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アメリアのために※(ファンタジー・オメガバース・人死注意・とある女性をめぐるオメガバース・すっきりしない)
アメリアのために※
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オメガの男である私には、アルファの女性である親友がいた。
彼女は、美しく、聡明で、だれにでも臆さずに自身の意見が言える人だった。
私は彼女が大好きだった。彼女が私を親友と思ってくれているのが、何よりも誇らしかった。
「私、あなたといるときが、一番自分らしくいられるのよ、ヨハン」
彼女、アメリアは私にこう言ってくれた。
私は、オメガだと言うのに容姿は並以下、頭も良くないし、人と関わるのもうまくなかった。
私が彼女に与えられるものは、私からの友情と誠意しかなかった。
「アメリア、君の敵は、私の敵だよ。私はいつでも君の味方だよ」
こう伝えると、彼女は私の手を取り、頬にキスしてくれた。
彼女は、神の愛を恵まれない人々と分かち合う会に参加しており、その中核的なメンバーの一人だった。
彼女は、餓死者の出るような救貧院の改革を主張していたし、長時間労働と低賃金に喘ぐ人々の労働環境の改善など、弱きものを救うための活動を熱心に取り組んでいた。
私も彼女に連れられてその会に参加していたが、私は活発に交わされる議論には、理解が追いつかずついていけなかった。
でも、彼女の活動がとても意義のあることなのは分かった。神様もお喜びになる、素晴らしい活動だと。アメリアは、神様の遣いに違いなかった。神様のご意思を私のような頭の悪いものにも理解させるための。
私は彼女が瞳を光らせ力強く熱弁を振るうたび、神の存在を感じていた。私は、彼女を崇拝していた。
ある時、その会に一人の若者が知人に連れられ現れた。私とアメリアと同年代の若者だった。
見目麗しく、いかにも高貴な印象を与える彼は、王国の建国より古い貴族の出だった。彼は、私たちの住む街に行政官として着任したのだった。
一目見た瞬間に、私の本能が彼を、アメリアと同じ、アルファだと告げていた。
アメリアは、その男に活動の理念や、意義、これまでの活動の成果を熱心に説いた。
はじめ、彼女の話を黙って聞いていた彼だが、顎を上げ、眉をしかめて、口を開いた。
「貧乏人は怠けているから貧乏なのだ」
彼女は、ことさら美しい微笑みを浮かべた。
「では、あなたは怠けなかったから裕福なのですか? あなたが裕福なのは、父祖伝来の財産によってであって、あなたの努力とは無関係ですわね?」
「私の話ではない。生産性のない、怠惰な社会の寄生虫どもの話だよ。彼らへどんなに恵んでやったところで、底の抜けた瓶のようなものだよ」
「では、お聞きしますが、一日十八時間ドレスを縫い続けるお針子はどうです? 重い荷を上げ下ろしし続ける、港湾労働者は? 彼らは怠けているから貧乏なのですか?」
「彼らは、実入りのいい仕事につく努力を怠ったのだ」
「では、彼らにそんな機会はあるのですか? そのための教育をどこで受けられたというのです? 時間的余裕が金銭的余裕が、どこにあったというのです? それが努力不足なのですか? 努力不足というは、機会がありながら、それを不意にしたことを言うのでは? そして、一番の問題は、彼らの労働は社会に必要なものであるにも関わらず、給料が不当に低すぎることではないですか?」
私は彼女が殴られるのではないかと思い、彼女のすぐ後ろにそっと立った。
アメリアの代わりに、私が殴られようと思った。
彼は言い返せずに、顔を真っ赤にしていた。
「失礼する」
そして、くるりと背を向け、貴族らしく姿勢正しく出ていった。
私は非常にほっとした。
「大丈夫かい? アメリア」
彼女は肩をすくめて見せ、いたずらっぽく笑った。
「旧時代の貴重な遺物として、博物館に収蔵するべきね」
彼女の敵は私の敵だ。
私は、彼、アウグストを敵だと思うようになった。
彼女を彼から守らなくては行けないと思った。会にやってくるアウグストを捕まえて、私は震えながら言った。
「アメリアは、私の一番大事な人です。彼女を傷つけたら許しません」
「うん、覚えておこう」
彼は私を鼻で笑って、建物の中へ入っていった。
私の酷く動悸がしていた。この程度が、私の最大限の勇気だった。
彼は、どういうわけか、たびたび会を訪れた。そして、そのたびにアメリアと論戦を交わした。
いつしか、アウグストの主張には変化が見られるようになった。
そして、アメリアに対して、敬意を示すようになった。彼の目には、彼女に対する親しみが見て取れた。
それは、アメリアにしても同じことだった。
私の彼への敵意は、宙に浮いたようになってしまった。
アメリアの敵は私の敵だが、彼がアメリアの敵でないなら、彼は私の敵ではないのだ。
彼らは惹かれ合っているようだったが、アメリアにはすでに、親の決めた婚約者がいた。
アメリアとアウグストが結ばれることはなかった。
しかし、だからと言って、彼らの友情が変わることがなかった。
アメリアは、死んだ。
流行病で、発症からたった二日で。
美しくて、聡明で、輝いていたアメリアは、死んでしまった。
天の神様も、きっと彼女を早くそばに置きたかったのだろう。
だが、あまりにも早すぎる。
最後に会った日、彼女は私に言った。
「ねえ、ヨハン、あなたは私の味方ね?」
「うん、いつでも、君の味方だよ」
「私の敵は、あなたの敵?」
「そうだよ、君の敵は私の敵だよ」
私がそう言うと、彼女は私の頬にキスをしてくれた。
「世界で一番あなたが好きよ、ヨハン」
あれが最後になるなんて、思いもしなかった。彼女は悲しげだった。
彼女は、思い悩んでいたのだろうか。
婚約者とアウグストの間で、心を引き裂かれるような思いをしていたのだろうか。
教会で彼女の魂の安らぎを願った。
無事に天の神様のところにたどり着けるように祈った。
アウグストと私は、彼女の棺を担ぐうちの一人だった。
彼女の重さが私たちの肩にかかる。彼女の軽やかな魂の消えた肉体の重みが。
弔鐘が鳴る。
棺を墓穴に安置して土をかけた。
アウグストは表面上、平静を保っていた。
だが、それも葬儀が終わるまでのことだった。
彼は、葬儀が終わるや、どうにか保っていた張り詰めていた糸が切れ、茫然自失状態、まったくの抜け殻のようになってしまった。
私はそんな彼を、彼の家まで送っていった。
彼を放ってはおけないと思った。
彼は、彼女の大切な人間だった。私たちは彼女を介して繋がっているように思えた。
私は私で、彼女を失い、彼を助けなければという使命感によって、やっと立っているという有様だった。
彼女という大きな存在を失い、喪失感に喘ぐ私たちは、まったくの同士だった。
「私たちだけは、彼女がどんなに素晴らしい愛すべき人だったか、ずっと覚えていましょう」
そう言って、私は彼を抱き締めた。臆病な私にしては、大胆な行為だった。
彼を抱きしめながら、私はアメリアのことを思い出していた。
父も母も、容姿にも優れず、頭も悪い私のことを愛してくれなかった。彼らは私のあとに生まれた弟妹を可愛がり、弟妹は私を軽んじ、嫌った。
学校で知り合った、アメリアだけが、どういうわけか私を友達にしてくれ、私を必要としてくれた。
彼女なら、どんな人も喜んで友達になるというのに。
どうして彼女が私を友達にしてくれたのか、今でも私にはわからない。
彼女から私に話しかけてくれた。
私はひとり、学校の休み時間に、人目を避けて学校の裏の林にいた。
そこで、木の幹に寄りかかっていた。
木漏れ日がゆらゆらと光と日陰の模様を作り、風が木の葉を揺らしてさらさらと音を立てる。
そこは私だけの安全な場所だった。そこでは誰からも、馬鹿だ間抜けだ木偶の坊だと嘲笑われることもなかった。
そこに、アメリアがやってきた。
私は、彼女のことも怖かった。彼女から何か言われたことはないけれど、彼女は私の正反対の人間だと思っていたから。
「となりに座ってもいいかしら」
私はびっくりしながら、うなずいた。
アメリアは、隣に座った。
休み時間中、彼女は何も話さなかった。私も何も話さなかった。
授業の始まる予鈴が鳴り、彼女と私は立ち上がった。
「あなた、いい場所を知ってるのね」
彼女はたびたび、そこに来るようになった。
そういうきっかけだから、私には本当に私たちがどうして友人になったのか、わからない。
それは、もう一生わからない。
彼の腕が、私を抱きしめ返した。それが、私の意識を引き戻した。
そして、深い喪失感に打ちひしがれ、揺れる目が私を見ていた。
彼は、今にも壊れてしまいそうだった。
彼はいつも貴族然として、男らしく力強く振る舞っていた。威圧的で嘲弄的だった。彼からしたら、私は頭の足りない大間抜けだった。彼は私を普段は相手にしなかった。
その彼に、こんな脆い一面があるのを知らなかった。
それだけ、彼にとってアメリアは大きな存在だった。外皮が剥がれ落ち、その内側の脆さを、私などに晒してしまうほど。
もし私にできるなら、哀れな彼を助けてあげたいと思った。慰めてあげたいと。
アウグストの唇が、私の唇に触れた。
彼は今、普通ではないのだから、拒まなければならなかった。彼にとって、私は眼中にもない、つまらない存在で、アメリアのおまけでしかないのだから。
だけど、私は、拒まなかった。私も普通ではなかったから。
私も、このとき、アメリアを失った大きすぎる、心に空いた穴を埋める必要があった。
彼は、未経験の私の穴を解した。
キスでわずかに濡れたそこに指を埋め、性急に掻き回した。それは痛みを伴ったが、私はこらえた。
慣れてくると指を増やされ、三本の指で解されたあとに、彼の陰茎が私の中に入ってきた。
私は彼が進むたびに、身を裂かれるようだった。息をするのがやっとだった。
最奥まで到達すると、彼はゆっくりと抜き差しをはじめ、徐々に速度を増していった。
私はただがくがくと揺さぶられた。
吐き気、鋭い痛み、鈍い痛み。
でも、彼にやめてとは言いたくなかった。
私は、彼に自分の肉体を捧げようと思った。
激しい苦痛の中で、ひたすらに耐えた。早く終わるように祈った。今にも体がばらばらになってしまいそうだった。
とうとう彼が私の最奥で果てた。
彼は私の純潔を奪ったとして、結婚を申し出た。
おこがましいにしても、私は彼のひとときの慰めになるならばと思っただけだった。
彼との結婚など、少しも考えなかった。
私の純潔が今後問題になることはない、私は終生結婚するつもりはないのだから、と私は断ったのだが、彼は譲らなかった。
そうして、私たちは結婚した。
結婚してすぐ、彼は外交官になり、隣国への赴任が決まり、私もついて行った。
私は外交官の配偶者であるにも関わらず、人付き合いが不得手だった。
閉じこもって質素な暮らしを続ける私を、彼は許した。
彼は敵の多い人間だった。
彼は、自身の主張は決して曲げない人間だった。加えて、高圧的、嘲弄的、尊大だった。意見の対立する者には一切の容赦がなかった。
彼は国の未来を憂えていた。彼は王権を強化し、軍を改革し、他国から二度と脅かされない国を目指していた。
そのために、利用できるものは、なんでも利用したし、わが国を軽んじる他国に対して挑発も辞さなかった。
私は、彼の主義主張を、行動の理由を全て理解し切ることはなかった。
頭の悪い私には難しいことだった。
彼は責任を取って私と結婚したにすぎない。もしくは、私の中にアメリアの存在を感じていたかったのかもしれない。
しかし、私は、強く、危うい彼に、惹かれるようになっていた。
私はアメリアの代わりにはなれないけれど、たとえ周りが全て敵だとしても、私だけは彼の味方でいたかった。
私が味方であることが、アウグストにとって何の意味も成さないとしても。
結婚して五年、私たちの間には二人の子供がいた。
私は幸せだった。彼が私を愛していなくても。子供たちはとても可愛かった。アウグストも、子供たちをかわいがった。
ただ、私はアメリアのものだった幸せを奪ってしまったかのようにも感じてもいた。アメリアに対して、申し訳が立たなかった。
アウグストの妻は醜く、社交を蔑ろにし、家に引きこもっている。何故、あんな人が、アウグストの妻なのか。
私がそう言われていることも知っている。
私は、彼にふさわしくないのに、分不相応に彼を手に入れた。
アウグストは、私に愛しているとは決して言わなかった。
それが、私に対する罰なのだと思う。
本国に戻ってきた彼は、彼の父の死に伴い伯爵となり、同時に世襲貴族として国会議員の地位も継承した。
彼の議会での演説が問題になっていた。
彼の発言は曲解され、切り取られ、彼と意見を異にする者たちから激しく攻撃された。
彼は帰ってくるなり、大声を出した。
「まったく、馬鹿者どもめ! 国がなくなれば、我々は他国に蹂躙され奴隷にされるというのに!」
私は激昂する彼をそっと抱きしめた。
「あなたの敵は私の敵です」
彼が私を、骨が軋むほど強く抱き締め返す。
彼は私を引きずるように寝室に連れていき、性急に私の服を脱がした。
彼の舌が私の舌に絡み、私の舌を彼が吸った。
私には、男性とも女性とも、そんな経験はなかった。恋人もいたことがないし、男娼も娼婦も買ったことがないし、買おうと思ったこともない。
私は、彼しか知らない。彼のしたいように、してくれればいい。こんな私が少しでも彼の慰めになるなら。
アメリアと彼の関係が友情での枠おさまるものだったのか、その一線を越えるものだったのか、私は知らない。
今、彼は、私ではなくて、アメリアを抱いているのかもしれない。叶わなかった恋の相手を。
彼は私を裸にすると、ベッドの縁に座る彼の膝の上に跨らせた。彼はキスをしながら、私の胸のとがりをつまんだ。
そこから、じんと痺れが走った。
私は彼と結婚するまで、自慰すらしたことがなかった。
発情期はいつも、手足を縛られ、小屋に閉じ込められていた。
家族は私を汚らわしいと思っていたから。
いつも、発情期には爆発しそうな肉体を持て余して、気が狂うのではないかと思っていた。
アウグストに抱かれるたび、私の淫乱な本性は暴かれていった。
理性はすぐに崩壊した。
オメガである私の肉体はどこまでも浅ましく、罪深かった。
彼が、キスしながら私の尻の穴をいじる。
発情期でないにも関わらず、私のそこは濡れていて、くちゅくちゅといやらしい音を立てた。
「あうっ、あっ!」
私の聞き苦しい嬌声は、キスによって封じられる。
キスをして、胸のとがりをこりこりと転がし、尻の穴にずぶりと指を埋めた。すぐに全身が熱くなり、がくがくと震えだした。
私は彼にすがりつくしかなかった。
彼の指が、私の体内のしこりをやわやわと押し込む。
私の中で、快感が大きく膨らんでいった。
どんなに彼に抱かれても、その感覚には慣れない。私の逃げる腰を彼が引き寄せ、中のしこりを揉み込む。
膨らみきった快感が、突如弾けた。
「くふっ! んっ、んんっ! はぐっ……!!」
視界が真っ白になる。私の肉は痙攣して、強い収縮が起こった。彼の指を、ぎゅうと締め付ける。
次の瞬間、彼自身が、収縮と弛緩が続くそこにあてがわれた。
張り出した先端が、大きくそこを広げる。
「あっ、ひ!?」
彼が力を入れると、しとどに濡れたそこは広げられながら、ぐぷりと彼を受け入れた。
あとは自重で彼を飲み込んでいく。
彼の質量で、私は押し開かれいった。彼が私の粘膜を圧迫し、こすり上げる。
整理的な涙がつう、と頬を伝った。
彼は、私にキスをした。私は、彼の舌を必死に舐めた。
そして、挿入したまま、身をかがめて、私の胸のとがりに吸い付いた。
「あっ、あう! んっ、んぐ!」
最奥を押し上げられながら、胸のとがりが彼の口内で、甘噛みされ、舌で潰され、弾かれ、じゅっと吸われる。
時折彼が、ぐんと最奥を小突く。
私はもう、たまらなかった。
彼が私をベッドに組み敷き、腰を振る。
粘膜と粘膜が擦れ合い、快感を生む。
彼の顎から滴った汗が、私の腹に落ちる。
アウグストは、私の肉体に性的な興奮を感じている。
彼の精悍な美しい顔が、快楽に歪む。
私はそれでよかった。たとえそこに愛はなくても。
彼は、権力の階段を駆け上っていった。
ついには、国王の最側近から次期宰相として打診されるまでになった。
しかし、国王がそれを承諾しなかった。
彼の高圧的、嘲弄的、尊大な態度。扇動家であり、時には信条の異なるものすら利用し、成すべきことを成す彼の剛腕に、国王は不信感を抱いていた。
問題は緊迫し、山積していた。
軍備拡張を巡って国王と議会は対立し、国王は退位まで考えるほどだった。
彼は、膠着した国内情勢を打開するため、宰相の地位を打診されたのだった。
彼は、国王の信頼がどうしたら得られるのか悩んでいた。
「国王陛下は、私が宰相になれば陛下にどれだけ利益があるか説いても、わかってくださらない」
「私からすれば、あなたほど陛下の忠実な臣下はいないのに」
彼は、何やら考え始め、書斎に籠もった。
自身の考えをまとめるために、なにやら紙に書きつけているようだった。
翌日、彼は王宮に参上し、王から認められた。
彼は、若くして王国の宰相になった。
帰ってきた彼は、私を抱きしめ、キスをしてくれた。
彼は瞬く間に、王と議会との対立を解消した。
陛下はその褒美に彼に屋敷を与えてくださった。
私は大勢の使用人を使う生活は向かなかった。必要最低限の使用人で回し、足りないぶんは私が自分でする。そのほうが良かった。
豪華な食事も服も調度品も必要なかった。
彼だけが質のいい服を着れば良かった。子供たちにもなるべく贅沢を覚えさせたくなかった。
アメリアが昔言っていたように、私が恵まれているのは、私の努力によってではないから。子供たちもそう。
アメリアが、彼の妻なら、どれだけ彼を支えてあげられただろう。アメリアが彼の妻という立場なら、社会にとってどれだけ神の御心にかなった素晴らしいことが出来ただろう。
私はその代わりにもならないが、せめて、家の中を清潔にして、栄養のある食事をコックと一緒に作り、庭を綺麗に保ち、子供たちをきちんと躾けようと誓った。
そして、彼の帰りを待つのだ。
わが国は、外部の敵と戦うため、国内の統合を必要とした。言い方を変えれば、彼は国内を統合するため、外部に敵を求めた。
私には難しい話だったが、彼の言うことはいつも正しい。
彼をしても耐え難いほどの精神的負荷がかかって、夜も眠れない有様だった。
その晩、私は、発情期を迎え、子守に子供たちを任せて、自室に閉じこもっていた。
アウグストに抱かれるようになった肉体には、発情期は一層我慢のしがたいものになっていた。
私は使用人に手足を縛らせていた。自慰などおぞましかった。
その私の部屋のドアが開いた。
ここ数日王宮に詰めていたアウグストが帰ってきて、私の部屋の扉を開けたのだ。
「アウグ、スト?」
「ヨハン」
彼は、縛ったままの私を抱きかかえた。
彼が私の耳を、かりりと噛み、痛みが走る。しかし、それはすぐに快感へと変換される。
「わが国が生き残るためには、対外戦争は避けられぬ。そして、圧倒的に勝つしかない」
「はい」
「君でもわかることが、やつらには分からんのだ」
彼が私の胸のとがりをきゅっとつまんだ。発情期で敏感になり尖りきったそこから、激烈な快感が走った。
「んんっ! あなたの……はうっ! なさることは、んっ、いつでも正しい、のです」
「ああ、そうだ。私は、いつも正しい」
彼は後ろから私を抱きかかえたまま、私の胸のとがりをつまみ、押しつぶし、爪でかりかりとひっかいた。
そして、ズボンに手を滑り込ませて、すでに疼きが酷い穴にずぶりと長い中指を埋めた。
「はぐっ!! あっ、ああッッ!」
「もう達したか? 淫乱め」
今日の彼は、苛立っていた。
その苛立ちを、私で晴らそうとしていた。
彼が、拘束を解かぬまま私を後ろから犯す。
私の腕を掴み、突き入れるタイミングで腕を引き、最奥を穿ち、子宮を押し潰す。
「ん゛ん゛ーーッッ!! あっ! はっ、かひゅっ! はひっ! ひっ、アウ、グスト!」
「まったく、好き者め。君はこれが好きだな。今日はじっくり潰してやろう」
亀頭に潰されて、子宮がひしゃげるのがわかる。刺激された子宮が、びくびくと震えている。
「はっ! お゛っ……! ふぎっ! ん゛あ゛ーー!!」
無意識に逃げを打とうとする私を、アウグストがぐいと引き寄せる。
「ンンーー!!」
「こら、逃げるな」
彼が、私の尻をぱしりと打った。その小さな痛みは快感になってしまう。
「はうっ! あっ! あう!」
「尻を打つと孕むと言うな。そろそろ、もう一人、欲しい。今日は君が確実に孕むまで注いでやろう」
「あっ、ああーッッ!!」
縄を解き、彼が私をベッドに組み伏せ、真上から突き刺すように貫く。
しかし、縄を外された私の両手は、彼の手によって頭上に軽々と縫い付けられていた。
「あっ、あ゛あっ! あ゛う!!」
彼に真上から子宮を潰され、私は、恐ろしいほどの快感を得ていた。逃げを打てぬように、上から抑え込まれている。
肉はびくびくとひっきりなしに痙攣し、幾度も果てた。
アウグストも、もう幾度目か、私の中で果てていた。
彼が、抜き差しを速くするとベッドが軋んで大きな音を立てた。
「はひっ! かひゅっ! ひっ、ひっ! ん゛ひっ……!!」
彼が腰を打ちつけるたびに、肉が肉を打つ音とともに、私の愛液とアウグストの白濁がかき混ぜられて卑猥な水音がした。
「ヨハン、私の敵は、君の何だ?」
「私の、敵です……あうっ……!!」
「そうだ、それでいい」
延々と子宮が小突かれ、押し上げられ、捏ねられ、潰される。
「あ゛あ゛ッッ! はぐっ! ふぎゃ! ンギッ! ンンッ! かはっ! はひっ! お゛っ! ん゛あ゛ーッッ!!」
絶頂から降りてこられなかった。刺激され続け、蕩けきった肉体が形を保てないような気がした。私は快楽に痙攣するただの肉塊のようだった。
怖かった。もう戻れないかもしれないと思った。
彼が私の最奥をひときわ強く押し上げ、意識が遠のく。
彼を抱きしめて果てたいのに、彼に手を縫い付けられて果たせない。それが私たちの関係の全てなのかもしれない。
熱いほとばしりを感じるのと同時に、私も深い絶頂を迎えた。
久しぶりの家族揃っての朝食だった。
「おはようございます! 父上!」
「父上だ!」
「ちちうえ!」
三人の子が、駆け寄って彼の頬にキスをした。長女のアルマ、長男のアーメット、次女のアンゲラを抱きかかえて、彼はそれぞれに何度もキスをした。
それから、朝食を食べた。
彼は子供たちのパンにバターを塗ってやり、
「さあ、いちごとブルーベリーと、桃のジャムどれにする?」
「私、いちご!」
「僕は、桃!」
「わたしも、もも!」
要望を聞いてから、ジャムを塗ってやっていた。
私は、なんだか、それを見て泣いてしまいそうだった。
私たちはその後、家族そろって教会に日曜礼拝に向かった。
司祭様の説教を聞き、教会の外に出たときだった。
彼は駆け寄ってきた若者に銃撃された。
私は、銃声に凍りついてしまって一歩も動けなかった。
アウグストを守るためにも、子どもたちを守るためにも、何も出来なかった。
幸い、銃弾は彼の脇をかすっただけだった。
アウグストは犯人を自身で取り押さえた。
アウグストは、私や子供を気遣ってくれた。私は彼の無事を喜んだが、とても情けなく惨めだった。
アメリアなら、きっともっと冷静に、勇敢に立ち向かえたに違いなかった。
暗殺未遂を彼は利用した。彼を撃った犯人は、王権を打倒を掲げる過激な自由主義者だった。
北の大国は常々、私の夫を自由主義だと疑ってきた。それが、この一件で、我が夫が自由主義の敵だと認めることとなった。
わが国が他国から攻め込まれたとき、友好的な中立を保つことを約束してくれた。
彼は敵国を挑発し、戦争に持ち込み、三度の対外戦争を勝ち抜いた。
国内外に、彼の名声が広まった。
国王陛下は、彼に侯爵の位を賜った。
彼は、その後、大国間の勢力均衡を保つために尽力し、大陸には彼の力で平和が訪れつつある。
国内情勢が安定すると、彼はアメリアの主張していた政策を、実行に移し始めた。
彼との間に、今や五人の子がいる。
私は幸せだった。
しかし、アメリアには敵わない。
「天国のアメリアも、喜んでくれるでしょうね」
私がそう言うと、彼は大きく息をついた。
「ああ、そうだな」
彼は、わずかに眉を顰め、どこか遠くを見ているような目をしていた。
やはり、彼の中にはアメリアがいつまでもいる。
アウグストは、紛争解決のための国際会議に出席していて留守だった。
ひと月は戻ってこれまい。
彼は出かけるとき、私に言った。
「ようやく少し時間が取れそうだ。帰ってきたら、旅行にでも行こう」
そうして、私の頬にキスをした。
だけど、それはもう、叶いそうになかった。
私は今、死の床にあった。
庭で薔薇の剪定をしているときに、目眩がして倒れ、それから急激に体調を崩していった。
医師はさまざまな治療を試みたが、回復に向かうことはなかった。
五人の子供たちが、死を待つばかりの私の周りにいてくれている。
一番下のアルトゥルは、まだ五つだ。
子供たちの成長を見届けたかったのに。
二十歳になっている長女のアルマに、下の子の面倒を頼む。
「お父様、駄目よ! お父様が死んでしまったら、父上はどうなるの」
彼は、脆いところがあるから。
「アウグストに、伝えて。早く、いい人と、再婚するように」
「お父様! 父上にはお父様でなくては駄目なの!」
「そうだよ、お父様!」
アーメットがアルマに同調する。
「アルマ、アーメット、アンゲラ、アガデ、アルトゥル、愛しているよ」
私の可愛い子供たち。彼らには、私の愛するアウグストとアメリアから、Aの文字をもらった。
彼らと離れなくてはいけないのは、無念だった。もっと一緒にいたかったのに。
どうか、アウグストと子供たちを、神様がお守りくださいますように。
しかし、呼吸が億劫だ。目を開けていられない。
私は、彼の妻にふさわしくなかった。
彼の考えを理解できないほど愚かだし、宰相の妻だと言うのに社交の場にも出なかった。
私は終生、家で彼の帰りを待つ、つまらない男だった。
彼のそばにいたのが、アメリアだったなら。
子供たちの私を呼ぶ声が遠ざかっていく。
視界が白い光一色になる。
その光の中に、私は天使を見た。
彼女は、若く美しいまま、笑みを浮かべていた。
「……アメリア」
君に話したいことが、たくさんあるんだ。
彼女の差し出す手に、私は手を伸ばした。
おわり
初出:2025/11/11
彼女は、美しく、聡明で、だれにでも臆さずに自身の意見が言える人だった。
私は彼女が大好きだった。彼女が私を親友と思ってくれているのが、何よりも誇らしかった。
「私、あなたといるときが、一番自分らしくいられるのよ、ヨハン」
彼女、アメリアは私にこう言ってくれた。
私は、オメガだと言うのに容姿は並以下、頭も良くないし、人と関わるのもうまくなかった。
私が彼女に与えられるものは、私からの友情と誠意しかなかった。
「アメリア、君の敵は、私の敵だよ。私はいつでも君の味方だよ」
こう伝えると、彼女は私の手を取り、頬にキスしてくれた。
彼女は、神の愛を恵まれない人々と分かち合う会に参加しており、その中核的なメンバーの一人だった。
彼女は、餓死者の出るような救貧院の改革を主張していたし、長時間労働と低賃金に喘ぐ人々の労働環境の改善など、弱きものを救うための活動を熱心に取り組んでいた。
私も彼女に連れられてその会に参加していたが、私は活発に交わされる議論には、理解が追いつかずついていけなかった。
でも、彼女の活動がとても意義のあることなのは分かった。神様もお喜びになる、素晴らしい活動だと。アメリアは、神様の遣いに違いなかった。神様のご意思を私のような頭の悪いものにも理解させるための。
私は彼女が瞳を光らせ力強く熱弁を振るうたび、神の存在を感じていた。私は、彼女を崇拝していた。
ある時、その会に一人の若者が知人に連れられ現れた。私とアメリアと同年代の若者だった。
見目麗しく、いかにも高貴な印象を与える彼は、王国の建国より古い貴族の出だった。彼は、私たちの住む街に行政官として着任したのだった。
一目見た瞬間に、私の本能が彼を、アメリアと同じ、アルファだと告げていた。
アメリアは、その男に活動の理念や、意義、これまでの活動の成果を熱心に説いた。
はじめ、彼女の話を黙って聞いていた彼だが、顎を上げ、眉をしかめて、口を開いた。
「貧乏人は怠けているから貧乏なのだ」
彼女は、ことさら美しい微笑みを浮かべた。
「では、あなたは怠けなかったから裕福なのですか? あなたが裕福なのは、父祖伝来の財産によってであって、あなたの努力とは無関係ですわね?」
「私の話ではない。生産性のない、怠惰な社会の寄生虫どもの話だよ。彼らへどんなに恵んでやったところで、底の抜けた瓶のようなものだよ」
「では、お聞きしますが、一日十八時間ドレスを縫い続けるお針子はどうです? 重い荷を上げ下ろしし続ける、港湾労働者は? 彼らは怠けているから貧乏なのですか?」
「彼らは、実入りのいい仕事につく努力を怠ったのだ」
「では、彼らにそんな機会はあるのですか? そのための教育をどこで受けられたというのです? 時間的余裕が金銭的余裕が、どこにあったというのです? それが努力不足なのですか? 努力不足というは、機会がありながら、それを不意にしたことを言うのでは? そして、一番の問題は、彼らの労働は社会に必要なものであるにも関わらず、給料が不当に低すぎることではないですか?」
私は彼女が殴られるのではないかと思い、彼女のすぐ後ろにそっと立った。
アメリアの代わりに、私が殴られようと思った。
彼は言い返せずに、顔を真っ赤にしていた。
「失礼する」
そして、くるりと背を向け、貴族らしく姿勢正しく出ていった。
私は非常にほっとした。
「大丈夫かい? アメリア」
彼女は肩をすくめて見せ、いたずらっぽく笑った。
「旧時代の貴重な遺物として、博物館に収蔵するべきね」
彼女の敵は私の敵だ。
私は、彼、アウグストを敵だと思うようになった。
彼女を彼から守らなくては行けないと思った。会にやってくるアウグストを捕まえて、私は震えながら言った。
「アメリアは、私の一番大事な人です。彼女を傷つけたら許しません」
「うん、覚えておこう」
彼は私を鼻で笑って、建物の中へ入っていった。
私の酷く動悸がしていた。この程度が、私の最大限の勇気だった。
彼は、どういうわけか、たびたび会を訪れた。そして、そのたびにアメリアと論戦を交わした。
いつしか、アウグストの主張には変化が見られるようになった。
そして、アメリアに対して、敬意を示すようになった。彼の目には、彼女に対する親しみが見て取れた。
それは、アメリアにしても同じことだった。
私の彼への敵意は、宙に浮いたようになってしまった。
アメリアの敵は私の敵だが、彼がアメリアの敵でないなら、彼は私の敵ではないのだ。
彼らは惹かれ合っているようだったが、アメリアにはすでに、親の決めた婚約者がいた。
アメリアとアウグストが結ばれることはなかった。
しかし、だからと言って、彼らの友情が変わることがなかった。
アメリアは、死んだ。
流行病で、発症からたった二日で。
美しくて、聡明で、輝いていたアメリアは、死んでしまった。
天の神様も、きっと彼女を早くそばに置きたかったのだろう。
だが、あまりにも早すぎる。
最後に会った日、彼女は私に言った。
「ねえ、ヨハン、あなたは私の味方ね?」
「うん、いつでも、君の味方だよ」
「私の敵は、あなたの敵?」
「そうだよ、君の敵は私の敵だよ」
私がそう言うと、彼女は私の頬にキスをしてくれた。
「世界で一番あなたが好きよ、ヨハン」
あれが最後になるなんて、思いもしなかった。彼女は悲しげだった。
彼女は、思い悩んでいたのだろうか。
婚約者とアウグストの間で、心を引き裂かれるような思いをしていたのだろうか。
教会で彼女の魂の安らぎを願った。
無事に天の神様のところにたどり着けるように祈った。
アウグストと私は、彼女の棺を担ぐうちの一人だった。
彼女の重さが私たちの肩にかかる。彼女の軽やかな魂の消えた肉体の重みが。
弔鐘が鳴る。
棺を墓穴に安置して土をかけた。
アウグストは表面上、平静を保っていた。
だが、それも葬儀が終わるまでのことだった。
彼は、葬儀が終わるや、どうにか保っていた張り詰めていた糸が切れ、茫然自失状態、まったくの抜け殻のようになってしまった。
私はそんな彼を、彼の家まで送っていった。
彼を放ってはおけないと思った。
彼は、彼女の大切な人間だった。私たちは彼女を介して繋がっているように思えた。
私は私で、彼女を失い、彼を助けなければという使命感によって、やっと立っているという有様だった。
彼女という大きな存在を失い、喪失感に喘ぐ私たちは、まったくの同士だった。
「私たちだけは、彼女がどんなに素晴らしい愛すべき人だったか、ずっと覚えていましょう」
そう言って、私は彼を抱き締めた。臆病な私にしては、大胆な行為だった。
彼を抱きしめながら、私はアメリアのことを思い出していた。
父も母も、容姿にも優れず、頭も悪い私のことを愛してくれなかった。彼らは私のあとに生まれた弟妹を可愛がり、弟妹は私を軽んじ、嫌った。
学校で知り合った、アメリアだけが、どういうわけか私を友達にしてくれ、私を必要としてくれた。
彼女なら、どんな人も喜んで友達になるというのに。
どうして彼女が私を友達にしてくれたのか、今でも私にはわからない。
彼女から私に話しかけてくれた。
私はひとり、学校の休み時間に、人目を避けて学校の裏の林にいた。
そこで、木の幹に寄りかかっていた。
木漏れ日がゆらゆらと光と日陰の模様を作り、風が木の葉を揺らしてさらさらと音を立てる。
そこは私だけの安全な場所だった。そこでは誰からも、馬鹿だ間抜けだ木偶の坊だと嘲笑われることもなかった。
そこに、アメリアがやってきた。
私は、彼女のことも怖かった。彼女から何か言われたことはないけれど、彼女は私の正反対の人間だと思っていたから。
「となりに座ってもいいかしら」
私はびっくりしながら、うなずいた。
アメリアは、隣に座った。
休み時間中、彼女は何も話さなかった。私も何も話さなかった。
授業の始まる予鈴が鳴り、彼女と私は立ち上がった。
「あなた、いい場所を知ってるのね」
彼女はたびたび、そこに来るようになった。
そういうきっかけだから、私には本当に私たちがどうして友人になったのか、わからない。
それは、もう一生わからない。
彼の腕が、私を抱きしめ返した。それが、私の意識を引き戻した。
そして、深い喪失感に打ちひしがれ、揺れる目が私を見ていた。
彼は、今にも壊れてしまいそうだった。
彼はいつも貴族然として、男らしく力強く振る舞っていた。威圧的で嘲弄的だった。彼からしたら、私は頭の足りない大間抜けだった。彼は私を普段は相手にしなかった。
その彼に、こんな脆い一面があるのを知らなかった。
それだけ、彼にとってアメリアは大きな存在だった。外皮が剥がれ落ち、その内側の脆さを、私などに晒してしまうほど。
もし私にできるなら、哀れな彼を助けてあげたいと思った。慰めてあげたいと。
アウグストの唇が、私の唇に触れた。
彼は今、普通ではないのだから、拒まなければならなかった。彼にとって、私は眼中にもない、つまらない存在で、アメリアのおまけでしかないのだから。
だけど、私は、拒まなかった。私も普通ではなかったから。
私も、このとき、アメリアを失った大きすぎる、心に空いた穴を埋める必要があった。
彼は、未経験の私の穴を解した。
キスでわずかに濡れたそこに指を埋め、性急に掻き回した。それは痛みを伴ったが、私はこらえた。
慣れてくると指を増やされ、三本の指で解されたあとに、彼の陰茎が私の中に入ってきた。
私は彼が進むたびに、身を裂かれるようだった。息をするのがやっとだった。
最奥まで到達すると、彼はゆっくりと抜き差しをはじめ、徐々に速度を増していった。
私はただがくがくと揺さぶられた。
吐き気、鋭い痛み、鈍い痛み。
でも、彼にやめてとは言いたくなかった。
私は、彼に自分の肉体を捧げようと思った。
激しい苦痛の中で、ひたすらに耐えた。早く終わるように祈った。今にも体がばらばらになってしまいそうだった。
とうとう彼が私の最奥で果てた。
彼は私の純潔を奪ったとして、結婚を申し出た。
おこがましいにしても、私は彼のひとときの慰めになるならばと思っただけだった。
彼との結婚など、少しも考えなかった。
私の純潔が今後問題になることはない、私は終生結婚するつもりはないのだから、と私は断ったのだが、彼は譲らなかった。
そうして、私たちは結婚した。
結婚してすぐ、彼は外交官になり、隣国への赴任が決まり、私もついて行った。
私は外交官の配偶者であるにも関わらず、人付き合いが不得手だった。
閉じこもって質素な暮らしを続ける私を、彼は許した。
彼は敵の多い人間だった。
彼は、自身の主張は決して曲げない人間だった。加えて、高圧的、嘲弄的、尊大だった。意見の対立する者には一切の容赦がなかった。
彼は国の未来を憂えていた。彼は王権を強化し、軍を改革し、他国から二度と脅かされない国を目指していた。
そのために、利用できるものは、なんでも利用したし、わが国を軽んじる他国に対して挑発も辞さなかった。
私は、彼の主義主張を、行動の理由を全て理解し切ることはなかった。
頭の悪い私には難しいことだった。
彼は責任を取って私と結婚したにすぎない。もしくは、私の中にアメリアの存在を感じていたかったのかもしれない。
しかし、私は、強く、危うい彼に、惹かれるようになっていた。
私はアメリアの代わりにはなれないけれど、たとえ周りが全て敵だとしても、私だけは彼の味方でいたかった。
私が味方であることが、アウグストにとって何の意味も成さないとしても。
結婚して五年、私たちの間には二人の子供がいた。
私は幸せだった。彼が私を愛していなくても。子供たちはとても可愛かった。アウグストも、子供たちをかわいがった。
ただ、私はアメリアのものだった幸せを奪ってしまったかのようにも感じてもいた。アメリアに対して、申し訳が立たなかった。
アウグストの妻は醜く、社交を蔑ろにし、家に引きこもっている。何故、あんな人が、アウグストの妻なのか。
私がそう言われていることも知っている。
私は、彼にふさわしくないのに、分不相応に彼を手に入れた。
アウグストは、私に愛しているとは決して言わなかった。
それが、私に対する罰なのだと思う。
本国に戻ってきた彼は、彼の父の死に伴い伯爵となり、同時に世襲貴族として国会議員の地位も継承した。
彼の議会での演説が問題になっていた。
彼の発言は曲解され、切り取られ、彼と意見を異にする者たちから激しく攻撃された。
彼は帰ってくるなり、大声を出した。
「まったく、馬鹿者どもめ! 国がなくなれば、我々は他国に蹂躙され奴隷にされるというのに!」
私は激昂する彼をそっと抱きしめた。
「あなたの敵は私の敵です」
彼が私を、骨が軋むほど強く抱き締め返す。
彼は私を引きずるように寝室に連れていき、性急に私の服を脱がした。
彼の舌が私の舌に絡み、私の舌を彼が吸った。
私には、男性とも女性とも、そんな経験はなかった。恋人もいたことがないし、男娼も娼婦も買ったことがないし、買おうと思ったこともない。
私は、彼しか知らない。彼のしたいように、してくれればいい。こんな私が少しでも彼の慰めになるなら。
アメリアと彼の関係が友情での枠おさまるものだったのか、その一線を越えるものだったのか、私は知らない。
今、彼は、私ではなくて、アメリアを抱いているのかもしれない。叶わなかった恋の相手を。
彼は私を裸にすると、ベッドの縁に座る彼の膝の上に跨らせた。彼はキスをしながら、私の胸のとがりをつまんだ。
そこから、じんと痺れが走った。
私は彼と結婚するまで、自慰すらしたことがなかった。
発情期はいつも、手足を縛られ、小屋に閉じ込められていた。
家族は私を汚らわしいと思っていたから。
いつも、発情期には爆発しそうな肉体を持て余して、気が狂うのではないかと思っていた。
アウグストに抱かれるたび、私の淫乱な本性は暴かれていった。
理性はすぐに崩壊した。
オメガである私の肉体はどこまでも浅ましく、罪深かった。
彼が、キスしながら私の尻の穴をいじる。
発情期でないにも関わらず、私のそこは濡れていて、くちゅくちゅといやらしい音を立てた。
「あうっ、あっ!」
私の聞き苦しい嬌声は、キスによって封じられる。
キスをして、胸のとがりをこりこりと転がし、尻の穴にずぶりと指を埋めた。すぐに全身が熱くなり、がくがくと震えだした。
私は彼にすがりつくしかなかった。
彼の指が、私の体内のしこりをやわやわと押し込む。
私の中で、快感が大きく膨らんでいった。
どんなに彼に抱かれても、その感覚には慣れない。私の逃げる腰を彼が引き寄せ、中のしこりを揉み込む。
膨らみきった快感が、突如弾けた。
「くふっ! んっ、んんっ! はぐっ……!!」
視界が真っ白になる。私の肉は痙攣して、強い収縮が起こった。彼の指を、ぎゅうと締め付ける。
次の瞬間、彼自身が、収縮と弛緩が続くそこにあてがわれた。
張り出した先端が、大きくそこを広げる。
「あっ、ひ!?」
彼が力を入れると、しとどに濡れたそこは広げられながら、ぐぷりと彼を受け入れた。
あとは自重で彼を飲み込んでいく。
彼の質量で、私は押し開かれいった。彼が私の粘膜を圧迫し、こすり上げる。
整理的な涙がつう、と頬を伝った。
彼は、私にキスをした。私は、彼の舌を必死に舐めた。
そして、挿入したまま、身をかがめて、私の胸のとがりに吸い付いた。
「あっ、あう! んっ、んぐ!」
最奥を押し上げられながら、胸のとがりが彼の口内で、甘噛みされ、舌で潰され、弾かれ、じゅっと吸われる。
時折彼が、ぐんと最奥を小突く。
私はもう、たまらなかった。
彼が私をベッドに組み敷き、腰を振る。
粘膜と粘膜が擦れ合い、快感を生む。
彼の顎から滴った汗が、私の腹に落ちる。
アウグストは、私の肉体に性的な興奮を感じている。
彼の精悍な美しい顔が、快楽に歪む。
私はそれでよかった。たとえそこに愛はなくても。
彼は、権力の階段を駆け上っていった。
ついには、国王の最側近から次期宰相として打診されるまでになった。
しかし、国王がそれを承諾しなかった。
彼の高圧的、嘲弄的、尊大な態度。扇動家であり、時には信条の異なるものすら利用し、成すべきことを成す彼の剛腕に、国王は不信感を抱いていた。
問題は緊迫し、山積していた。
軍備拡張を巡って国王と議会は対立し、国王は退位まで考えるほどだった。
彼は、膠着した国内情勢を打開するため、宰相の地位を打診されたのだった。
彼は、国王の信頼がどうしたら得られるのか悩んでいた。
「国王陛下は、私が宰相になれば陛下にどれだけ利益があるか説いても、わかってくださらない」
「私からすれば、あなたほど陛下の忠実な臣下はいないのに」
彼は、何やら考え始め、書斎に籠もった。
自身の考えをまとめるために、なにやら紙に書きつけているようだった。
翌日、彼は王宮に参上し、王から認められた。
彼は、若くして王国の宰相になった。
帰ってきた彼は、私を抱きしめ、キスをしてくれた。
彼は瞬く間に、王と議会との対立を解消した。
陛下はその褒美に彼に屋敷を与えてくださった。
私は大勢の使用人を使う生活は向かなかった。必要最低限の使用人で回し、足りないぶんは私が自分でする。そのほうが良かった。
豪華な食事も服も調度品も必要なかった。
彼だけが質のいい服を着れば良かった。子供たちにもなるべく贅沢を覚えさせたくなかった。
アメリアが昔言っていたように、私が恵まれているのは、私の努力によってではないから。子供たちもそう。
アメリアが、彼の妻なら、どれだけ彼を支えてあげられただろう。アメリアが彼の妻という立場なら、社会にとってどれだけ神の御心にかなった素晴らしいことが出来ただろう。
私はその代わりにもならないが、せめて、家の中を清潔にして、栄養のある食事をコックと一緒に作り、庭を綺麗に保ち、子供たちをきちんと躾けようと誓った。
そして、彼の帰りを待つのだ。
わが国は、外部の敵と戦うため、国内の統合を必要とした。言い方を変えれば、彼は国内を統合するため、外部に敵を求めた。
私には難しい話だったが、彼の言うことはいつも正しい。
彼をしても耐え難いほどの精神的負荷がかかって、夜も眠れない有様だった。
その晩、私は、発情期を迎え、子守に子供たちを任せて、自室に閉じこもっていた。
アウグストに抱かれるようになった肉体には、発情期は一層我慢のしがたいものになっていた。
私は使用人に手足を縛らせていた。自慰などおぞましかった。
その私の部屋のドアが開いた。
ここ数日王宮に詰めていたアウグストが帰ってきて、私の部屋の扉を開けたのだ。
「アウグ、スト?」
「ヨハン」
彼は、縛ったままの私を抱きかかえた。
彼が私の耳を、かりりと噛み、痛みが走る。しかし、それはすぐに快感へと変換される。
「わが国が生き残るためには、対外戦争は避けられぬ。そして、圧倒的に勝つしかない」
「はい」
「君でもわかることが、やつらには分からんのだ」
彼が私の胸のとがりをきゅっとつまんだ。発情期で敏感になり尖りきったそこから、激烈な快感が走った。
「んんっ! あなたの……はうっ! なさることは、んっ、いつでも正しい、のです」
「ああ、そうだ。私は、いつも正しい」
彼は後ろから私を抱きかかえたまま、私の胸のとがりをつまみ、押しつぶし、爪でかりかりとひっかいた。
そして、ズボンに手を滑り込ませて、すでに疼きが酷い穴にずぶりと長い中指を埋めた。
「はぐっ!! あっ、ああッッ!」
「もう達したか? 淫乱め」
今日の彼は、苛立っていた。
その苛立ちを、私で晴らそうとしていた。
彼が、拘束を解かぬまま私を後ろから犯す。
私の腕を掴み、突き入れるタイミングで腕を引き、最奥を穿ち、子宮を押し潰す。
「ん゛ん゛ーーッッ!! あっ! はっ、かひゅっ! はひっ! ひっ、アウ、グスト!」
「まったく、好き者め。君はこれが好きだな。今日はじっくり潰してやろう」
亀頭に潰されて、子宮がひしゃげるのがわかる。刺激された子宮が、びくびくと震えている。
「はっ! お゛っ……! ふぎっ! ん゛あ゛ーー!!」
無意識に逃げを打とうとする私を、アウグストがぐいと引き寄せる。
「ンンーー!!」
「こら、逃げるな」
彼が、私の尻をぱしりと打った。その小さな痛みは快感になってしまう。
「はうっ! あっ! あう!」
「尻を打つと孕むと言うな。そろそろ、もう一人、欲しい。今日は君が確実に孕むまで注いでやろう」
「あっ、ああーッッ!!」
縄を解き、彼が私をベッドに組み伏せ、真上から突き刺すように貫く。
しかし、縄を外された私の両手は、彼の手によって頭上に軽々と縫い付けられていた。
「あっ、あ゛あっ! あ゛う!!」
彼に真上から子宮を潰され、私は、恐ろしいほどの快感を得ていた。逃げを打てぬように、上から抑え込まれている。
肉はびくびくとひっきりなしに痙攣し、幾度も果てた。
アウグストも、もう幾度目か、私の中で果てていた。
彼が、抜き差しを速くするとベッドが軋んで大きな音を立てた。
「はひっ! かひゅっ! ひっ、ひっ! ん゛ひっ……!!」
彼が腰を打ちつけるたびに、肉が肉を打つ音とともに、私の愛液とアウグストの白濁がかき混ぜられて卑猥な水音がした。
「ヨハン、私の敵は、君の何だ?」
「私の、敵です……あうっ……!!」
「そうだ、それでいい」
延々と子宮が小突かれ、押し上げられ、捏ねられ、潰される。
「あ゛あ゛ッッ! はぐっ! ふぎゃ! ンギッ! ンンッ! かはっ! はひっ! お゛っ! ん゛あ゛ーッッ!!」
絶頂から降りてこられなかった。刺激され続け、蕩けきった肉体が形を保てないような気がした。私は快楽に痙攣するただの肉塊のようだった。
怖かった。もう戻れないかもしれないと思った。
彼が私の最奥をひときわ強く押し上げ、意識が遠のく。
彼を抱きしめて果てたいのに、彼に手を縫い付けられて果たせない。それが私たちの関係の全てなのかもしれない。
熱いほとばしりを感じるのと同時に、私も深い絶頂を迎えた。
久しぶりの家族揃っての朝食だった。
「おはようございます! 父上!」
「父上だ!」
「ちちうえ!」
三人の子が、駆け寄って彼の頬にキスをした。長女のアルマ、長男のアーメット、次女のアンゲラを抱きかかえて、彼はそれぞれに何度もキスをした。
それから、朝食を食べた。
彼は子供たちのパンにバターを塗ってやり、
「さあ、いちごとブルーベリーと、桃のジャムどれにする?」
「私、いちご!」
「僕は、桃!」
「わたしも、もも!」
要望を聞いてから、ジャムを塗ってやっていた。
私は、なんだか、それを見て泣いてしまいそうだった。
私たちはその後、家族そろって教会に日曜礼拝に向かった。
司祭様の説教を聞き、教会の外に出たときだった。
彼は駆け寄ってきた若者に銃撃された。
私は、銃声に凍りついてしまって一歩も動けなかった。
アウグストを守るためにも、子どもたちを守るためにも、何も出来なかった。
幸い、銃弾は彼の脇をかすっただけだった。
アウグストは犯人を自身で取り押さえた。
アウグストは、私や子供を気遣ってくれた。私は彼の無事を喜んだが、とても情けなく惨めだった。
アメリアなら、きっともっと冷静に、勇敢に立ち向かえたに違いなかった。
暗殺未遂を彼は利用した。彼を撃った犯人は、王権を打倒を掲げる過激な自由主義者だった。
北の大国は常々、私の夫を自由主義だと疑ってきた。それが、この一件で、我が夫が自由主義の敵だと認めることとなった。
わが国が他国から攻め込まれたとき、友好的な中立を保つことを約束してくれた。
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彼は、わずかに眉を顰め、どこか遠くを見ているような目をしていた。
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彼は、脆いところがあるから。
「アウグストに、伝えて。早く、いい人と、再婚するように」
「お父様! 父上にはお父様でなくては駄目なの!」
「そうだよ、お父様!」
アーメットがアルマに同調する。
「アルマ、アーメット、アンゲラ、アガデ、アルトゥル、愛しているよ」
私の可愛い子供たち。彼らには、私の愛するアウグストとアメリアから、Aの文字をもらった。
彼らと離れなくてはいけないのは、無念だった。もっと一緒にいたかったのに。
どうか、アウグストと子供たちを、神様がお守りくださいますように。
しかし、呼吸が億劫だ。目を開けていられない。
私は、彼の妻にふさわしくなかった。
彼の考えを理解できないほど愚かだし、宰相の妻だと言うのに社交の場にも出なかった。
私は終生、家で彼の帰りを待つ、つまらない男だった。
彼のそばにいたのが、アメリアだったなら。
子供たちの私を呼ぶ声が遠ざかっていく。
視界が白い光一色になる。
その光の中に、私は天使を見た。
彼女は、若く美しいまま、笑みを浮かべていた。
「……アメリア」
君に話したいことが、たくさんあるんだ。
彼女の差し出す手に、私は手を伸ばした。
おわり
初出:2025/11/11
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