レッドリアリティ

アタラクシア

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プロローグ

殺人

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2006年。『ナイトウォーカー』が活動しだした時。つまりが本格的に殺人を始めた年である。

活動時間は夜。夜道を歩いている人物を襲い、連れ去る。状況によってはその場で殺しもしたが、基本的には連れ去った後に拷問していた。気が済んだら殺害して処理。――かなり身勝手な犯行だ。

被害者に一貫性はなく、桃也との面識もない。夜道を歩いている者で気に入った人を見つけていた。その対象は、若い女性もいれば、成人男性や少年少女、老人と幅広い。なんと被害者の中には警官もいた。

場所は一定しており、徳島県の藍住町内でほとんど起きている。例外の場合も徳島県から離れることはない。

しかし犯行現場は転々としていた。廃工場や空き家、はては屋外の空き地でも犯行を行っている。事前準備はしていたようだが、先程も述べたとおり、被害者との面識は無い。


被害者の死体の損壊は酷いものであった。さっきも述べたとおり、桃也は殺害前に被害者を拷問している。

拷問前には声帯を切って声を出せなくしていた。なおかつ逃げられないようにアキレス腱も切断。抵抗できないように腕の腱も切断していたのだ。

このことから当初……というか現在も医学に精通する者を警察は疑っている。ちなみに桃也はこれを独学で会得していた。

拷問の内容は凄惨極まりない。壊せる部位は全て壊す、という表現が正しいくらいにだ。

髪、目、鼻、耳、頬、唇、舌、歯、皮。顔面だけでも壊せる部位は沢山ある。対象者が死なないように注意をしながら、桃也は作業していた。

なによりも凄惨なのは――被害者の中にはも居た、という点だ。

残念ながらそうである。まだ歳の若い少年少女が悲惨な拷問を受けたのだ。一番若い被害者は僅か13歳の少女である。

死体の処理は割とシンプルなものだ。バラバラに切ってトイレで流したり、埋めたりする。ゴミ捨て場に置いた時もあった。

まだ体の一部が見つかってない被害者はざらにいる。むしろ遺体が全て見つかっているだけでマシな部類だ。



状況から予測した結果、混合型殺人として捜査が進められていた。警察もすぐに犯人は捕まる。――そう思っていた。


捕まらなかった理由は多数ある。主に大きい理由としては、目撃情報の少なさがあった。


目撃情報の少なさは致命的であった。六年にも及ぶ犯行の中で出た目撃情報の数は僅か5つ。監視カメラにも全く映っていなかった。

桃也は事前に監視カメラの場所を確認。そして人通りが少ない場所を犯行現場としていた。単純なもの。だが警察は犯人を見つけることすら叶わない。

とにかく桃也はに長けていた。警察の巡回するであろう場所を予測。犯行が無理そうなら素直に辞める。そしてほとぼりが冷めたら殺人を開始――。

警察の不手際などもあったが、とにかく桃也は狡猾に動いた。影に隠れて人を連れ去り、散々いたぶってから殺す。ナイトウォーカーの被害者は21人にも登っていた。



2012年以降、桃也は事件を起こしていない。凛が産まれた年だ。それがどんな理由を持つのだろうか。……桃也なりの考えがあるのかもしれない。

――だが勘違いをしてはいけない。桃也はなんてしていない。



目撃情報のひとつにはこんなものがある。

「子供が書いたようなニコちゃんマークマークの仮面をしてフードを深く被ったロングコートの男がいた」というもの。

警察だって万能じゃない。こんなにも特徴的な目撃情報があったのにも関わらず、桃也の前に逮捕状が出されることもなかった。
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