詠み人知らず、言わずと知れて。

はじまりの唄

今度こそ。

僕はどうしてここに来たのか。

どうしてここに居たいのか。




僕には居場所がないんだ。


物理的にじゃない。

精神的にだ。


この僕の心は、何処へ置いたらいい？

何処へ持って行ったらいい？


ずっと彷徨い続けて
まだ見つからない。


僕が居たいと思う場所。

僕に居ていいんだと
言ってくれる場所。

僕を必要としてくれる場所。


そんな居場所が欲しい。


誰しもが持っている。

本当の自分を一番出して居られる、
居心地のいい場所。


でも僕には遠い夢でしかない。


僕は自分が一番大切なものを、
いつも自分で壊してしまうから。



悲しかった。

一人でいる事が、寂しいかった。


周りから見捨てられているような
気がして、孤独だった。


諦めかけていたんだ。

求める事さえも。


そういう時、
僕の足は自然とここへ
僕を連れて来る。





今、僕はここにいる。


他の誰でもない僕が、今、ここに。




三年前の冬。


僕は見つけた。


僕が居たいと思う場所、

僕を受け入れてくれる場所を。


やっと、やっと見つけた。

ずっと探し求めていたんだ。

僕を必要としてくれる人がいて、
僕といて楽しいと
言ってくれる人がいて、
僕と同じ気持ちで
いてくれる人がいる。

そんな暖かい場所。



諦めなくて良かった。


ここが、僕の居場所だ。

求め、求められる場所。



今度こそ、
やっと見つけたその場所を、
自分の手で
壊してしまわないように………。





…今度こそ。





…今度こそ。





……護りたい。