできないからだと。
それ以外の方法を探すしかない…。
今考えているのはドルマ隊や隠密部隊に使える能力者がいるかもしれないということ。
そう思って、街を探し回っている。
探し回るというのも簡単ではない。
獣人がうようよしている中で行わなければならない。
一応私の能力は強力でそこまで苦戦することは無い。
だがそれは1VS1での話。
囲まれたりしたら対処が難しくなる。
だから出来る限り戦わないようにしている。
それにしてもだ。
冷静に対処しようとすればするほど今の状況が酷く見える。
人間族と獣人族両者の死体が転がっていたりもする。
それは一般人もあり、その時は流石にしんどくなった。
子供の死体だった時はなおさらだ。
吐き気を感じ、一応抑えたが食道がムカムカする感覚には陥っている。
いつもそうだ。
戦いのときはアドレナリンや目の前の事に集中しなければならないというので無意識にそういうものから目を背けていた。
だがあらかた片がついたとき、現実が情報となって襲い掛かってくる。
こんなものをここに来てから繰り返している。
それでもやらなければならない。
それが私たちの来てしまった世界なのだから…。
「…はっ、いけない」
まだ終わっていないんだ。
今は目の前の事に集中しなければ。
私はしっかりしないと。
龍太だけに頑張らせるわけには…いかないんだから。
覚悟を決め、歩き出す。
とにかく音を頼りに今は探し出す。
戦いの音と言うのは遠くからでもよく聞こえる。
そこにはまだ、生き残っている隊がいるはずだ。
そこに向かおう。
私は走り出す。
もう少しだ。
恐らく、そこの角を曲がったところにいるはずだ。
別隊が…。
「……え?」
角を曲がって見た景色。
そこには予想外の光景が広がっていた。
「…おやおやお嬢さん、どうされましたか?」
ドルマ隊が戦っているのだが、ボロボロにされていた。
その相手が獣人族ではなかった。
見た目は人っぽい姿。
黒のタキシードに身を包んだ紳士的な男性。
だが大きさが2m50cmぐらいあるのではないかというぐらいでかい。
そんな男性がドルマ隊の攻撃を全て跳ね返してしまう。
「…あんた何者?」
私は問いかける。
ここにいるのは人間族と獣人族しかいないはず。
別の種族が漁夫の利狙いで来たのか?
だとしたら問いたださなければならない。
「私は𝔖ℑ𝔈𝔑𝔖𝔜𝔄と言います」
そいつは攻撃など気にしない様子で私と会話している。
「……?」
謎の言語、今何て。
「今、何て言ったの?」
「…はっ!」
私が聞き返した時だ。
少し何かを考えたと思ったら、突然大きい声を出す。
その時謎の衝撃はみたいなのが現れたようで、今まで攻撃してきたドルマ隊の全員は吹っ飛ぶ。
「今の言葉が伝わらなかった…のですか?」
「え、えぇ」
「あぁ!!」
そいつは突然私の前に来て跪いた。
「このエディミルス言語が通じないという事は別次元の人間、東京から来たものなのですね」
「…え?」
別次元、東京から来たものですって…?
「あんたは…一体?」
「あぁ失礼、私はジィドラス」
ジィドラスと名乗ったそいつのタキシードがビリビリと破れだす。
顔も段々と変形していき、肌には鱗のような物が現れる。
「竜族のジィドラスでございます、東京人様」
納得した。
この鱗。
恐竜の様な口。
生えてきたしっぽ。
まさしく竜だった。
「…一体どういうこと?」
もうただでさえ大変な状況なのに。
頭がパンクしそうになる。
もうこれ以上悩ませる種を増やさないでくれ。
そんなことを思っているとき。
ふと遠くを見た時。
追い打ちのように見たくない物が見えてしまう。
「…火の大群」
壁の上から飛んでくる火の軍隊。
未来の言う通り、本当に来てしまった。
まずい、何も準備が終わっていないというのに。
「まずい、とにかく澪に連絡して…」
「おや、あれは何でしょうか?」
ジィドラスも火の大群に気づき、私に聞いてきた。
だが、そんな訳の分からないものに構ってる暇はない。
今は何か対策を…。
「ねえジィドラス」
「はい何でしょうか」
「あなた、何の能力が使える?」






「さて私も行きますかー」
澪が肩を伸ばす。
「行くって、何を…うお」
噴水から澪が出てくる。
その時、浴びていた水が接着剤でついているかのように、そして大量に澪に着いてきていた。
「こいつは一体?」
「あのねー能力で作ったんだー」
そう言いながら氷の柱に近づく。
「柔らかい水を硬くするんだ、そしたら水がピタッと形作れるの、粘土みたいにね」
そんな事が出来るのか。
澪は最近来たばっかだからあまり知らなかった。
「それで水を服のように私の周りに付くように固めるの、名付けて水の鎧ウォーターアーマー!」
澪はそう言いながら柱に足をのせる。
すると一部がべこっとへこむ。
これはすぐ分かった。
能力で柔らかくしたんだ。
「これが未来君のアイデアだよー」
すごいな…。
あいつまだこの世界に来たばっかだというのに。
能力に馴染むどころかもう応用法まで…。
「さてと!」
澪は柱をハシゴのように使って上りだす。
「な、どこへ?」
「うん?上へ」
澪はどうやら上の膜のところまで行くらしい。
「え、でも」
上は今危ない。
現在、火がどんどん落ちてきているはずだ。
その火を…。
俺はそこで気づいた。
「そのための水の鎧ウォーターアーマーかー」
「え、今更?」
フワフワした喋り方の澪に冷静に淡々と突っ込まれた。
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