【配信】無能だと追放された僕の『最適化』スキル、実は神級だった件〜落ちぶれた勇者パーティを尻目に、Sランク冒険者になって人生逆転します〜

桃我タロー

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第102話 魔導皇国への潜入

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 セレスティア王女との会談は、物別れに終わった。

 彼女は、僕たちがノクタリアとの対話を試みようとすること自体を「闇への妥協」とみなし、それ以上の協力を拒絶した。僕たちは賓客として王宮に留め置かれたが、実態はほとんど軟禁に近かった。

「どうする、アルク。このままじゃ、ラチがあかないぞ」
 船に戻った僕たちに、カイが苛立ちを隠せない様子で言った。
「あの王女、頭の中お花畑だ。話が通じやしねえ」

「だが、彼女の言うことにも一理ある」
 ギデオンが反論する。
「闇が混沌と悪徳の温床であることも、また事実。まずはそれを正してから大きな脅威に立ち向かうという考え方は、理に適っている」

 仲間たちの間にも、不穏な空気が流れ始める。
 僕は、このままではいけないと判断した。

「……僕たちだけで行きます。魔導皇国ノクタリアへ」
 僕の提案に、皆が息をのんだ。

「正気か、アルク殿。ルクシオンの監視の目をどうかいくぐるのだ。それに、ノクタリアが我々を友好的に迎えるとは到底思えん」

「だからこそ、潜入するんです。僕たちの本当の目的を隠して」

 僕は作戦を練り上げた。
 エリアナさんとギデオンは表向き、ルクシオンとの交渉役としてこの星に残る。彼らがルクシオンの注意を引きつけている間に、僕とリナ、カイ、そしてリアムの四人が小型のステルス艇を使い、ノクタリアへと向かうのだ。リアムは、僕たちのことをまだ知らないはずのノクタリアとの交渉において、重要な役割を担うことになるだろう。

 その夜。
 僕たちはエリアナさんが手配してくれた、最新鋭の光学迷彩を搭載した小型艇に乗り込んだ。
 ルクシオンの厳重な監視網を、『最適化』で予測した完璧なルートで突破し、ついに僕たちは闇の惑星ノクタリアの大気圏へと到達した。

 ノクタリアの大地に降り立った瞬間、僕たちはその異様な光景に圧倒された。

 空には紫色のオーロラが絶えず揺らめき、大地からは様々な色の魔力の結晶が突き出し、それ自体が光源となって街を妖しく照らしていた。

 街は巨大なキノコのような建物が無秩序に林立し、その間を様々な種族が行き交っている。
 獣人、魔族、そしてルクシオンでは決して見ることのない、機械と体を融合させたサイボーグのような者たちもいた。

 そこは、自由だった。
 だが同時に、危険な匂いに満ちていた。

 街のあちこちで喧嘩や、いかがわしい取引が公然と行われている。
 秩序と調和のルクシオンとは、まさに正反対の世界。

「……すごい場所だな。ごちゃごちゃしてるけど、なんだかワクワクするぜ」
 カイが目を輝かせている。

 リアムは、この人工的で混沌とした光景に眉をひそめていた。

 僕たちは情報を集めるため、街で一番大きな酒場へと向かった。
 店に入ると、荒くれ者たちの視線が一斉に僕たちへと注がれた。

 見慣れないよそ者に対する、警戒と好奇の入り混じった視線だ。

 僕たちはあえて堂々とカウンター席へと向かった。
 僕がバーテンダーに、この国の支配者である皇子ノクトについて尋ねようとしたその時だった。

「……てめえら、見ねえ顔だな。どこの星から来た田舎者だ?」

 屈強な角の生えた魔族の男が、僕たちに絡んできた。
 面倒なことになった。
 カイが一触即発の空気を放つ。

 だが、そのカイを制するように、一人の男が僕たちの間に割って入った。

「やめとけ、ボルガ。そいつらは俺の客だ」

 その男は漆黒のコートを羽織り、顔の半分を銀色の仮面で隠していた。
 だが、その仮面の奥から覗く片目は、すべてを見透かすような鋭い光を宿している。
 そして、その体から放たれるプレッシャーは尋常ではなかった。

「……ノクト様! し、失礼いたしやした!」

 ボルガと呼ばれた魔族の男は、その顔を見るなり顔面蒼白となり、その場に土下座した。

 間違いない。
 この仮面の男こそが、魔導皇国ノクタリアを統べる闇の皇子、ノクト。

 僕たちは、潜入早々この国の支配者と直接接触することになったのだ。

 彼の鋭い視線が、僕たちを一人一人射抜いていく。
 僕たちの運命は、彼の一言にかかっていた。
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