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番外編
姉妹① 新婚前日
華南と隆蒼の新婚前夜~2日目くらいまでのお話です。
時期としては、廿州から戻って数日後のお話です。
あまりに筆が進みすぎて長くなってしまいました。10話ほどあります(汗
華南のお話なので、所々下品な言葉が華南から出てきます。ご注意ください。
ラブラブもありますが、人によっては受け付けないお話かもしれません。でも書きたかったのです!ごめんなさいm(__)m
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「ねぇさんと隆蒼がねぇ」
妹の李梨のため息交じりに発された言葉に、華南は頬を膨らませる。
「言いたいことは分かるわよ、私だって意外だわ」
ここまで散々この結婚については色んな人間からの感想をいただいた。
まさか華南が隆蒼に落ちるとは……
隆蒼に粘られてついに陥落したか……
前の旦那よりも上の男を狙うんじゃないかと思っていた……などなど。
私が一番意外だわっ!
先ほど妹に言い放ったように、正直自分が隆蒼とどうこうなるなんて、数か月前までは微塵も思っていなかったのだ。
グイっと杯をあおって酒を喉に流し込むと、新しいつまみを持ってきた妹は「違うわよ!」と女の子にしては鋭い印象の瞳を細めた。
「私は感慨深いのよ!! やっとくっついたって意味!」
「は?」
ぴんと甘く砂糖を絡めた豆を弾いて投げてよこされて、難なくそれを受け取ると、思わず呆けた顔で妹を見てしまった。
「だってねぇさんは、昔から愛されたい欲が強かったでしょう? そんなの一生付き合ってくれるのなんて隆蒼くらいしかいないだろうなぁって思っていたのよ」
なんと意外なことに、妹はこの結婚になんの意外性もないというのだ。
むしろ
「収まるところに収まったって思ったら、妹としては感慨深いのやら、安心したのやらってところかな」
そう、本当に安心したように言われてしまって、華南は目を丸くして妹を見る。
両親を早くに失って、親戚に助けられながらも、たった二人の姉妹で生きてきた。妹は自分が守らねばと思いながら、強い姉の顔をして大切に守ってきたはずの妹から、まさかこんな自分の本質を見透かすような言葉が出てくるとは思わなかった。
「何を意外そうな顔してるのよ?」
あまりにも驚いた顔をしていたせいか、李梨が眉を寄せてその鋭い目つきでにらみつけてきた。
「いつまでも子供扱いしないでくれる? これでも禁軍の騎馬隊長してるんだからね? ねぇさんが子供だった私に不安を与えないように必死で強がっていたことくらいお見通しなんだから! そんで、その強がりのよりどころを男に求めるようになったのだって、気づいてるのよ?」
突然妹の口からバンバンと出てきた辛辣な言葉に華南は言葉を発することができなかった。
流石にどこかでそうかなぁとは思いつつ、そこまでの自己分析はできていなかったのだが、心を鋭利な刃物でグサグサと刺されるような痛みは、おそらく図星の範囲なのだろう。
たしかに言われてみれば、頼りがいのある男に依存して重いと言われて振られた経験は数多くある。
「それにほら、私たちって愛された経験ないじゃん? とくにねぇさんはさ……だから姉さんを無条件に愛してくれる人じゃないと、きっと姉さんは満足しないでしょ? そう思ったらもうねぇ」
そう言って妹は首を傾けてにやりと笑った。
あんなに馬鹿正直に十数年も一途に思ってくれる奇特な奴、一人しかいないだろうと言いたいのだ。
確かに……確かにだ。
この先何があっても隆蒼が華南から心変わりするなんてことは微塵も考えられないし、そんなことが起こるはずもないと華南自身が思っているのだ。
隆蒼が華南に向ける愛情には全幅の信頼がおける。
「確かにそうね」
頬杖をついて、指で弄んでいた豆を口に放り込むと、砂糖と蜜の甘さが口の中に広がる。
あぁ、また酒がすすむ。
「ところで、あんたの方はどうなの? 蒼雲とやけに仲がいいみたいだけど」
お返しだとばかりに、ニヤリと笑って妹を見れば、彼女は分かりやすく口に含んだ酒を吹き出した。
あーあ、慌てちゃって、可愛いんだから……
「なんもないわよ! 同期なだけ!! 女だと思われてないの、私」
プイっと視線をそらして、膝を抱えて拗ねたように顔を埋めた今の李梨には騎馬隊長の時の片鱗すらなくて
思わず椅子から立ち上がって、手を伸ばす。
「あぁん、もう、やっぱり可愛すぎるっ! やっぱり隆蒼と住むのやめて、李梨とここにいようかしらっ!!」
机越しに妹の体を引いて、その頭に頬を擦り付ける。
「ちょ! やめてよ! そんなことしたら隆蒼に私が恨まれるんだから!! それに、新居は殿下が用意して下さったんだから、そこに入らないなんて不敬だわ!」
腕の中でジタバタ暴れる妹に、なんであんたはそんな現実主義者に育ってしまったの? と少し寂しく思う。
「明日にはもう一緒にいられないのよ? 寂しくないの?」
お姉ちゃんは寂しいわよ? と涙ぐめば、見上げてきた妹はうんざりとした顔で「はぁ~」と大きく息を吐く。
「寂しいに決まってるでしょ!! でもこの前の嫁入りに比べたらまだましよ!! だっていつでも顔合わせられるんだから! だいたい新居なんて目と鼻の先じゃない! それよりさっさと落ち着いて、私を安心させてよね!!」
「ふえ~ん。李梨~愛してる~」
口調は強いのに、言っていることは、かわいくて思いやりにあふれていて、愛情すら感じる。そんな妹が愛おしくて、さらに李梨をぎゅうっと抱きしめれば、今度はその肩に彼女の手がポンと乗る。
「全く姉さんは昔から手がかかるんだから」
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