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旅に必要なものって何かしら。
お洋服とお化粧品と…お金も必要よね?
指輪も忘れずに持っていかなくては。私達は指輪に魔力を込め、通信手段として使っております。
家庭によって何に魔力を込めるか、込められる魔力量によってどんな魔法を使えるか、個性が出る物。
私は通信手段の他に、簡単な攻撃魔法や防衛魔法が使えるように、その都度魔力を込めております。
「アメリア様、準備はできましたか?」
「イヴァン~、全っ然できてないわ!何を持っていったらいいのか分からないの!」
持っていきたいお洋服も決まっていません。
クローゼットやドレッサーから色んなものを引っ張り出したせいで、部屋は散らかってしまっていました。
そんな惨状を目の前にして、イヴァンは額に手を当てて溜息をつき、ベッドに放り出されていたワンピースを手に取りました。
「もう準備は私がします。最初からそうすれば良かった」
私はそれを見て、急いでワンピースを取り返そうとしました。
「ダメよ!着替えだけでも私が準備するわ、下着だってあるのよ!」
「貴女ね、洗濯とか誰がしてると思ってるんですか!見慣れてますよ!!」
「目の前で見られる私の気持ちを考えなさいな!」
紳士淑女の振る舞いとはかけ離れた大声での言い合いを経て、「そんなに嫌なら一緒に準備しましょう!!」という彼の一言がきっかけで、一緒に支度することになりました。
言い合いが終わったのは、私とイヴァンに引っ張り合われたワンピースがギチギチと嫌な音を立て始めた頃でした。
「本当にお嬢様の力には恐れ入ります」
「貴方も強いわよね、私ももっと鍛えなければいけないわ」
イヴァンはまた呆れたような顔をこちらに向けました。何よ、貴方すぐそういう顔するんだから。
彼を睨むように見つめていると、気まずそうに咳払いをしました。
「それより、行先は決まったんですか?」
「そうねぇ……そういえばノアお兄様に手紙を貰っていたわ。挨拶に行こうかしら」
「ノア様のお屋敷でしたら、馬車で向かえますね」
ノアお兄様は私の従兄弟です。
隣国に自分のお屋敷を構えていらっしゃいます。
先月頂いた手紙に、久しぶりに会いたいと書かれていたのを思い出しました。
「婚約破棄をご報告したら、驚かれてしまうかもしれませんわね」
「驚くどころか王子の暗殺でも企てるんじゃありませんか」
「いくらノアお兄様が私のことを愛していても、流石にそんなことはしないでしょう」
クスクス笑う私にお構い無しに、テキパキと準備を進めてくれたイヴァンのおかげで、翌日、ノアお兄様のお屋敷に着くことができました。
「ノアお兄様、お久しぶりですわ」
優雅にカーテシーをする私を、お兄様は抱きしめてくれました。
「久しぶりだなぁアメリア!イヴァンも久しいな、会えて嬉しいぞ!」
「ノア様、私も嬉しく存じます」
「お兄様、私もう小さい子ではありませんのよ。出会い頭に抱きしめるのはやめてくださいな」
お兄様の背中をポンポンと叩くと、豪快に笑いながら体を離してくださいました。
ノアお兄様もイヴァンも細身ではありますが、私よりも力が強いのですから、悔しい限りですわ。
「聞いたぞ、先日の舞踏会の件!やっとあの王子を切り捨てられたのだな!」
「…その件は、座ってお話させて頂けませんか?」
「そうだな!ケーキも用意しているんだ、ゆっくり聞かせてくれ」
荷物はお屋敷の使用人の方々が、客室に運んでくださるとの事。
応接間で紅茶とケーキを頂きながら、舞踏会での出来事を報告しました。
「は?あの王子が?アメリアを捨てた?殺そう」
どうしましょう、イヴァンの言う通りになってしまいましたわ!!
お洋服とお化粧品と…お金も必要よね?
指輪も忘れずに持っていかなくては。私達は指輪に魔力を込め、通信手段として使っております。
家庭によって何に魔力を込めるか、込められる魔力量によってどんな魔法を使えるか、個性が出る物。
私は通信手段の他に、簡単な攻撃魔法や防衛魔法が使えるように、その都度魔力を込めております。
「アメリア様、準備はできましたか?」
「イヴァン~、全っ然できてないわ!何を持っていったらいいのか分からないの!」
持っていきたいお洋服も決まっていません。
クローゼットやドレッサーから色んなものを引っ張り出したせいで、部屋は散らかってしまっていました。
そんな惨状を目の前にして、イヴァンは額に手を当てて溜息をつき、ベッドに放り出されていたワンピースを手に取りました。
「もう準備は私がします。最初からそうすれば良かった」
私はそれを見て、急いでワンピースを取り返そうとしました。
「ダメよ!着替えだけでも私が準備するわ、下着だってあるのよ!」
「貴女ね、洗濯とか誰がしてると思ってるんですか!見慣れてますよ!!」
「目の前で見られる私の気持ちを考えなさいな!」
紳士淑女の振る舞いとはかけ離れた大声での言い合いを経て、「そんなに嫌なら一緒に準備しましょう!!」という彼の一言がきっかけで、一緒に支度することになりました。
言い合いが終わったのは、私とイヴァンに引っ張り合われたワンピースがギチギチと嫌な音を立て始めた頃でした。
「本当にお嬢様の力には恐れ入ります」
「貴方も強いわよね、私ももっと鍛えなければいけないわ」
イヴァンはまた呆れたような顔をこちらに向けました。何よ、貴方すぐそういう顔するんだから。
彼を睨むように見つめていると、気まずそうに咳払いをしました。
「それより、行先は決まったんですか?」
「そうねぇ……そういえばノアお兄様に手紙を貰っていたわ。挨拶に行こうかしら」
「ノア様のお屋敷でしたら、馬車で向かえますね」
ノアお兄様は私の従兄弟です。
隣国に自分のお屋敷を構えていらっしゃいます。
先月頂いた手紙に、久しぶりに会いたいと書かれていたのを思い出しました。
「婚約破棄をご報告したら、驚かれてしまうかもしれませんわね」
「驚くどころか王子の暗殺でも企てるんじゃありませんか」
「いくらノアお兄様が私のことを愛していても、流石にそんなことはしないでしょう」
クスクス笑う私にお構い無しに、テキパキと準備を進めてくれたイヴァンのおかげで、翌日、ノアお兄様のお屋敷に着くことができました。
「ノアお兄様、お久しぶりですわ」
優雅にカーテシーをする私を、お兄様は抱きしめてくれました。
「久しぶりだなぁアメリア!イヴァンも久しいな、会えて嬉しいぞ!」
「ノア様、私も嬉しく存じます」
「お兄様、私もう小さい子ではありませんのよ。出会い頭に抱きしめるのはやめてくださいな」
お兄様の背中をポンポンと叩くと、豪快に笑いながら体を離してくださいました。
ノアお兄様もイヴァンも細身ではありますが、私よりも力が強いのですから、悔しい限りですわ。
「聞いたぞ、先日の舞踏会の件!やっとあの王子を切り捨てられたのだな!」
「…その件は、座ってお話させて頂けませんか?」
「そうだな!ケーキも用意しているんだ、ゆっくり聞かせてくれ」
荷物はお屋敷の使用人の方々が、客室に運んでくださるとの事。
応接間で紅茶とケーキを頂きながら、舞踏会での出来事を報告しました。
「は?あの王子が?アメリアを捨てた?殺そう」
どうしましょう、イヴァンの言う通りになってしまいましたわ!!
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