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橘華 玲慧

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杉崎 累

暖かい日

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累「愛莉さん、いい新居を紹介しますよ」
愛莉「マジ!?やった!」

そう言って私が紹介したのはアパートの一室。
この辺では一番評判が良いらしい。

愛莉「一人暮らししたかったんだよね~、ありがとう!」
累「いえいえ、私は手伝いをしただけですよ」

前々からの作戦通り、信頼を得てから一人暮らしに誘導する事が出来た。
私が言った様に愛莉は不動産に言って入居手続きをしに行った。

さて…この間にGを誘導しなければ…
と、その前に静さんにこの忘れ物を届けに行こう。
バイト先に忘れていってしまったようで、私が見つけて預かっていた。
すぐに返しに行こう。そう思って夜なのには構わずに私は静さんの家へ向かった。

そういえば、今陽太さんは居なくて静さんは一人だったか。
なら少し心配だ。あのクソグループの奴等は恐らくそれを把握している。
だから何をしでかしてもおかしくない。
家で一人の時に刺し殺されていたらまずいので足早に向かった。

しばらくして、静さんの家にもうすぐ着きそうなのだが変な人影が見える。
右往左往していて落ち着きがない。
こんな時間に何をしている。不審者か。
すると静さんの家の玄関の扉が開いた。
中から静さんが出てきて辺りを見回している。
するとその人影は少しずつ静さんの死角から静さんへ忍び寄って行くのが見えた。
私は走って向かった。

「し、死ね~!!」

そう聞こえたと同時にソイツが握っていたのは、街灯に照らされて光る刃物。

累「やめろ!!」
「うわっ!?」

ソイツは驚きでナイフを落とした。
そのまま暴れる男を抑えながら呼びかける。

累「静さん!早く警察を呼んでください!!」 
静「は、はい!!! 」

すぐに警察が到着して、ソイツは現行犯逮捕された。
幸いにも、私も静さんも怪我は無かった。
私達は警察に着いて行き事情聴取を受けて、忘れ物を渡して帰った。

もしも私があの場に居なかったら…と考えるとゾッとする。
あのまま刺し殺されていただろう。
残念ながら、彼女は非力だ。
ゴルフクラブを持っていたとはいえ、静さんは続く喧騒もあり怯えていた。
早く陽太さんに帰ってきてほしい。

そんな騒動もあったものの、Gの誘導を始めた。
同じグループにいたから、信頼を得るのは簡単だった。
コイツらは、代行の私ではなく愛莉が全てやっていると思い込んでいる。
その思い込みを利用してやろう。

愛莉の新居はもう一つ用意してある。
紹介した一つ目の新居に愛莉が住み始めた。
Gとも連絡が自由に取れる様になっている。
私は愛莉の新居へ向かった。

累「少しお願いがあるのですが、良いですか?」
愛莉「んー?何?」

累「今から出る通話相手に、私の指示通りの事を言ってほしいのですが…」

愛莉「おっけー、でも、誰?」

累「前に言っていた、貴女を脅して嫌がらせグループに入れようとしたでしょう。」

累「そのグループの一員です。」
愛莉「なんで?」

累「私は代行していますが、相手側は愛莉さんがやっていると思い込んでいます。」

累「なので通話に出て、声が男だったらおかしいでしょう?」

愛莉「なるほどね、おっけー。じゃ、指示よろしく」

Gにはハニートラップを仕掛ける。
別グループメンバーからの情報で、Gは愛莉の事が好きらしい。
とても気持ち悪い。メンバー内でもこうやって情報の流通が行われているという事は、お互いがお互いを陥れて信頼を得ようとしている何よりの証拠だ。
公開した情報はすぐに広まり秘密には出来ないだろう。

“Gは愛莉が好き”という情報も利用する。

通話中、愛莉には相思相愛を演じてもらった。

“愛莉もGのことが好き”

と完全の信じ込んだアホなGはそそくさとこっちに来る準備を進め始めた。
日程調整はこちらが決めさせてもらった。
後は、私が買っておいた2つ目の新居に誘導する。

G「おっす~」
愛莉「あ!来た~!」

私はGが部屋に入った後、外の通路で待っていた。
しばらく笑い声やらがした後。

G「なんかこの部屋さ、変な臭いしね?」
愛莉「そう?ガス漏れかな…それだったら嫌だな…」
G「俺が確認しようか?」
愛莉「いや、私が確認するよ、ここ私の部屋だし。」

一旦愛莉が通路に出てきて、私に状況を説明してくれた。

愛莉「私が電話掛けるから、そしたら出て。」
愛莉「3分くらいしたら部屋にノックしてね。」

そう言い残しまた部屋に戻っていった。

G「どう?」
愛莉「分かんない…大家さん呼んでみるね。」
G「うーい」

愛莉「もしもし?」
累「どうかしましたか?」
愛莉「なんか、ガス漏れしてるっぽくて…一応確認しに来てもらえませんか?」
累「分かりました。少々お待ちください。」

3分くらい、私は部屋をノックする。
ドアが開き、Gの姿を目視する。
部屋内で愛莉に事情を聞くふりをしながらGの油断を狙う。
そしてGが私から目を離し、背中を見せた瞬間。

私は懐からロープを取り出した。

G「うわっ!?」

私はGの後頭部を殴った後、すぐに両手足を後ろにして縄で縛った。
そして口は紙を詰めて騒げなくした。
抵抗が激しく中々に苦労したが、縛った後は木偶の坊だ。

愛莉「はい、これ!」

そう言われ手渡されたのは灯油。
そのキャップを開けて、Gにササッとかける。
音になっていない喚き声がするが、もう手遅れだ。
逃げようとするGを部屋の一番奥に押し込んで、私と愛莉は部屋から出た。

ドアに鍵をかけ、Gが出れない様にした。
騒ぎを聞きつけたり、灯油の臭いで通報される前に終わらせて逃げる。
私は愛莉にライターを手渡す。

累「さて。ここのドアポストに投げ込んでお終いです。さっさとやりましょう。」
愛莉「っ…」
愛莉「本当にやるの…?私、やっぱり…」
累「…私が動いた後、愛莉さんは右の階段から、私は左から行きます。」
愛莉「でも…」
累「一つ目の家でまた会いましょう。」

累「…耳を両手で塞いでおいてください」

ここに来て、愛莉が怖がってしまい震えている。
愛莉は普通の人だ。
このままここに硬直している訳にはいかない。
私は愛莉からライターをそっと取った。

累「私がやってあげましょう。」
累「こうやってあげるんですよ。」

うずくまる愛莉の背中に右腕を回して、愛莉の目が見えないように手で隠し左手に持っているライターをドアポストに投げる。

そして同時に動けない愛莉を若干強引にこの場から引き剥がす。
ガスが充満した部屋。全身が灯油塗れになって身動きの取れないG。
大きな衝撃音が辺りに響き渡った。

すぐに逃げた。
私と愛莉は別々のルートで目的地に向かった。
タクシーや電車などは使わず、自転車もしくは徒歩で。
証拠隠滅の為だ。

愛莉「私は…」
累「大丈夫。全て私の決断によるもの。自分を責めないでください。」

私達は無事に一つ目の家で合流する事が出来た。
ただ、愛莉は帰っている最中に陽太さんと出会ったらしい。
二人の関係は知っている。

だから陽太さんが愛莉の事を過度に心配したりして、独自に捜査なんて始めたら厄介だ。
あの頼み事の前例もある。だから私は疑われやすいだろう。
まぁ…問題はない。

累「愛莉さんは悪くない。だから大丈夫です。」
愛莉「でも…人を…人を殺したんだよ…?」
累「貴女は関与していない。もしまずくなったらまた私に言ってください。」

愛莉は泣いている。
きっと罪悪感に苛まれているのだろう。
だが…これも必要な事だ。
申し訳ないが、納得してくれ。

別れて家に帰った後、テレビを点けると例の火事のニュースがやっていた。
縄も紙も可燃性の物を使った。
縄も紙も燃えて無くなったGの焼死体は住人の友人だと勘違いされて、事件には発達しないのではなかろうか。
万が一、事件に発達しても作戦があるから大丈夫だ。

あの日から毎日愛莉は私に通話をかけてくる様になった。
様子は常に怖がっていて、何かに怯えている様だった。

愛莉「私はGを殺したから、Gに殺されるんだ…」
愛莉「助けて…許して…お願い…」

精神的ショックによって引き起こされる幻覚症状だろうか。
この前に、愛莉の家へ会いに行った時も、壁には支離滅裂な文章が色とりどりにびっしりと書かれていたり、愛莉は私の背後に目線をやったり、急に叫んだりと不安定な状態だった。

薬を飲んでいるらしいが、それでも症状は悪化していっている。
このままではいずれ…。

グループメンバーD「最近Gいなくねー?」
グループメンバーF「それな」
グループメンバーE「どうしたんだろ」

逮捕者4人、死者1人
の損害を出しているこのグループは、流石に活動を自粛している。
警察側もこのグループ明確なに指示役がいるという事は、犯人達の自供によって認知している。
クズは仲間をすぐに売る。
自分の快楽、納得、を得たいだけの確信犯であるが為に、都合が悪くなるとすぐに責任転換を図る。
どうしようもないカスどもだ。

今現在、私の目標は一つ。
このクソグループの指示役である奴を突き止める事だ。
ただ、やはり情報が全く無い。
どうしたものか…
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