エレンディア王国記

火燈スズ

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第1章

7.ユリオスの誓い

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「わっ、わたくしはっ!王宮に残り、魔法研究を進めておられるキース兄上の下にて魔法研究を続け、ゆくゆくは魔法局局長となりーーーー」

 第2位王位継承者キース以降、王位を継承する気はないが、王城には残りたい王族たちが一人ずつその欲望を吐露していく。国王はそれを退屈そうに眺めていた。
 
「次は、第13位王位継承者、ユリオス=レイ=エレニア。前へ。」

 ついにユリオスの番になった。リアは空気を飲み込んで見守る。ユリオスは少し笑みをうかべながら、国王の前に進む。

「第13位王位継承者、ユリオス=レイ=エレニア。お前は何を望む。」

「国王よ、私は…」そこでユリオスは言葉を止め、振り返る。その視線はシャリス、そしてリアの方を向いた。リアは、一瞬ユリオスが何かを言った気がしたが、何と言ったのかわからなかった。

(なんだ…?まさか…)リアはユリオスが言おうとしていることに気づき目を見開く。シャリスはそれに気づいていないようで首をかしげている。

 前に向き直ったユリウスは高らかに宣言した。

「私は、レオン兄上、キース兄上と同じく、王位継承を希望いたします。」

 ざわつく会場。それもそうだ。王位継承権2桁位のユリオスが王位を希望したのだ。それは、12位以上3位以下の兄、姉たちを侮辱する発言に他ならなかった。

「ふざけるな!」王位継承権第5位の王族、ゲルムが怒りの声を上げる。

「第13位の癖に王位継承を望むだと?!馬鹿も休み休み言え!」

「おや、王位継承権とは、王になる権利だ。ここにいる21人は何位であろうと王位に就く権利がある。それを先ほど剣術を磨きたいなどというばかばかしい理由で破棄したのは誰だったでしょう?ゲルム兄上。」

「なんっ…だとっ…!」ユリオスの長髪に顔を真っ赤にしたゲルム。他の兄弟たちはゲルムの様子を見て、我関せずと沈黙を貫いていたが、顔を赤くするもの、ユリオスをにらむ者、歯ぎしりをする者など、ユリオスに対する怒りの感情は部屋中に渦巻いていた。

「…よろしいのですね?ユリウス。」トゥラメスがユリオスに確認する。ユリオスはうなづき言い放った。

「そもそもこの式典は、お遊びじゃないんだ。我らがエレニア王国のトップ、国王である父上に、自身の野望を伝え、それを実現する機会をいただくためにある。最初からあきらめてそこそこのポストについて安心しようなど、愚者のすることだ。俺はそうはならない。レオン兄上、キース兄上と敵対したいわけではないが、俺は王になり、この国に真の繁栄をもたらすつもりだ。」

 ユリオスはキースのように、王の返答を待つことなく壇上を降りた。戦闘を取り掛かる際、ゲルムに向かってにやりと笑いかける。
「ぐぅぅぅぅぅ…」ゲルムはユリオスをにらみつけた。

 戻ってきたユリオスにリアは話しかけようとする。しかし、その肩を見て、リアは声をかけるのをやめた。

 ユリオスの肩は震え、今にも崩れ落ちそうな状態だった。
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