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兎と狼 第2部
第73話 数の暴力
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Vさんの号令でケイが紋章を発動させる。彼が紋章を発動すると音も色も全て失う、だけど、迷いな敵を倒していく姿は実際は見えているんじゃないかというくらい正確だった。
今回のリーダーは無所属なのにアーサーラウンダーを先導するVさん。
そんな彼はというと、亜空間を数10個以上作成して4本の剣を自由自在に操っている。どう処理すればそんなことができるのか?
そう考えるよりも先に俺の方にも敵が迫ってくる。俺は鉤爪を自分の延長と意識して戦ってみるがなかなかうまく当たらない。
こんな数の暴力でこっちが劣勢なのにも関わらず、ケイとVさんはすがすがしそうに戦う。
というよりもVさんは初期位置から一歩も動いていない。それなのに数100体単位で倒していく。
俺はただの足手まとい。戦力外宣告受けてもいいはずなのに、2人はなにも言ってこない。
「カケル。全然戦えていないじゃない」
ヤサイダーがそんなことをつぶやいた。俺はそれに怒りを感じたが、さらに集中することに専念した。
思考が爆発しそうになりながらもできるだけ気持ちを落ち着かせて、それでも確実に戦える方法を探した。敵は雪崩のようにやってくる。
俺はアイアンクローから普通のボクシンググローブに切り替えた。こっちの方がイメージしやすいからだ。延長線上がわからない。
それくらいイメージが苦手な俺に鉤爪は難しかった。そう難しかっただけなのだ。
それならそもそも使わない方向でやった方が早い。鉤爪の方がリーチが長いし、やりやすいのだろうけど、俺には無理だ。
もしかしたらそこも含めてVさんは俺に紋章を与えたのか? もしそんなことをしたのなら治療するためというのも嘘になってしまう。
その可能性は絶対ないと考えつつも、それなりに思考速度が遅くなってきた。かなりの労力だ。ゲームでここまで疲れることは経験したことがない。
俺はサボろうと試みるが、そんなことができる場面があるはずもなく。このままでは、最強揃いのギルドという肩書を抱えるアーサーラウンダーに汚名を擦り付けるかもしれないと考えたので、サボろうとする思考は端っこに追いやった。
それでも減らない敵。この言葉が出てくるのは2度目だが数の暴力はあまり好きじゃない。というのに、ケイとVさんは速度が落ちない。2人だけで20万以上は倒しているんじゃないか?
こんまま俺の出番なしで終わってしまうのでは? そんなのは嫌だ。俺は真面目モードに入ることにした。
ここまで仲間にライバル意識を持つのは正直言って初めてだ。仲間は最大のライバルというけれど、弟を探すためにいろんなゲームを遊んでいた俺はギルドとは無縁のことをしていた。
そもそも、弟を探すのにギルドに入る必要がなかった。
入ったとしても、空気でしかなかった。ライバル意識というのも全く感じなかった。
それくらいずぼらにゲームをしていた自分が恥ずかしい。ケイやフォルテたちはギルドを通して成長をしている。
だけど、俺は最初にアリスを助けた時くらいで他は仲間任せ。余計なお世話しかしていない。
そんなんじゃ副団長失格だ。人生で考えてもこの役職は会社の副社長になったのと一緒。
社長がいない時にヘマやらかしたら全体の印象が悪くなる。
ここはきっとその器を確かめる試験と考えた方がいい。俺は拳を敵にぶつける。1体につき3撃から4撃。
ボクシンググローブは初期武器枠なのでかなり攻撃力が低い。そんな時に役立つのがストロングブレイクだが、そっちもあまり使いたくない。
使った方がワンパンで倒せる可能性が格段に上がるのだろうけど、クールタイムが気に入らない。
俺はとにかく手と足を動かした。数の暴力――敵――には数の暴力――攻撃回数――だ。とにかく攻撃する。
ここで俺は気が付いた。一発が相手の頭部にぶつかった時混乱状態にさせることに成功した。
これは複数体を混乱状態にさせれば、鉤爪で一掃できる。これは俺にとっての大発見かもしれない。
「ケイ! Vさん! 敵を俺の方に誘導させてください!」
俺は2人に指示をする。
「本当に大丈夫なんだよね?」
Vさんが反応した。ケイはというと戦闘に集中していて反応がない。俺はそんな彼なら問題ないきっと声が届いているはずだと信じ、Vさんに指示通り動くよう促す。
すると空中を舞う剣が軌道を変えた。敵を囲むように並べられ、俺の方に誘導を開始する。
俺は押し寄せる敵に少し恐怖を感じた。一度にこんな数を相手するのは初めてだ。今日は初めてなことづくしで、整理が追い付かない。でも、今の俺には整理する暇すらない。
整理に集中していたら敵の群れに押し流されて非常に情けない姿をさらすことになる。そんなことをしているわけにはいかない。
俺は押し寄せる敵の頭部に確実に拳を当てていく。どんどんその場でよろよろと動く敵。それが昆虫でも同じ動きを見せる。
これならいける。心の中でガッツポーズをして、鉤爪に変更し一気に敵HPを削り切る。こんな爽快な戦闘はとても楽しかった。これを澪に見せられたら彼はどんな反応をするだろうか?
もちろんVさんの協力のもと、かなり早いペースで片付いていく。戦闘時間は約1時間半。ようやく敵の数が減り安全が確認されたのち、会場は大歓声に包まれた。
今回のリーダーは無所属なのにアーサーラウンダーを先導するVさん。
そんな彼はというと、亜空間を数10個以上作成して4本の剣を自由自在に操っている。どう処理すればそんなことができるのか?
そう考えるよりも先に俺の方にも敵が迫ってくる。俺は鉤爪を自分の延長と意識して戦ってみるがなかなかうまく当たらない。
こんな数の暴力でこっちが劣勢なのにも関わらず、ケイとVさんはすがすがしそうに戦う。
というよりもVさんは初期位置から一歩も動いていない。それなのに数100体単位で倒していく。
俺はただの足手まとい。戦力外宣告受けてもいいはずなのに、2人はなにも言ってこない。
「カケル。全然戦えていないじゃない」
ヤサイダーがそんなことをつぶやいた。俺はそれに怒りを感じたが、さらに集中することに専念した。
思考が爆発しそうになりながらもできるだけ気持ちを落ち着かせて、それでも確実に戦える方法を探した。敵は雪崩のようにやってくる。
俺はアイアンクローから普通のボクシンググローブに切り替えた。こっちの方がイメージしやすいからだ。延長線上がわからない。
それくらいイメージが苦手な俺に鉤爪は難しかった。そう難しかっただけなのだ。
それならそもそも使わない方向でやった方が早い。鉤爪の方がリーチが長いし、やりやすいのだろうけど、俺には無理だ。
もしかしたらそこも含めてVさんは俺に紋章を与えたのか? もしそんなことをしたのなら治療するためというのも嘘になってしまう。
その可能性は絶対ないと考えつつも、それなりに思考速度が遅くなってきた。かなりの労力だ。ゲームでここまで疲れることは経験したことがない。
俺はサボろうと試みるが、そんなことができる場面があるはずもなく。このままでは、最強揃いのギルドという肩書を抱えるアーサーラウンダーに汚名を擦り付けるかもしれないと考えたので、サボろうとする思考は端っこに追いやった。
それでも減らない敵。この言葉が出てくるのは2度目だが数の暴力はあまり好きじゃない。というのに、ケイとVさんは速度が落ちない。2人だけで20万以上は倒しているんじゃないか?
こんまま俺の出番なしで終わってしまうのでは? そんなのは嫌だ。俺は真面目モードに入ることにした。
ここまで仲間にライバル意識を持つのは正直言って初めてだ。仲間は最大のライバルというけれど、弟を探すためにいろんなゲームを遊んでいた俺はギルドとは無縁のことをしていた。
そもそも、弟を探すのにギルドに入る必要がなかった。
入ったとしても、空気でしかなかった。ライバル意識というのも全く感じなかった。
それくらいずぼらにゲームをしていた自分が恥ずかしい。ケイやフォルテたちはギルドを通して成長をしている。
だけど、俺は最初にアリスを助けた時くらいで他は仲間任せ。余計なお世話しかしていない。
そんなんじゃ副団長失格だ。人生で考えてもこの役職は会社の副社長になったのと一緒。
社長がいない時にヘマやらかしたら全体の印象が悪くなる。
ここはきっとその器を確かめる試験と考えた方がいい。俺は拳を敵にぶつける。1体につき3撃から4撃。
ボクシンググローブは初期武器枠なのでかなり攻撃力が低い。そんな時に役立つのがストロングブレイクだが、そっちもあまり使いたくない。
使った方がワンパンで倒せる可能性が格段に上がるのだろうけど、クールタイムが気に入らない。
俺はとにかく手と足を動かした。数の暴力――敵――には数の暴力――攻撃回数――だ。とにかく攻撃する。
ここで俺は気が付いた。一発が相手の頭部にぶつかった時混乱状態にさせることに成功した。
これは複数体を混乱状態にさせれば、鉤爪で一掃できる。これは俺にとっての大発見かもしれない。
「ケイ! Vさん! 敵を俺の方に誘導させてください!」
俺は2人に指示をする。
「本当に大丈夫なんだよね?」
Vさんが反応した。ケイはというと戦闘に集中していて反応がない。俺はそんな彼なら問題ないきっと声が届いているはずだと信じ、Vさんに指示通り動くよう促す。
すると空中を舞う剣が軌道を変えた。敵を囲むように並べられ、俺の方に誘導を開始する。
俺は押し寄せる敵に少し恐怖を感じた。一度にこんな数を相手するのは初めてだ。今日は初めてなことづくしで、整理が追い付かない。でも、今の俺には整理する暇すらない。
整理に集中していたら敵の群れに押し流されて非常に情けない姿をさらすことになる。そんなことをしているわけにはいかない。
俺は押し寄せる敵の頭部に確実に拳を当てていく。どんどんその場でよろよろと動く敵。それが昆虫でも同じ動きを見せる。
これならいける。心の中でガッツポーズをして、鉤爪に変更し一気に敵HPを削り切る。こんな爽快な戦闘はとても楽しかった。これを澪に見せられたら彼はどんな反応をするだろうか?
もちろんVさんの協力のもと、かなり早いペースで片付いていく。戦闘時間は約1時間半。ようやく敵の数が減り安全が確認されたのち、会場は大歓声に包まれた。
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