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兎と狼 第2部
第72話 GVvsヤサイダー
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Vさんは50分間のバトルがスタートした後、黒刀を持ったまま20分くらいその場で立ち尽くしていた。
戦う気配など全く感じない、それくらいすました顔で立っていた。敵はこの前戦った蟻の大群に、黒いキラービーやこのバトルで専用にプログラムされたAI動物アバター。
ヤサイダーはもう既に戦っている。少しずつ討伐数を稼ぎ1万体を討伐した時。ついにVさんが行動を開始した。
Vさんは半分やる気なさげな刀捌きをする。1体ずつ1体ずつ的確に倒し100、200とゆっくりのペースで進めて行く。
もう勝ちは決まりというようなノロノロペースだが、Vさんが言うにはこれは作戦らしい。
『僕ならこれくらい余裕だから、少し手加減しようかなってね』
『手加減ってどんなことをするんですか?』
『うーん。僕は相手が1万体倒した時に行動を開始して……。本気を出すのは残り10分の時くらいかな? 10分もあれば10万倒せるだろうし……』
『何その余裕……。スゴすぎなんですけど……』
そんなこんなで始まった訳だが、制限時間は残り20分に迫っていた。今現在ヤサイダーは5万体。Vさんは3.5万体と差が縮まってきている。
Vさんは依然として脱力状態で一度に30体を相手して、倒す敵の数を少しずつ増やしていた。
50体を5秒。100体を6秒。刀捌きにだんだんキレが出てくる。すると残り10分になった時だった。
Vさんの左手甲の紋章が、白と黒のツートーンではなく白1色になった。Vさんの動きが急加速する。
目が追いつかない。だけど確かにVさんは空間魔法を一切使っていない。これがもし毎日のランニングトレーニングの成果としたら、かなりイメージができているのかもしれない。
残り10分の時点でヤサイダーは8万体。Vさんは7万体だった。しかし、Vさんの紋章が白くなった直後一度に倒す数が1000単位。1万単位と増えていく。
この展開は異常すぎた。これはゲームの域を遥かに超えている。それにVさんにはズルをしている様子がない。
すると彼は通信魔法でこう言ってきた。
「この加速はケイのお母さんから教えて貰った秘策だよ。ゲームプログラム改ざんとかは全くしてないから大丈夫。全部僕の思考速度が早いから。だからね」
バトルしながらも通信魔法を使って会話してくることから、かなり余裕があるようだ。Vさんの足色は衰えることを知らず、ついにヤサイダーとの差は20万を超えた。
この時点でVさんの勝利は確実化した。これが久しぶりのバトルだとは思えない。それもあって、彼が20分待った理由がよくわかった。
――バトル終了まで残り10秒……5……。
「「4、3、2、1……」」
0になったところで終了のゴングが鳴った……。Vさんは黒刀を空間の中にしまい、少し疲れた表情で歩いてくる。
だけど、こんなバトルはバトルじゃない。Vさんの独壇場と化していた。まるで個人でショーを披露しているかのように。
彼の戦いは見応えはあるようなないような。というのも1体にかける時間がかなり少なかった。
「つ、疲れた……」
「Vさんお疲れ様です。30分くらい待っても余裕でしたね……」
「うん。そうだねー」
「黒白様さすがです……。僕も感動しました」
「どうも。さてヤサイダーさんの方はどんな感じかな?」
Vさんはヤサイダーの方に歩いていった。そこで彼女はあまり機嫌がよくなさそうな顔をして膝立ちになっていた。ヤサイダーは15万4670匹。対してVさんは40万を超えている。
かなりショックだったのだろう。墓穴を掘った分の罰が下ったらしい。そもそも、Vさんが強すぎた。
これは戦ってるというより本当にワンパンで仕留めているようにしか見えない。
「ヤサイダーさん。僕の言った通りでしょ」
「確かにあたしの惨敗ね。それよりもあの速度。チートでも使ったのかしら?」
「いいや。一切使ってないよ。僕の思考だけであの速度を出したから」
「そ、そんなの嘘よ! 絶対ズルしたわよね? あの速度はルール違反だわ」
すると今度はVさんが左手甲をヤサイダーに見せた。俺は気になって近づくと、今度は紋章が黒く光っている。
彼の紋章は色が変化するようだ。そして、しっかり制御をしているようにも見える。ここまでできるようになるにはかなり練習をしたのか?
いや、ギルドアーサーラウンダーのメンバーで1番強いケイよりも強く、黒白様と言われている彼に練習という二文字はないに違いない。
俺は黒く光る紋章を凝視する。その黒は純度99パーセントと言ってもいいくらい、漆黒に染まっていた。なのに、Vさんの瞳にはこれといった変化はなかった。
「じゃ、もう一戦……する? 本来の戦い方を見せてあげるから」
「べ、別にいいわよ……。もう負けを認め……」
ヤサイダーが言い切ろうとした時だった。後方から大量の魔物が押し寄せてくる。どうやらバトル後に残った敵がシステム制御できなくなったらしい。
このままでは客を危険に晒すことになる。いくらアイテムロストしないとはいえ、客はいい思いをしないだろう。
「みんなー。安心してー。全員僕の後ろに下がって。落ち着いて行動してー。大丈夫。大丈夫だから。ここが全て僕が引き受けるから心配しないでねー」
「Vさん本気ですか?」
「うん。本気だよ。えーと、ケイ。敵の数はどれくらい?」
「約50万から100万体です。けどこんな数を1人でどうする気で……」
「1人じゃないよ。もちろんケイとカケルにも協力してもらうからね」
(俺まで巻き込まないでくれよ……)
俺と言えばストロングブレイクという強攻撃があるが相変わらずクールタイムが長い。そんな俺を戦力の1人にするなんて頭おかしいんじゃないか? と思ったけど、スキルは何度jも使えばスキルレベルが上がりクールタイムも短くできる。
これは大チャンスかもしれない。俺は新しく手に入れた武器のアイアンクローを装備する。この武器は斬撃属性と打撃攻撃が同時に出せるということが、ネット記事で出ていたらしい。
そのことはちょこっとだけケイから教わっていた。さらには、戦闘のコツまでさらに教えてもらった。これで俺の準備は完了。まもなく敵の群れがやってくる。Vさんはというと、いつの間にか剣の数が増加していた。これが本来の戦闘スタイル……。っていうか実際亀って剣を装備できるのだろうか?
「装備できないね。基本はカケルと同じ拳戦闘だよ。まあ僕のは運営が特別に設定してもらった特別アバターだから許しが出ているだけ。でも、個人的には今の方が戦いやすいからね。ノーマルアカウントだっけ? そっちにする気はないよ」
「そうなんですね……」
「さ。敵が見えてきたよ。ギルドアーサーラウンダー! 戦闘開始!」
戦う気配など全く感じない、それくらいすました顔で立っていた。敵はこの前戦った蟻の大群に、黒いキラービーやこのバトルで専用にプログラムされたAI動物アバター。
ヤサイダーはもう既に戦っている。少しずつ討伐数を稼ぎ1万体を討伐した時。ついにVさんが行動を開始した。
Vさんは半分やる気なさげな刀捌きをする。1体ずつ1体ずつ的確に倒し100、200とゆっくりのペースで進めて行く。
もう勝ちは決まりというようなノロノロペースだが、Vさんが言うにはこれは作戦らしい。
『僕ならこれくらい余裕だから、少し手加減しようかなってね』
『手加減ってどんなことをするんですか?』
『うーん。僕は相手が1万体倒した時に行動を開始して……。本気を出すのは残り10分の時くらいかな? 10分もあれば10万倒せるだろうし……』
『何その余裕……。スゴすぎなんですけど……』
そんなこんなで始まった訳だが、制限時間は残り20分に迫っていた。今現在ヤサイダーは5万体。Vさんは3.5万体と差が縮まってきている。
Vさんは依然として脱力状態で一度に30体を相手して、倒す敵の数を少しずつ増やしていた。
50体を5秒。100体を6秒。刀捌きにだんだんキレが出てくる。すると残り10分になった時だった。
Vさんの左手甲の紋章が、白と黒のツートーンではなく白1色になった。Vさんの動きが急加速する。
目が追いつかない。だけど確かにVさんは空間魔法を一切使っていない。これがもし毎日のランニングトレーニングの成果としたら、かなりイメージができているのかもしれない。
残り10分の時点でヤサイダーは8万体。Vさんは7万体だった。しかし、Vさんの紋章が白くなった直後一度に倒す数が1000単位。1万単位と増えていく。
この展開は異常すぎた。これはゲームの域を遥かに超えている。それにVさんにはズルをしている様子がない。
すると彼は通信魔法でこう言ってきた。
「この加速はケイのお母さんから教えて貰った秘策だよ。ゲームプログラム改ざんとかは全くしてないから大丈夫。全部僕の思考速度が早いから。だからね」
バトルしながらも通信魔法を使って会話してくることから、かなり余裕があるようだ。Vさんの足色は衰えることを知らず、ついにヤサイダーとの差は20万を超えた。
この時点でVさんの勝利は確実化した。これが久しぶりのバトルだとは思えない。それもあって、彼が20分待った理由がよくわかった。
――バトル終了まで残り10秒……5……。
「「4、3、2、1……」」
0になったところで終了のゴングが鳴った……。Vさんは黒刀を空間の中にしまい、少し疲れた表情で歩いてくる。
だけど、こんなバトルはバトルじゃない。Vさんの独壇場と化していた。まるで個人でショーを披露しているかのように。
彼の戦いは見応えはあるようなないような。というのも1体にかける時間がかなり少なかった。
「つ、疲れた……」
「Vさんお疲れ様です。30分くらい待っても余裕でしたね……」
「うん。そうだねー」
「黒白様さすがです……。僕も感動しました」
「どうも。さてヤサイダーさんの方はどんな感じかな?」
Vさんはヤサイダーの方に歩いていった。そこで彼女はあまり機嫌がよくなさそうな顔をして膝立ちになっていた。ヤサイダーは15万4670匹。対してVさんは40万を超えている。
かなりショックだったのだろう。墓穴を掘った分の罰が下ったらしい。そもそも、Vさんが強すぎた。
これは戦ってるというより本当にワンパンで仕留めているようにしか見えない。
「ヤサイダーさん。僕の言った通りでしょ」
「確かにあたしの惨敗ね。それよりもあの速度。チートでも使ったのかしら?」
「いいや。一切使ってないよ。僕の思考だけであの速度を出したから」
「そ、そんなの嘘よ! 絶対ズルしたわよね? あの速度はルール違反だわ」
すると今度はVさんが左手甲をヤサイダーに見せた。俺は気になって近づくと、今度は紋章が黒く光っている。
彼の紋章は色が変化するようだ。そして、しっかり制御をしているようにも見える。ここまでできるようになるにはかなり練習をしたのか?
いや、ギルドアーサーラウンダーのメンバーで1番強いケイよりも強く、黒白様と言われている彼に練習という二文字はないに違いない。
俺は黒く光る紋章を凝視する。その黒は純度99パーセントと言ってもいいくらい、漆黒に染まっていた。なのに、Vさんの瞳にはこれといった変化はなかった。
「じゃ、もう一戦……する? 本来の戦い方を見せてあげるから」
「べ、別にいいわよ……。もう負けを認め……」
ヤサイダーが言い切ろうとした時だった。後方から大量の魔物が押し寄せてくる。どうやらバトル後に残った敵がシステム制御できなくなったらしい。
このままでは客を危険に晒すことになる。いくらアイテムロストしないとはいえ、客はいい思いをしないだろう。
「みんなー。安心してー。全員僕の後ろに下がって。落ち着いて行動してー。大丈夫。大丈夫だから。ここが全て僕が引き受けるから心配しないでねー」
「Vさん本気ですか?」
「うん。本気だよ。えーと、ケイ。敵の数はどれくらい?」
「約50万から100万体です。けどこんな数を1人でどうする気で……」
「1人じゃないよ。もちろんケイとカケルにも協力してもらうからね」
(俺まで巻き込まないでくれよ……)
俺と言えばストロングブレイクという強攻撃があるが相変わらずクールタイムが長い。そんな俺を戦力の1人にするなんて頭おかしいんじゃないか? と思ったけど、スキルは何度jも使えばスキルレベルが上がりクールタイムも短くできる。
これは大チャンスかもしれない。俺は新しく手に入れた武器のアイアンクローを装備する。この武器は斬撃属性と打撃攻撃が同時に出せるということが、ネット記事で出ていたらしい。
そのことはちょこっとだけケイから教わっていた。さらには、戦闘のコツまでさらに教えてもらった。これで俺の準備は完了。まもなく敵の群れがやってくる。Vさんはというと、いつの間にか剣の数が増加していた。これが本来の戦闘スタイル……。っていうか実際亀って剣を装備できるのだろうか?
「装備できないね。基本はカケルと同じ拳戦闘だよ。まあ僕のは運営が特別に設定してもらった特別アバターだから許しが出ているだけ。でも、個人的には今の方が戦いやすいからね。ノーマルアカウントだっけ? そっちにする気はないよ」
「そうなんですね……」
「さ。敵が見えてきたよ。ギルドアーサーラウンダー! 戦闘開始!」
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