隘路

橘華 玲慧

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理解者

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それから俺は、小学校を卒業するまでずっと、ジメジメしたいじめとも言えない嫌がらせを受け続けた。

反応したら負け。

それだけを考えて、何事も無かったかのように過ごしていた。

中学校に入学すると、他の小学校の人達も一緒の中学校となり、クラスにも見慣れない顔が増えた。

そして、案の定、俺と同じ小学校だったやつらは俺の事を嫌った。

「学級委員をやりたい人~!」

俺はまた手を挙げた。
しかし、俺と同じ小学校だったやつらは、立候補している俺に不信感MAXの目線を送る。

"年下の子供を殴った奴が?"

俺にはそう思えた。
皆がそう考えていると感じた。

だが、そんな不穏な空気も長くは続かなかった。
俺とは別の小学校だった人が先に声を出した。

「じゃあ、渡辺 悠斗君で決定します!」

教室に拍手が鳴り響いた。
歓喜と不信が半々に入り交じった拍手が。

そうして俺は学級委員となった訳だが、他のクラスの学級委員は全員、俺と違う小学校の人だった。
よかった。もし同じ小学校の人がいたら、また嫌な空気になるところだった。

「君が悠斗君?よろしく」

悠斗「はい、よろしく」

学級委員の皆と顔を合わせた後、俺は教室に戻った。

───

中学校に入学して2ヶ月が経った。
俺はトイレに行って、次の授業の準備をしようと思った。
用を足して手を洗った後、トイレから戻っている時、教室から嫌な感じがした。何やら声が聞こえてくる。

「おい、なにやってんの?」

「え…」

「そうだよ、人の机漁ってんじゃねーよ」

何だと思い教室に戻ると、小学校の頃に俺の上履きを隠してた奴が俺の机を漁ってるのを、別の小学校からきた二人の人が咎めている。

遊里「あ、渡辺君。こいつなんか渡辺君の机漁ってるから止めといたけど」

悠斗「あぁ、ありがとう」

その二人は飯島 遊里君と悕頼 実玲君という、入学当初から二人でいて、中学校で知り合った俺にも優しくしてくれる友達だ。

実玲「で、何でそんな事してたの?」

「それは…だって、そいつが…」

遊里「何?渡辺君がなんかやったの?急いでんから早く言ってよ」

「…そいつが、小学校の時に年下を殴ってたっていうから…」

そしてそいつは、あの事を二人の前で言った。
俺は心の中で深くため息を吐いた。
結局、中学校に入学しても俺が除けられるのは変わらないんだな。
そう頭の中に考えがめぐり、やる気を失いつつあった。

遊里「…で?」

「…え?」

遊里「そんなしょーもない事で教科書隠そうとしてんの?」

「…隠っ、いやそんなことは」

遊里「分かってんだよ。お前が前からそういうことしようとしてんのをさ。」

実玲「大体、それ本当の話なの?その、渡辺君が年下を殴ったって話」

「あ、当たり前だ!本当だよ」

実玲「じゃあ、なんで本当だって言えるの?そういう証拠みたいなものがあるわけ?」

「いやそれは…でも、あいつらがそんな嘘つくわけない!」

遊里「あっそ。でも本当だったとしても、渡辺君が理由無く急にそんな、年下殴るなんて絶対しないと思うけど。」

遊里「普段から大人しいし、テストの点数良いし、優しいし、そんな渡辺君が殴ったってことは相応の理由があるってことだろ。」

驚いた。
声にこそ出さなかったけど、こんな人達がいるなんて。いくら俺が支援学級だったのを知らないからとはいえ、そこまで俺のことを良く思ってくれていたとは。

そして、安直じゃない。すぐに人の話を信じないで、自分の考えを貫き通す。

「…でも…」

実玲「まだ何かあるの?」

「…そいつ、小学校のとき支援学級だったし…」

俺はその言葉を聞いて、当然かと思った。
結局、支援学級というのがダメなんだ。
いくら俺が良いことをしても、それが限界なんだ。

遊里「…はぁ?」

実玲「…」

遊里「…支援学級とかそういうの関係ないだろ!」

遊里君は怒りのボルテージを上げた。
実玲君は静かに、呆れているようだった。

遊里「お前、そんなんで人を図るんだったらお前はなんだ?自分が普通だと思ってんのか?」

「でも、年下ぶん殴るやつよりはマシだ!」

遊里「支援学級行ってて障害を持ってるからっつってそういう事言ったりやったりするの方がよっぽど酷い奴だ!」

遊里君は大声でそいつを責め立てた。
休み時間の騒音をかき消す程に。
そしてそいつが黙った後、二人は最後の言葉を冷たく言い放った。

実玲「…そういうのを差別って言うんだよ。」

遊里「お前みたいな奴は嫌いだ。」

「…」

遊里「渡辺君、そろそろ授業始まりそうだし、移動教室だから、こんなのほっといてもう行こう。」

実玲「うん、ここにこれ以上いるのは時間の無駄だね。」

黙って座り込むあいつを尻目に、俺達は三人で教室へ向かった。
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