後宮の棘

香月みまり

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第9章 使、命

第349話 華南の忠告

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ゆらゆらと揺れる朱色が眩しくて、翠玉は目を覚ました。

視界に映るのは茶色の天幕で、あれ?私どうしたんだっけ?と首を傾げた瞬間、色々なことが蘇ってきて、あ、倒れたんだと、合点がいって、次の瞬間にはガバッと勢いよく起き上がった。

「翠玉様!お目覚めですか!良かった」

ちょうど華南が水桶を抱えて天幕に入ってきたところだったらしい。


「華南っ!赤ちゃんは!?」

すぐに側に寄ってきた華南に翠玉はすがりつく。

「あかちゃん?」

なんの話ですか?と首を傾げた華南をマジマジとみつめて、翠玉は次第に冷静になった。


そして翠玉が冷静になると同時に、今度は華南が何かを察したらしく

「え、ちょっと待ってください。それって、、!」

混乱し始めた。

しまった!翠玉が気づいた時にはすでに遅かった。


「なんで黙ってたんですか!!てか、そんな事わかってて、何やってたんですかあなた!!」


と天幕の外まで華南の怒号が響いたのはその直後だった。




「いやほら、、、勘違いかもしれないし」

「勘違いでも自重してください。てか、殿下と毎晩のようにヤッててそれで違うかもしれないとか!そんなの十中八九できてるに決まってるじゃないですか!」

「ま!毎晩では、、ないと思う」

「そんな事はどうでもいいんです!」

ピシャリと言われて翠玉は身を縮める。

「で、いつ気づいたんですか?」

どうやら華南はとことんまで翠玉を追求するらしい。

「昨日の夕方頃、あれ?月のものがないなって」


「込み入った事を聞きますが、最後の月のものはいつ頃です?」

「たしか2月ほど前かと、、、」

よく覚えてないのよね、と呟くと華南が目を丸くしている。


「ふた、つき!?体調変化は全く無かったんですか?」

「うん、全然。あ、ちょっと眠かったくらいかしら、なんで?」


「いえ、いいです。ところでこうなっている事は殿下は」

「あ、知らないわ。バタバタしてて話す時間も無かったから、華南が初めて」

それも少し気まずくて目を逸らした。

結局のところ翠玉の倒れた原因は、貧血だった。
身重の身体を酷使しすぎたのが原因であるなら合点が行くと。華南は納得したらしい。


「とにかくここが片付いたらすぐに州府に戻りましょう。こんな硬い寝床じゃお腹の子に毒です!」

「そんな大袈裟な~」
硬いところで寝るのなんて翠玉は慣れているのだから大丈夫だと、笑ったのだが

「大袈裟じゃありません!大事な事です!特にこの時期は流れやすいんです!無理は禁物です!」

予想以上の華南の剣幕に圧倒された。

「く、くわしいのね」

「経験者ですから!」

サラリととんでもない言葉が出てきて翠玉は固まる。

それはつまり、、、

言葉を失った翠玉に、華南は困ったように笑った。

「しかも2回です。離婚の理由もまぁ簡単に言うとそれ。だから舐めちゃいけませんよ!大事に大事に過ごしてください。」


その言葉に翠玉は「分かったわ」と答える事しか出来なかった。
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