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あなたのことを
嫉妬
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「これでもう、大丈夫だね。」
「うん、ありがとう。」
「バイバイ。」
「え?何で?」
「全てが元に戻ろうとしている。
だから、君にはもう、僕は必要ない。」
「なんでよ、そんなことない。
あなたにはたくさんのことをしてもらった。
だから、私もあなたに何か返したい。」
「君の幸福な世界が戻ってくるのだから、
僕も、元の世界に戻らないと。
君とは仲良くならない、
君には僕が必要のない世界へ。」
「待ってよ、待って。どうしてそうなるの?
あなたがいたから、
私は元の世界を取り戻せたのに。」
「あの子が居れば、君には、
僕は要らない存在だったんだから。
"元に戻る"
ただそれだけなんだよ。」
「そんなことない…そんなことないよ…。」
「君は優しいね。ありがとう。
その言葉が君からもらえるだけで、
僕が居た価値はありそうだ。
少しは君に、
執着してもらえるよえな存在だったのかな。
今までありがとう。楽しかったよ。」
そう言って、あなたは行った。
遠くに行くわけでもなく、
引越しをするわけでもない。
翌日も、あなたは私の前に姿を現す。
けれど…。
「おはよう。」
「…。」
挨拶も、言葉も交わさない。
一度も目を合わせない。
笑いかけてもくれなかった。
私の望んだ元の世界に、
もともとあなたは居なかった。
私の居た世界が崩れるまでは、
あなたは、私とは仲良くなかった。
私の世界が崩れて、
私が沈んでから、
あなたは私に声をかけてきた。
「僕が君の力になる。
だから、泣かないで。
僕が君の幸福な世界を、
取り戻してあげるから。」
それから私とあなたは仲良くなった。
二人で遊びにも行った。
私の世界に関わる人とも、
だんだんと打ち解けて…。
ようやく、
あなたと友達になれたと思ったのに。
私の帰れる場所になってくれると
思っていたのに。
親友になれる予感がしたのに…。
「あの子じゃないと、ダメなんだ?」
「うん。
あんなに仲良くなれる子は、
他にいないと思う。」
「そっか、そうだよね。分かった。
僕も、協力するよ。だから、頑張って。」
「ありがとう。」
言ったのは、私だった。
先に可能性を断ち切ったのは、
私だったのか…。
「そういうのは、
大体、時間が解決してくれるんだよ。
もう少し待とう。」
「友情は、一度切れてしまったら、
きっと、元には戻せない。
その程度の仲だったってことになる。
それでも、君は、諦めたくないんだよね?」
「よく話してくれたね。辛かったでしょ。
そうだね…悲しいよね。
僕でよかったら、話聞くから。
いつでもおいで。」
あなたは、ずっとそうだった。
私は自分で精一杯で、
あなたのことを考えてあげられていなかった。
今になって、返ってくるなんて。
「ねぇ、もう話、聞いてくれないの?」
「君にはもう居るじゃないか。
取り戻したかった親友が。
だから、もう大丈夫だろう。」
「でも、どうしてそんなに
距離を置こうとするの?
普通に話もしてくれないの?」
「…君は、酷いなぁ。」
「…え?」
「僕はね、
君が思っているよりいい人じゃないんだよ。
それなりに執着するし、
それなりに嫉妬もする。それに…。」
「それに?」
「僕はね、誰かの一番になりたいんだ。」
「…一番?」
「君にはそう思える人も、
思われる人もいる。
正直、君はとても恵まれていると
僕はずっと思っていたんだ。
僕は、ずっと、君が羨ましかった。
誰かの一番になれる君が、
ずっと、恨めしかったんだ。」
「私は…あなたをずっと傷つけていたの…?」
「…ごめんね。
僕は、
自分の黒い感情を押し込めていられるほど、
まだそんな大人じゃないんだ。」
「…ごめんなさい。
私、気が付かなくって…。」
「分かってるよ。
君が人の感情に鈍感なことくらい。
でなければ、
君の世界はずっと
成り立っていたんだから。
それに、僕が介入することも、
なかったんだから。」
「私と出会わなければ良かったと思ってる?」
「そんなことないよ。
君の一番でいることは、
思いの外心地よくて、
想像以上に楽しかった。…だからかな。」
「…?なに?」
「君の一番でなくなることが、
なんだか苦しいんだ。
きっと、
これが僕の黒い感情なんだろうね。
頭の中がもやもやして、
つい、冷たい態度をとってしまう。」
「…。」
私は、何も言い出せなかった。
この時、私にはあなたが必要だと、
言えればきっと、
言えていればきっと、
あなたを救ってあげられたのに…。
「…。」
でも、やっぱりどうやったって、
あなたは私の一番にはなれない…。
「…。」
あの子との友情と、あなたとの友情を
天秤に掛けたら、私はきっと、
あの子との友情を選んでしまうから。
「そんな顔しないで。
君は何も悪くない。
分かったから。
泣かないで。
君が話しかけてくれるなら、
僕はそれに答えよう。
でも僕からは、
あまり話しかけないようにしよう。
君の世界を、壊してしまうかもしれない。 」
「…分かった。」
私はまだ、あなたを苦しめているのだろう。
私の我が儘と、
あなたの言う、あなたの黒い感情とやらが、
酷く二人を突き放してしまったのかもしれない。
あなたの中で、私は、一番だったんだね。
私があの子と笑い合う度、
その黒い感情に渦まかれていたのだろうか。
私はあなたがどの子と笑い合っていても、
そんな事、少しも考えやしなかった。
私の中で、一番は、あなたじゃなかったから。
「うん、ありがとう。」
「バイバイ。」
「え?何で?」
「全てが元に戻ろうとしている。
だから、君にはもう、僕は必要ない。」
「なんでよ、そんなことない。
あなたにはたくさんのことをしてもらった。
だから、私もあなたに何か返したい。」
「君の幸福な世界が戻ってくるのだから、
僕も、元の世界に戻らないと。
君とは仲良くならない、
君には僕が必要のない世界へ。」
「待ってよ、待って。どうしてそうなるの?
あなたがいたから、
私は元の世界を取り戻せたのに。」
「あの子が居れば、君には、
僕は要らない存在だったんだから。
"元に戻る"
ただそれだけなんだよ。」
「そんなことない…そんなことないよ…。」
「君は優しいね。ありがとう。
その言葉が君からもらえるだけで、
僕が居た価値はありそうだ。
少しは君に、
執着してもらえるよえな存在だったのかな。
今までありがとう。楽しかったよ。」
そう言って、あなたは行った。
遠くに行くわけでもなく、
引越しをするわけでもない。
翌日も、あなたは私の前に姿を現す。
けれど…。
「おはよう。」
「…。」
挨拶も、言葉も交わさない。
一度も目を合わせない。
笑いかけてもくれなかった。
私の望んだ元の世界に、
もともとあなたは居なかった。
私の居た世界が崩れるまでは、
あなたは、私とは仲良くなかった。
私の世界が崩れて、
私が沈んでから、
あなたは私に声をかけてきた。
「僕が君の力になる。
だから、泣かないで。
僕が君の幸福な世界を、
取り戻してあげるから。」
それから私とあなたは仲良くなった。
二人で遊びにも行った。
私の世界に関わる人とも、
だんだんと打ち解けて…。
ようやく、
あなたと友達になれたと思ったのに。
私の帰れる場所になってくれると
思っていたのに。
親友になれる予感がしたのに…。
「あの子じゃないと、ダメなんだ?」
「うん。
あんなに仲良くなれる子は、
他にいないと思う。」
「そっか、そうだよね。分かった。
僕も、協力するよ。だから、頑張って。」
「ありがとう。」
言ったのは、私だった。
先に可能性を断ち切ったのは、
私だったのか…。
「そういうのは、
大体、時間が解決してくれるんだよ。
もう少し待とう。」
「友情は、一度切れてしまったら、
きっと、元には戻せない。
その程度の仲だったってことになる。
それでも、君は、諦めたくないんだよね?」
「よく話してくれたね。辛かったでしょ。
そうだね…悲しいよね。
僕でよかったら、話聞くから。
いつでもおいで。」
あなたは、ずっとそうだった。
私は自分で精一杯で、
あなたのことを考えてあげられていなかった。
今になって、返ってくるなんて。
「ねぇ、もう話、聞いてくれないの?」
「君にはもう居るじゃないか。
取り戻したかった親友が。
だから、もう大丈夫だろう。」
「でも、どうしてそんなに
距離を置こうとするの?
普通に話もしてくれないの?」
「…君は、酷いなぁ。」
「…え?」
「僕はね、
君が思っているよりいい人じゃないんだよ。
それなりに執着するし、
それなりに嫉妬もする。それに…。」
「それに?」
「僕はね、誰かの一番になりたいんだ。」
「…一番?」
「君にはそう思える人も、
思われる人もいる。
正直、君はとても恵まれていると
僕はずっと思っていたんだ。
僕は、ずっと、君が羨ましかった。
誰かの一番になれる君が、
ずっと、恨めしかったんだ。」
「私は…あなたをずっと傷つけていたの…?」
「…ごめんね。
僕は、
自分の黒い感情を押し込めていられるほど、
まだそんな大人じゃないんだ。」
「…ごめんなさい。
私、気が付かなくって…。」
「分かってるよ。
君が人の感情に鈍感なことくらい。
でなければ、
君の世界はずっと
成り立っていたんだから。
それに、僕が介入することも、
なかったんだから。」
「私と出会わなければ良かったと思ってる?」
「そんなことないよ。
君の一番でいることは、
思いの外心地よくて、
想像以上に楽しかった。…だからかな。」
「…?なに?」
「君の一番でなくなることが、
なんだか苦しいんだ。
きっと、
これが僕の黒い感情なんだろうね。
頭の中がもやもやして、
つい、冷たい態度をとってしまう。」
「…。」
私は、何も言い出せなかった。
この時、私にはあなたが必要だと、
言えればきっと、
言えていればきっと、
あなたを救ってあげられたのに…。
「…。」
でも、やっぱりどうやったって、
あなたは私の一番にはなれない…。
「…。」
あの子との友情と、あなたとの友情を
天秤に掛けたら、私はきっと、
あの子との友情を選んでしまうから。
「そんな顔しないで。
君は何も悪くない。
分かったから。
泣かないで。
君が話しかけてくれるなら、
僕はそれに答えよう。
でも僕からは、
あまり話しかけないようにしよう。
君の世界を、壊してしまうかもしれない。 」
「…分かった。」
私はまだ、あなたを苦しめているのだろう。
私の我が儘と、
あなたの言う、あなたの黒い感情とやらが、
酷く二人を突き放してしまったのかもしれない。
あなたの中で、私は、一番だったんだね。
私があの子と笑い合う度、
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そんな事、少しも考えやしなかった。
私の中で、一番は、あなたじゃなかったから。
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