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第1章
31.貧富の壁
しおりを挟む「これは…!」カイラに連れられ、リアはある場所にやってくる。そこで出た第一声は、驚きの声だった。
カルネリス東地区の最西。つまり、東地区と西地区の境界線だ。
普通、街に地区があっても、その境界線は地図上にしかない。しかし、リアの視界には、きれいにその境界線が見えていた。
「壁で、囲まれてるのか?」リアの言葉にカイラがうなずく。
「はい。東地区の住民は自由に出入りできます。まああちらに行きたい住民などいませんが。しかし、西地区の住民として登録されてしまった者は、この東地区に入る資格がなくなり、西地区に連行されます。ほら、ちょうどそうなる人がいます。」
カイラの指さす先には、憲兵のような格好の男2人に腕をつかまれ、連行される男がいた。
「やめろ!俺が何をしたっていうんだ!西地区にはいきたくない!やめてくれ!」
憲兵は男の叫びは無視し、壁についた門の前にいる別の憲兵に何か話し、門を開けさせた。そして、男を連れて中に入っていった。
「犯罪を犯した者、借金が返せなかった者、街の迷惑になった者、権力者に嫌われた者、あそこに入れられるのはそういう人たちです。」
カイラは鋭い目で壁をにらむ。リアも同じような気持ちになるのだった。
「行こうカイラ。これ以上はいられない。」
帰る途中、リアはカイラに一番聞きたかったことを聞いた。
「なあカイラ。なんでそんなにカルネリスに詳しいんだ?」するとカイラは頭を書きながら笑って言った。
「ああ、実は昔、このカルネリスの実態調査を第8中隊の一部が担っておりまして、その時の情報です。だからもしかしたら少しは良くなってるかもしれないですし、より悪くなっているかもしれません。しかし、指導者が変わったって話は聞かないので、多分現状のままでしょう。」
「指導者って、町長か?誰だっけ?」
カイラはその質問を投げかけられると、一瞬顔をゆがめた。リアはそんな気がした。一瞬の違和感はすぐに消え、カイラはいつもの表情に戻り、その名を口にした。
「ザイル=マグヌス。名門、公爵家である、マグヌスの血筋の者です。」
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