隘路

橘華 玲慧

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成長か異常か

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あっという間に、中学三年生となった。
時間の流れは摩訶不思議で、数日の記憶は無いのに、数ヵ月前の記憶は鮮明に残っている。
三年生になって、実玲と陽希は俺と同じクラスで、遊里は別のクラスとなった。

そうしてクラスが変わったからか、俺達と遊里の距離はますます遠くなっていった気がする。そして、それを機に、遊里の性格も変わっていった。

エゴイスト的で、集団行動しかしなくて、頭がいい人というよりは、勉強が出来る人となっていった。つまり、テストの点数や成績は良いだけで、素の人間性が豹変していった。

───
9月

時間は刻々と過ぎていき、日付がどんどん進み、環境も着々と変わっていった。

最近では、遊里、というよりもバレー部員らが、いかにも中学三年生っぽい言動をとっている。

例えば、後先を考えずに何かをしたりだ。成績と部活の事以外は特に気にしていないんだろう。周りの人間と接する態度が雑になったり、馴れ馴れしかったり、とにかく、妙に自己顕示欲だけが高い凡人となっている。

そんな彼らと関わるのを憂いて、俺達三人は意図的に距離を置き始めた。そして、この友情はより強固なものとなっていった。三人とも、他の友達とも関わっているが、この三人でいることが学年で定着化するくらいには、グループとなっていた。

それが原因か、沢山の友人と帰っている時に、とある話題を耳にした。

高木「てか、おまえら知ってる?」

悠斗「何を?」

高木「遊里が赤森めっちゃ嫌いなことだよ」

白井「あー、確かに相性悪そうだもんなw」

陽希「へー…でも、僕達以外はみんな同じバレー部なんだし、そんな態度に出さないでしょ」

山田「まあ、俺達にしか分からないくらいしか態度に出さないな。でも、居ないとこでは言い放題みたいな感じ」

高木「赤森は、まあ性格が俺達に合わないよな」

山田「この前クラスの女子…灯が言ってたけど、女子にめっちゃLine送ってて女子の間でも嫌われてるらしい」

白井「自分の話しかしないしなー…あいつは」

高木、白井、山田の三人は俺達と同じクラスで、二年生の頃からの友人で、遊里の繋がりで知り合った。バレー部で、成績も良い。

赤森は、一年生の時に同じクラスだっただけで、今は関わりがないからよく知らない。ただ、バレー部の三人の話を聞く限りは、いい印象は抱けない。

実玲「遊里は最近どうなの?部活とかで」

高木「あいつは最近、ちょっとイラついてることが多いな。」

山田「多分、実玲達のことでしょ?三年になってクラス離れたやん、それで関わり少なくなってるとかじゃね、」

白井「俺は実玲達のこといい友達だと思うけどなーあいつはよく分からんからなー」

山田「てか、それのせいで赤森イジリえぐくなってきてるし」

高木「やりすぎないか心配だよ俺らは」

悠斗「そうなんだ…」

高木「俺らはこっちだから、じゃーな」

陽希「うん、また明日」

白井「じゃーなー」

実玲「…」

俺達は遊里の事をよく分かっていなかった。
けど、やはり前のような遊里はもういないのかもしれない。

実玲「俺は悲しいよ…」

悠斗「遊里が典型的なイキリになるとはね」

陽希「あんまり…良くないよね。でも仲良くしたいし…」

悠斗「遊里と仲良くしたいっていうか、あの時の遊里と仲良くしたいよな…」

実玲「そうなんだよ、今の遊里は…はぁ」

陽希「でも仕方ないよね」

悠斗「人はいずれ変わっていくしな…特に中学三年生みたいに青年期が近くなってくると顕著になるから…」

結局、俺達は遊里と関わることはなくなっていき、いつしか顔見知りの様になっていった。

───
10月

そんな事の積み重ねがあって、高校受験も迫ってきている事もあり、みんなの様子は変わっていった。

実玲もそうだ。合唱コンクールが近付いてきて、恒例の練習が始まり、顔色が悪くなってきた。また去年のように、深いため息をよく吐き、眉間にシワをよせて絶望のような顔つきになっていくんだろうか…

毎年毎年そんな様子じゃ、実玲が持たない。でも完全に自立するためには、少なくとも高校に入って、お金を稼いで、十分な準備が出来るまでの時間が必要だ。

それまでに、実玲の身体や精神は持つだろうか…?
俺や陽希は実玲の事情を知っているし、だからこそ全力でサポートをしているつもりだけど、大丈夫か心配になる時間の方が長い。

陽希は実玲の事情を知った時、俺よりも驚愕していて、何よりショックを隠しきれていなかった。あの顔は、まるで目の前で死体を見たような気分だったんだろう。

実玲の重苦しい事情を知って、サポートする。家の事情だけじゃない。遊里の事みたいに、学校や過去の事だって実玲の心にはストレスとしてある。

だから、俺達がサポートをしなきゃいけない。
俺達は最高の三人組っていうこと信じながら。
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