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(61)勇者と盲目魔王
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勇者に敗れた魔王は、死を覚悟するが……。
勇者×魔王。+ほんのり百合(?)
可哀想な魔王が好きです。
当初、最後はハッピーにする気がなかったので、急カーブでハッピーエンドになってます。
勇者カミル
魔王大好きサイコパス
ネーミングは天使ミカエル
魔王シルフィア
とっても被害者。常識人
ネーミングは堕天使ルシファー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あるところに魔王がいました。魔王は人間たちを酷く憎んでおり、その膨大な魔力で人々を散々痛めつけていました。
そんな魔王を討伐するべく、勇者は長い旅路の末、ようやく魔王城へと辿り着きました。
「ふん。ようやく来たか。待ちくたびれたぞ」
「悪いな。思ったより道中手こずってな」
「けしかけた魔獣たちが強すぎたか。仲間たちはどうした。怯えて逃げたか? それとも、餌になったか?」
「無駄話はいい。さっさと決着をつけようじゃないか」
「はは、そうだな。私とて同じ気持ちさ。左目が疼くよ……。この目がお前にやられてからというもの、私はずっと、この時を待っていた!」
傷の入った左目を押さえながら低く笑う魔王は、圧倒的な殺意を漲らせてその手を振るいました。魔王の手の平から生まれた炎は、勇者を包み込むと、激しく燃え盛りました。
「なんだ。こんなものか。つまらない」
目の前でどんどん膨らんでゆく炎を、冷めた目で見つめた魔王は、そっと呟きました。
しかし、勇者がこんなところでやられるわけがありません。
「勝手に終わらせないでくれる?」
「なに……?!」
炎の中で勇者が剣をひと振りすると、たちまち炎は掻き消えて、勇者の姿が現れました。
「火傷一つないとは、どういうことだ……」
「アンタが炎の魔術を得意とするのは前の戦いで把握済みさ。だから、剣に水のルーンを埋め込んでおいたんだよ」
「そうか。ならば、これはさぞかし効くだろうよ!」
丁寧に剣を掲げて説明した勇者に、魔王は容赦なく雷を叩き込みました。
しかし、こんなことで勇者がやられるわけがないのです。
「悪いけど。属性変えたって無駄だよ」
「な……」
見ると、勇者の剣は土色に変わっていました。そう、勇者の剣には土のルーンが埋め込まれていたのです。
「ルーン全属性使えるし、魔法抵抗の防具で固めてあるんだよ。おまけに、魔法は回復を重点的に鍛えたから、ある程度の傷は自分で治せる」
「だ、だからと言って! そんな小技小道具が、この私に通用するとでも……」
「ま、一番はさ、剣術。前にアンタと戦ったときより、もっとずっと強いよ、俺」
「は……?」
そう言って勇者が笑ったかと思うと、魔王の放つ魔術を掻い潜り、その喉元に剣を突きつけました。
「はい。チェックメイト」
「ぐ……」
魔王は侮っていました。勇者の言った通り、彼は前に戦った頃より段違いに強く成長していて、魔王の魔術を物ともしない速さを身に着けていました。
「いや、短期間でこんなに人間が強くなれるはずが……。っ、お前、まさか……」
「ああ、気づいちゃいました? そうですよ。前は手加減してたんです。最初っから強くちゃ、魔王さんの士気も下がっちゃうかと思って」
「人間如きが……、よくも私をコケにして……!」
「まぁまぁ。そんなに怒らないで。つい遊びすぎちゃっただけじゃん」
「黙れ……」
魔王は自らの手が傷つくのも厭わず剣を押しのけると、全身から魔力を立ち上らせ、強力な闇魔法を練り上げました。そして。
「これで終わりだ!」
魔王が解き放った闇は、勇者を飲み込みました。普通ならば自我を失い、そのまま闇に溶けて跡形もなく消え去ってしまうところです。ですが、やっぱり勇者はこんなものでは死なないのです。
「なるほど。中々すごい魔法だね。でも駄目。それじゃあ俺は殺せない」
「は……、馬鹿な……。私は、確かに、全力を出して……」
「そんじゃあさ、今度は俺の番だね」
「あ……」
闇の魔法を消し去った勇者は、善良な笑顔を顔に張り付けたまま、魔王に向かって光の魔法を叩きつけました。
「あ、ああああああ!」
「はぁ、いい声だ。最高だよ。魔王シルフィア。ほら、そのまま俺の顔をその残った片目でよ~く見るんだ。そうそう。しっかりと焼き付けておいてくれ。それがお前の最後の映像記憶なんだからなッ!」
光にもがく魔王の髪をわし掴み、右目を無理やりこじ開けると、勇者は何の躊躇いもなく光の刃を突き刺しました。
「おのれ、おのれえええええ!」
「よし。これでもうアンタは何も見ることができない」
勇者の言う通り、右目から血を流して苦しむ魔王は、先の一撃で視力を失ってしまいました。
「殺せ……」
勇者の手から解放された魔王は、もうこれ以上は意味がないと悟ったのか、右目を押さえながら、静かに呟きました。
しかし勇者はその言葉を無視すると、ボロボロになった魔王の手を取り、その血塗られた瞼にそっと唇を押し当てました。
「くそ! 何の真似だ、気色の悪い! さっさと殺せと言っているんだ!」
「いいや。殺さない。アンタはずっと俺だけを見て生きるんだ。勝手に死なせたりするもんか」
そのとき、魔王は初めて勇者の歪みに気が付きました。
「お前は、狂っているのか……?」
「勇者に向かって狂っているか、だって? はは。おかしなことを」
「じゃあ、平和のためにさっさと私を殺すべきだ。勇者ならそうするのが当然だ」
「確かにね。でも、それじゃあ俺がつまらない」
「最初に戦った時、お前は既に私を倒すほどの力を備えていたはずだ。それなのに、手加減したのはやはり、つまらないからだと言うのか?」
「ん~。俺さぁ、この力のせいで勇者だなんだって持ち上げられてさ、魔王を倒すための旅に出されてさ。クッソ面倒だったんだよ。そのときは。だから、アンタのことは出会った瞬間殺すつもりだったんだけどね。つい一目惚れしちゃってさ」
「ひと……?」
「俺、基本的に何に対しても興味湧かなくてさ。だから、アンタのことは大事にしたくてさぁ」
「待て。やはり、おかしい。お前は間違っているぞ」
「俺、ここまで入れ込んだモンなかったからさ。誰にも横取りされたくなくてさ。ここに来るまでうっかり仲間も殺しちゃったよ。勿論、表沙汰はアンタの魔獣にやられたってことにしたけどさ。アンタを見るのは俺だけで充分。アンタが見るのも俺だけで充分。なぁ、これって間違ってるか?」
魔王は勿論、間違っているとはっきり伝えるため、口を開こうとしました。しかし、勇者は端から答えを聞くつもりもなく、無防備な魔王に口づけを落としました。
それから、勇者は魔王を葬ったことを民衆に伝えると、町を復興させ、城を築き、王として君臨しました。民は勇者を讃えました。民は勇者を信仰しました。
勇者が、嘘を吐いているとも知らずに。
「気分はどうだ、シルフィア」
「最悪に決まってるだろ」
勇者の自室。そのだだっ広い部屋の壁の奥には、隠し部屋がありました。魔王はそこに、鎖で繋がれて閉じ込められていました。
「何が魔王を葬った、だ。拉致したの間違いだろ」
「拉致だなんて。俺は君を大事にしているだけだよ」
「キチガイめ。私を殺さなかったことを後悔させてやる」
「逃げようだなんて思うなよ? そんときにゃ、お前の腕も足も潰すぞ」
「……ッ」
魔王は思わず言葉を詰まらせました。勇者のその本気の気配に蹴落とされたのと、もう何度も逃げようと試みたのに、まだ一度も成功していない悔しさが込み上げてきたのです。
魔王の魔力は特殊な鎖に封じられ、部屋の結界はとても破れはしません。
「アンタが魔力頼みの戦い方ばっかする魔王で良かったよ」
「く……」
勇者は、魔王の鎖を手繰り寄せて、その細腕に口付けました。
「俺だってこんなに可愛い手足を切り落としたくはないさ。この手で俺に縋って欲しいからね」
「死んでも御免だ」
「シルフィアは本当に自分の立場がわかってないんだね」
「真名で呼ぶな。虫唾が走る」
「シルフィアこそ、俺のことは名前で呼んでって言っただろ?」
「お前の名など、当に忘れた。いちいち覚える価値もない」
「勇者カミル。この世界の人間なら、誰でも知ってる名前だろ?」
「私は人間じゃないからな」
「は~。ほんと、アンタって馬鹿だよな」
「おい、いい加減放せ」
「ようやく仕事が一段落ついたんだ。少しくらい俺のやりたいこと、やってもいいよね?」
「やりたいこと……?」
「わかるでしょ?」
「さ、触るな……!」
「あ、ようやく良い顔になった。ね、今から自分がどんな目に遭うかわかったでしょ?」
「まさか、本気じゃないよな……?」
「冗談でこんなことする方がイカれてるだろ?」
「待っ、待て、悪かった。その、全部謝るから……」
「こんだけ世界を貶めといて、謝って済むことじゃないでしょ」
「だ、だったら! 私の魔力を全てお前にやろう! それだったら……」
「いらない」
「な、ならば、禁術を!」
「いらない」
「では、その……。お前が欲しいものならなんでも! それが駄目なら、いっそ殺してくれ」
「殺すのはありえないけど。欲しいものなら一つだけあるよ?」
「あ……、そ、れは……」
勇者の言いたいことを察した魔王は青ざめました。
「ふふ。そうだね。意味がない。どうせ俺はアンタを欲しがるんだからさ」
そうして、魔王は幽閉されたまま、幾度となく勇者と体を重ねました。
それが次第に日常となり。
「あっ、カミルっ……。もう、駄目だって……!」
「は、すっかり可愛くなったねシルフィア。そろそろ俺のことが好きだって認めた方がいいんじゃない?」
「んっ、あ……。だ、れが……、お前のことなんか……ッ!」
「じゃあシルフィアは、好きでもないやつに抱かれてこんなに善がってるの? 変態じゃん」
「こ、コロス……」
「ハイハイ。ほんと、素直じゃないね」
魔王は勇者に感化されてゆきました。勇者も魔王を益々愛し、いつしか自然と互いを求め合うようになっていました。
しかし、それでも魔王は頑なに、自分の気持ちを勇者に告げようとしませんでした。認めてしまえば、勇者に飽きられてしまうのではないかと不安に思っていたからです。
「神さえも信じられぬというのに、どうして人間如きを信じることができようか」
勇者が去った後、静まり返った部屋の隅で、魔王はぽつりと吐き捨てました。
それからしばらく経ったある日の晩。
『あの……。これ、今日の夕食です……。他に欲しいものがあれば、何なりと……』
いつものように魔王のために夕食を運んできたのはメイドのミー。気弱な彼女は、勇者以外唯一魔王の生存を知る者で、勇者直々に魔王の世話係として雇われたメイドでした。
「おい、娘」
『ひゃ、ひゃいっ!』
「勇者はどこにいる」
『で、ですから、まだ戻られなくて……』
「本当にただの視察なのか? もう一カ月も戻っていないが」
『し、知りません! すみません!』
「……そうか。毎日脅かしてすまない」
『い、いえ……』
魔王は肩を落とすと、可哀想なほど震えあがったメイドから夕食を受け取りました。
今からちょうど一カ月前。勇者は他国へ視察に行くのだと言って、魔王の前から姿を消しました。
何だか嫌な予感がした魔王は、それから毎日のようにメイドに色々と尋ねましたが、返ってくるのはいつも同じ言葉でした。
「くそ。カミルめ。私を置いて一体何をしているんだ……」
メイドの去った後、再び訪れた静寂の中で魔王は弱々しく呟きました。そして、そのすぐ後に、情けない自分を呪いました。
一カ月もあれば、こんな鎖など魔王に掛かれば外せたはずです。でも、そうしなかったのは、それだけ魔王がこの環境を気に入っていたからでした。
「それにこの結界の中だと、呪いが少し薄れてくれるからな……。でも、完全には逃れられない」
そう呟いた魔王は、そっと自分の爪を撫でました。真っ黒く染まったその鋭い爪は、勇者の腹を裂くためだけにあるのです。
「所詮、私は神に逆らうことなどできないのだ」
魔王がついに鎖を外し、結界を破るための詠唱を始めた頃。
『大変だ!!』『今、連絡が』『おい、どうした!』
「ん、外が騒がしいな」
突然、城の人間が慌ただしく動き回る音がして、魔王は詠唱を止めると顔を上げました。
こんこん!
『あ、あのっ!』
ちょうどその時、ドアのノック音が鳴り響き、間髪入れずにメイドの少女が滑り込んできました。
「何事だ」
『ゆ……、勇者様が、重傷で……! 腕の良いヒーラーにも治せないらしくて……。だから……、応援をって、言われたんですけど、ワタシ、貴方なら治せるんじゃないかって、思って……!」
「わかった。私が行く。場所は?」
『ラゴンド国の国境付近の洞窟です!』
「ありがとう」
『あ、でも、どうやって――』
ぱりん!
詠唱を終えた魔王はメイドの言葉に微笑むと、その立派な羽を広げ、窓を破って出てゆきました。
『綺麗な、羽……』
取り残されたメイドは、鳥より早く空を泳ぐ美しい羽を見ながら、呆然と呟きました。
「勇者!」
あっという間に洞窟に辿り着いた魔王は、その入り口で横たわる勇者に駆け寄りました。
「一体何があった?!」
『あ、貴方は……?』
「いいから!」
『えっと、洞窟の龍と戦って、相打ちになってしまったようで……』
「な、なぜそんな無茶を」
『我々も、そこまでは……』
「チッ。退いてろ」
魔王はそこにいたヒーラーたちを押しのけると、両手を組み、清く祈りはじめました。
『あ、あれは……!』
魔王が熱心に聖なる言葉を唱える度に、その白い羽が光を増し、美しく輝きました。
『どうして、地上に天使様が……』
「ん……、シル、フィア……?」
暖かい光に包まれた勇者は、その聖なる力により息を吹き返すと、ゆっくり身を起こして魔王の姿を見つめました。
「ああ、カミル……、よかっ……」
勇者を無事に生き返らせ、気が緩んだ魔王は、言い終わらない内に勇者に倒れ込んでしまいました。
「シルフィア!」
「悪い、力、使いすぎた……」
魔王が苦し気な息を吐く度に、その羽は霞んでゆき、ついに跡形もなく消えました。
「お前、天使だったのかよ」
「……元はといえばの話だ」
「どうして。お前は今でもこんなに綺麗な魔法が使えるというのに」
「……」
『それは、君のせいだよ。カミルくん』
突然天から声が降ってきたかと思うと、勇者の目の前に光の玉が現れました。
「誰だ」
『おっと。人間は元気がいいねえ』
勇者は、迷うことなくそれに向かって剣を振りました。が、その光は萎むことなく膨らんで、人間の形になり……。
「神様……」
「は?」
『そうで~す。アタシが神様です!』
若い女の姿をしたそれは、高らかにそう宣言しました。
「悪いが、今は最高に気分が悪い。消えろ」
「カミル、駄目だ!」
神を名乗る少女に向かって勇者は再び、今度は本気で斬りかかりましたが……。
『よっと!』
「ッ……」
「カミル!」
さらりと斬撃を躱した神によって武器を取られ、逆に斬りつけられてしまいました。
『あのさあ、シルフィーちゃん。アタシはいつまで待たされなきゃいけないワケ? さっさと宝珠を取り戻してほしかったんだケド~』
「カミル、逃げろ……」
『もうさあ、これ自分で取り戻した方が早いなって思ったワケっ!』
「!」
傷口を押さえ、勇者が立ち上がった瞬間、その頭上に奪われた剣が迫り――。
「カミルっ!」
勇者が真っ二つになる前に、魔王は力を振り絞って剣を受け止めました。
『な~んのマネ? シルフィーちゃん』
「アンタは……、カミルを殺して、宝珠を奪う気だろうが……」
『あったりまえじゃん。手加減なんてめんどくさいじゃん。ていうか、な~んでシルフィーちゃんは目まで潰されてんのにさあ、そいつのことを庇うワケ?』
「人間を庇うことは、天使として当たり前のこと、だ……」
『相変わらず優等生。ほんと、つまんないよね』
底冷えするような少女の声は、まるで神とは思えない程残酷でした。その瞳は、勇者を殺すことしか考えていないのでしょう。
「させ……ない」
「やめろ、シルフィア!」
『あ~。やだやだ。なんでシルフィーちゃんはアタシの邪魔するのよ。そんなこと、できるはず……。あれ、そうよね……? ちょっと待って。呪いをかけてるのに、な~んでシルフィーちゃんはアタシに逆らえてるワケ?』
「……え?」
よろよろと立ち上がった魔王は、その質問に思わず動きを止めました。
『な~んだ。シルフィーちゃんの仕業じゃないのか。ってことは』
「よくわかんないけど気味の悪い呪いなら、大分前に俺が浄化しといたけど?」
自らの怪我を魔法で治し終わった勇者は、魔王の手を取り擦りました。すると、すぐに暖かな光が生まれ、魔王に癒しの力を与えました。
『君が? 馬鹿な。いくら宝珠があるからって……』
「さっきからそれ言ってるけど、何なんだよ」
『宝珠のコト? 覚えてないの? 君が勝手に飲み込んじゃった神のアイテムだよ』
「は……?」
『アタシ、ちょっと前に宝玉の一つを地上に落としちゃってさ。神の力の一部を飲み込んだから、君は人間としてあり得ない力を持ってるってワケ。アンタはまだほんの子どもだったから覚えてないだろうけど。んで、アタシそのとき急いでたからさ、君を殺して取り返そうとしたんだけど。それをシルフィーちゃんが必死に止めるもんだからさ~。反逆されちゃあ、堕天させるしかないでしょ? ついでに宝珠を回収してくれるように、呪いをかけたってワケ!』
「カミルと対峙するために、魔王として人々を苦しめるという忌々しい呪いだ」
「なるほど。神様のくせに随分とエグい」
『いや。だって! あのときのアタシはちょっとイライラしてて! でも、しょうがないじゃない? カフェで猫と戯れるはずだったのを邪魔されたんだし……』
「カフェ……?」
「猫……?」
『あ~! 馬鹿にしないでよね! 異世界の猫カフェに行く事が、アタシにとっては重要なエネルギーチャージであって……!』
顔を真っ赤にして叫ぶ神を見て、勇者は呪文を唱えました。
「カフェとかはわかんないけど、猫だったらウチの城にいっぱいいますけど?」
そう言って勇者が魔法で空に映し出したのは、城の庭で遊ぶたくさんの猫でした。
『えっ』
「メイドが拾ってくるもので。仕方なく飼ってるんですけど。良かったら、触りに来ます?」
『そ、それは……。で、でも、タダじゃないんでしょ……?』
「お金は要りません。けど、条件があります」
『な、なによ』
「まず、シルフィアの支配を止めてください。自由にしてあげてください」
『え~。でも、彼は割と優秀だし~』
「にゃんこ」
『了解です!』
「あとは、この力。このまま俺にくれ」
『いや、それはさすがに……』
「子猫」
『ぐっ。わかった! あげるから!』
「はい。交渉成立ね」
「そんな、馬鹿な……」
『は~! 最高なんですケド! モフモフ楽園パラダイス! 神、もうココに住みつきたいんですケド!』
『この子猫ちゃん、肉球がピンクなんですよ~。この子は、かつおぶしが大好きで~』
『は~! ミーちゃんも可愛いんですケド~! 猫の次にメロきゅん!』
『あ、ありがとうございます?』
交渉が成立してすぐさま城にすっ飛んで行った神様は、メイドと意気投合して猫を可愛がりまくりました。
「すっごく騒がしいけど、まぁ一件落着ってことで」
「もしかして、こうなることがわかってて用意してたんじゃないだろうな……?」
「まさか。これは本当にミーのおかげ。彼女、気が弱いから誰にも君のこと言えないだろうって思って雇ったんだけどね。猫に関しては強気でさ……。保護しろって、何匹も連れてくるから……。でも、結果オーライ、かな」
くつくつと笑った勇者は、魔王の手を取り、その手の平に何かを落としました。
「助けてくれてありがとう。ちょっと気持ちが焦り過ぎて龍相手に油断してさ。あれで死んでちゃ死んでも死にきれなかったよ」
「これ……。竜の、鱗……?」
「そ。煎じて飲めば、視力が元に戻るはずだ」
「え……。まさか、そのためにこんな無茶を?」
「僕以外のものが見えるのは癪だけど。でも、やっぱりシルフィアには、綺麗なものをたくさん見せたいって思ったんだ。そして、それを一緒に共有したいって思ったんだ」
「でも……。私は、こんな高価なもの……」
「君のために命を懸けて取ったんだ。飲んでくれなきゃ意味がない」
「そうだな……。私も、もう一度カミルの顔が見たい……」
「馬鹿だな。そんなこと言ったら俺は、調子に乗ってしまうだろうが」
「今更だ」
「確かに」
そう言って笑った勇者は、魔王の手を引き寄せて、そのまま鱗を口に含みました。そして、それを口移しで魔王に与えて――。
「どうかな?」
「ん……。ああ、見えるよ。今にも泣きだしそうな勇者の顔が」
再び開かれた魔王の瞳に映ったのは、不器用に微笑む勇者の顔でした。
「っ。シルフィア……。ごめん。本当に……」
「ふ、こんなに成長してるのに、泣き顔はあの頃と変わらないんだな」
幼子に聞かせるような優しい声で呟いた魔王は、そっと勇者の頬に手を当てました。
「シルフィア……。やっとわかったよ。幼かった俺は自分を救ってくれた天使に一目ぼれしてたんだよ……。あの頃の記憶は曖昧だったんだけどさ。思い出した。ずっと、また会えるのを待ってた」
「ちょ、そんなに強く抱きしめるな」
「好きだシルフィア。もう離さない。なあ、シルフィア。いい加減、俺の愛を認めてくれよ」
「う……。でも、私は、人間ではないし……」
勇者の腕の中で身をよじった魔王が、消え入るような声でそう言った途端。
『シルフィーが望むんなら、人間にしてあげてもオッケーよ~?』
「えっ」
猫を撫でる手を止めた神様が拍子抜けするほど明るい声で、魔王に向かってそう告げました。
「神様って何でもアリなのかよ」
『ただし、いつでもココに泊めて欲しいの! んでもって、私がいる間はミーちゃんと一緒がいい!』
『えっ。ワタシですか?』
「って言ってるけど。どうする?」
「私は……。その……。カミルと生きられるなら……」
「シルフィア!」
「ぐ、苦しい! というか、ミーさんが良ければの話だけどな!」
更にきつく抱きしめられた魔王は、やけっぱちに叫びました。
『もちろんオッケーだよね? ミーちゃん!』
『えっ。は、ハイ……?!』
神様にニコニコしながら手を取られたメイドは、わけもわからないままに流され……。
『よっし! 交渉成立~!』
全ては丸く収まりました。
「これでもう逃げられないね。シルフィア」
「別に。逃げる気なんてない。私の気持ちなど、ずっと前から知ってるくせに」
「うん。シルフィアは押しに弱すぎるよね」
「うるさいな。私だって人間に恋するなんて、思わなかった」
「シルフィア……」
『ほらほら。お二人さん。見つめ合ってないで。せっかくだから猫も見なよ? ね、ミーちゃん』
『あ、ええと。この鍵しっぽちゃんが可愛くておススメですよ!』
「なるほど。でも、それを言うなら、シルフィアのアホ毛の方が可愛いし……」
「仮にも魔王に可愛いって言うな」
「シルフィアは天使でも魔王でも人間でも可愛い」
『ちょい~。猫を愛でる気がないのなら他所でやってよ~?』
「だってさ。じゃ、俺の部屋に行こうか」
「は? ちょっと待て! お前、綺麗なものをたくさん見せて云々はどうなった?」
「それはまあ、後々」
「降ろせ! くそ、魔術が、使えない!」
「残念でした。元魔王さん。現勇者の恋人さん」
こうして、勇者は魔王を人間に変え、神の加護を得ながら幸せに暮らしましたとさ。
勇者×魔王。+ほんのり百合(?)
可哀想な魔王が好きです。
当初、最後はハッピーにする気がなかったので、急カーブでハッピーエンドになってます。
勇者カミル
魔王大好きサイコパス
ネーミングは天使ミカエル
魔王シルフィア
とっても被害者。常識人
ネーミングは堕天使ルシファー
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あるところに魔王がいました。魔王は人間たちを酷く憎んでおり、その膨大な魔力で人々を散々痛めつけていました。
そんな魔王を討伐するべく、勇者は長い旅路の末、ようやく魔王城へと辿り着きました。
「ふん。ようやく来たか。待ちくたびれたぞ」
「悪いな。思ったより道中手こずってな」
「けしかけた魔獣たちが強すぎたか。仲間たちはどうした。怯えて逃げたか? それとも、餌になったか?」
「無駄話はいい。さっさと決着をつけようじゃないか」
「はは、そうだな。私とて同じ気持ちさ。左目が疼くよ……。この目がお前にやられてからというもの、私はずっと、この時を待っていた!」
傷の入った左目を押さえながら低く笑う魔王は、圧倒的な殺意を漲らせてその手を振るいました。魔王の手の平から生まれた炎は、勇者を包み込むと、激しく燃え盛りました。
「なんだ。こんなものか。つまらない」
目の前でどんどん膨らんでゆく炎を、冷めた目で見つめた魔王は、そっと呟きました。
しかし、勇者がこんなところでやられるわけがありません。
「勝手に終わらせないでくれる?」
「なに……?!」
炎の中で勇者が剣をひと振りすると、たちまち炎は掻き消えて、勇者の姿が現れました。
「火傷一つないとは、どういうことだ……」
「アンタが炎の魔術を得意とするのは前の戦いで把握済みさ。だから、剣に水のルーンを埋め込んでおいたんだよ」
「そうか。ならば、これはさぞかし効くだろうよ!」
丁寧に剣を掲げて説明した勇者に、魔王は容赦なく雷を叩き込みました。
しかし、こんなことで勇者がやられるわけがないのです。
「悪いけど。属性変えたって無駄だよ」
「な……」
見ると、勇者の剣は土色に変わっていました。そう、勇者の剣には土のルーンが埋め込まれていたのです。
「ルーン全属性使えるし、魔法抵抗の防具で固めてあるんだよ。おまけに、魔法は回復を重点的に鍛えたから、ある程度の傷は自分で治せる」
「だ、だからと言って! そんな小技小道具が、この私に通用するとでも……」
「ま、一番はさ、剣術。前にアンタと戦ったときより、もっとずっと強いよ、俺」
「は……?」
そう言って勇者が笑ったかと思うと、魔王の放つ魔術を掻い潜り、その喉元に剣を突きつけました。
「はい。チェックメイト」
「ぐ……」
魔王は侮っていました。勇者の言った通り、彼は前に戦った頃より段違いに強く成長していて、魔王の魔術を物ともしない速さを身に着けていました。
「いや、短期間でこんなに人間が強くなれるはずが……。っ、お前、まさか……」
「ああ、気づいちゃいました? そうですよ。前は手加減してたんです。最初っから強くちゃ、魔王さんの士気も下がっちゃうかと思って」
「人間如きが……、よくも私をコケにして……!」
「まぁまぁ。そんなに怒らないで。つい遊びすぎちゃっただけじゃん」
「黙れ……」
魔王は自らの手が傷つくのも厭わず剣を押しのけると、全身から魔力を立ち上らせ、強力な闇魔法を練り上げました。そして。
「これで終わりだ!」
魔王が解き放った闇は、勇者を飲み込みました。普通ならば自我を失い、そのまま闇に溶けて跡形もなく消え去ってしまうところです。ですが、やっぱり勇者はこんなものでは死なないのです。
「なるほど。中々すごい魔法だね。でも駄目。それじゃあ俺は殺せない」
「は……、馬鹿な……。私は、確かに、全力を出して……」
「そんじゃあさ、今度は俺の番だね」
「あ……」
闇の魔法を消し去った勇者は、善良な笑顔を顔に張り付けたまま、魔王に向かって光の魔法を叩きつけました。
「あ、ああああああ!」
「はぁ、いい声だ。最高だよ。魔王シルフィア。ほら、そのまま俺の顔をその残った片目でよ~く見るんだ。そうそう。しっかりと焼き付けておいてくれ。それがお前の最後の映像記憶なんだからなッ!」
光にもがく魔王の髪をわし掴み、右目を無理やりこじ開けると、勇者は何の躊躇いもなく光の刃を突き刺しました。
「おのれ、おのれえええええ!」
「よし。これでもうアンタは何も見ることができない」
勇者の言う通り、右目から血を流して苦しむ魔王は、先の一撃で視力を失ってしまいました。
「殺せ……」
勇者の手から解放された魔王は、もうこれ以上は意味がないと悟ったのか、右目を押さえながら、静かに呟きました。
しかし勇者はその言葉を無視すると、ボロボロになった魔王の手を取り、その血塗られた瞼にそっと唇を押し当てました。
「くそ! 何の真似だ、気色の悪い! さっさと殺せと言っているんだ!」
「いいや。殺さない。アンタはずっと俺だけを見て生きるんだ。勝手に死なせたりするもんか」
そのとき、魔王は初めて勇者の歪みに気が付きました。
「お前は、狂っているのか……?」
「勇者に向かって狂っているか、だって? はは。おかしなことを」
「じゃあ、平和のためにさっさと私を殺すべきだ。勇者ならそうするのが当然だ」
「確かにね。でも、それじゃあ俺がつまらない」
「最初に戦った時、お前は既に私を倒すほどの力を備えていたはずだ。それなのに、手加減したのはやはり、つまらないからだと言うのか?」
「ん~。俺さぁ、この力のせいで勇者だなんだって持ち上げられてさ、魔王を倒すための旅に出されてさ。クッソ面倒だったんだよ。そのときは。だから、アンタのことは出会った瞬間殺すつもりだったんだけどね。つい一目惚れしちゃってさ」
「ひと……?」
「俺、基本的に何に対しても興味湧かなくてさ。だから、アンタのことは大事にしたくてさぁ」
「待て。やはり、おかしい。お前は間違っているぞ」
「俺、ここまで入れ込んだモンなかったからさ。誰にも横取りされたくなくてさ。ここに来るまでうっかり仲間も殺しちゃったよ。勿論、表沙汰はアンタの魔獣にやられたってことにしたけどさ。アンタを見るのは俺だけで充分。アンタが見るのも俺だけで充分。なぁ、これって間違ってるか?」
魔王は勿論、間違っているとはっきり伝えるため、口を開こうとしました。しかし、勇者は端から答えを聞くつもりもなく、無防備な魔王に口づけを落としました。
それから、勇者は魔王を葬ったことを民衆に伝えると、町を復興させ、城を築き、王として君臨しました。民は勇者を讃えました。民は勇者を信仰しました。
勇者が、嘘を吐いているとも知らずに。
「気分はどうだ、シルフィア」
「最悪に決まってるだろ」
勇者の自室。そのだだっ広い部屋の壁の奥には、隠し部屋がありました。魔王はそこに、鎖で繋がれて閉じ込められていました。
「何が魔王を葬った、だ。拉致したの間違いだろ」
「拉致だなんて。俺は君を大事にしているだけだよ」
「キチガイめ。私を殺さなかったことを後悔させてやる」
「逃げようだなんて思うなよ? そんときにゃ、お前の腕も足も潰すぞ」
「……ッ」
魔王は思わず言葉を詰まらせました。勇者のその本気の気配に蹴落とされたのと、もう何度も逃げようと試みたのに、まだ一度も成功していない悔しさが込み上げてきたのです。
魔王の魔力は特殊な鎖に封じられ、部屋の結界はとても破れはしません。
「アンタが魔力頼みの戦い方ばっかする魔王で良かったよ」
「く……」
勇者は、魔王の鎖を手繰り寄せて、その細腕に口付けました。
「俺だってこんなに可愛い手足を切り落としたくはないさ。この手で俺に縋って欲しいからね」
「死んでも御免だ」
「シルフィアは本当に自分の立場がわかってないんだね」
「真名で呼ぶな。虫唾が走る」
「シルフィアこそ、俺のことは名前で呼んでって言っただろ?」
「お前の名など、当に忘れた。いちいち覚える価値もない」
「勇者カミル。この世界の人間なら、誰でも知ってる名前だろ?」
「私は人間じゃないからな」
「は~。ほんと、アンタって馬鹿だよな」
「おい、いい加減放せ」
「ようやく仕事が一段落ついたんだ。少しくらい俺のやりたいこと、やってもいいよね?」
「やりたいこと……?」
「わかるでしょ?」
「さ、触るな……!」
「あ、ようやく良い顔になった。ね、今から自分がどんな目に遭うかわかったでしょ?」
「まさか、本気じゃないよな……?」
「冗談でこんなことする方がイカれてるだろ?」
「待っ、待て、悪かった。その、全部謝るから……」
「こんだけ世界を貶めといて、謝って済むことじゃないでしょ」
「だ、だったら! 私の魔力を全てお前にやろう! それだったら……」
「いらない」
「な、ならば、禁術を!」
「いらない」
「では、その……。お前が欲しいものならなんでも! それが駄目なら、いっそ殺してくれ」
「殺すのはありえないけど。欲しいものなら一つだけあるよ?」
「あ……、そ、れは……」
勇者の言いたいことを察した魔王は青ざめました。
「ふふ。そうだね。意味がない。どうせ俺はアンタを欲しがるんだからさ」
そうして、魔王は幽閉されたまま、幾度となく勇者と体を重ねました。
それが次第に日常となり。
「あっ、カミルっ……。もう、駄目だって……!」
「は、すっかり可愛くなったねシルフィア。そろそろ俺のことが好きだって認めた方がいいんじゃない?」
「んっ、あ……。だ、れが……、お前のことなんか……ッ!」
「じゃあシルフィアは、好きでもないやつに抱かれてこんなに善がってるの? 変態じゃん」
「こ、コロス……」
「ハイハイ。ほんと、素直じゃないね」
魔王は勇者に感化されてゆきました。勇者も魔王を益々愛し、いつしか自然と互いを求め合うようになっていました。
しかし、それでも魔王は頑なに、自分の気持ちを勇者に告げようとしませんでした。認めてしまえば、勇者に飽きられてしまうのではないかと不安に思っていたからです。
「神さえも信じられぬというのに、どうして人間如きを信じることができようか」
勇者が去った後、静まり返った部屋の隅で、魔王はぽつりと吐き捨てました。
それからしばらく経ったある日の晩。
『あの……。これ、今日の夕食です……。他に欲しいものがあれば、何なりと……』
いつものように魔王のために夕食を運んできたのはメイドのミー。気弱な彼女は、勇者以外唯一魔王の生存を知る者で、勇者直々に魔王の世話係として雇われたメイドでした。
「おい、娘」
『ひゃ、ひゃいっ!』
「勇者はどこにいる」
『で、ですから、まだ戻られなくて……』
「本当にただの視察なのか? もう一カ月も戻っていないが」
『し、知りません! すみません!』
「……そうか。毎日脅かしてすまない」
『い、いえ……』
魔王は肩を落とすと、可哀想なほど震えあがったメイドから夕食を受け取りました。
今からちょうど一カ月前。勇者は他国へ視察に行くのだと言って、魔王の前から姿を消しました。
何だか嫌な予感がした魔王は、それから毎日のようにメイドに色々と尋ねましたが、返ってくるのはいつも同じ言葉でした。
「くそ。カミルめ。私を置いて一体何をしているんだ……」
メイドの去った後、再び訪れた静寂の中で魔王は弱々しく呟きました。そして、そのすぐ後に、情けない自分を呪いました。
一カ月もあれば、こんな鎖など魔王に掛かれば外せたはずです。でも、そうしなかったのは、それだけ魔王がこの環境を気に入っていたからでした。
「それにこの結界の中だと、呪いが少し薄れてくれるからな……。でも、完全には逃れられない」
そう呟いた魔王は、そっと自分の爪を撫でました。真っ黒く染まったその鋭い爪は、勇者の腹を裂くためだけにあるのです。
「所詮、私は神に逆らうことなどできないのだ」
魔王がついに鎖を外し、結界を破るための詠唱を始めた頃。
『大変だ!!』『今、連絡が』『おい、どうした!』
「ん、外が騒がしいな」
突然、城の人間が慌ただしく動き回る音がして、魔王は詠唱を止めると顔を上げました。
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『あ、あのっ!』
ちょうどその時、ドアのノック音が鳴り響き、間髪入れずにメイドの少女が滑り込んできました。
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『ゆ……、勇者様が、重傷で……! 腕の良いヒーラーにも治せないらしくて……。だから……、応援をって、言われたんですけど、ワタシ、貴方なら治せるんじゃないかって、思って……!」
「わかった。私が行く。場所は?」
『ラゴンド国の国境付近の洞窟です!』
「ありがとう」
『あ、でも、どうやって――』
ぱりん!
詠唱を終えた魔王はメイドの言葉に微笑むと、その立派な羽を広げ、窓を破って出てゆきました。
『綺麗な、羽……』
取り残されたメイドは、鳥より早く空を泳ぐ美しい羽を見ながら、呆然と呟きました。
「勇者!」
あっという間に洞窟に辿り着いた魔王は、その入り口で横たわる勇者に駆け寄りました。
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『あ、貴方は……?』
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『えっと、洞窟の龍と戦って、相打ちになってしまったようで……』
「な、なぜそんな無茶を」
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「チッ。退いてろ」
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『あ、あれは……!』
魔王が熱心に聖なる言葉を唱える度に、その白い羽が光を増し、美しく輝きました。
『どうして、地上に天使様が……』
「ん……、シル、フィア……?」
暖かい光に包まれた勇者は、その聖なる力により息を吹き返すと、ゆっくり身を起こして魔王の姿を見つめました。
「ああ、カミル……、よかっ……」
勇者を無事に生き返らせ、気が緩んだ魔王は、言い終わらない内に勇者に倒れ込んでしまいました。
「シルフィア!」
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魔王が苦し気な息を吐く度に、その羽は霞んでゆき、ついに跡形もなく消えました。
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勇者は、迷うことなくそれに向かって剣を振りました。が、その光は萎むことなく膨らんで、人間の形になり……。
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「は?」
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「ッ……」
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さらりと斬撃を躱した神によって武器を取られ、逆に斬りつけられてしまいました。
『あのさあ、シルフィーちゃん。アタシはいつまで待たされなきゃいけないワケ? さっさと宝珠を取り戻してほしかったんだケド~』
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『アタシ、ちょっと前に宝玉の一つを地上に落としちゃってさ。神の力の一部を飲み込んだから、君は人間としてあり得ない力を持ってるってワケ。アンタはまだほんの子どもだったから覚えてないだろうけど。んで、アタシそのとき急いでたからさ、君を殺して取り返そうとしたんだけど。それをシルフィーちゃんが必死に止めるもんだからさ~。反逆されちゃあ、堕天させるしかないでしょ? ついでに宝珠を回収してくれるように、呪いをかけたってワケ!』
「カミルと対峙するために、魔王として人々を苦しめるという忌々しい呪いだ」
「なるほど。神様のくせに随分とエグい」
『いや。だって! あのときのアタシはちょっとイライラしてて! でも、しょうがないじゃない? カフェで猫と戯れるはずだったのを邪魔されたんだし……』
「カフェ……?」
「猫……?」
『あ~! 馬鹿にしないでよね! 異世界の猫カフェに行く事が、アタシにとっては重要なエネルギーチャージであって……!』
顔を真っ赤にして叫ぶ神を見て、勇者は呪文を唱えました。
「カフェとかはわかんないけど、猫だったらウチの城にいっぱいいますけど?」
そう言って勇者が魔法で空に映し出したのは、城の庭で遊ぶたくさんの猫でした。
『えっ』
「メイドが拾ってくるもので。仕方なく飼ってるんですけど。良かったら、触りに来ます?」
『そ、それは……。で、でも、タダじゃないんでしょ……?』
「お金は要りません。けど、条件があります」
『な、なによ』
「まず、シルフィアの支配を止めてください。自由にしてあげてください」
『え~。でも、彼は割と優秀だし~』
「にゃんこ」
『了解です!』
「あとは、この力。このまま俺にくれ」
『いや、それはさすがに……』
「子猫」
『ぐっ。わかった! あげるから!』
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「そんな、馬鹿な……」
『は~! 最高なんですケド! モフモフ楽園パラダイス! 神、もうココに住みつきたいんですケド!』
『この子猫ちゃん、肉球がピンクなんですよ~。この子は、かつおぶしが大好きで~』
『は~! ミーちゃんも可愛いんですケド~! 猫の次にメロきゅん!』
『あ、ありがとうございます?』
交渉が成立してすぐさま城にすっ飛んで行った神様は、メイドと意気投合して猫を可愛がりまくりました。
「すっごく騒がしいけど、まぁ一件落着ってことで」
「もしかして、こうなることがわかってて用意してたんじゃないだろうな……?」
「まさか。これは本当にミーのおかげ。彼女、気が弱いから誰にも君のこと言えないだろうって思って雇ったんだけどね。猫に関しては強気でさ……。保護しろって、何匹も連れてくるから……。でも、結果オーライ、かな」
くつくつと笑った勇者は、魔王の手を取り、その手の平に何かを落としました。
「助けてくれてありがとう。ちょっと気持ちが焦り過ぎて龍相手に油断してさ。あれで死んでちゃ死んでも死にきれなかったよ」
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そう言って笑った勇者は、魔王の手を引き寄せて、そのまま鱗を口に含みました。そして、それを口移しで魔王に与えて――。
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再び開かれた魔王の瞳に映ったのは、不器用に微笑む勇者の顔でした。
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