詠み人知らず、言わずと知れて。

これだけは誰にも負けない

戻らぬ日々

昨日という日が終わって、
今日という日が来る。

そして今日という日が終わって、
明日という日が来る。


そんな毎日のサイクルを、
僕らはずっと続けている。


ずっと、ずっと、繰り返すように。


でも、繰り返す時間は同じでも、
していることは同じじゃない。


昨日は友達と遊んだけれど、
今日は家族で旅行に行った。

今日は授業中に居眠りをしてしまったけれど、
明日はちゃんと授業を受けるだろう。


同じじゃない。


同じ日なんて存在しない。


昨日の今頃は夜ご飯を食べていたけれど、
今日の今頃はお風呂に入っていることだってある。

今日は放課後本屋に寄ったけれど、
明日は放課後友達とカフェに寄ることだってある。


僕らは気づかない。

毎日学校に行っていることには
変わりないのに、
その中で
毎日違った出来事が起こっていることに。


同じじゃないから、
僕らは気づかぬうちに成長している。


そして、いつかは離れるんだ。


僕らは自分の未来に向かって、
ここを旅立って行くんだ。


それまでに、いろんなことがあるだろう。


悲しいこと、嬉しいこと、

楽しいこと、つまらないこと、

腹が立つこと、泣くこと、

気持ちいいこと、嫌なこと、

愉快なこと、くだらないこと、

安心すること、不安なこと、

死にたいと思ったこと、

生きててよかったと思ったこと。


僕らのサイクルは限られている。


永遠に続くかと思ったこの時が、
刻一刻と過ぎて行く。


大切な、大切な時間。


昨日は、今日は、明日は…？


そして、そのサイクルが断たれた時、
僕らは“思い出”というものを愛しく感じる。


愛しくて、寂しい。


もう、あの時は戻ってこないのだと、
思い知らされる。



「そんなこともあったね」



そう言って、笑い合えるような“思い出”を、
君たちと作り上げていけるなら、


僕は、それ以上のことを望みはしない。



「ありがとう…」