ただいま

咲夢(さゆ)

文字の大きさ
1 / 2

最後のただいま

しおりを挟む
「ただいま。皆良い子にしてた?」
「たっだいまぁー!いい子にしてたかぁー?」
父と母が産婦人科から帰ってきた。
「「「「「「おかえり!」」」」」」
兄弟全員が声を揃って返した。いつもの事だ。でも。。。まさかこのやり取りがこの日で最後になるなんて、思ってもいなかった。。。


「おっはよぉー!みーんな!」
花   桜。8歳。今日も1番に起きた。
「クスッ。。。おはよう。桜。」
母が起きた。
「おはよう!お母さん!お父さん!椿お兄ちゃん!百合お姉ちゃん!皐月お兄ちゃん!菊!萩!そして。。。もうすぐ産まれてくる涼々希!」
桜は今日も元気に朝の挨拶をした。

「皆ー!ごっはんだよぉ!」
「早く来なさーい!」
桜は料理が好きだった。いつもいつもお母さんと一緒にご飯を作ってる。
「おー。。。んんんー!おっ今日は秋刀魚か!」
椿が1番だった。
「おい!椿ー寝癖すげーぞー」
お父さんだ。
「っせーなー。。。寝相の悪さは親父に似たんだろーがーっ」
「もぉ!2人とも!口悪いっ!」
二人の間に入ったのは、百合だった。
「そぉだよ!やめなよ!」
皐月も止めに入った。
「「おかぁーさーん!!」」
そお叫びながら走ってきたのは、菊と、萩だった。
「菊ちゃんがぁ!」
「萩くんがぁ!」
2人は泣きながらかけてきた。喧嘩したらしい。
「はいはい。よしよし2人とも。大丈夫よ。」
「「おかぁさっ!」」
2人は頷いてお母さんに抱きついた。
「あはははは!2人ともほんとにお母さん大好きだなー!」
桜は笑った。すると周りも笑いだした。
一気に花家は賑やかになった。

「行ってきます!皆!」
「いい子にしとけよ?」
お母さんとお父さんは朝ごはん食べたあと出かけた。桜は達は、2人を見るのが最後になったなんて思ってもいなかった。

「さぁーて!お片付け!」
「僕も手伝うよ!」
皐月が来てくれた。

「ありがとう!皐月お兄ちゃん!もう終わったよ!」
「全然だよ!家事を手伝うのは当然のことだよー!」
2人はそんな事を話しながらリビングに向かった。そのときだった。

プルルルルル
プルルルルル

電話がなった。椿が受話器をとった。
「はい。もしもし花で。。。。え?」
その瞬間家の中がシーンとなった。
「つっ椿お兄ちゃん。。。?どうしたの?」
椿は震えながらゆっくり振り向いた。
「母さんと。。。父さんが。。。じっ事故にあっ。。。た。。。」
椿の言葉に家の中は風の音が聞こえるくらいに静かになった。


「まさか。。。お母さん達が死ぬなんて。。。私っわたしぃ。。。!」
百合が泣いた。桜はその姿をみて泣いていたのにもっと泣いた。
「うっうっ。。。お母さんっ!お父さんっ!戻ってっ来てよぉー!」
椿は部屋の隅っこであぐらをかいて震えていた。皐月は桜と百合を抱きしめて一緒に泣いていた。
「うっうっ百合。。。!桜。。。!僕達があとは何とか。。。何とかするからっ!」
菊と、萩はまだなんの事かさっぱり分からなかったのだが、お母さんとお父さんがいないことにきずき泣き出した。
「「おかあさーん!おとうさーん!」」
その日は一日中泣いた。

奇跡があった。お母さんのお腹の中にいた涼々希は、生きていた。
「嘘だぁ。。。。!涼々希が。。。生きてるんだ。。。!お母さんとお父さんの最後の贈り物だよ。。。!」
桜は泣いていたし、笑ってもいた。皆もそんな感じだった。
「私達にっ。。。私達に涼々希を預けてくださいっ!」
百合が言った。顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
「私もっ!私からもお願いします!」
桜も叫んだ。もちろん顔は涙でぐちゃぐちゃだ。すると次々に頭を下げていった。
「僕からもっ!お母さんとお父さんの贈り物。。。プレゼントなんですっ!」
皐月が2人の後に最初に続いた。
菊と、萩は何も分からないはずなのに、頭を下げて
「わたしからも!おねがいします!ふぇえっえっ」
「ぼっぼくからも!おねがい。。。!」
「俺からも!お願いだ。。。!」
最後に椿が頭を下げた。
6人全員が頭を下げた。流石に医者もまだ未熟な子供に皆頭を下げられると、断れなかった。
「うーん。。。ちゃんと最後まで育てられるんだね?」
医者がきいた。兄弟たちは1%の可能際を信じていた。だが無理だと心のどこかで思っていた。
「ほ。。。本当ですか?」
百合が聞いた。
「うん。で、ちゃんと最後まで育てられるんだね?」
医者がもう一度聞いた。
「もちろんですっ!ね!皆!」
百合は医者に返事をし皆にきいた。
「おう。当たり前だ。」
椿が返事した。
「もっもちろんだよぉぉー」
桜が泣きながら微笑んで返事した。
「僕も!もちろんだよ!」
皐月が満面の笑みで返事した。だが、眉は下がっていて今にも泣きそうな顔だった。
「「ちゃんとめんどうみる!」」
菊と萩も揃って言った。その瞬間医者の顔が笑顔になった。
「それなら安心だ。」
皆は医者の一言で一気に涙が溢れた。その涙は、お母さんとお父さんを亡くした悲しみ。涼々希を自分達に、預けてもらえる喜び。その両方の想いが涙として溢れ出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...