予測者~Prophet~

高ちゃん

文字の大きさ
24 / 25
獣人族戦編

飛空狩人ホーク③

しおりを挟む
やっとの思いで一撃を与えた。
そこから流れるようにダメージを与えた。
行けるぞ。
諦めなくていい理由ができた。
このまま攻めていければ…。
そう思ったが一旦ストップした。
ホークの目を見たからだ。
「…やってくれたな」
その目は慌てていたり、激怒しているものではない。
冷静になっている。
このまま近くにワープしていたらもう一度殴られていた。
「まさかここまでザシュザシュされると思わんかったわ」
「こっちも出来ると思わんかったぜ」
骨折してる方の腕を見せつける。
「こんなハンデがあっても余裕だったわ」
「煽って冷静さ失わせる…ってとこかな?」
あーあっさりバレた。
冷静さ失わせてもう一度ガンガン攻めてやろうと思ったんだけどな。
俺なりに頭いい作戦だと思ったんだけどな。
「その手には乗らないよ、まだ俺の分身を突破したわけじゃないんだからな」
そう状況はあまり変わってない。
分身に囲まれてぶん殴られたら大ピンチ。
けど悪いな。
「突破はできる」
突破できる要素は見つけたんだよ。
「お前の能力、分身には弱点がある」
「へぇ?」
「まず一人がやられるだけやられた、それが弱点だ」
俺がホークを攻めていた時。
その時も分身体は残っていた。
だが誰も助けに来なかった。
分身の誰もが見ているだけだった。
それに俺の事をボコスカ殴っていた時。
攻撃してきたのは一人だけだった。
袋叩きにした方が強いはずなのに。
それでも動くのが一人ずつの理由。
それは複雑な処理を一気にやるのが難しいから。
「だったら簡単だ、警戒するのは本体と一人二人ぐらい違うか?」
「…へぇ」
ホークがクスっと笑う。
「君、思ったより頭脳派なんだねー」
「へへ、まあな」
未来がレオンと戦っていた時。
俺はその戦い方を見て感心したんだ。
身体能力は恐らく低いあいつ。
そんな奴が頭脳で戦っていた。
それを見てマネしてみたんだ。
「じゃあこういうのはどうかな?」
15体のホークが動き出す。
一体の、本体のホークに集まっている。
そして全員がそれぞれ合体していた。
「…おいおい」
あれがホークの完全体か…。
さっき見た姿。
あれでも分身を残していたんだ。
本来のそいつは。
「さぁ、小細工無しだぜ」
無茶苦茶でかかった。
俺の二倍はあってもおかしくはない大きさで。
それでいて筋肉もムッキムキで。
何でその体で飛べるんだよ!
「さあ行くぜ!!」
ホークがこちらに向かって飛んでくる。
そして拳を構えて殴ろうとする。
それもとんでもない速さで。
ワープすればよかったのだが。
俺は思わず右手を前に出してしまう。
「どりゃぁぁぁぁぁ!!!」
俺の右手に当たってしまう。
瞬間ゾーンと言うか。
時間が遅く感じたのだが。
俺の右腕がぐっしゃぐしゃになるのを見てしまう。
まるで潰れてくペットボトルのように。
元々折れていたのだが更にボロボロだ。
これ以上やったら全身に支障が出てしまう。
そう思ってそこで瞬間移動をした。
だがそれは逃げるためだけじゃない。
「でやああああああ!!」
後ろから剣で斬りかかる。
「がぁぁ!!」
その剣はしっかりと当たる。
「っ!!だぁぁ!!」
ホークは負けずと後ろに蹴りだす。
反射神経がとらえもう一度後ろにワープする。
だが少し当たってしまったらしい。
ワープした途端後ろに吹っ飛ぶ。
とんでもないスピードで。
意識が飛びそうになる。
少し当たっただけでこの威力かよ。
だがチャンスだ。
俺はチラッと奴の上の方を見る。
そしてワープする。
そして俺は奴の頭に背中から落ちていく。
蹴られた勢いを利用して。
「なっ!?」
気づいたホークは腕をクロスしてガードする。
だがその勢いは中々強く当たったホークは後ろにのけ反る。
そこのチャンスを逃さず。
俺はワープ繰り返して斬りつける。
脇腹を狙っていたのだが咄嗟にガードされたのだろう。
左腕を斬りつけた。
だがそれじゃ止めない。
俺は斬るのではなく刺す方へ変える。
「だぁ!?」
ホークの左腕にぶっ刺さる。
この状態で少しずつ上にワープを繰り返す。
そうすると腕がどんどん切れていく。
「この野郎!!」
ホークは俺の剣に向かって殴る。
「あ!?」
俺の剣が折れてしまう。
ここに来てからずっと共に戦った相棒が折れてしまった。
だがショックを受けてる場合じゃない。
腕に刺さったまんまになった剣先。
そいつを思い切り蹴ってやる。
「っだぁ!!」
どうだちょっといてーだろ。
だがホークはそんな無防備を許さなかった。
そんな俺の蹴った足を掴まれる。
「げっ…!?」
「つーかまえた!」
楽しそうに言ったなと思ったそんな瞬間。
とんでもない握力で潰しかかってくる。
「ヴぁぁぁぁぁ!?」
とんでもなく痛い。
体験したことない痛み。
流石に逃げざるを得ない。
俺はぱっと上空にワープして逃げる。
「ヴぁぁ…」
潰されかけた自分の足を見てみる。
少しひょうたんみたいに潰れていて青く変色していた。
「いっでぇ…」
もう全身痛くないところが無くなった気がする。
少し休もうとする。
が、あいつは休ませてくれない。
俺の方に飛んできてる。
「そうだよな…!!」
そんな甘い考え持ったらだめだ。
ちょっとの油断で死んでもおかしくない。
やつがこっちに向かって飛んでくるなら!
俺は折れた剣を向ける。
「うおおおお!!」
奴が拳を突き付けたところに、剣が当たる。
だが奴はそのまま勢いを止めない。
剣を持っている俺の腕が反動で筋が切れてしまう。
何なら痛みから左腕の方も折れてしまったかもしれない。
それでも力を抜かず持ったまま耐えてみせる。
奴の手も同時にザクザクと刺さっていくから。
上手くいけばここで無力化できるかもしれない。
「うおおおおおおおお!!!!」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ホークも俺をここで終わらせる勢いだ。
その拳がどんどん近づいてくる。
剣がどんどんボロボロに壊れていく。
だったらやることは簡単だ。
俺はここでワープする。
そのワープで全てを終わらせる。
そのワープは本当にホークの目の前。
それは伸びていた腕が丁度避けられるから。
そして
「うおおおおおおおおおお!!!!」
ボロボロになって逆にとげとげしくなった俺の剣。
そいつを勢いがついたホークにぶっ刺すため。
それも顔面に。
ホークも気づいた。
だが遅かった。
剣がどんどん奥へと入っていく。
「がぁぁ!!」
逃げようとする。
させるか。
俺は刺さっている剣を持ち、下方向に切っていく。
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
「がぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!!!」
ホークが負けじと俺を殴ってくる。
さっきまでの俺なら避けていた。
その隙を狙ってもう一回逃げんだろ?
だったら
「ヴはっ!」
俺はあえて逃げない。
あばらがぼっきぼきに折れたのだろう。
鈍い音が中に響く。
何なら折れた骨が肺に刺さったのかな?
吐血する。
息苦しくなる。
だが読み通りだ。
しっかり殴れないこの状況。
ボロボロになった腕。
そんなんじゃ俺を殺すほどのパンチは打てない。
避けなかった俺に驚いたのだろう。
瞳孔が開ききっている。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
声にならない叫び声を出し、引き続き斬っていく。
「がああああああああああああ!!!!????」
そして顔から始まった俺の剣は、下半身までいき。
「でやああああ!!!!]
腰から抜いた。
「ぐぁぁ…」
断末魔のような声を上げたホークは白目になって落ちていく。
俺もワープするほどの集中力が無くなった。
そのまま落ちていく。
下には氷の膜。
そのまま落ちたら死んでしまう。
だけど諦めない。
俺が生き残れる方法は。
探すためにちらっと見る。
そこにいたのは…。
「澪…」
澪が氷の膜を触っていた。
俺はそこに向かってワープする。
案の定そこは柔らかかった。
「ちょ、大丈夫なのこれ?」
俺のボロボロの体を見てドン引いてる。
まあそのぐらいやられてきたさ。
「…それでも…勝ったぞ」
向こうからすごい音が聞こえた。
あっちはホークが落ちていた方向だ。
あいつは落ちたようだ。
確認できてよかった…。
俺はそこで…気を失った…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった

黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった! 辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。 一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。 追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...